勧善懲悪BanG Dream!   作:光の甘酒

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第12話 栄光なる勝利

「荒神琢磨を通り魔として告発する証拠まではあるが・・・・」

 

 

時は今後の対策会議。

荒神琢磨を通り魔事件の犯人として告発する。これが当初の目的であったが今は事情は違う。奴の犯行は身勝手な理由の他に実の父親である荒神勇馬による殺害依頼も含まれている。

つまり糾弾すべきは琢磨だけでなく勇馬の方もなのだ。このまま琢磨だけを世間で吊るし上げても勇馬は依願退職をして国民の血税から捻出されるものすごい額の退職金を貰い、形だけ責任をとることで終わってしまうだろう。もしくは警視監の地位を利用し、事件自体を握りつぶすかもしれない。

 

 

「奴も殺人教唆でしょっ引かなければ意味がないですね。それをやるには現場の警官でも動かざるを得ないような強い証拠をつかむしかないわけですが・・・」

 

 

「うむ、奏也君の言う通りだ。それをどう掴むかだが・・・」

「それはそうと琢磨さんの方はいまどうしているのです?」

 

 

紗夜が疑問の声を上げ、それに対して蘭が返答をする。

 

 

「琢磨の方は私の方でも調べていますけど・・・・奏也が雲隠れしているのと一緒で向こうも隠れて治療を受けているようですね。一応警察にも協力者がいますので調べてもらっているところです」

「なるほどねー、確かに琢磨をひっ捕らえて吐かせて言質とるのが一番早いもんねー」

「さすが日菜は察しがいいな」

「でもさ・・・・そう悠長なことを言ってられないんじゃないかな」

「美咲?どういうことかしら?」

 

 

次なる発言は美咲とこころ。そう、美咲の言う通りなのだ。

 

 

「あのね、向こうも奏也の正体を知ってて今頃血眼になって探しているわけだよね?そうすると人員が多い向こうの方が有利。見つかったら今度こそ奏也が消されるだけじゃなく、私たちの存在まで露見する恐れがある。そしたら私たちも日の当たる場所を歩けなくなるってことだよ」

「さすが花園さんは察しがいいね。うん、そういうこと」

「となると琢磨を見つけてから動くなんて悠長なことは言ってられないわけか・・・・」

 

 

うーん、頭が痛くなる。

 

 

「弦巻さん。今んとこ俺の正体しかばれてないですよね?」

「ああ」

「じゃあ俺が行くしかないっすねー」

「奏也!?バカなこといわないで!お父様、もう一回いけだなんて言わないわよね!?」

「・・・・・・」

「お父様!?」

「こころ、それにみんな聞いてくれ」

 

 

興奮するこころをなだめ、みんなに向き直る。

 

 

「俺はここまでやられてよ・・・コソコソ逃げ回って空気を読むほどできた人間じゃねえ。それによ、そうしている間に琢磨は復活してまた犯行を重ねるかもしれない。それじゃダメだろ」

 

 

今、奴は俺しか眼中にない。失敗しても犠牲になるのは俺だけだし、上手くいけば巨悪が一つ消える。

どっちに転んでも弦巻陣営に大きなデメリットはないのだ。

・・・なんてこと言えばみんな絶対に反対してくるだろうから言わねえけどな。

 

 

「向こうが俺を探してるってんなら・・・俺から見つけてもらうまでだ」

 

 

俺は思いついた作戦を話し出した。

 

 

「なるほど・・・しかし奏也、それは一人でやるにはあまりに無謀なのでは?」

「そこは何とかするしかねえよ」

「いいえ!奏也!今度こそ一人で抱えるのはなしよ!」

 

 

こころが割り込み、強くそう言う。

しばらく説得を試みるが全く聞く様子がない。

考えてみればこころも、他の奴らも師匠を。さらに美咲は祖父を殺されているのだ。

確かに逆の立場で考えると、黙ってみていろと言われたらそうはいかないと思うだろう。

 

 

「・・・・必ず顔は隠すこと。それとヤバいと思ったらすぐに離脱すること。それだけは絶対に守ってくれ」

 

 

そして俺は高らかに宣言する。

 

 

「さぁ、最後の戦いだ。お前らもこのまま黙っているのはすっきりしねえだろ?そんなら全員で思いっきり弾けようじゃねえか」

 

 

 

 

「こんばんはー!荒神警視監殿!あなたが殺し損ねた神剣奏也です!!!!」

「なんだキサマ!?!?!?」

 

 

