勧善懲悪BanG Dream!   作:光の甘酒

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第13話 いろんな意味での決着

「皆さん、ご卒業おめでとうございます」

 

 

さて、荒神勇馬が逮捕されからすでに1年が経過していた。

逮捕された荒神元警視監は完全黙秘の構えを貫いているらしい。この様子だと裁判はかなり長期化しそうである。

そのおかげというのも変だが、確固たる証拠がないため俺は身柄を拘束されることもなく過ごせている。

また、海外に逃げたという琢磨は逃げた国は判明したらしいが未だ捕まっていない。これは弦巻さんと蘭の方に調べてもらっている。

 

さて、そんな俺が今出席しているのは高校の卒業式。

もちろん、俺は卒業生だ。このエリアの高校は卒業式の日程をすべて合わせる慣例になっているため、幼馴染からは紗夜、日菜が。そしてリサ、彩も今日で高校卒業だ。

 

 

「ではあるからして、卒業生の皆さんはわが校のを卒業したという誇りを胸にこれからの・・・」

 

 

瞼が重くなるような話を校長が話している。俺はそんな校長の話などには全く耳を傾けず、もうすぐやってくる俺の出番のことを考えていた。

 

 

「答辞・卒業生代表、神剣奏也」

「はい」

 

 

うちの高校は成績で答辞を述べるものが決定されるシステムだ。

とまあ俺が卒業生代表に選ばれてしまうってんだから、本当に学力と人間性は関係ないってはっきりわかんだね。

 

 

 

つつがなく答辞を済ませ、卒業式は無事に終了。

そこそこ仲の良かったクラスメイト達としばし歓談をし、そろそろ待ち合わせの時間が近づいてきたので帰ることにした。

このあとはCiRCLEで卒業パーティと称した催しが開かれ、ガールズバンドパーティに参加したバンド全員が集まるのだとか。

ポピパ、Roselia、ハロハピ、パスパレ、Afterglowには世話になったからとオーナーがサービスしてくれるらしいとまりなさんから聞いた。

 

 

「んじゃ、俺はこれで」

 

 

校庭を後にし、俺は歩みを進める。

 

 

「・・・・・」

 

 

しかし後ろには俺をつけてくる気配。しかしこれは危害を加えようとかそういった類のものではないと思うが・・・・

 

 

「誰だ?」

「えっ!?」

 

 

そこにいたのはクラスメイトの女の子だった。

 

 

「なんだ君か・・・どうしたんだ?帰る方向が一緒とか?」

 

 

明らかに後をつけられているのはわかっていたが探る意味も込めてあえてそう聞く。

あとをつけるからには必ず理由があるはずだからな。

 

 

「えっと・・・実は神剣君に伝えたいことがあって・・・・」

 

 

 

 

「ねえ千聖ちゃん、何時までにつけばいいんだっけ?」

「まだ大丈夫よ」

「うーん、楽しみだなー!」

「でも彩ちゃん、また泣いちゃうんじゃない?」

「な、泣かないもん!」

 

 

今日は卒業式。私たちは今日、高校を卒業した。

そしてこのあとはCiRCLEで5バンドが集まって卒業パーティが開かれるのです。

そこへ千聖ちゃんと私は向かっていました。

 

 

「あれ?あれは奏也君じゃないかしら?」

「えっ!?あ、ほんとだおーい奏也く・・・」

「待って、誰かと一緒にいるわ」

 

 

千聖ちゃんの言う通り、そこには見知らぬ女の子がいた。

なんだかかわいい子・・・奏也くんと同じ学校の人かな・・・?

 

 

「あの雰囲気・・・・」

「う、うん」

 

 

その女の子は少しうつむき、顔を紅潮させモジモジしている。

間違いない、この雰囲気は・・・

 

 

「告白ね。彩ちゃん、いくわよ」

「えっ!?」

 

 

千聖ちゃんはギリギリ声が聞こえて、向こうから見えない位置に移動した。

 

 

「ここからなら聞こえるわ」

「ち、千聖ちゃん・・・盗み聞きしちゃ悪いよお~」

「何を言っているの?ライバルの動向よ?勝つためにはあらゆるチャンスを生かさないといけなのよ?」

「ち、千聖ちゃんが怖い・・・」

「ほら、話が始まるわ」

 

