「さあ、集まったな」
「しっかしすごい量だね・・・おじいちゃん片付け下手だったからなあ」
「先生が適当だったのはすでにわかっていることですから、文句を言っても始まりません」
そして翌日。俺たちはオッサンの自宅の書斎地下にある隠し部屋に来ていた。
隠し部屋といってもかなり広い。広さ約15帖ほど。しかも書類や本が詰め込まれているためこの中から目的のものを探すのはなかなか骨が折れそうだ。
・・・と思っていたのだが一角だけ明らかに整理されており、ただならぬ雰囲気を出す場所があったのだ。
「美咲、ここか?」
「うん多分ここ。見るならみんなでって思ってまだ手を付けてないよ」
「よし、引っ張り出すか」
とはいっても膨大な量だ。俺、美咲、こころ、おたえ、紗夜、日菜、蘭全員でやっても外に出すのにものすごい時間がかかってしまった。
そして外に出すと8帖の部屋が半分埋まってしまった。
物理法則とか無視してない?地下倉庫は四次元ポケットかなにかか?
しかしそんな膨大な資料であるが背表紙にはしっかり「花咲川・羽丘通り魔」と書かれているものも混在している。
・・・しかし途中から背表紙を書くのがめんどくさくなったのだろう。背表紙が書いていないファイルの方が圧倒的に多い。
「こっから探せってかよオッサン・・・(困惑)」
「おじいちゃん・・・・」
「「「「先生・・・」」」」
「あ、私は名前くらいしかしらないや、この人」
そういやこの中で蘭は唯一関わりが薄いんだったな。
その後は各々放課後にオッサンの家にきて、交代で資料漁りをすることになった。
各バンド練習もあるし、俺とおたえは香澄ちゃん・有咲ちゃんのの護衛継続もあるからな。全員が全員毎日缶詰で資料を漁るのは難しいところがあるのだ。
そして蘭は警察関係の情報を仕入れるツテがあるということで事件の状況などを担当する。マジで情報源どこなんだ・・・?
「各々役割分担にしたがって頼む」
「「「「「「了解!」」」」」」
俺たちの因縁をめぐる一連の事件は、確実に真相へと向かっているのが感じることができているのだ。
※
「ねえおねーちゃん」
「なにかしら?日菜」
今日の資料漁りは私たち姉妹が担当だ。
ただ探すだけでは疲れてしまうので、こうやってところどころに会話を挟みながらやっている次第である。
「リサちーって奏也の事好きなんだっけ・・・?」
「そうのようね。なぜか本人より湊さんの方が頑張ってるけど」
「あー・・・そうなんだねー」
日菜は煮え切らない顔をする。
もしかして日菜は奏也のこと好き・・・とか?いや、ありえない。
私がそんな日菜の変化を見逃すわけがないし、そんな素振りは全くないと断言できます。
「言ってなかったけどさー・・・実は彩ちゃんも何だよね」
「・・・・・はい?」
「だからさ、彩ちゃんもなの。奏也のこと好きなの」
「・・・・なんですと?」
聞いてない!そんなこと聞いてませんよ!
「奏也のくせにナマイキね」
「ね!そう思うでしょ!?よりによってリサちーみたいないい子と彩ちゃんみたいな可愛い子なんて贅沢極まりないよ!」
「・・・でも日菜、問題は共通してそうね」
「・・・・うん」
「「あのニブチンめ・・・・」」
これは私たち姉妹でなくとも思っていることでしょう。
「あ、でもリサちーと彩ちゃん、お互いに気持ち知ってるみたいだよ?そのうえで仲よくしているみたい」
「なんと。まあ確かにあの二人がこんなことで険悪になるのは考えにくいことですがね」
「ねえ、おねーちゃん。おねーちゃんはリサちーの味方なの?」
「・・・・現状はそうね。でも最終的にどっちかの味方につけといわれたら私はどちらにもつかないと思うわ」
「あ!あたしと一緒だ!今は彩ちゃんの事助けているけど・・・どっちかの味方になれっていう選択肢が出てきたら全力ブッチしてあとは流れに任せるかなー・・・結局、そんなものは本人たちでしか解決できないわけだしね」
「リアリストね。まあ、そのあたりに関しては同意だわ」
「ふふっ!やっぱり私たちは姉妹だね!」
日菜がぱぁっと目を輝かせていう。
