勧善懲悪BanG Dream!   作:光の甘酒

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第5話 汚濁のシンデレラ

俺は香澄ちゃんから聞いた話をまとめる。

まずパワハラのこと。最初は成瀬先生もすごくいい先生だったらしいが徐々に当たり方がきつくなってきたらしい。この辺は加藤先生や下田に聞いた通りだ。

 

徐々にひどくなっていき、例えばちゃんと終わらせた仕事を終わってないといったり、隅々まで確認してから提出したはずの書類を”本人の覚えがない”ミスを連発したものにされていたりと、どんどんエスカレート。

 

一度、他の男性教師がよかれと思って教頭に相談にいったらしいがこれがダメだった。

 

”男性教師に優しくされて教頭にチクった新米教師”と”新米教師をいびる先輩教師”

 

の図式が出来上がったことが成瀬先生のプライドを傷つけたようだ。

なんと成瀬先生は教頭が独身女性というところに目をつけて丸め込み、直接的なパワハラは成瀬先生が、それをサポートする形で教頭が動いているらしい。

 

ちなみに校長(弦巻さんの知り合い)は違う学校と校長を兼任しているため、実質副校長がトップだとか。

しかしながらその肝心の副校長も教頭の言いなりらしい。。

 

しばらく見ない間に腐ってんなあ・・・人手がないのも原因かもしれんが。

 

 

「それでですねえ~・・・」

「やっぱメチャクチャ飲むんだね」

 

 

前回香澄ちゃんが酔いつぶれてから、俺たちは週末に俺の家に来て一緒に酒を飲みながら香澄ちゃんの愚痴を聞くのが日課になっていた。

いや~今日もいい飲みっぷりだ。

 

 

「こうやって奏也せんぱいが話を聞いてくれるようになってからマシになりましたけどぉ~・・・飲まなきゃやってらんないですよー!」

「キラキラや・・・ドキドキは?」

 

 

俺はつい聞いてしまう。

再会してからというものの、香澄ちゃんの口癖のようになっていたキラキラやドキドキ。それが一度もなかったためだ。

 

 

「・・・もう、忘れちゃいました」

「え・・・?」

「キラキラだとか、夢だとか、希望だとか・・・。教師になれるって決まって、門をくぐったときには確かに感じてたはずなんですけどね・・・」

 

 

香澄ちゃんが暗そうな顔をする。

違う、俺はこんな顔がみたいんじゃないんだ。

俺は最近ずっと考えている。今の香澄ちゃんをみていると心が痛い。

 

 

「あ、ごめんなさい!こんな話ばかりして・・・・」

「いや、いいよ。・・・そういえばポピパのみんなは何か言ってるの?」

「・・・・みんなには相談してないんです。心配かけたくないから」

 

 

こういう優しさは香澄ちゃんだなぁ・・・・

 

 

「ほんと、毎回毎回ごめんなさい。あ、私ちょっとお花摘みに行ってきますね!」

 

 

席を立つ香澄ちゃんを見ながら俺はさっきの言葉が反芻していた。

 

 

”忘れました。キラキラだとか、夢だとか、希望だとか”

 

 

昔見たキラキラや夢や希望を歌う彼女の姿はそこにはない。

これも時間の経過と社会の荒波に飲まれた結果の摂理か。

人は変わるものだ。なら仕方ない・・・

 

 

「んなわけねえよなあ?」

 

 

俺は自問自答する。

このままでいいか?

 

-いいわけないでしょ。

 

なんで俺がこんなことを考える?

 

-あんな香澄ちゃんを見たくないからだ

 

なぜ?これが現実。なぜ俺がここまで考える?

 

-香澄ちゃんはキラキラしてて星の鼓動を感じて、輝いている姿が一番きれいだ。その彼女からきらめきを奪ったこの環境を許せないからか?

 

なぜそこまで彼女にこだわる?

