「よう、彩。待たせたな」
「あ、奏也くん!」
約束した時間の10分前。ショッピングモールに向かう途中、俺と彩と日菜の家から向かう途中にちょうど合流できるT字路がある。
どっかの広場に行くより効率はいいし、現地集合にすると人は多いしで地元民ならえはの待ち合わせ場所といったところか。
「日菜は?」
「まだ来てないみたい」prrrr
と思ったら彩の携帯が鳴った。
離しを聞く限り電話の相手は日菜のようだ。
「えっ!?えー・・・うん、そ、そんな・・・///」
なにやら話しているが彩が何やら困惑している。
「どうした?」
「え!?あー・・・えっと、日菜ちゃん遅刻するから先に行ってて!」
「なに?家もそう遠くないしなら日菜を迎えに・・・・」
「あー!大丈夫!!寝起きだからってまだ何もしてないんだって!!」
ものすごく焦った様子で彩がいう。
まあ彩は優しいから日菜に気を使っているんだろう。
「そういうことなら仕方ない、とりあえず二人でいくか」
「う、うん!」
こうして二人で歩みを進める。
「そういえば、今日イベントスペースでなんかやるみたいだぞ」
「え?そうなの?どこ情報?」
「えっとだな・・・」
俺は自身のスマホを取り出し昨日見た該当ページを彩に見せる。
「これだな」
「へー・・・ってこれPoppin's Party!」
「そ。おたえから見に来てくれって言われてな。ちょうどよかったよ」
そう。日菜から誘いがあったと同時におたえからもお誘いがあった。
なんでもポピパがをショッピングモールのイベントスペースで行われるバンドフェスに出演するというのだ。
幼馴染としては観に行かない手はなかったので、日菜の誘いに便乗して観に行くことを決めた次第だ。
「さて、もうちょっと歩かねばならんが・・・・はっ!?」
「どうしたの奏也く・・・ええ?」
驚く目線の先。そこには道路幅約5mのこの道にそぐわないスピードで走ってくる車であった。
「あの助手席にいるのは・・・・宮野!!」
「キェアアアアアアアアアアアア死ねええええええええええええ神剣奏也ああああああああああああああああああああああ!!!!」
まずい、思いっきりこちらに突っ込んでくる。
こうなれば・・・・
「彩あー!」
「えっ!?」
ドカッ!
畜生・・・あの野郎マジで撥ねやがった・・・・・!
俺は空中に舞いながら彩が車にぶつかっていないことを確認し受け身の準備に取り掛かったのだが・・・思いの他飛距離があり、受け身をとる前にブロック塀にぶつかってしまい、地面へと落下してしまった。
「ぐぉ・・・・!」
そのままの勢いで地面にたたきつけられ衝撃を受ける。
やっべ、背中を打っちまって体に力が入んねえ・・・
車で突っ込んでくるなんてなんてムチャしやがるんだバカヤロウ野郎・・・
そして目がかすむがその先に俺は・・・リサと友希那さんがおびえた顔でこちらをうかがっているのが見えた。
「オラ、車に乗れ!」
「オイ、奴の携帯が」
「んなもん捨てとけ!」
奴らもリサたちに見られたことを自覚したのか焦り始めた。
いけねえ、言葉が出ないし体がいてえ。
これはもう拉致られるのは避けられないだろう。
だとしたら下手に意識があるとどんな目に遭わされるかわからん・・・意識を失ったふりをしておこう。まずは体の痛みを引かせ、動けるようになるのを最優先にせねば。
そして俺は渾身の力を振り絞り、自らの持つスマホを力いっぱいリサたちのいる方向へ投げた。
「いやだぁ!はなしてよぉ!奏也くーん!目を開けてえ!」
彩、ワリィな、起きてんだけど今は耐えてくれ。
「うるせえ!おい、早く出せ!」
そして宮野の掛け声とともに車が出発したのであった。