「ええ、そうね。ねえ日菜、この事件が解決したらその・・・久しぶりに二人で旅行にでも行かないかしら?」
「えっ!?おねーちゃんがそんなこと言うなんて珍しい!」
「い、嫌ならいいのよ・・・せっかく二人きりの姉妹なんだしたまにはそういうのがあったっていいかと思っ「絶っっっっっっっ対いく!!!!!」
私の言葉を遮り、日菜は大声で言い切った。
「やったー!おねーちゃんと旅行!るるるんっ♪って感じだ!どこがいいかなー?おねーちゃんはどこか行きたいところある!?」
「ひ、日菜、気が早いわよ」
私の提案を大喜びでOKしてくれた日菜をみて思わず嬉しくなってしまう。
かつて日菜に抱いていた感情。なんでもできる妹とそれだけ努力をしても追い付けない姉。それが原因で私が一方的に日菜に劣等感を抱き冷たく当たってきたこと。でもそれはもう昔の話。
まだ少し素直になれないところはあるけど昔のように仲のいい姉妹に戻れているのは間違いない。
「あ、でも凶悪事件を追っててこのタイミングって”この勝負が終わったら結婚しようぜ・・・”みたいな死亡フラグ?なんちゃって!」
「日菜、何を言っているの?」
そう、自信をもって私は日菜に言い放った。
「私たちに・・・奏也がついている私たちに死亡フラグなんて概念は存在しないわ」
「ふふっ!そうだよね!!」
しかし今日で何日目になるだろう。本当に手掛かりが見つからない。
「うーん・・・資料探しも飽きてきたなあ。そうだ!」
「飽きたってあなた・・・それにどうしたの?急に大声を出して」
「ふっふっふ・・・るるるんっ♪ってすることを思いついた!!」
日菜は不敵に笑うと。そう言い放ったのである。
※
「なんだよ日菜?急に家に来て」
俺は夕方突然やってきた氷川姉妹に困惑していた。
「今日ね、奏也の家に泊まるから!」
「と、いうわけです。悪いわね、奏也」
「年頃の娘さんが二人で一人暮らしの男の家に来るもんじゃねえよ」
「大丈夫!二人じゃないから!」
「は?」
ピィンポーン!(迫真)
他にも誰か来たようだ。
一体誰だ?
「はーい」
「えっと・・・日菜ちゃんにここに来るようにいわれたんですけど・・・」
「え??彩???」
「えっ!?奏也くん・・・・?」
「私もいるわよ」
「・・・と、千聖さん」
なんとそこにいたのは彩と千聖さんだった。
「おい日菜、これはどういうことだ・・・?」
「まま、いーからいーから!彩ちゃーん!千聖ちゃーん!入ってーどうぞー!」
「あ、おい待てい、ここ俺の家だゾ」
そんなことは全く聞かず、彩と千聖さんは中に入ってきた。
「え?あの??日菜ちゃん???え????」
「あははー!彩ちゃんめちゃくちゃ緊張してる!」
「そりゃそうだよ!うぅ・・・こんなんならもっとマシなメイクと服装してくればよかったあ・・・」
「それで日菜ちゃん?これはどういうことかしら?」
「そうだぞ日菜、説明してもらおうか」
3人で日菜に詰め寄る。しかしその後、日菜は罪悪感ゼロの顔で言ったのだ。
「えーっとね、最近同じことばっかやってて飽きちゃったからさ、なんか楽しいことしたくて呼んだの!」
「・・・・それだけ?」
それを聞いて千聖さんはため息をついた。
しかし日菜のムチャぶりは慣れたといった様子で話を進める。
「でも知り合いの家借りられるからお泊りの用意持って来いって!まさかそれが奏也くんだったなんて・・・///」
「そうだぞ、日菜。いくらお前らがいるとはいえ女の子が男の一人暮らしに泊まり込みなんてけしからんぞ。なにかあったらどうするんだ?」
今一度注意する。そうだ、もっと考えるがいいぞ日菜よ。
「え?奏也みたいなニブチン野郎が何かできるっていうの???」
「そうね、奏也みたいな鈍感無神経野郎が女の子に何かできるとは思えないわ」
「ええそうね・・・奏也くんって相当アレだし」
「それは同意かな・・・だって奏也くんだし」
「あれぇ!?なんで俺が叩かれてるの!?俺何かしちゃったんですかね・・・?」
「「「「「何かしないから問題なのよ(なんだよ)」」」」」
なんだこれは・・・これがオンナの結束力という奴なのか・・・・
イミワカンナイ。。。つよぃ。かてなぃ。。。。。もうマヂムリ。。。。
