勧善懲悪BanG Dream!   作:光の甘酒

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平穏回です






第11話 束の間の平穏

荒神が放った刺客を葬ってから(とはいえ殺していないが)数週間が経った。

無事生還を果たした俺を見た幼馴染たちは泣きわめき、彩・リサ・香澄ちゃんもものすごいことになっていた。

それだけ俺はあいつらの中で大きな存在になれているというのは不謹慎ながら純粋に嬉しかったし、あいつらのあんな姿は二度とみられないだろう。もっとも、もう見るようではいけないのであるが。

 

 

「・・・というわけだ」

 

 

そして俺は今幼馴染たちに今回に至った経緯を説明した。

俺はあの襲撃を受けた後開きかけた傷に応急処置を施し、発信機を破壊したうえで即座に、そして秘密裏に違う病院へと運ばれた。

その後絶対安静を貫き、だいぶ傷の方もよくなってきた次第だ。

どうやらあいつらの中では俺がある程度落ち着くまでは今回の件について話をしないという取り決めがあったらしく、それが解かれたのが今というわけだ。

 

 

「バカッ!!!!!!!!」

「あ、はい」

 

 

説明を終えると開口一番にこころがそう言った。

 

 

「まーまーこころちゃん、落ち着きなよ。私が奏也だったら同じことをしてた。こころちゃんだってそうでしょ?」

「それは・・・・」

 

 

こころは俺に対して、というよりも自分の家が関わったことの方が気に食わないらしく、この中では一番怒っていた。

美咲はこころをなだめており、紗夜は日菜と同じ意見のようだ。そしておたえはともに襲撃者と戦っただけあってこの中で一番落ち着いている。

 

 

「そうだけども!お父様もお父様よ!なんで奏也だったの!?」

「こころ、落ち着け。弦巻さんは悪くない。それに弦巻さんのバックアップがなかったら奴を手負いにすることはできなかったし、俺は間違いなく死んでいた。感謝こそすれど怒る道理はないぜ」

「でもっ・・・・!」

 

 

こころの気持ちはわからなくはない。

自分の親が関わって俺が死にかけた。その事実のみが重くのかかり、こころなりに責任を感じているのだろう。

 

 

「落ち着けって。こころらしくないぜ?お前はみんなを笑顔にするのがスタンダードスタイルじゃなかったのかよ?俺も笑顔にしてくれ。腹が痛くて表情が曲がりそうなんだ」

「奏也・・・・・いいの?わたし・・・許してもらっていいの?」

「許すも何もこころ、なんも悪くねえじゃん。俺が俺の意思で弦巻さんに協力し、俺の意思で琢磨と戦い、傷を負った。全部俺の責任じゃねえか。どこにこころが悪い要素があるっていうんだ?」

「奏也・・・・そうよね!うん!ありがと!奏也・・・ありがと・・・・」

 

 

こころは次第に声を小さくし、そしてそのまま涙に目をためてその場にへたり込んでしまった。

 

 

「お、おいこころ・・・・まるで俺が泣かせたみたいじゃねえか」

「泣いてないわよ!!!」

 

 

いや、泣いてるし。・・・待てよ?

 

 

「スマイル狂のこころが泣く姿なんて見るのは生まれてはじめてかもしれん・・・・」

「だから泣いてないわよ!!!!!」

 

 

とまあそんなやり取りをみて次第にみんなに笑顔が戻ってきた。

さすがこころは偉大だな。

そんなことを考えながら面会時間が終了を迎えたのであった。

 

 

 

 

「奏也~!」

「お、リサか」

「私もいますよ」

「おう、紗夜。いつもすまんな」

 

 

どうやらリサと紗夜が見舞いに来てくれたようだった。

 

 

「調子はどう?」

「だいぶいいな。飯も普通に食えるくらいにはなった」

「そっか!じゃあこれもいいかな??」

 

 

そういってリサが取り出したのは小さな袋だ。

 

 