 

-決まってんでしょ

 

 

「香澄ちゃんのことが好きだからだよ」

 

 

以上、自問自答。

これこそ俺が出した回答。

倫理的にどうかだとか、パワハラがどうかだとか・・・

そんなことどうだっていいのかもしれない。

下田から助けたときだって、今だって、色々理由はつけているが行動原理は一緒。

すなわち香澄ちゃんへの恋愛感情。これこそが正体だったのだ。

 

 

「やっべえなあこれ・・・・」

 

 

香澄ちゃんへの好意を完全に認識した瞬間、俺は恥ずかしくなってきた。

そしてそれと同時に不安も襲ってきた。

 

 

”今の香澄ちゃんは俺のことどう思っているんだろうか?”

 

 

6年前、香澄ちゃんは俺のことを好きだと言ってくれた。

でも俺はそれを俺の都合で断った。

あの選択は間違っていなかったと思っている。しかし、使命がなくなった現状をみるとどうだ?

もう俺に断る理由はないし、それに今はハッキリと香澄ちゃんのことが好きだといえる。

だがそれは・・・・香澄ちゃんが俺のことを好きでいてくれていることが前提だ。

6年も放っておいたら他に好きな人がいてもおかしくない。

 

 

「うーむ・・・」

 

 

だが、考えるのはあとだ。

今はまず、やるべきことがある。俺は懐から携帯を取り出して、ある番号にかける。

 

 

「あ、弦巻さん。どうも、神剣です。あのぉ・・・ちょっと聞きたいんですけどね」

 

 

俺は弦巻さんに向かって、堂々と言い放った。

 

 

「人手不足ってことで俺が来てたと思うんですけど・・・今いる教員の人数、減らしちゃってもいいですかねえ?」

 

 

こんなことをいいながら、俺は脳内で次の一手を練っていたのであった。

 

 

 

さて時間は飛んで数週間。俺は秘密裏に色々と情報を集めていた。

 

 

”教員の人数を減らしていいか”

 

 

この質問に対し困惑していた弦巻さんであったが、事情を話したらやりすぎない範囲でやれと言われた。

どうやら校長先生も教員内でのパワハラの噂を聞いて気になっていたらしい。

弦巻さんから確実であることが伝えられると、うなだれた様子で”責任は取るから任せる”とお返事をいただいたた。

このご時世、保身のために不祥事をもみ消す輩が多いのに立派な校長先生だ。

そして、こうやって確約を得た俺は色々と調査を進めておいたのだ。

 

 

「失礼します」

 

 

そして俺は今校長室にいる。

迎えてくれるのは副校長と教頭。さて、いくか。

 

 

「神剣先生、話とはなんでしょう?」

 

 

副校長が第一声。

 

 

「教員内で行われているパワーハラスメントの相談です」

「パワハラだなんて人聞きの悪い・・・成瀬先生は後輩の指導が熱心なだけじゃないですか」

 

 

そんなことを抜かす教頭。

ああ、やっぱこいつらダメだわ。

 

 

「誰も成瀬先生のことだと言っておりませんが?」

「くっ・・・噂できいているだけです!」

 

 

ははあ・・・・あくまでシラを切ると。

まあ教頭は加担しているし当然といえば当然か。

 

 

「いいですか、神剣先生。私たちはパワハラの事実なんぞ知りませんし、知りたくもありません。困るんですよ、こういうことをされては・・・悪いことは言いません。平穏な教員生活を続けたかったらこのまま回れ右をし、口を噤むことです」

「・・・脅しですか?」

「さあ?どう捉えるかはあなたの勝手です。明日、あなたの机が職員室にあるといいですねえ」

「・・・・わかりました。今日はこれで失礼します」

「今日は?次はありませんよ。早く退室して下さい」

 

 

促されままに俺は退室する・・・・かと思ったかバカめ。

 

 

「でも、そちらがその気なら・・・こちらにも考えがあります。このまま副校長と教頭の椅子に座ってられるといいですね」

「なっ!?臨時教員が生意気なことを!」

「おっと、口が過ぎましたね。失礼します」

 

 

これは布石だ。何の布石か?それは夜までのお楽しみってやつさ。

さて、めんどくさいから時間飛ばすぞ(メタ発言)

 

 

 

 

夜。俺はイヤホンを装着し、録音しながらある音声を聞いていた。

 

 

