勧善懲悪BanG Dream!   作:光の甘酒

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第2話 ネットの世界ってこえーなあ・・・

「ごめんね、奏也くん」

「いいって。さっきの奴ヤバいのは見てわかってるし。なにより日菜の頼みだしな」

 

 

俺があのあと日菜に呼び止められたのは、事務所の方針が決まるまで護衛として彩の送り迎えをしてくれないかということだった。

こういう事態に不慣れな事務所もどうしたらいいかわからないということで、日菜から信頼をされていて格闘技経験がある(日菜がぼかして事務所に伝えたことだが)、そして奴にスタッフとして認識されている俺にひとまずバイトの延長としてやってくれないかということだった。もちろん危険が伴うので手当は出すし、方針が決まるまでの短い間という条件だ。

まあ日菜の頼みだし、せっかく知り合った子が危ない目に遭うの気分が悪いし、なにより例の年収5000万野郎はのヤバさを目の当たりにしたのでOKした。

今は目立った事件もなく暇だしな。

 

 

「奏也くんって日菜ちゃんとほんと仲いいんだね」

 

「まーもう10年くらいの付き合いになるしなあ」

 

「もしかして好き・・・とか?」

 

 

なんてことを顔を赤くして言いやがる。

 

 

「んなわけあるか。彩も聞いてたろ?今さらあいつにときめかねえさ」

 

「そ、そうだよね!今日の日菜ちゃん、ほんと、なんかすごかったからさ!」

 

「あいつのいつもの手だぞ。彩はピュアだなあ・・・そういうところ可愛くていいと思うぞ」

 

「かわっ!?もう、そういうの急にやめてよ~でもアイドルとしてそう言ってもらえるのは嬉しいな」

 

 

別にアイドルとして言ったわけじゃないんだがなあ。ま、いっか。

 

 

「でもなんか不思議だな。奏也くんとは今日初めてあったはずなのになんか長い付き合いみたいに感じるよ」

 

「そうだな。案外日菜のおかげかもな」

 

「日菜ちゃんの?」

 

「ああ、あいついつもあんな感じだし俺たちともすぐつないでくれたし」

 

「ふふっ・・・確かにそうかもね」

 

「それに長い付き合いみたいってのもなんとなくわかる。なんつーか彩って見てて安心するんだよな。実家のような安心感的な」

 

「なーに?奏也くんアイドルを口説いてるの~?」

 

「んなわけあるかい」

 

「冗談だよ。日菜ちゃんみたいだったかな?」

 

「あいつの冗談はもっとえげつない」

 

「あっはっは!確かに!」

 

 

そんな他愛のない話をしながら歩みを進める。

すると丸山家の近くまで来たようで彩が合図をした。

 

 

「家はこの辺か?」

 

「あ、うん!ありがとね!」

 

「いいって。一応、仕事でもあるからな。んじゃ明日学校終わったら迎えにいくからよ」

 

「うん、なんか変なことに巻き込んじゃってゴメンネ」

 

「まあ困ってるなら見過ごすわけにはいかねえさ。あ、そうだ。これやるよ」

 

「これは・・・防犯ブザー?」

 

 

そう、かつてリサに渡したものと同じの俺お手製の防犯ブザーだ。

 

 

「それは防犯ブザーの役割だけじゃなくてな、抜くとGPSが働いて俺の携帯のアラームが鳴る。そして所在地を教えてくれるモンだ。一人の時とかヤバいと思ったら抜いてぶん投げて逃げろ」

 

「すごい・・・うん!ほんと何から何までありがとね!」

 

 

こうして彩は家に入っていった。

ま、しばらく警戒しておくか。事務所も何かしらの対策を取ってくれるみたいだしな。

 

 

 

幼馴染(6)

 

Soya:すまん、俺はしばらくすぐ家に帰れない

ヒナ:あ、あれだね!

氷川紗夜:ああ、日菜から聞いてるわ

こころ☆:あら?なにかあったのかしら?

たえ:私は聞いてないかな

奥沢:私も

Soya:今日バイトでパスパレの手伝いをしたんだがな

ヒナ:彩ちゃんがストーカーにあってて事務所からの仕事で彩ちゃんの護衛をすることになりました~!

Soya:ストーカーって決まったわけじゃねえさ。でもま、そういうことだ

たえ:なるほど。どういうこと。

奥沢:まあ奏也くんがいれば彩先輩も大丈夫だね

こころ☆:わかったわ!じゃあしばらく悪党狩りはお休みね!