「脳内でアホなこと考えてる奏也はまあどうでもいいからさ!せっかくだからこのお泊り会、楽しくしようよ!!」
「扱いがひどすぎる・・・・」
「・・・まあいいわ。どっちにせよ両親には友達の家に泊まるといってきてしまったし」
「そうだね・・・私もそうだし」
「うむ、どうやら俺のことは信頼してくれているようだな。まあ来てしまったものは仕方ない、歓迎するぞ。ま、実際なんにもしないから安心してくれ」
「「「「「信頼の理由をもっと考えろ鈍感」」」」」
「ヒェッ・・・・」
※
「さて、彩ちゃん!ここから紙を一枚引いて!」
そして日菜は箱を取り出しそこから1枚の紙を選ぶよう、彩に促した。
「これを・・・?えーっと・・・」ガサゴゾ
そして彩は紙を引き当て、それを開示する。
「んー・・・”愛してるげーむ”?」
彩が取り出した紙にはそんな文言が書かれていた。
愛してるゲーム。指定された二人をAとBとすると、AとBが見つめあいAがBに向かって愛してると愛を囁く。それに対しBが照れたりしたらBの負け。逆にBが負けなかったら「もう一回言って」「私も愛してる」などと言い返すことが可能で、逆にそれに対しAが照れたりしたら負け。
勝敗が付くまでこれを繰り返すというものだ。
ちなみにローカルルールがあるようで、お互い交互に愛を囁き続けるパターンなど色々あるようだ。今俺が説明したものも人によってはローカルルールに扱われるらしい
「あ、愛してるゲーム・・・?」
「日菜ちゃん・・・これは・・・」
「あれー?なんで二人とも引いてるの?二人はアイドルでしょ?役者でしょ?これくらいこれからいくらでもいう機会あるのにこんな素人のお遊びに抵抗を持つの??」
「やるわ」
「がんばるっ!」
日菜のわかりやすい挑発に二人は乗ってしまった。
あれーこれって俺もやるんだよね・・・・?そして紗夜はすでに諦めているようだ。
「じゃあみんなこっちの箱から1枚ずつ引いて!AとBって紙を引いた人がアタリね!」
「うう・・・緊張するなあ・・・」
「どんな結果になってもやり遂げるのよ、彩ちゃん」
「なんで私まで・・・・」
「紗夜、あきらめろ・・・ああなった日菜はもう止められん」
「じゃあみんな紙を開いて!せーのっ!」バッ
一斉に紙を開く。
「俺はハズレだな」
「私もね」
「よかったぁ~なにも書いてなよ~!」
「ん?ってこたあ・・・・」
「あー!あたしとおねーちゃんだ!あはは、仕掛け人がファーストプレイヤーなんて運命のいたずらってすごいね」
「相手は日菜・・・ですか。まあ日菜なら・・・」
「じゃああたしがBだからおねーちゃんがAね。よーし、絶対負けないよー!」
そして二人は向き合う。
「よーしおねーちゃん!どっからでもかかってきてよ!」
ものすっごいニコニコと挑発する日菜であるが、紗夜はすでに顔を赤くしていてモジモジしている。うーん、やる前から勝負がついてしまってないか?
「じゃあ・・・やる・・・わね。・・・日菜」
「うんうん、なーに?おねーちゃん!?」
そして紗夜は日菜の両肩を掴みしっかり目を見た。
「えっ・・・?おねーちゃん結構本格的だ・・・「日菜」
そして紗夜は日菜の言葉を遮った。
「疎遠になってしまった時期もあったけど・・・日菜とわかりあえて、今もこうやって仲良く話して、遊んで、とても幸せよ。日菜・・・あなたを愛しているわ。今も、そしてこれからも」
「・・・・・・・」ボー
日菜が表情を固定したままフリーズしてしまった。
そしてそのさまを見ていた彩と千聖も驚いているような照れているような・・・顔を赤くしている。
「・・・・おねーちゃん・・・おねーちゃん!おねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃん!!!!!あたしも!あたしも好き、好きだよ!愛してるよおねーちゃん!ねえねえ、もっかい!もっかい言って!」
「い、いやよ・・・・///」
「えー?もっかいだけ、ね?録音するから!!!」
「なおさらイヤよ!!!」
あー・・・・・・
さよひな・・・・・尊いナァ・・・・・・
ゴスッ!
