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「んで宮野クン?なんでおめえがシャバにいんの?」
「クソッ・・・・」
「クソじゃねえよクソ野郎。質問に答えて、どうぞ」
「・・・・・」
あっふーん・・・
あくまでしゃべらないと。昔は壊れたステレオみたいにピーチクパーチクうるさかった奴だが沈黙となるとなんか違和感あるな。
「日菜」
「はーい」
「え?日菜ちゃん?」
俺は日菜にアイコンタクトを送る。
すると日菜は彩の目を塞ぎ、向いている方向を転換させ、こちらから目線を逸らした。
「さぁて宮野。俺と一緒に遊ぼうじゃねえか」
「や、やめっ・・・・」
「喋らねえお前が悪い。とりあえず崖側いって・・・なにしてやろうか」
「ひっ・・・・ひぎゃあああああああああああああ」
「奏也ー、ほどほどにねー」
日菜と彩にはひとまず避難するように指示し、そんな日菜の声を聞き届けながら宮野と遊ぶことにした。
※
話をまとめよう。
どうやら宮野は仮釈放中らしい。どうやら一刻も早く刑務所を出て俺や彩に復讐をしたかったらしく、キチガイのくせに模範囚といえる刑務所生活を送っていたようだ。
そしてあの日、彩があの旅館にロケで泊まることを掴んだ宮野は手下に偵察に行かせた。
そしてその手下は彩の泊まる部屋を調べようとフロントの顧客名簿を漁っているところを従業員にみつかり・・・というのが俺と彩があの日遭遇した夜の出来事だったようだ。
どうやらそれは宮野にとって嬉しい誤算だったようで、まさか彩だけでなくもう一人のターゲットである俺まで現れるとは思っていなかったようだ。
これ幸いと俺と彩にターゲットに定めた宮野は調子に乗って今日に至ったという。
コレが宮野から吐かせた内容だった。
「しかしなあ、宮野。仮釈放してすぐやらかしてバレてたんじゃあ意味ねえぞ?」
「・・・・・」
「だんまりかよ」
今の宮野に以前のような勢いはない。壊れたオモチャのように沈黙する宮野には違和感があったので俺は続けて尋問することにした。
「それでな、宮野。シャバに出てきたばっかでどうやってあれだけの手下をそろえた?」
そう、これこそが違和感の正体。
仮釈放で出てくるまでは当然刑務所にいたはず。そうするとその間はコネクションを形成するのは不可能なわけで、かつての財産の没収もくらった宮野がこんなに早くに手下を集めたり、彩の情報を入手するできるのは明らかにおかしいのである。
「誰がバックにいる?」
「お前・・・なんでそのこと・・・!?」
「あたりかよ」
ちょっとカマをかけたらこれかあ・・・程度が低いねえ。しかしこれで確定だな。ふむ、つまり宮野も手駒の一つに過ぎないというわけか。
「どうせお前、もう無事じゃいられねえだろ?吐いてスッキリしちまえよ。そうすりゃ刑務所に帰すだけで勘弁してやるよ。口を割っても刑務所にいりゃ安全だろ?」
「わ、わかった。言う、言うから命だけは助けてくれ!」
「うわっ、口軽ッ!素直になったもんだなおめえも」
「俺に話を持ってきて、手下も貸してくれた奴がいる。それは・・・・」
宮野が言おうとした瞬間、俺は身に覚えのある気配を感じた。
これは・・・・”殺気”だ。
『バァン!(大破)』
「ウグッ・・・・」ドサッ
「宮野!!!狙撃だと・・・?」
鳴り響く銃声、断末魔を上げて倒れる宮野。
俺は弾が飛んできたと思われる方向を予測し、木の陰に隠れる。
しかし宮野は頭を打ち抜かれており、すでに息絶えてしまっていた。
証拠隠滅に何のためらいもなく殺すとはなんてクレイジーな野郎だ・・・・!
ドサッ
「なんだ?」
続いて近くに人の気配。しかしその気配はすぐに遠ざかり、そこには何かが落ちていた。
「・・・・・!?!?!?!?手りゅう弾だとぉぉぉぉぉ!?!?!?」
ヤバイ!これはガチでヤバイ!!!やはりヤバイ!
全速前進DA!逃げろ、俺!!!!
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!