「それは?」

「クッキー!食べられるかなーって思って持ってきたんだ」

「今井さんのクッキーには心を落ち着かせる効果がありますのでおススメですよ」

「なるほど。ちょうど甘いものが欲しいと思っていたところだ。いただこうかな」

「ほんと!?ちょっと待ってね~」

 

 

そう言ってリサは袋からクッキーを取り出し、俺に差し出してきた。

 

 

「ありがと・・・ってあれ?」

 

 

俺がクッキーを受け取ろうとしたらリサはなぜかクッキーを引っ込めてしまった。

心なしか顔が赤くなっている気がする。

 

 

「そ、奏也・・・ひ、ひとりじゃ食べられないだろうし・・・食べさせてあげるよ///」

「えっ、別に普通に食えるんだが・・・・」

「いいの!ほら!あーん」

「奏也、空気を読みなさい」

「それってどういう・・・・リサちょっと待っ・・・むごぉぉぉ・・・う、うもう!」

「どう!?おいしい!?」

「うごごごご・・・・・・うまいなコレ」

「ホント!?」

 

 

無理矢理クチに突っ込まれたクッキーであったが、しっかり咀嚼し味わうと大変美味いものであった。

 

 

「うむ。リサは料理もできるし本当にすごいな。嫁にもらう人がうらやましいぜ」

「よ、嫁!?」

「ハァ・・・また奏也ったら・・・・」

 

何やら動揺しだすリサとなにやらあきれる紗夜。

え、なんか変なこと言ったかな。一般的な意見を述べただけだと思うのだが・・・

 

 

「どれ、もう一つ・・・・」

 

今度は先手必勝で俺から手を出した。しかし、袋から取り出したクッキーは少し形が悪いようにも思える。

まあすべてがすべて綺麗に焼けるとも限らないし、運んでくる途中に割れたのかもしれない。

 

 

「ん・・・?なんかさっきのと味が違うな」

「・・・おいしくないですか?」

 

 

すると紗夜が唐突に問いかけてくる。

その表情は心なしか緊張しているようにも見える。

 

 

「いんや。フツーにうまいぞ。こっちはこっちで好きな味だ」

「だってさ~!よかったね、紗夜」

「い、今井さん・・・」

「もしかしてコレ、紗夜が作ったのか?」

「ええ、そうだけど・・・今井さんよりは上手にできなくて」

「でもま、美味いしさすがは紗夜って感じだ。教える人も、作る人も上手いっていう好例だな。それに紗夜の手作りクッキーなんて死ぬまでにあと何回食えるかわからんからな、しっかり味わわせてもらうさ」

「そんな大げさな。それに言えばいつでも作ってあげますよ」

 

紗夜は少し顔を赤くする。そしてその表情は嬉しそうだ。

そして2つ目、3つ目を口に運ぶ。うむ、美味い。

 

 

「むぅ~紗夜のばっかり・・・そ、奏也!アタシの方もさ、もっと食べてよ!」

「リサのクッキーはさっきリサが俺の口に全部詰め込んだんだぞ・・・?」

「あっ」

 

 

ドジっ子リサちゃんかわいい。そんな感じでこの平和な病室の一風景。

その穏やかさを感じ、今日も一日過ぎていくのであった。

 

 

 

 

「奏也、きたよ」

「おう、おたえか」

「奏也せんぱい!こんにちは!」

 

 

翌日、おたえと香澄が見舞いに来てくれた。

 

 

「なんだその手に持つでっかいバスケットは・・・・」

「これ?お見舞いの品のね、パン」

「なんで3人しかいねえ病室に8人分はあろうというパンを持ってくるんだよ!?」

「奏也男の子だからいっぱい食べると思って」

「腹刺されてちょっと前まで安静だった奴が8人分のパンを食えるか!!」

「大丈夫、私と香澄もいるから実質6人」

「それでも多いわ!」

 

 

なんで文句言われてるのかわからないといった顔で首をかしげるおたえ。

普段ならこれくらい食えるがさすがに今はなあ・・・この天然ちゃんめ

 