つまるところ俺と彩は、宮野率いる野郎どもに拉致されてしまったのであった。
※
私たちをさらったワンボックス車に乗るのは運転手に一人、助手席に宮野さん。そして後部座席に私、奏也くん、そしてもう4人。
前
宮野 運転手
男 奏也 男
男 彩 男
こんな感じだ。依然として奏也くんは目を覚ます気配はない。
「ありゃりゃーもしかして死んじまったかぁ~?貧弱な野郎だぜ」
宮野さんはクックックと笑うと楽しそうにそういった。
「な、なんでこんなことを・・・・」
「あー彩。待たせたねえ・・・・助けに来たよ?この男と、事務所と・・・すべてのしがらみから逃げて俺と一緒になろ?」
「そんな・・・あなたには警告が・・・!」
「警告・・・?あー警告ねえ。あったねそういえば。大丈夫!事務所と神剣奏也に言われて無理やり、嫌々なのに被害届出されたんでしょ?俺はわかってるから大丈夫だよ!」
なにもわかってない・・・・
正直楽観視しすぎていた。もう大丈夫だろうと・・・でも甘かったんだ。
私のせいで奏也くんがこんな目に・・・
「ごめん・・・ごめんねえ・・・・・」ポロポロ
涙が止まらない。私はこれからどうなっちゃうんだろ・・・
「ありゃりゃ、彩ったら泣き出しちゃったよ。おい、とりあえずアイマスクをつけて差し上げろ!さて彩。これから俺たち二人が一つになるわけだが・・・その前に大事な儀式があるんだ」
「儀式・・・?」
アイマスクをつけられた私は問い返す。
「そ。君の目の前で神剣奏也を殺す。そうすれば君を縛る鎖は切れ、俺たちを邪魔するものは減る。最高だろう?今向かっているのはその会場さ!大丈夫!この日のために買っておいた廃工場だから誰も邪魔しないよ!」
「やめてええええええええええええ」
※
うーむ。好き放題言ってくれやがる。
しかし俺も甘かった。警告くらいで安心していたがそうはイカの金太郎アメ。
まさか車で突っ込んでくるムチャやりやがるなんて予想だにしなかった。
俺を殺すだの物騒なことを申しているがそう簡単にやられてたまるかよ。
おっとこれは死亡フラグか?
そんなことを考えていると車は廃工場へ到着し、俺たちは降ろされた。
「オラァ」
俺と彩は廃工場にの地面に降ろされた。
畜生、乱暴に投げやがって・・・けが人をもっと労われっての。
「おい、縛るもんもってこい!」
宮野の声が鳴り響くと、周りにいた男・・・さっきの車の5人がロープを持ってこちらへ歩んでくるのが分かった。
※
車から下ろされ乱暴に扱われる。奏也くんは相変わらず目を覚まさない。
どうすればいいんだろう。もう、私ダメなのかな・・・・
「よし、まずは彩から縛れ」
その言葉を聞き、私は思わずポケットに手を入れてしまう。
・・・・これは。そうだこれは・・・!
そういえばあの時!奏也くんは・・・・!
「おい、ポケットから手を出せ!」
男の人が無理やり私の手をポケットから出すとあることが起きた
ピピピピピピピピピピピピピピピピピ!
けたたましい音が鳴り響き、相手は驚く。
そう、いつでもならせるようにとポケットに入れるのが癖になっていた奏也くんお手製の防犯ブザー。それの栓が抜けたのだ。
そして私は思い出した。奏也くんはなぜか必死になって自分のスマホを投げていた。そしてその先にはリサちゃんたちがいたような気がする。
そうだ、奏也くんがああしたのは、私がこれに気づくことに賭けてたんだ!
私がこれを鳴らせば奏也くんのスマホには緊急連絡のアラームとGPSによる位置情報が送られるっていってたから、リサちゃんから誰かの手に渡れば・・・
「おい!なんだこれは!防犯ブザー!?うるせえ!ぶっ壊せ!」
バキッ!
しかしすぐに壊されてしまった。
お願い、今ので誰か気づいて!
