自分の家にたどり着いた時、ふと何か奇妙な雰囲気がした。誰かが家に侵入している様なそんな雰囲気がしたが、
「ふっ、そんな訳ねぇか。この家には俺と母さんしかいねぇし、しかも母さんは今日大学の同級生達と一緒に飲み会だからここにいる訳がねぇ。気のせいだな、きっと。」
俺はそう言って玄関の前に立ち、閉まっているはずのドアの鍵を開けようと鍵を掛けたがここである変化に気付いた。ガチャリ、と鍵が逆に閉まった様な音がしたのだ。案の定ドアのぶに手を掛けてもドアは開くことはなかった。つまり元からドアは開いていたのである。
「母さん、忘れ物でもしたのかな?まあ元々どこか抜けた性格の持ち主だからたぶんそうかもしれないけど。」
そうして俺は再び鍵を掛け直して今度こそドアを開けた。さあて母さんに何て言ってやろうかな、そんな浅はかな考え事をしていた俺の前に
「おっ帰りーーー!!蒼也!!!」甲高い女性の声が響き渡った。
バタンとドアを閉めた。おかしいな、頭の中をもう一度整理してみよう。まず家のドアは普通に閉まっているのではなく開いていた、そして家の中は一瞬だけだったが荒らされた様子はなかった。つまり空き巣等ではなかったようだ。さらにドアを開けた途端に俺の視界に入ったロングヘアーの容姿と俺の名を知り俺自身も聞き覚えのある声、間違いない、アイツだ、と結論が出た俺の後ろでまた俺を呼ぶ声が聞こえた。
「蒼~~~也~~~?なーーんで私が呼んでも無視したのよぉ?」
「どうでもいいだろそんなの、とにかく唯姉、どうしてアンタがここにいんだよ?」
唯姉と呼ばれるこの女、そうコイツが俺、梅崎蒼也の従姉にして現在はお互い離れて暮らしている七瀬唯香(23)である。見た目はパッと見、完全に小学生の様な顔つきをしているがこれでもれっきとした大人でそれだけではなく、なんとこの女、仕事は教職を取っているのである。世界って広いなあ...
「とにかく!さっきも言ったけどどうしてここにいる?何しに来た?」
「なんだよ冷たいなあ。親戚をも思いやることが出来んのかオマエは。お母さん泣くぞ?」
これだけ馬鹿にされて、さすがにカチンときた俺も
「いいからさっさと答えろ。一体何の用でここに来た?俺に何させようってんだよ。」
少し熱くなった俺に対し、唯姉は冷静に答えた。
「分かった分かった。話してやるよ。実はな、アタシとある成り行きで女子サッカー部の顧問を受け持つことになったんだけど....」
「唯姉にサッカーの知識なんてあったっけ?」
「話の腰を折るな。それで確かに私はサッカーの知識なんて一欠片もないし、せいぜい知ってる事なんかボール蹴ったりパスしたりしてゴールを取り合うスポーツなんだなって事ぐらい。全くサッカー部の顧問には適さない人間と思う。」
偉く自分を自嘲したような口ぶりに内心驚いたが、
「で、それがどうしたんだよ。適任じゃないなら代わりに他の先生とかにやってもらえばいいじゃん、全く問題ないっしょ。」
「既に当てのある先生には何人か試してみたけど全員ダメ。皆、他の予定があるみたいで。」
それ、ただ単純に面倒くさいだけなんじゃ...内心そう思っていた俺だったが
「じゃあこれから先どうすんの?唯姉1人で頑張ってくの?」
俺がそう告げると、唯姉は待ってましたと言わんばかりに目をキランと輝かせながら俺の方を向いた。...なんだろう、凄ーーーーく嫌な予感がする。いや違う、嫌な予感しかない。
昔から大抵こんな時は嫌な予感がした後、嫌な思いをした経験がある。今回もそんな事になってしまうのか?いやいや、さすがに唯姉ももう俺以上に大人だ。そんな子供の様な嫌がらせをするはずがない。俺はそんな安易な事をつい考えてしまう。この女がどういった性格の持ち主であるかさえ分かっておきながらも...
「蒼也、アンタ女子サッカー部のコーチをやってみない?」
突如、従姉の口から放たれた衝撃的な爆弾発言に、しばし俺は呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。
という事で今回は新オリキャラ、蒼也の従姉の七瀬唯香の登場でした!今回の作品がサッカーなので智花達5人に続きまた新たにオリキャラを作る予定ですのでお楽しみに!