 

「あー・・・やっぱ多かったよね。だから言ったじゃん、おたえ」

「香澄(ちゃん)が正論を言っている!?」

「わーっ!二人してひどい!!」

 

かなりたくさんの種類がある。どうやら沙綾ちゃんの家のパンらしく、病院の都合でおたえと香澄しか見舞いに来れないと言ったら持たせてくれたらしい。

沙綾ちゃんもりみちゃんも有咲ちゃんも明らかに多すぎだろ!と突っ込んだらしいがおたえが強行して持ってきたらしい。

やりますねえ!

 

 

「ほら、香澄」

「えっ!?でも・・・」

「いいから、こういう時にアピールしないと」

「どうしたんだ?」

 

 

おたえが香澄ちゃんに合図をすると香澄ちゃんは突然モジモジし始める。

ん・・・・?なんか昨日も見たぞこの光景。

 

 

「そ、奏也せんぱい!どのパンを食べますか!?」

「えっ?ソウダナー・・・じゃあそのメロンパンで」

「わかりました!」

 

 

すると香澄ちゃんはバスケットからメロンパンを取り出してくれた。

 

 

「はい!奏也せんぱいはケガで食べにくいでしょうから私が!!!!!!」

「・・・なんかヤケクソになってない?」

「いいですから!ほら!あーんしてください!」

「手はケガしてないし普通に食べられる・・・・えっ」ガシッ

 

 

言い切ろうと思ったらおたえが俺の後ろに回り顔をホールドしてきた。

 

 

「あの、、、おたえさん?」

「なに?」

「なにをやってらっしゃるのでしょうか?」

「奏也が食べやすいように顔を固定しているの」

「あの別にそういうのは・・・・」

「香澄、今だよ」

「うん!はい、あーん!」

「せめてちぎってくれ・・・・むぐぐぐぐぐ・・・う、うもう!」

 

 

あれー?なんかこの光景見たことあるぞー????

 

 

「なんかそれ・・・楽しそう。私もやりたい・・・」

「えっ」

 

 

そういうとおたえは俺のホールドを解いたが、バスケットからパンを取り出し俺にジリジリ近づいてきた。

 

 

「はい・・・奏也・・・あーん」

「あの、拒否権というものは・・・・?」

「あると思う?」

「(拒否権は)ないです」

「よくできました(ニコッ」

「ぐももももももももももも」

 

 

その後、俺は交互にパンを詰め込まれまくって結局役6人分を食べきってしまった。

まあ美味かったからいいけどな。それにしても今病人にあーんを称して食い物を詰め込むのが流行っているのだろうか?

なんだかんだ平和だ。そして今日も一日、穏やかに過ぎていったのだ。

 

 

 

 

「こんにちは~」

「奏也ー!来たよ!」

 

 

さらに翌日、見舞いに訪れたのは彩と日菜だ。

 

 

「はーい、これお見舞いのシュークリーム!今限定出店してる有名店のやつなんだよ~」

「これはうまそうだな」

「うんうん!・・・あれ?彩ちゃん、お茶が入ってないよ?」

「あれ!?あー・・・持ってくるの忘れちゃったかも・・・・」

「もう~彩ちゃんったらドジだなあ~」

「ご、ごめんね!」

「まあいいだろ。このままでも十分うまそうだ」

「これはお茶と一緒に食べるのがいいんだよ!そうだ、下の自販機で買ってくるよ!」

「それなら私が・・・・」

「いいのいいの!彩ちゃんは奏也と待っててよ!行ってくるねー!」

 

 

慌ただしく日菜は病室を出ていく。そして残された俺と彩はしばし談笑へと勤しんだのであった。

 

 

「でねー!それで麻弥ちゃんが椅子の下にある隙間に挟まってたんだー!」

「麻弥さんそんな趣味があったのか・・・・」

 

 

彩の話は聞いてて楽しい。思わず気が抜けて顔の筋肉も緩んでしまう。

 

 

「あれ?奏也くんどうしたの?」

「ん?ああ、彩の話は楽しいなと思ってな」

「えー?ほんとー?」

「ああ、なんというか実家のような安心感があるな」

「実家!?あの、奏也くんそれってどういう・・・・」

「彩、急に立ち上がったら・・・・」

 

 

ゴキーン!