 

『神剣君、ごめんね。帰るところだったのに』

『いや、いいよ。それで、話って何?』

『えっと・・・その・・・神剣君・・・ずっと好きでした!』

 

 

「いったァ!」

「えっ!?ち、千聖ちゃん!?」

「はっ!?コホン・・・失礼、少し興奮してしまったわ」

「少しじゃないような・・・・」

 

『・・・・・ごめん、気持ちは嬉しいけど応えられそうにない』

『・・・ッ・・・理由を聞いてもいいかな・・・?』

『失礼な物言いになるけど、俺は君のことをよく知らないし、それに・・・』

『海外へ行くから・・・かな?』

 

 

「えっ!?」

「海外!?彩ちゃん、奏也君から何か聞いてる!?」

「き、きいてないよ!?」

 

 

『でも、誰かと付き合ってるとかじゃないんだよね?私、遠距離でもいいよ・・・?』

 

 

「攻めるわね・・・・」

「うん・・・・」

 

 

私たちはその様子を見ながらもさっきの一言、海外に行くということが頭から抜けず若干上の空になっていた。

 

 

『・・・・俺はやるべきことがあるんだ。具体的にはいえないけど。何年かかるかわからないし、それまで恋愛とかそういうのは考えられないと思う。だからごめん』

『・・・そっか。わかったよ。話、聞いてくれてありがとね』

『ああ。それじゃあ』

『うん。じゃあね』

 

 

その女の子は目に涙をうっすらと浮かべながらその場を立ち去った。

そして奏也くんはそのままCiRCLEに向かい、私達もそのまま後を追ったのでした。

 

 

 

 

「ではRoseliaから友希那ちゃん、リサちゃん、燐子ちゃん、紗夜ちゃん。パスパレから千聖ちゃん、彩ちゃん、日菜ちゃん、麻弥ちゃん。ハロハピからは花音ちゃん、薫ちゃん。みんなの卒業を祝ってカンパーイ!」

 

 

「かんぱーい!」

 

 

まりなさんによる乾杯の音頭がとられた後、各々雑談が始まる。

 

 

「うえーん、あこ以外みんな卒業なんてえー!」

「・・・・そもそもバンドは続けますし宇田川さんは中学生じゃないですか。私たちが大学生、宇田川さんが高校生に上がるだけであまり変わらないのでは?」

「あ、そっか!紗夜さん頭いい!」

 

「あたしたちもそうだよねー!事務所で芸能活動するのは変わらないから高校生じゃなくなったってだけでイヴちゃんとは相変わらずだねー」

「ハイ!これからもよろしくお願いいたします!」

 

「よーし!シャンパン(ノンアル)あけるぞー!」

「おートモちんやる気だ」

 

「あ、有咲のこれもーらい!」

「ちょ、そこにいっぱいあるだろ!?」

「有咲のが欲しかったんだよー」

 

「うわーん!かのちゃんせんぱーい!」

「うう・・・花音さんが卒業してしまうなんて・・・私一人でこころとはぐみを抑えられるかな・・・」

「また集まってバンドはやるわけだし・・・美咲ちゃん頑張ってね?」

 

 

各々自由に会話を楽しんでいるようだ。その様子を見るだけで楽しい。

 

 

「ねえ、奏也君。少しいいかしら?」

「ん?ああ、千聖さん。どうした?」

「・・・・海外に行くというのは本当かしら?」

 

 

その一言に会場の会話が止まった。

 

 

「・・・・どこでそれを?」

「ごめんなさい。実はさっき・・・・」

 

 

千聖さんは俺がクラスメイトの子に告白されているのを聞いていたようだ。

うーむ、気づかなかった。俺もまだまだか・・・

 

 

「・・・まりなさん、少しマイクをお借りしてもいいですか?」

「え、ええ」

 

 

まりなさんからマイクへ向けられ、ステージの上に上がる。

そして注目が集まる中、俺は話を始めたのだ。

 

 

「あー・・・みんなにいうのが遅れて申し訳ないんですけど・・・俺は海外の大学に行くことになってます」

 

 

”えーっ!?”