私はそう祈るばかりでした。
※
「あーもしもし?彩ちゃん?」
「日菜ちゃん?どうしたの?待ち合わせ、もうすぐだよ?」
奏也と彩ちゃんと出かける当日、待ち合わせまであと10分。
でもあたしは起きたばかりだ。
つまるところ完全に寝坊したってわけだね。あはは・・・
「ごっめーん寝坊しちゃってさー。遅れていくから奏也と先に行っててくれない?それにぃ~二人きりでデートするチャンスだよ~?」
「えっ!?えー・・・うん、そ、そんな・・・///」
「できるだけ遅れていくからさ!じゃ。また後でね!」ピッ
まあこうなっては仕方ないよね。今は9時50分。ゆっくり準備してお昼ごろにはいくかな~
彩ちゃん、楽しんでくれるといいな。
その後朝ご飯を軽くため、お出かけするために着替えて、お化粧をしていた。
んーもうちょっとゆっくりしたらさすがに出かけようかな~
ピンポーン!
ってことを考えていたらインターホンが鳴る。
そういえばおとーさんとおかーさんは二人でお出かけ。おねーちゃんは一日弓道の稽古があるって言ってて、あたししか家にいないんだった。
はいはい、今でますよっと
「はーい?」
「あ、ヒナ!紗夜、いる??」
そこにいたのはリサちーと友希那ちゃんだった。
「おねーちゃんは今日一日弓道に稽古って言ってたよ?近頃顔を出せてないから今日は一日集中するんだって」
「道理で電話に出ないわけね・・・」
なんだかリサちーも友希那ちゃんもただならぬ様子。
ちょっと聞いてみようかな。
「そんなに焦ってどうしたの?」
「えっと・・・その・・・!」
「リサ。日菜にも聞いてもらいましょう」
「そうだね!実は奏也が・・・奏也が・・・!」
そこで聞いた話。それを聞いた私は血の気が引く音が聞こえた。
おそらくそんなことをするのはあのストーカーさんだ。警告くらいじゃ引かなかったってことだね。
そして奏也が車に撥ねられ連れ去られたということ。さすがの奏也でも車相手だと厳しいんじゃないかなって。
リサちーはおねーちゃんの強さを知っている。気が動転してそのことを思い出し、真っ先にあたしの家に来ちゃったということだね。
「リサちー・・・場所は?」
「えっと・・・」pppppppppp
するとリサちーのカバンの中から音が鳴り響く。
「これは・・・奏也のスマホ・・・?」
「・・・・!!ちょっと貸して!」
リサちーからひったくるようにスマホを受け取ると、そこには「緊急事態 丸山彩」というアラームの文字とともにマップが表示されていた。
ここから車で30分くらいいったところにある廃工場のようだ。
「リサちー。友希那ちゃん。ふたりは警察と消防に連絡して救急車を手配して。場所はここ」
「・・・ええ、わかったわ」
「ヒナは・・・?」
リサちーに聞かれてあたしは深呼吸し、顔を上げる。
「あたしは・・・先に行く」
そして二人の返事を聞かず、あたしはタクシーを拾いそしてその廃工場へと向かったのだった。
こんなの・・・・こんなのぜんっっっっっっぜん!るんっってしないよ。
彩ちゃんに奏也。あたしの大好きな二人にひどいことをするなんて。あたしは絶対に許さない。
「待っててね、奏也、彩ちゃん・・・・!」
※
「やっと・・・気づいてくれたか」
「奏也くん!」
防犯ブザーの音とともに俺は口を開く。
「しかしワリィな・・・体の節々が痛くってよ・・・あんま動けねーんだわこれが」
「ううん、よかった・・・目を覚まして」
彩は俺がしゃべるのをみて安心したようだ。目には涙が浮かび笑ってくれた。
余計な心配をかけてすまなかったという思いがある。
「おい彩ァ・・・なんでそんな奴にそんな嬉しそうな顔をする・・・なんでそんなに奴の名前を呼ぶ・・・彩は俺だけの・・・俺だけのものなんだ・・・・」
ゆらゆらと宮野は彩に近づく。正直体の痛みがまだとれていないが相手は宮野含め車に乗っていた6人。そしてこの工場に待機していた4人。さらに外の見張りは2人。合計12人。いけるか・・・?