「いてえ!?」
「奏也くん、ぼーっとしてないで勝敗を告げてあげなさい」
「千聖さん!?いま俺の事殴らなかった!?」
「なんのことかしら?」
うお・・・でた、千聖さんのよそ行きスマイル。こうなった千聖さんは勝てない、追及してもムダだ。
「わかりましたよ・・・・あー、紗夜、日菜。悪いがそこまでだ」
「えー?」
「まあ続けたい気持ちもわかるがな。こわーい鬼さんがいるからな」
「奏也くーん?それは誰の事かしらー?」
「ナンデモナイヨ!」
この勝負・・・先に照れたのは紗夜か
「勝敗は予想通りだったが・・・紗夜の言動は意外だったな」
「勝つためですから」
「え・・・?おねーちゃん、さっきの演技だったの?」
日菜が割とマジでショックな顔してる。
「そ、そんなことないわ!ほんとよ・・・」
「おねーちゃーん!大好きー!!!!!!」
以下、無限ループ禁止な。
※
そんな感じで第2ラウンドへ突入したわけだが・・・
「俺か・・・・」
「私がBね」
あろうことか俺と千聖さんが当選してしまった。
「まあ、さっさと済ませてしまいましょうか」
「千聖さん・・・俺に慣れてくれたのはいいんだけど扱い悪くないですかね?」
「千聖ちゃーん!頑張ってー!」
彩が応援する。そのあと日菜がなにやら彩に耳打ちして彩が赤くなっているのが見えた。
「まったく・・・どうせ当たるなら彩ちゃんの方が・・・」
「なんだ?千聖さんは彩とやりたかったのか?」
「ハァー(クソでがため息)ほんと奏也くんは奏也くんね・・・・」
「よくわかんないけどこわいよ千聖さん」
そして俺たちは向き合う。
「じゃあ奏也VS千聖ちゃん・・・スタート!」
「千聖さん・・・愛しています」
「ありがとう。私も愛しているわ」
さすが手ごわい。千聖さんは完全に女優モードに入っている。
「うう・・・千聖ちゃんいいなぁ・・・」
何か聞こえた気がするが気のせいだろう。
さて2回戦だ。
今度は完全に切り替えていく。
「千聖さん・・・・・」
ジッと千聖さんを見つめる。
まだ言わない、ジッと・・・ジッと千聖さんを見つめる。
「ううー!いいなぁ!」
何か聞こえた気がするはこっちに集中だ。
見つめ続けたのが効いたのか千聖さんの雰囲気が変わった気する。
よし、やるならここだ!
「千聖・・・愛しているよ」
「ありがとう、私も愛しているわ」
その結果・・・ダメみたいですね。
「ダメだ、千聖さんに勝てる気がしねーわ。俺の負けでいいよ」
「ふふっ・・・楽しかったわ」
最後まで勝てない。さすがは女優だ。
「あれ?千聖ちゃんさっき少し顔を赤くして・・・」
「赤くなんかしてないわ」
その彩の言葉を千聖さんは早口で取り消した。
「え?でもさっきやっぱり・・・」
「赤くなんかなってないわ嫌だわ彩ちゃん何言っているのかしら夢でも見たのかしら」
「ち、千聖ちゃん・・・やっぱり」ガシッ
そこで俺はとんでもないもんを見ちまった。
「彩ちゃん・・・・?まだ目覚めてないのかしら?」
「ぐぇぇぇぇぇ・・・わかったわかったわかったよもうミテナイワタシナニモミテナイ!」
それは・・・
美少女が美少女にアイアンクローを炸裂させ黙らせるところだった。
「芸能界って色々あるんだね・・・・」
※
「時間もいい感じだし、やるなら次でラストかね」
「じゃあ最後のくじ引き行ってみよう!」
そして一斉に紙を開く。
「あ、私がA・・・・」
「ふむ・・・Bは俺か」
「えっ!?奏也くん!?」
「相手は彩か。千聖さんには負けちまったし勝ちてえな」
彩とはいえ相手は現役アイドル。千聖さんほどじゃないにせよ手ごわいに違いない。
「ねえ日菜ちゃん。彩ちゃんどう思う?」
「うん千聖ちゃん。彩ちゃん・・・アレだよね」
「ええ、アレ・・・ですね」
何やら3人は話しているがまあいい。
「よっしゃ、どっからでもかかって来な」
「えっ・・・うー・・・・その・・・奏也くん!好きです!愛しています!!」
「ああ、俺も愛しているよ」
そして俺は満面の作り笑顔で彩を迎え撃つ。
さあ彩よ、どう出る!?
「あああああああああああああああ!もぅ無理ぃ~~~~~~~~~うううううううううう!!!!」
そしてその反応とは・・・
まさに瞬殺とも呼べる速度で照れて暴れまわる彩の姿であった。
「「「やっぱりな」」」
他の3人はわかっていたかのように声をそろえてそう言い放ったのを、俺は聞き逃さなかったのである。
あんまり暴力ばっかだとあれなので箸休めです。
ポピパ編なのにポピパメンバーが名前しか出てこない・・・出てこなくない?
まあそういう日もある。
次回は今井リサさんと湊友希那さんを神剣家にお招きいたします。
そしてすごいスピードでお気に入りが増えて嬉しいです!
お気に入りしてくださった皆様ありがとうございます!
引き続きよろしくお願いいたします。
★評価のお礼★
鮫田鎮元斎さん ★8ありがとうございます!
江戸川シューズさん ★10ありがとうございます!