さて、ものすごくおかしなテンションで俺は今、懐かしき馬のマスクを被り荒神勇馬の前にいる。

あの決起からさらに1週間ほど。

全治数か月はかかるとされていたがm1か月足らずで完治とまではいかないが驚異的な回復力を見せたらしい俺はすぐさま戦線に復帰し、そして荒神勇馬に直接対決を仕掛けていた。

そう、ここは荒神の自宅。俺は今、荒神勇馬の部屋に入ったわけだ。

 

 

「まあ不法侵入っちゃ不法侵入だけどよ・・・てめえがやったことと比べれば軽いわな」

 

 

警視監の家となるとものすごい豪邸だったり、何人もの警備員が寝ずの番で見張りをしているイメージがあるが、実は特別豪邸であるわけでもなく、警備員がそこら中に配備されているわけではない。

監視カメラこそは設置されているが実はそれ、すでに蘭による遠隔操作で全く機能していなかったりする。(いわゆる延々と同じ景色が映っている状態になるというやつだ。もちろん遠隔操作の痕跡を蘭が残すわけがない)

さらに警備はセ●ムだから通報したとしても警備員が来るまで時間がかかる。

さらにさらに荒神勇馬の奥さんは旅行に行っており、今この家には荒神勇馬1人だけというのは確認済みなのだ。

つまり今夜の荒神邸は丸裸。攻めるには絶好の機会であった。

 

 

「てめえが血眼になって俺を探しているだろうからよ、こっちから出向いてやったぜ」

「キサマ・・・」

「琢磨はどこにいる?」

「そんなもの・・・私が言うとでも思ったか?」

「だろうねえ。さて、今日は話し合いに来たぜ」

「話し合いだと・・・・?ふぅ・・・私を直接攻めてくるとは予想外だ。キサマを探すために割いた人員と時間と金を返してほしいくらいだね。それにふざけや格好をしおってからに・・・」

「これ以上使う必要がなくなったと感謝してほしいくらいだがな」

「ふんっ・・・・」カチッ

 

 

鼻で笑うように勇馬は近くにあったスイッチを押した。

しかしだからといって何か起こる様子もなく、勇馬は違和感を顔に浮かべている。

 

 

「おやおや?警備のスイッチが機能してねえみたいだな」

「・・・・何をした」

「さあ?偶然壊れたんじゃねえのか?」

 

 

ま、幼馴染たちがこの敷地内にいて、”偶然”警備システムを妨害する電波を発する機械を持っていただけだ。勇馬に絶対に顔を見せないのを条件に、久々に登場する馬のマスクを被り、外で工作をお願いしてあるってことだ。

 

 

「さて、いい加減話し合いを始めようじゃねえか。さて、俺はこの通りピンピンしてるぜ?」

「しぶとい奴だ。キサマも両親もめんどくさい奴らだったが・・・まさか親子に渡って私に盾突くとは・・・なんの因果だ」

「・・・・なんで父さんと母さんを殺した?」

「あとで殺した兄と一緒だよ。彼らは兄とともに琢磨のことを調べていた。おそらく今キサマが持っている情報もキサマの両親が集め、兄に渡したものだろうな」

「・・・・・!」

「それに・・・今さらそれがどうしたというのだ?キサマの両親は不幸にも連続通り魔に襲われただけ。そして兄もこれまた不幸にも強盗に襲われただけ。私が手引きをした証拠なんてどこにある?」

「やっぱそうくるかよ。コレ、なにかわかるか?」

「・・・・やはり録音していたか」

 

 

俺は電源の入ったボイスレコーダーを懐から取り出す。

 

 

「察しがいい割には冷静じゃねえか。何か秘策でもあんのか?」

「秘策・・・?そんなもの、ない。キサマを黙らせればいいだけの話じゃないか」

「あんたエリートのくせに血の気多いじゃねえか。この親にしてあの子ありってところか」

「あんな出来の悪い失敗作と一緒にしないでもらいたいな。さあ、それを渡せ」

「させるかッ!」

「所詮ガキだな。琢磨はこんなやつに負けたのか?」

 

 

この野郎、つえーじゃねえか・・・!