「彩は俺だけを見ていればいいんだ。くだらない事務所とのしがらみも、神剣奏也も必要ない!俺が!俺だけがいればいい!俺が彩を娶って彩と幸せな家庭を築いて彩の髪をなでて彩の胸に飛び込んで彩の唇を奪って彩の処女も俺が!ねえ彩?子供は何人ほしい?俺は3人くらいかなあ。あ、それと新婚旅行はどこ行こうか?外国でもどこでも好きに連れて行ってあげるよ・・・子供は成績にこだわらずのびのび育ってほしいね。ねえ、返事してよ彩・・・彩・・・・彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩彩ああああああああああああああああああああああああああああーひゃっひゃっひゃっっひゃっひゃっひゃ!」
「いやああああああああああああああああああああああああ」
こいつダメだ・・・・
気色ワリィ妄想を垂れ流し、無抵抗な彩に顔を近づけ、クッソ汚いしたり顔で熱く語る。
想像以上にヤバイやつだった。今まで処理した奴らが暴力的な意味でヤバイならこいつは精神的なヤバさ。ヤクザに比べるとちっぽけな存在だがこういう場面での気色悪さ、怖さはすごい。
「そ・の・ま・え・に」
ニタァと笑い俺の方を向く。
「まずはそいつを処分しないとなあ・・・そいつがいる限り俺と彩は笑顔になれないんだもんなあ・・・・ああ、ブルッってきた。武者震いかな?」
殺意の目を俺に向ける。その手には日本刀が握られていた。
日本刀をこんなことに使うんじゃねえ。バチ当たりな野郎め。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
しかしそこで外から男二人分の悲鳴が鳴り響いた。
「なんだ!?おい!誰か見てこい!」
ガラガラガラ
ゴスッ
「うごおおおおおおおおお!」
そして様子を見に行った1人が扉が開くと同時に断末魔を上げる。
「ここかな?ねえ?あなたがあたしの大事な人をさらったの?」
「・・・よう日菜。早かったじゃねえか」
「なーに奏也?そんなボロボロになっちゃって。しかも縛られてる!そんな醜態見せないでよ。奏也はあたしの強さにおける目標なんだからさ」
「んなこと初めて聞いたぞ」
「そりゃいうわけないよ」
そこに現れたのは・・・日菜だった。
「氷川日菜・・・?なぜパスパレのメンバーがここに」
「そんなことはどうでもいいよ。あなただよね?彩ちゃんに付きまとって、挙句奏也までひどい目に合わせ今もなお・・・それは続いている。あたしの大事な・・・大好きな二人に・・・・そんなことするのは絶対に許さないよ」
日菜の顔は珍しく怒りに満ちていた。
「え・・・日菜ちゃん・・・?」
彩も驚きを隠せないでいる。
そりゃそうだろうな。いきなり仲間が現れて屈強な男を一撃でぶちのめしたんだから。
「フンッ日菜には興味がないが裸にひん剥いて動画でも撮れば何かに使えんだろ・・・おい、日菜を捕まえろ!」
「オラァ!おとなしくしろ!」
もう一人男が日菜へ向かう。
さっき別の男が1撃でぶちのめされてたのを見てなかったのか?