逃げるだけ逃げ、かつて記憶を失った崖下に全力でダイブすると、上から爆音が鳴り響く。
考えてみれば爆破ポイントには俺が気絶させた宮野の手下がいたはずだ。
一瞬にして起きる大量殺戮。おそらく手下から黒幕の名前が漏れないよう、口封じであろう。
「これは本気でヤバイぞ。何のためらいもなく駒を処分するとは・・・いつから日本はこんな物騒になりやがった?」
とにかく異常だ。いくら人の少ない山の中とはいえこんなド派手にやらかすなんて尋常じゃない。
「とにかく、早く退かねば」
このままここにいては彩や日菜の身も危ない、ひとまず下山し、弦巻さんに報告しよう。俺は電話をかけながら、すぐさま二人のいる方へと駆けたのであった。
※
「奏也!さっきの音なに!?」
「日菜、彩は無事か?」
「奏也くん!ほんと・・・記憶が戻ってよかったよ!」
「ああ。さて、詳しい話は後だ。走るぞ!!!!!!」
このまま逃げるのは正直賭け要素が強い。少なくともこの山には銃と爆発物を持ったヤツが最低でも一人ずつ潜んでいるからだ。しかしそれ以上に山にとどまるのはもっと危険だ。
俺一人だけならまだしも彩たちを守りながらとなると俺もそう自由に動けないし、このまま山の中を逃げるということは敵に狩場を提供するようなもの。
それならば少しでも危険を早く回避できる方がいいだろう。
「こっちだ」
「奏也くん、後ろ!!」
「なっ!?」
彩が声を上げ、言われた通り後ろを見ると、敵と思われる男が追ってきているのが見えた。
「日菜、彩を頼む。さっき弦巻さんに連絡はしておいた。下山すればすぐに黒服の人たちがいるはずだ」
「奏也は?」
「あいつを足止めする。なに、すぐ追い付くさ」
「うわぁ・・・それ死亡フラグでよく聞くやつじゃん。でもま、奏也なら死亡フラグなんで壊しちゃうか。うん、彩ちゃんは任せて!」
「奏也くん!気を付けてね!!」
「ああ、すぐ戻るから」
そうやって俺は日菜と彩の背中を見送り、奴の死角となる木の後ろに気配を殺して隠れる。
「む、このあたりに見えたと思ったのだが・・・」
相手は1人。漂う雰囲気は明らかに通常の人間ではない。
俺は隠密に、奴の背後に近寄る。
「あらよっと。暗殺者があんなに全身に殺気を纏ってちゃあダメじゃないか」
「なに・・・!?ぐああああああ」ボキボキッ
とりあえず腕と足をへし折る俺。
そして地面にたたきつけ、身動きが取れないようにする。
「命までとりゃしねえよ。さて、話を聞かせてもらおうじゃないか」
「ぐおおおおおお」
「まずキサマの狙いはなんだ?」
「・・・・・・」
「ふぅん・・・・」ボキ!
「ぐぎゃああああああああああ」
俺はさらに指を1本へし折る。
「ダンマリを決め込むといてえぞ~。俺が一回質問するごとに1本ずついっちゃうから。はい、んで目的はなんだ?」
「や、やめ・・・・」
「・・・・・」ボキッ!
「ああああああああああああああ」
「目的。日本語わかる?Can you speak Japanese?」
「ひいいいい・・・・・・」
「おまけに二本」ボキボキッ
「があああああああああわかった、いう、いう!」
ふむ、ようやくか。
「俺は丸山彩の拉致を手助けするため、そしてあらゆる証拠となる人間を消すために派遣されたんだ。あの実行犯共も終わったら処分するように命を受けていた」
なるほど、宮野は本当に捨て駒だったわけだ。哀れだなあ・・・
「丸山彩が目的だと?それはなぜだ?」
「それは・・・・」
バァン!(大破)
「ぐぉっ・・・・・」
「なんだと・・・!」
尋問を続行としようとした刹那。暗殺者は頭を打ち抜かれ、絶命した。
「情報漏洩には何重もプロテクトをかけるってことか・・・・!クソッ」
俺はすぐに逃走を開始する。このまま狙撃者のフィールドにとどまるのは不利極まりないからな。ここはこれ以上のリスクを犯すのではなく、弦巻さんと相談して作戦を練るのがよいだろう。
その後俺は何とか下山し、弦巻家の車に乗り込むと退却を開始したのであった。
※
ひとまず彩は日菜の自宅に匿うことにし、落ち着いたのち話をすることにし、
その後の対策を弦巻さんと話すべく弦巻邸に向かった。
しかしその後。こんなことが起きるとは・・・夢にも思っていなかったのである。
「奏也君、本部から指令が来たのだが・・・・・」
「深刻そうな顔をしてどうしたんですか?」
そういって一枚の指令書を俺の前に見せる。
指令
丸山彩の捕縛
及び神剣奏也の処分をせよ
「奏也君。丸山さんを連れて逃げるんだ」
俺と彩はお尋ね者になってしまい、二人の逃亡生活が始まろうとしていたのであった。
仕事忙しかったりぶっ倒れたりでかなり遅れてしまい申し訳ありません。
次回から奏也と彩の逃亡劇です。
引き続きよろしくお願いいたします!