ま、琢磨ほどじゃない。多分若いころは相当強かったんだろうが、やはり寄る年波には勝てないといった具合だ。

 

 

「伊達に何十年も警官をやってねえな・・・!」

「当たり前だ。お前のような社会の底辺に跋扈する蛆虫とは住んでる世界が違う」

「いってくれるじゃねえか」

「想像してみろ?なんでもできる優秀な兄を持ち、子供の頃から比べられた。そんな中で私は一心不乱に勉強しついにはT京大学の法学部に首席で合格。周りのバカどもがくだらんサークルだの宅飲みだのして女と猿のようにセックスしている間にも私は剣道と柔道で体を鍛えとにかく勉強し・・・そして盾突くものはすべて排除し、息子まで利用し、ついに今の座を手に入れた。この努力ッ!キサマのようなガキにはわからんだろう!」

「そうかよ。大層ご立派な経歴をお持ちのようだが今やっていることはただの人殺し。つまり犯罪者だ。過程がどうであれその事実は揺るがねえし堕ちたら終わりだ」

「クチの減らないガキだな・・・!」

「それだけが取り柄なもんでね」

 

 

それに・・俺は知っている。優秀な妹を持ち劣等感に苛まれつつもしっかりと向き合い、今を手に入れた奴がいるってこともな。

 

 

「だから・・・そんなもんは努力だなんていわねえよ」

「ふんっ!」

「しまっ・・・!」

 

 

バキッ!

 

 

少しの油断。それがこの結果を生んでしまった。

ボイスレコーダーは奴に弾き飛ばされ、そしてそのまま踏まれて大破したのだ。

 

 

「ふふ、ふはははは!これで証拠は消え去った!しかし貴様らが握っている証拠はゆるぎないしどうせ仲間がいるのだろう?琢磨はもうダメか・・・まあ奴はもうこの日本にいないし私が形だけ責任をとって終わることにするか・・・ガキのくせに大した奴だ。私と痛み分けをするとは。正直ハラワタが煮えくり返る思いだがここは冷静に、最善の一手をとることにしよう」

「・・・ちょっと待て、今何と言った?琢磨がもういない・・・?」

「こんなこともあろうかとすでに海外に逃がしてある。ケガの治療も必要だしなあ・・・」

 

 

なんてこった・・・もう1つの標的である琢磨は・・・もういないだと・・・?

 

 

「ふんっ。そんなものもう関係ないどうせお前はここで死ぬんだからな。琢磨ではなく私が直々に粛清してやろう」

「・・・・・・フフ、フフフフフフフ」

「な、なにがおかしい!?」

「なあ警視監殿。窓の外、見てみろよ」

「なに・・・?」

 

 

そう・・・そこには・・・スマートホンが1台、録画モードで顔を出していた。

 

 

「キサマアアアアアアア!ボイスレコーダーは囮だったのかあああああ!」

「今頃気が付いてもおせえよ。んじゃ、俺はあれをマスコミと警察に売り込み行くからよ、じゃあな!」

 

そう、ここまではすべて作戦通り。奴に苦戦するフリをするのも、ボイスレコーダーを破壊されるのも。

俺はそのままの勢いで俺は窓に向かって飛び出し、そのままぶち破って逃走を開始した。

 

 

「ま、待たんかキサマアアアアアア!!!」

 

 

その声を後ろに、俺は外でスマホを使い録画していた日菜と妨害電波を出していた紗夜を伴い、逃走を開始した。

 

 

「奏也!コレ!」

「ああ、サンキュ!」

「よし、走るぞ!」

 

 

 

 

俺はある広場へ来ていた。

人はおらず、街灯も少ないため夜はまず人が寄り付かない。

そこに俺、紗夜、日菜、そして合流したおたえ、美咲、こころで奴が追い付いてくるのを待った。

 

 

「よう、遅かったな。警視監殿でも歳には勝てねえか」

 

 

ようやく表れた奴の手には刀が握られていた。

 

 

「キ、キサマ・・・どこまで私をコケにするつもりだ・・・」

「あなたが荒神警視監ですか。なんというか生理的に無理なご尊顔ですね」

「お、おんな・・・?そうか、キサマの仲間か・・・・!」

「その通りよ!さて、あなたももう終わりね!」

「この人すごーい!雰囲気でお腹の中がまっ黒ってわかるよ!」

「確かに。おまわりさんのはずなのに悪いオーラしか出てない」

「まあキャリアだから現場の苦労も知らなさそうだしねー・・・・」

 

 

みんな好き放題いうなあオイ。しかし一見冷静に見えるが幼馴染軍団も怒りのオーラが隠せてない。

さらにそれを聞いて勇馬も青筋を浮かび上がらせ見るからに怒っている。

なんだこのアングリーゾーンは・・・

 

 

「どうどう、そんなブチ切れちゃ血圧上がるぜ?心臓に悪いから落ち着きな」

「誰のせいだと思っておる!」

 

 

うん、ごもっとも。

 

 