「日菜ちゃんッ!アブナイ!!!」
「・・・・汚い手でさわらないで」
彩はそんな心配の声を上げるが心配はご無用だ。
日菜はゴミを見るような目で向かってきた男を一撃で静めた。
「さて、痛みも引いてきたし俺もいくか」
「えっ?」
俺は腕に巻かれていたロープをほどき、自由の身となった。
正直体は痛いが当初の動けないほどの痛みではなくなっている。
そしてなにより日菜が来てくれたならもう安全だ。奴らが拳銃でも所持していない限りは平気だろう。
「なぜだ!?腕を縛っていたはず・・・!」
「腕を縛られるときによ、ロープの一部を拳で掴んでおくとよ、そこを緩めるだけであら不思議!簡単にほどけちゃうのデース!」
片目が金のウィジャド目をもつのゲームデザイナーのような口調でちょっとおどけて見せてウケを狙ったが宮野のお気に召さなかったようだ。
「さてと・・・今までのちかえしをたっぷりさせてもらおうじゃないか」
あ、噛んじゃった・・・カッコつかねえなあ
「おい、お前ら!全員で殺れ!殺れえええええええええええええええ」
「おっと一斉攻撃かよ」
まあ体いてえし今日は受け技中心でやるか。ちょうど色々試してみたいし、背中をコンクリートで打つ痛みをこいつらにも味わってもらおう。
「なあ宮野。水戸黄門の定番ラストってどんなんか知ってるか?悪代官が手下を大量にけしかけて成敗されるんだぜ?」
そこからは大して時間はかからなかった。日菜が見張りを含め4人撃破してくれていたので宮野を除いてあと5人。所詮は金で雇われたチンピラだから弱い弱い。
日菜は一撃で仕留めるし、俺は受け技の後投げ飛ばしたりしてダウンさせた後、みぞおちに渾身の一撃を放ち、意識を奪った。
「奏也ーこっちは終わったよー」
「こっちもだ。さてと・・・一人残っちゃったねえ宮野くん」
戦闘には参加せずブルってた宮野がこちらを見る。
「おまえら・・・いったいなんなんだ・・・!高校生のくせに・・・アイドルのくせに・・・!」
「通りすがり・・・でもねえかこの場合俺たちは「悪党狩りだよ!」
「最近お前らん中ではセリフ奪うのはやってんのか?」
またしても俺のセリフをとられてしまった。
「ち、ちくしょう・・・殺す・・・お前らは殺してやる・・・殺して彩と一緒になるんだ・・・!」
「まーだそんなこと言ってんのかてめえは」
「でも奏也、日本刀はちょっとずるいと思わない?」
「確かになあ。仕方ない、アレをやる」
「アレを・・・?大丈夫なの?」
「ダメならどっちみちダメだろうよ。なにもしなくてダメならやった方がいいだろ。もし俺が失敗したら・・・その時は彩を連れて全力で逃げてくれ」
「・・・・失敗のことなんて言わないでよ、バカ」
「ま、なるようにしかならんさ」
俺は思い出す。オッサンとコレをやった日を。
「何俺をほったらかしにしてごちゃごちゃいってんだコラァ!!!死ねええええええええええええ」
さあ・・・・いざゆかん
※
一瞬の出来事だった。今、宮野さんが持っていた刀は奏也くんが持っていて、その切っ先は宮野さんの喉元に向けられている。
5人いた怖そうな男の人は一瞬で日菜ちゃんと奏也くんに倒され、そして日本刀で斬りかかった宮野さんは一瞬で奏也くんに圧倒された。
素手の奏也くんに向けられた刃をみて私は目を背けそうになった・・・でもそこからは神秘の世界だった。
奏也くんは斬りかかる宮野さんの懐に飛び込んで宮野さんの日本刀を持つ手を自分の両腕で挟み、そのまま圧倒的な力でネジり、そのまま倒してしまった。
倒れたその隙を見て奏也くんは刀を奪い、そのまま倒れこんだ宮野さんに向けたのだ。
「す・・・すごい・・・」
「ふう、うまくいったみたいでよかったよ」
「今のは・・・なんなの・・・・?」
「えーっとね。確か無刀取りだったかな?あたしたちに稽古をつけてた先生が時代劇好きでね。でも弟子の中だと奏也しかマスターできなかったんだ。それでも失敗することあったから完璧じゃなかったけど」
「えっ!?じゃあ失敗してたかもってこと!?それに弟子って・・・?」
「んー・・・そうなるね。だから心配してたけど杞憂だったみたい。あ、その辺は後で説明するね」
日菜ちゃんもなんだけど、奏也くんって本当に何者なんだろう・・・?