 

 

みんな一斉に驚きの声を上げる。

その中でも幼馴染たち、彩、香澄ちゃん、リサは特段ものすごい驚いた顔をしていた。

 

 

 

 

みんなに別れの挨拶をし、質問攻めにあったあと、パーティは終わった。

しかしそのあと、何人かに呼び出されてしまった。

まずは彩、香澄、リサだ。

 

 

「奏也くん・・・海外ってやっぱ本当なんだね・・・・?」

「ああ。いうのが遅れてすまなった」

「そんな・・・もっと奏也せんぱいと一緒に・・・いたいです」

「・・・・ごめんね」

「どうして・・・どうして海外なの奏也?」

「・・・・やらねばならないことがあるんだ」

「外国へ行ってまでやらなきゃいけないことってなんなの・・・・?」

 

 

リサは涙目になってきいてくる。彩も香澄ちゃんも同じで、気になって仕方ないという顔をしていた。

 

 

「それは・・・いえない。でも、俺がやらなきゃいけないことなんだ。何年かかるかもわからない。卒業しても日本に帰ってくるかもわからない。それでも・・・」

「奏也がやらなきゃいけないことなんだね・・・?」

「そうだ」

 

 

力強い目で3人の目を見る。

 

 

「・・・奏也くん。少しだけ少しだけ3人で話をさせてもらえないかな」

「・・・わかった。じゃあ部屋の外にいるから。10分くらいで戻ってくる」

「彩?(彩先輩?)」

「リサちゃん、香澄ちゃん。ちょっといいかな?」

 

 

そして俺は部屋を出て・・・そこで幼馴染たちに捕まったのであった。

 

 

 

 

「どういうことなの奏也!?」

「そうです!一から説明しなさい!」

「・・・・・奏也?」

「さすがにこれは寝耳に水だよ奏也君」

「そうよ!なにを考えているか白状しなさい!」

「聖徳太子じゃねえんだから同時にしゃべらんでくれ・・・」

 

 

出会った刹那、追及の嵐が始まった。

 

 

「お前らにもいうのが遅れて悪かった」

「それで、奏也はいつからいくのですか?」

「・・・・1週間後」

「「「「「一週間!?」」」」」」

「・・・すまん」

 

 

とりあえず謝っておく。まあ言うのが遅れてしまったのはマジで申し訳ないからな。

 

 

「とりあえず理由を聞かせてくれるかな?奏也が理由もなく海外いくなんて思えないもん」

「・・・・私はなんとなくわかった気がする」

「美咲!?それは本当かしら!?」

 

 

驚いた。美咲は見当がついているようだ。

 

 

「・・・・琢磨さんでしょ?」

「・・・ご名答だ」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、みんななんとなく察した顔をした。

そう、荒神琢磨。1年前に海外に逃げそのまま行方をくらましている凶悪な殺人鬼。俺が進学先に選び、これから生活するであろう国は琢磨が逃げ込み、生活している国なのだ。

 

 

「琢磨を逃がしたのは俺の責任だし、アイツだけは俺の手で止めなきゃなんねえ。たとえ何年かかっても・・・・これだけは俺がやらねばならんことなんだ」

「・・・向こうに行ってどう探すつもりですか?」

「弦巻さんのツテでそういう情報が入ってくる機関でバイトしつつ鍛えてもらうことになっている」

「また、お父様が絡んでいるのね・・・」

 

 

こころが複雑そうな顔をしている。

 

 

「こころ、そんな顔するんじゃねえよ。弦巻さんに頼んだのは俺だし、提案したのも俺からだ。それに・・・俺はもともとしばらく日本を離れたほうがいいんだ」

「どういうことかしら?」

「今は荒神勇馬が黙秘を貫いているから俺が捕まることがないが・・・実は監視はずっとついている。このままじゃ悪党狩りなんてできないし、ちょっとでも動けば、それにこじつけて俺を拘束する可能性もある。どちらにせよ、ほとぼりが冷めるまで離れたほうがよかったんだ」

「そうだったのね・・・・」

 

 

そして俺は改めて言う。

 

 