氷川紗夜:そういうことになりますね。奏也、何か手伝うことがあったら言ってください

Soya:ああ、みんなすまないがよろしく頼む。

ヒナ、氷川紗夜、たえ、こころ☆、奥沢:スタンプ(OK!)

 

 

まあこんな感じでメッセージアプリで彩のことを幼馴染たちに告げた。

 

「そういや腹減ったな・・・飯でも買いに行くか」

 

 

家に何もなかったのでコンビニに飯を買いに行く。夜だからリサはいねえけどまあいいだろう。しばらく歩きコンビニに入り適当な弁当を見繕ったところで見覚えのある姿を見つけた。向こうも同様のようで笑顔でこちらに近づいてきた。

 

 

「どうも、スタッフさんじゃないですか!」

 

「あ、どうも」

 

 

そこにいたのは今日のリリイベで厄介を追い返していた人だった。

せっかくなのでコンビニの前でコーヒーでも飲みながら話すことにした。

 

 

「こんなところで会うとは奇遇ですなあ~!スタッフさんならいいかな、自己紹介をいたしましょう。俺は楠文哉(くすのきふみや)といいます。パスパレはデビュー当時からのファンで彩ちゃん単推しです。改めてよろしくお願いします!」

 

「神剣奏也です。しかし丸山さんに対する愛がすごいですね」

 

「実は俺、かつてブラック企業に勤めていましてね。そりゃもうボロボロでしたよ。しかも上司に無理やり押し付けられた仕事で大きな失敗をしてしまって、俺だけのせいじゃないのに社内では俺だけ失敗者の邪魔者扱い。もう限界でした。そしてたまの休みも何もすることがなくて、なんとなくパスパレのデビューライブに行ったんですよ。しかしパスパレ躓いてしまった」

 

 

その話は日菜から聞いている。事務所の方針で口パク+エア演奏をやらされ、結果機材トラブルがおきそれがバレてしまったと。

 

 

「それをみた俺は思いました。この子たちも俺と同じだと。失敗してアイドルの世界から追い出される。でもそのあとです、世界が変わったのは。メンバーが街頭で、手渡しでチラシを撒いて、雨の日でも欠かさず撒いて・・・特に彩ちゃんは一生懸命でした。それをみた俺はこのままじゃいけないと思って仕事を辞め、今はちゃんとした会社で働いています。そのあとパスパレを・・・彩ちゃんを追い続け、その都度元気をもらってます」

 

 

楠さんは彩への愛をすごく熱弁する。

いやあ、これはすごい。次から次へと言葉が出てきている。

 

 

「しかし人気が出てきたのはいいのですが・・・最近マナーが悪いファンが増えてきてて・・・」

 

「厄介、というやつですか。それにあの年収5000万円の人、色々すごかったですね」

 

「彼はその筆頭ですね。どうやら株で一山あてたらしくものすごい羽振りがいいようです。しかし自分本位で他の人の迷惑を考えていない。ファンが迷惑をかけて問題が起こればパスパレにも影響するというのに・・・それがわからないみたいです」

 

「確かに色々発言がヤバめではありましたしね」

 

「それにこれ、奴のツイッターです」

 

「どれどれ・・・」

 

 

”せっかく彩に挨拶してやろうと思ったのにいつものジジイに邪魔された!”

”彩が俺の送ったネックレスを身に着けて楽しそうにしている姿を想像して抜いた”

”今日は彩に贈り物をしました!でも公の場で身に着けると俺との関係がバレちゃうから身に着けてくれないよー”

”カルピスを彩の聖水で割って飲みたい”

”今度に彩にもっといいものをプレゼントしてあげることにする”

 

 

やっっっっべええええええええええええええええええ!

なんじゃこりゃ、普通じゃない。普通じゃないよこんなの。

こんなん彩が見たらショック死しそうだ。厄介+変態って始末悪すぎんだろ!!