「おい宮野・・・本当にこれで終わりだ」
「ヒッ・・・ヒィィィ殺さないでくれえ・・・・」
「あ?調子いいこと言ってんじゃねえぞ?俺のこと殺すって言ったよな?俺のことを殺しにかかるってことは逆もまた然り。違うか?」
「バカなあああ俺があああおれがしっぱいするなんてええええ」
「バカ野郎。てめえみてえに自己顕示欲を満たすためだけにたくさんの人に迷惑をかけやがって・・・血がにじむような努力をして、頑張って、躓いても立ち上がって、必死に・・・本当に必死に頑張ってる子を傷つけて、脅かして・・・てめえに何の権利がある!?あの子の努力を!頑張りを!想いを!踏みにじる権利はてめえだけじゃねえ・・・誰にもないんだよ!!」
そして俺は日本刀を振り上げる。
「ヒィ・・ヒィ・・ヒイイイイイイイ」
「覚悟を決めろ」
そして俺は刀をそのまま振り下ろした。
「いやだあああああああああああああああああああああああああああ(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!)」
が、切っ先が奴の額に触れる程度で止める。
奴は涙と鼻水で顔をグチャグチャにし、股間からは黄色い水たまりができており、さらに香ばしいにおいが漂ってきたのだ。そしてそのままショックのせいか失神してしまった。
うーん、汚い(確信)
「てめえみたいなクソの命でも奪っちゃなんねえのは難儀するぜ。文字通りクソしやがったけどな」
※
さてエピローグを語ろうか。
まず警察が到着し、前々から犯していたストーカー行為と警告を無視し凶行に及んだということで宮野は逮捕された。罪状はわかっているだけでもストーカー規制法違反、傷害(楠さんの件含め)、未成年誘拐、監禁、強制わいせつ、殺人未遂とフルコースだ。しかも去年の株の売買での脱税が発覚したらしく、重い追徴金とさらなる処罰がされるだろうから、間違いなく実刑判決が出て豚箱の中で当分は臭い飯を食うことになるだろう。
そして俺たちであるが、誘拐現場を見たリサと友希那さんの証言と現場の状況から一転攻勢をして頑張って戦い、正当防衛の末勝利したと結論付けられた。
この事件は未成年アイドルがストーカーによって攫われたという芸能界を揺るがす大事件なのであるが、こころのコネで日菜が戦った件も含め報道規制がしかれ、報道されずに済んだ。
改めて弦巻家のすごさを思い知った次第である。
ちなみに日菜ことは彩に説明した。とはいっても悪党狩りのことは当然伏せてだが。彩は驚いていたが納得したくれたのと、他言は無用であるということを約束してくれた。
なおリサと友希那さんは、紗夜がそうなら日菜もそっかーと案外驚いていなかったのが印象的である。
その後、俺と彩は救急車で病院に運ばれた。俺は、車に撥ねられたケガは案外大したことなかったがブロック塀にぶつかったときの打撲が結構痛くて治療を、彩は特に外傷はないがショッキングな出来事があったから念のためといった具合だ。
ちなみに彩はすぐに退院したが、俺は打撲だけかと思ったら肋骨にヒビががはいっており、出来事が出来事なのに少し入院するハメになってしまった。
※
「でね、今日日菜ちゃんったら・・・」
私は奏也くんのお見舞いに来ていた。私が先に退院したけど、奏也くんは色々検査もあるらしくて1週間くらいは入ってなきゃいけないってことだった。
私が巻き込んだせいで・・・
「はは、あいつは相変わらずだ」
「ねー!酷いでしょー?」
会話は楽しい。でもどうしても奏也くんを巻き込んで、私のせいでケガをさせてしまったことが後ろめたく感じてしまう。
「それでね・・・それで・・・」
「なあ、彩」
すると奏也くんが話を中断してきた。
「何かな?」
「なんつーかさ、あんま無理するなよ」
「え・・・?」
「俺がこうなったのはお前のせいじゃあない。俺が勝手にやったことだし、誰かが悪いんだとしたらそれは宮野だ。だからよ、そんな無理するな。いつも通りの丸山彩でいてくれよ」
びっくりした。気づいていたの・・・?普段鈍いくせにい・・・・
「ってうお!?なんで彩泣いてんだ!?」
「な、なんでもない!」
その気持ちが嬉しくて、涙が出てしまった。
ダメだ、想いが抑えられそうにないよ。
「奏也くん!あのね・・・!私、私・・・・!」
ガラッ!