「だから・・・その間。こっちのことはお前たちに任せたい。いつか俺が帰ってくるその日まで、この町の悪党を狩ってほしい。これはお前らにしか頼めないことなんだ」

「・・・・ふう。そう言っているけど、どう思うかしら?日菜」

「そうだね、おねーちゃん。奏也のこの顔みたらね、こころちゃん」

「そうね!ここまで言われたら仕方ないわね!美咲もそう思うでしょ?」

「うん。私たちは私たちでやれることをやる。花園さんもかな?」

「もちろん。奏也がそう決めたなら私たちはそうするだけだよ」

「お前たちならそう言ってくれると思ったよ」

「あ、でもさ。奏也」

 

 

最後に日菜が言った。

 

 

「彩ちゃんたち。ここだけはちゃんと決着つけていきなよ?」

 

 

 

 

幼馴染たちとの話が終わったところでちょうど10分。俺は彩たちのいる部屋に向かった。

 

 

「待たせたな」

「ううん。いいの」

「うん、そうだね」

「ちょうど話がまとまったところなので」

 

 

そして3人は俺の目をまっすぐ見て、そして口を開いた。

 

 

「私(アタシ)たち・・・・奏也(くん・せんぱい)のことが・・・・」

 

 

「「「好きです」」」

 

 

3人の少女はとても真剣な眼差しで、確かにそう言い放った。

 

 

「でもね。わかってる」

「だから私たち、決めたんだ」

「これを私たちなりのケジメにして・・・それでね・・・奏也せんぱい・・・」

「こ、こら香澄・・・泣かないって約束した・・・じゃん」

「そう言ってるリサちゃんも泣いてるよぉ・・・・」

「あ、彩こそ・・・・」

 

 

またしても3人の女の子を泣かせてしまった。俺はなんてクソ野郎なんだ・・・

しかし3人が言ってくれた言葉。

 

 

”好きです”

 

 

なんて温かい言葉なんだろう。さっきもクラスメイトから同じ言葉を言われたが明らかに違う感覚だ。

そっか・・・俺が鈍感鈍感いじられてたのはこういうことだったのか・・・・

 

 

「まずは返事、かな。初めに・・・ごめん。俺はみんなの想いに応えられそうもない」

 

 

変に期待させてはいけないと思い、結論からしっかり述べるところからスタートする。

 

 

「正直、みんなに好きって言われてすげー嬉しい。とにかくうれしいんだ。でも・・・今の俺には・・・」

「うん、わかってる。さっきの奏也の顔を見たら。今はやることがあるんでしょ?」

「・・・そうだ。それが何年かかっていつ帰ってくるのかも皆目見当がつかない」

「だからさっき3人で話したの」

「これをケジメにして一旦リセットしようって。それで・・・・いつか奏也せんぱいが帰ってきたら。また想いを伝えようって」

「いいのか?もしかしたら帰ってこないかもしれない。向こうに家族を設けて永住するかもしれない。みんなにも好きな人が別にできるかもしれない」

 

 

正論になってしまうが俺はいう。不確定要素の多い俺なんかのためにみんなの人生に影響を与えてならないとおもったからだ。

 

 

「その時はその時だよ」

「うん、それにね・・・今のこの想い。今の私たちはこの想いしか知らないから」

「せめて、今はこの想いを大事にできるように。そうしようって考えたんです」

「・・・そうか」

 

「だから!この話はこれでおしまい!最後に・・・私奏也を好きになって本当に良かったと思う!ありがとね☆」

「私も!奏也くんがいなかったら今頃こうやってアイドル続けられていたかもわからない。本当に好きになってよかった。ありがとね!」

「私も助けてもらってばかりで・・・守ってもらってばかりで・・・それでも一緒にいてくれて・・・ありがとうございました!」

 

 

「ああ。俺も君たちに出会えて本当によかった。またいつか・・・会おうな」

 

 

話が終わり、俺はその部屋をあとにした。最後まで気丈に振る舞う彼女たちの姿はとてもまぶしく、俺なんかを好きになってくれたことに感謝しつつ、そして応えられなかったことに謝りつつ俺は帰路についたのであった。




なんというか消化パートって感じでしたね。

次回、本当に最終回です!

番外・・・続編・・・この辺はふんわりとした構想はあるのですがまだ文字に起こせてない感じです。
その気になればやりますのでまずはこちらの最後を見届けてくださるとうれしいです。

では、引き続きよろしくお願いいたします!
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