 

 

「ぬ゛ごお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛・・・・・・」

 

 

その刹那、彩は近くにあった点滴スタンドにぶつかってしまい、そのまま倒れてきたスタンドが彩の頭にクリティカルヒットしたのであった。

 

 

「アイドルがなんちゅー声出すんじゃ・・・・」

「い゛だい゛・・・・」

 

 

なんというか彩だなあ・・・・・

 

 

「大丈夫か、彩」

 

 

そして俺は彩がぶつけた頭をなでる。

 

 

「うん・・・・ってあれ・・・?」

 

 

大丈夫そうだが彩は何かに気づき、ふと動きが止まる。

 

 

「そ、奏也くん・・・・いま、何をやって・・・・///」

「ん?ああ、痛そうだからちょっとな。痛いの痛いの飛んでけってか?」

「あ、あ、あ・・・・・///」

 

 

すると彩の顔がみるみるうちに赤くなり・・・・わたわたしだした

 

 

「おい、彩落ち着けって!」

「きゃーっ////」

 

 

そして次の瞬間。彩は近くにあったコードに足を引っかけて躓き、俺へ向けてダイブしてきたのだ。

 

 

ドサッ

 

 

「ご、ごめんね・・・・////」

「お、おう」

 

 

ガラガラガラ(迫真

 

 

「ごめんねー!自販機が故障しててちょっと遠くの自販機までいってたよ・・・・・って」

 

 

その刹那、お茶を抱えた日菜が戻ってきてたのだ。

 

 

「違うぞ、日菜。これはな、いわゆる事故という奴だ。うむ、そうだ事故だぞ」

「日菜ちゃん!?!?!?!?違うの!!!!!」

「・・・・・ごゆっくりー」

 

 

ガラガラガラ・・・・

ニヤニヤした顔で冷静にドアを閉める日菜。

 

 

「日菜ー!」

「日菜ちゃあん!まってぇー!」

「っておい彩!急に立ち上がったらさっきの二の舞いに・・・・」

「きゃあっ」

 

 

ゴキーン!

 

 

「ぬ゛ごお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛・・・・・・」

 

 

再び点滴スタンドで頭を打った彩はアイドルにあるまじき声を上げながらふらつき、そして立ち上がり・・・・

 

 

「きゃあ!」

 

 

そして再びコードに躓き、俺へと飛び込んできたのであった。

 

 

「んごおおおおおおお・・・・」

 

 

しかし、彩はあろうことか俺の傷口の部分に降ってきて・・・

 

 

「ぬ゛ごお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛・・・・・・」

「んごおおおおおおお・・・・」

 

 

俺は腹の痛みで、彩は頭の痛みで二人してベッドの上でうめき声をあげながらうずくまるという、なんとも不思議な光景が繰り広げられたのであった。

 

 

ちなみに俺は傷口が開くということもなく、彩も特にケガをしたわけではないからまあよかった。

その後、彩から死ぬほど謝られた。

 

 

 

 

「さて、これからのことを話そうか」

 

 

それから数日、俺や幼馴染たち、そして蘭と弦巻さんは俺の病室に勢ぞろいして、今後荒神たちをどう攻めるかの話し合いが行われた。

 

それは荒神との決着が着実に近づいていることを感じさせるのであった。

 

 

 

 




うーん、1週間かかってしまいましたね。。
話のアイデアが降ってこないのと仕事が死ぬほど忙しいのが原因ではあります。
ちょっと遅めになるかもしれないのでよろしくお願いいたします!

次回、再びうごきだします!
引き続きよろしくお願いいたします!
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