「奏也ー調子はどうかなー?」
しかしそうは問屋が卸さなかった。
病室に入ってきたのはリサちゃんだった。
「おう、リサか。まあどうってことねえんだけどよ。検査検査うるさくてまだ抜けられそうもねーや」
「そうなんだ。お、彩も来てたんだね!クッキー焼いてきたんだけど、みんなで食べない?」
うー・・・なんで私っていっつもこうかなー
肝心なところでうまくいかないよぉ~・・・
リサちゃんは悪くないけど。
そのあとは他愛のない話をして時間が過ぎてゆく。
「すみませーん、そろそろ面会終了です」
すると看護師さんが病室にやってきて面会終了を告げた。
「あ、もうそんな時間?じゃ、アタシたちは帰ろうか、彩」
「うん、そうだね。奏也くん、またね」
「おう、いつもすまんな。また」
病室を出て、リサちゃんと話しながら病院の外へ行く。
するとリサちゃんは私に向き直り、真剣な表情できいてきた。
「彩もさ・・・奏也のこと好きなの・・・?」
「えっ!?」
突然の言葉に思わず驚きの声で返してしまった。
「えっと・・・そのぉ・・・ん?私”も”?ってことはまさかリサちゃんも・・・?」
「・・・う、うん///」
リサちゃんがいつもと違った雰囲気だ。顔を赤くしてモジモジしてて・・・可愛いなあ・・・
「私も・・・うん、好きだよ」
「そっかー・・・そっか。これってアレ?恋のライバル的な?」
「言葉に出すとなんか恥ずかしいね(笑)そんなの、少女漫画だけの話だと思ってた」
「ホントだね。アタシがまさかこんな風になるなるなんて・・・いやー人生わかったもんじゃないね!」
相手がリサちゃんだからかな?なんか不思議と嫌な感じはしない。
それは向こうも同じ感じみたいだ。
「アタシ、負けないからね」
「私も。絶対振り向かせて見せるよ!」
「恨みっこなしだね」
二人で握手を交わす。これからどうなるかわからないけど、私は私にできることをやう。
「さぁて、あとはあのニブチンをどうやってっていう課題あるけど・・・」
「ほんとほんとー!!なんなのあれー!?ねえねえ聞いてよリサちゃん!この前奏也くんったらさー」
「えーそうなの?アタシの方もさー・・・・」
アイドルも、恋も全力で一生懸命やりきる!それが丸山彩の在り方だから!!
だから、見ててくださいね。
第6章 完
なげええええええ1万字超えるとか冗談はよしてくれ(タメ口)
2分割も考えましたけど6話になるにもあれだしキリが悪いので諦めました。
と、いうわけで第6章 彩のこころ終了です。
クッソ慣れないラブコメ要素とか強めでしたけどいかがだったでしょうか?
彩ちゃんとリサ姉は絶対にケンカさせたくなかったのでこの二人がどうなるかはまあ後程いずれ・・・
あとすみません、幼馴染でないとか言ってましたけどガッツリ日菜出ちゃいました。
仕方ないね。
しかし奏也くん、思い付きで無刀取りまで使わせましたけど、一体どこまで強いんですかね・・・?
★元ネタ解説★
●片目が金のウィジャド目をもつのゲームデザイナー
ワタシデース★インダストリアルアリュージョン社CEO、ペガサス・J・クロフォードデース!
決闘者王国では遊戯ボーイに負けたあと、原作では獏良ボーイにミレニアムアイを奪われて死んでしまマシたが、アニメでは生きていマース!
でも劇場版で時空改変前にまたしても死んでしまいマシタ★アンビリーバボゥ!
そういえばトムが使った飛行エレファントが今度カード化するようデース!
●ちかえし
またしても淫夢語録。ワガママな芸能人役の男にマネージャー役の男が切れてホモレ●プに至る前に発した言葉。仕返しっていいたかったらしい。
●無刀取り
日本最強剣豪の一角である上泉信綱の弟子である、柳生石舟斎が開祖として知られる柳生新陰流にある剣術。
近年ではよく似た行動がよく時代劇でも用いられる。
●ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!
授業中に出したら中学生活終わるナリ。そうだ!大声を出して音をかき消すナリ。