『まったく神剣には困ったものだ。余計なことを嗅ぎまわりおって』

『まったくですわね。このままパワハラの事実が漏れず、何事もなければ私たちはそろって校長になれるはずですのに・・・』

『しかし教頭・・・あなたも少し戸山先生をいじめすぎでは?神剣みたいなのがまた出てくるとも限りませんよ?』

『大丈夫ですわ。話を聞くに神剣先生は戸山先生と仲がいいらしくて。それで突っかかってくるのかと』

『なるほど・・・じゃあいっそあいつらが校内で不純異性交遊をしていると噂を流して自主退職に追い込むか?』

『それもいいかもしれませんわね。ねえ、副校長・・・そろそろ』

『未来の校長先生といっていただきたいですね、フフ・・・』

 

 

さて、中年二人のおせっくす実況中継なんぞ極力聞きたくないので、イヤホン音量を下げる。

ズバリ今の会話は盗聴器からの音声だ。

本日副校長たちに仕掛けた盗聴器はバッチリと俺にその様子を伝えてくれた。

ちなみに俺がいるのは奴らがよろしくやっているラブホ街の付近のファミレス。色々と調べているうちに副校長(妻帯者)と教頭が不倫をしており、ほぼ一定のペースでこのホテルでよろしくやっているのが分かった。

そしてその日を狙って俺は奴らを煽ったのだ。そうすれば絶対パワハラ、しいては俺に関する会話を確実にすると思ったからね。

そして俺は奴らの情事が終わり、ホテルを出ようとするタイミングで歩き出したのだった。

 

 

 

 

パシャッ!

 

 

「ぬわっ!?」

「な、なんですか!?」

「どうもー!副校長、教頭先生!」

「な、か、か、神剣先生!?」

「なぜここに!?」

 

 

いやー驚いてくれてるねえ。この日のためにカメラを用意しておいてよかったぜ。

 

 

「なぜ?さあなんででしょうねえ?言いましたよね?こちらにも考えがあると」

 

 

多分今俺はメチャクチャ邪悪な笑みを浮かべていると思う。

そしてそのまま話を続けた。

 

 

「これがその答えですよ」

「な、キサマ・・・・!」

「さて、シンデレラ城の鐘が鳴るにはまだ早い時間ですけど、仕舞にしましょうか。もっとも、ガラスの靴を残して帰ることは許しませんがね」

 

 

お城のホテルを背景に言い切る俺。ちょっとポエマーっぽいかな?まあいいや。

さて、畳みかけるか。

 

 

「も、目的はなんだ!?金か!?」

「金?んなもんに興味はねーですよ。あいにく不自由してないもんでね」

「で、ではなんですの・・・・?」

「俺はこれから学校でひと悶着起こす。成瀬の排除だ。それの邪魔をしなければこの写真を公表することは考えてやる」

「なっ!?そんなことをしたらパワハラが明るみになる・・・そうしたら私たちの校長への道が・・・!」

「そ、そうです!」

 

 

まぁだそんなこというか。

しょうがない、現実を見せつけてやるか。

 

 

「は?なに下らねえこといってんだジジイ共。成瀬が潰れて副校長、教頭としての責任を普通に問われるか、不倫の事実が明るみになって社会的に死ぬのか・・・どっちがマシか考えりゃわかんだろ?」

「くっ・・・・!」

「ぐぬぬ・・・」

「俺が動いている間に黙っていればいい。特に教頭、成瀬に泣きつかれても無視しろ。俺が提示する条件はそれだけだ」

 

 

顔に汗を滲ませ、歯をギリギリと食いしばって悔しそうな顔で二人は返事をする。

 

 

「わ、わかった・・・」

「わかりました・・・」

「変な気を起こすなんて考えんじゃねえぞ?」

「しかし・・・お前は何者なんだ?こんな・・・ただの教師じゃないだろう・・・?」

「なんだそんなことか。俺は・・・」

 

 

久しぶりだなコレ言うの。

 

 

「通りすがりの悪党狩りだ」

 

 

さて、最終話に向けて走り出そうじゃないか。

彼女の・・・キラキラを取り戻すために。

 

 




ペースが空いて申し訳ありません・・・
仕事がめちゃくちゃ忙しくてなかなか・・・

さて、香澄ルートはついに終盤です!
キラキラを失った香澄はガルパコラボのロミオとシンデレラのMVの雰囲気を想像してもらえるといいかもです。

引き続きよろしくお願いいたします!
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