リプライ(返信)をみると批判する奴、賛同する変態が半々くらいだ。

ネットの世界ってこえーなあ・・・

 

 

「ひどいでしょう?こういうことをツイッターだけでなく一般人がいるところで平然と叫んだりしてるんです。こいつのせいでパスパレファンの品位が落ちるんですよ」

 

「なるほど・・・事務所にも報告しておきますよ」

 

「よろしくお願いします。・・・そろそろいい時間ですね、俺はこれで」

 

「ええ、では。これからも丸山彩の応援をお願いします。あなたのような純粋なファンなら大歓迎ですよ」

 

「ありがとうございます、では」

 

 

うーむ、世の中にはいろんな奴がいるんだなー(白目)

しかし思ったよりヤバい奴だ。警戒を強めたほうがいいかもしれないな。

 

 

 

 

「ねえなんで男の人が・・・?」ヒソヒソ

「でも結構カッコよくない?」ヒソヒソ

「でも校門の前で何を・・・」ヒソヒソ

 

 

うーむ、たいっへん居心地が悪い。俺は学校が終わった後、彩を迎えに花咲川の前に来ていた。ちょっと待ってて!と連絡を寄越した彩を待ち早20分。

一向に出てくる気配はない。そのため下校する子たちのヒソヒソ話の格好のネタと化している。

 

 

「奏也くーん!ごめんねえ~!」

 

 

やっとお出ましか。

 

 

ウソ、丸山さん?

え?彼氏??

うそーアイドルにスキャンダル!?

 

 

「ち、違うよみんな!この人は事務所の人で!!」

 

 

あたふたしながら彩が否定する。かわいい。彩はアドリブや不意打ちに弱いと日菜から聞いているが確かにその通りのようだ。

 

 

「う~・・・」

 

「ま、そういう日もあるわな」

 

「楽観的すぎだよぉ!」

 

 

さて、今日も一日お仕事だ。

 

 

 

 

「おはようございまーす!」

 

「お疲れ様っす」

 

「あ、丸山さん、神剣君・・・・」

 

 

事務所に入るとスタッフさんが浮かない顔をしている。

 

 

「どうかしたんですか?」

 

「あっと、その・・・」

 

 

目の前にあるのは箱。どうやら宅配便で送られてきたようだ。

差出人は・・・宮野健一?

 

 

「誰ですか?」

 

「宮野さん・・・あの、例のちょっと過激な」

 

 

・・・なるほど年収5000万円野郎か。

 

 

「今度は何を送ってきたんですか?」

 

「あ、丸山さん開けないほうが・・・!」

 

 

スタッフの静止する声はすでに遅く、彩は箱を開けてしまった。

普通はタレントの前に必ずチェックし、安全を確認してから存在を知らせるものだが、今回はタイミングが悪かった。

そして箱から出てきたのは・・・・女性用の下着だった。

センスは悪くないデザインであるがそれが熱狂的なファンからプレゼントで届くというのが異常性を際立たせている。彩の顔を見るとサイズも大体合っているようだ。

さらにご丁寧にお手紙付きだった。

 

 

”絶対彩に似合うと思う。でも俺たちの関係はヒミツだから俺にもらったなんて他の人に言っちゃダメだよ?次会うときに着けてきてね♡”

 

 

「彩、見なくていい。見なくて・・・・」

 

「う、うええええええんもうやだよぉ・・・・」

 

 

いくらファンといえどタレントを傷つけていい理由にはならない。彩はファンを大切にする姿勢を絶対に崩さない、強い意志を持つ子だった。

しかしさすがに限界が来てしまったのか彩は泣き出してしまった。

話を聞くとここまで過激なものは初めてだが予兆はちょくちょくあったらしい。

 

 

「彩、大丈夫だから。な?」

 

「奏也くうん・・・・」

 

「とりあえず彩を別室に。いったん状況を整理しましょう」

 

 

 

 

「こんなもんでどうでしょう?」

 

「神剣くん、本当にただの高校生?」

 

とりあえず俺が提案したこと。今後一切、こいつからのプレゼントは受け取らないこと。一度受け取ってしまうと返送が困難になる。受取を拒否すれば運送屋さんに負担はかけてしまうが少なくともこちらが受け取る義務はなくなる。

次にツイッターの話。かなりヤバいことをツイートしており、下着まで送ってくる異常性を鑑みるとストーカー規制法に触れるのは時間の問題なので、事務所は奴が起こしたアクションをこと細やかに記録して、警察へ被害届を出す準備を怠らないこと。証拠があれば動いてくれる確率は上がるからね。

そして彩本人の身の安全。事務所はこういったことに不慣れらしいので今まで通り俺が護衛することを買って出た。

 

 

「正直、助かるわ・・・社長には私から進言します」

 

「わかりました。それと、この厄介に詳しい人を知っています。その人にも話を聞いてみようと思います」

 