「さてと。決着をつけようじゃねえか。さすがの警視監殿でも1VS5は厳しいんじゃねえか?」

「・・・・馬鹿め。ジジイだと思って舐めていると痛い目を見るぞ。この荒神勇馬、ガキと女ごとき何人束になっても負けんわ!」

「おいおい、それ・・・フラグだぜ?無理すんなよ。まずは俺一人で相手してやろうか?」

「黙れ!よかろう・・・まとめてかかってこい!」

「みんな、聞いたよな。一斉に行っていいってよ?」

 

 

俺はみんなの方を向き(マスクで見えないが)クッソ汚いしたり顔をした。

 

 

「わわっ!マスクしてるのにすんごい悪い顔をしてるのがわかるよ!」

 

 

日菜は察したようだ。

 

 

「じゃあ、行こうか!」

「「「「「先生の(おじいちゃんの)仇!」」」」」

「こんガキどもめええええええ!」

 

 

 

 

「グオォォォォォォォォォォ・・・・・」

 

 

勝負は一瞬だった。

奴の刀を使った先制攻撃。俺が無刀取りをしたあと容赦のない一撃を入れ、ふらついたところにこころが第2撃。

続いて紗夜&日菜&おたえがギターのような何かで連続攻撃を加え、ラストに美咲が本気でどついた。

その結果奴は地面にうずくまって蠢いている。

意識を失わないだけ大したもんだぜ。

 

 

prrrr

 

 

「おっと・・・もしもし?」

『奏也?そろそろだよ』

「ああ分かった」ピッ

 

 

電話の主は蘭だ。そう、蘭に頼んでおいたあることの発動がもう間もなくということなのだ。

 

 

「さて警視監殿。俺たちはそろそろいくぜ。ああそうだ。そんなにこの動画が欲しいなら・・・くれてやるよ」

 

 

俺はうずくまって動けないやつから少し離れたところに、リピート再生モードにしたスマホを最大音量にし置き、そしてそのまま全員で立ち去ったのであった。

 

 

 

 

「ぐおおおおお・・・」

「動くなっ!!!!」

 

 

奏也達が立ち去ってちょっとしたあと、荒神勇馬に向けて放たれたその声。

 

 

「なんだキサマら・・・・!」

 

 

勇馬が顔を上げると、そこには10数人の警官が拳銃を向け、勇馬を取り囲んでいた。さらに、勇馬は気づいていないが、後方にはマスコミと思しきカメラを持った人間が複数存在する。

 

そう、これは蘭が「広場に日本刀を持った不審な男がいる。かなり興奮しているようだ」と通報。その後警察無線を盗聴し、現場に来る時間を監視して奏也達を退却させたというわけだ。

 

そしてマスコミ。マスコミには独自の情報網を用い、「通り魔事件の犯人が広場に追い詰められている、これから逮捕劇があるようだ」と情報を流す。

すると特ダネに飢えているマスコミ各社はこぞって取材班を派遣したのだ。

 

 

「動くな!刀を捨てろ!」

「ふんっ!キサマらのようなクズ警官に指図されるとは・・・・!」

「なにっ・・・・?あ、あなたは!荒神警視監殿!」

 

 

警官の一人が荒神勇馬に気づいたようだが時はすでに遅し。

 

 

「ん?これはなんだ?動画か?」

 

 

そして奏也達が残した動画の存在に気付いたマスコミはその動画をカメラに収める。

ちなみにこれはすべて生放送だ。故に警視監が刀を持って広場にいたことも、奏也が残した動画の内容もすべて生中継。

 

 

「おいスクープだ!通り魔は警視監の息子!しかも警視監が殺人教唆を・・・・!」

「お、おのれえええええええええええええええええええええええええ!」

 

 

こうして、どうやっても事件をもみ消せない状況を作った奏也達。

しかも生放送のカメラを通しその模様は全国ネットで放送されてしまった。

深夜にもかかわらず、瞬く間に番組のキャプチャがツイッターで拡散され、警察には問い合わせが殺到したのである。

 

 

そして翌日。

荒神勇馬の殺人容疑での逮捕。

さらに荒神琢磨の全国指名手配。

そして、それらを告知する警察による緊急記者会見が開かれたのであった。

 

 

その知らせは神剣奏也一同の・・・勝利を表すものであった。

 

 

 

 

 

 




またまた日があいて申し訳ありません!
そういえばパスパレ2章・・・素晴らしいですね。
これに関する話も書きたいなあと思う今日この頃。

さて、物語が一区切りつきましたね!
次回かその次あたりで最終回になりそうな予感。
よろしければ最後までお付き合いくださいませ。

引き続きよろしくお願いいたします!

★評価のお礼

里見@元エレメンタルさん ★10ありがとうございます!
一二三之七氏さん ★2ありがとうございます!
あんさんぐさん ★0ありがとうございます!
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