「わかりました。こんなことに巻き込んでしまって申し訳ありませんが引き続きよろしくお願いします」

 

「乗り掛かった舟ですよ。では」

 

 

 

「彩、帰るぞ」

 

「・・・ねえ、私、どこかで、間違ったのかな・・・・?」

 

「どういうことだ?」

 

「私の、あの人への対応とか・・・私ね、研究生時代が長くてずっと芽が出なくて。パスパレに選ばれなかったらアイドルやめるところだったんだ」

 

「そういえばそんな話を聞いたことあるな」

 

「でもパスパレで活動することができて、でも失敗しちゃって・・・それでも今はこうやって続けている。やっぱりそれはメンバーのみんなや、事務所の人たち、そして支えてきてくれたファンの人たちのおかげなんだ。だから私はファンを大切にする。でも・・・それがこんなことにつながっちゃって・・・・私のやり方、間違ってたのかなって」

 

 

目に涙をため、彩は言葉を吐く。

 

 

「らしくねえな」

 

「え?」

 

「彩は信念を持ってやってきたんだろ?ならそれを簡単に曲げたり、疑問を持っちゃダメだ。彩は悪くない。悪いのは宮野、ただそれだけの話だ。出会って間もない俺がいうのも何だが・・・俺は何事にも一生懸命でファンを大事にして、ちょっとドジで本番に弱くてアドリブにも弱くて不意打ちにも弱い丸山彩が好きだぜ?それが彩らしさ・・・個性であり彩にしかない魅力だ。彩、自分のこころに問いかけてみろよ。お前はどうしたい?」

 

「結構ひどくない!?でもそっか・・・私のこころ・・・そうだよね!」

 

「俺のできることだったらなんだってやってやるさ。まずはこれを乗り越えて・・・いつも通りやればいいさ」

 

「うん!なんか元気貰っちゃったね!」

 

「よし、帰るか」

 

 

 

「奏也くん・・・・その、今日はありがとうね」

 

「なんだよかしこまって」

 

「奏也くんが励ましてくれなかったらちょっとヤバかったかもなーって思って!日菜ちゃんは羨ましいな・・・こんな素敵な幼馴染がいて・・・

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「なんでもない!当分護衛ってことは奏也くん、当分一緒に帰ってくれるんだよね?」

 

「まあそういうことになるか・・・今日みたいに勘違いされたらアレだしどっかで待ち合わせする方式に変えるか?」

 

「あー・・・確かにそのほうがいいかも。・・・勘違いは別にされちゃってもいいかも

 

「彩?」

 

「う、ううん!なんでもない!じゃあ、また明日からよろしくね!」

 

「ああ、じゃあな」

 

 

そうして彩は家の中に入っていった。

そして俺はすぐさまスマホを取り出し、ツイッターを開く。

教えてもらっていた楠さんのアカウントにダイレクトメッセージを送り、少し話を聞きたい旨を伝えると、OKの返事が来た。

 

 

 

 

待ち合わせのコンビニ。しかし約束の時間になっても楠さんは来なかった。

ツイッターを見る限り、結構な頻度でツイートしているのも止まってしまっている。

 

”何かありましたか?とりあえず店の中にいますね”

 

 

メッセージを送るが音沙汰がない。

結局約束の時間を30分過ぎても来なかった。

 

 

「仕方ないな」

 

 

”いったん帰ります。もし近くに来るようでしたら連絡をください”

 

 

そうメッセージを送り、俺は帰ったのであった。

そしてその夜、楠さんから返事が来ることはなかった。

 

 

 

「次のニュースです。昨晩、●●区の路上で会社員の楠文哉さん(31)が頭などから血を流しているのが発見されました。目撃者によると複数の男性に囲まれ集団で暴行を受けていたとのことで、病院に運ばれましたが意識不明の重体とのことです」

 

 

俺はそのニュースをみて朝飯のためにいれたミルクの入ったカップを床に落としてしまった。

 




ストーカーってヤバいですよね・・・
リサ編とは違ったヤバさをもったタイプで現実ではこちらの方がストーカーと呼ばれがちかと思います。

話の性質上の問題もありますが、変態幼馴染軍団の出番はほぼないって感じの試みをしているところです。
なーんなラブコメみたいになってますねーどうなることやら。
彩ちゃん可愛いからね、仕方ないね。
引き続きよろしくお願いします。
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