それではどうぞ。
「アンタ女子サッカー部のコーチをやってみない?」
この従姉の口からから放たれた爆弾発言に対し、しばし呆然と立ち尽くしていた俺だったがようやく我に戻ることが出来た。
「はあっ!?冗談も程々にしてくれよ。なんで俺がそんな面倒くさい事をしなくちゃなんねーんだよ!!」
俺がそう言い返すと、唯香は
「面倒くさい?アンタ今、サッカー部1年間の休部になってんじゃん。全然忙しくともなんともないでしょ?」
俺と母親しか知り得ない事も踏まえて言い切った。
「っ!!どうしてアンタがその事を...?」
「チッチッチ。アンタが隠し通そうとしてることなんてぜーんぶお見通しなのよ。まあもっとも、こうして私がアンタの情報を知ることが出来るのも、口の軽い誰かさんのおかげでもあるんだけどね♪」
クソ、母さん、あれほど唯姉辺りには絶対に休部の事言うな、って言ってたのに...悔しがる俺を尻目に
「で、結局コーチはやってみるの?やらないの?出来ることならやってみないというよりやってほしいっていうのが本心なんだけど。」
唯姉がこう迫ってきた。
「何で俺なんだよ。俺以外にも大学時代の同級生なり友達なり他にたくさん当てがいるだろ?どうして俺なんだ?」
「アンタじゃなきゃダメ。ううん、蒼也じゃないといけないの。だって蒼也は小さい頃からずっとサッカー一筋で過ごしてきたし、サッカーを生きがいとしてきた。だから中学の時も全国大会で準優勝したし高校でも1年生ながらレギュラーとして夏と冬の大会で2冠達成にMVPも取ったんでしょ!?これほどサッカーに精通して、サッカーをよく知る人間は他にはいない。逆に言えば蒼也ぐらいしか頼れる相手がいないの!!だからお願い、あの子達を助けてあげて!!」
どこか、悲痛な感情を抱きながら漏らした言葉には何故か胸が痛む思いがした。あの子達、というのはきっと唯姉が受け持つ女子サッカー部のメンバー達のことなのだろう。
「それでも...無理だよ、俺には。俺はサッカーに夢中になりすぎた。きっと今回の1年間の休部も神様が俺に与えた罰なんだよ。いい機会だし、俺はサッカーをやめる。」
刹那、今までとぼけた顔をしていた唯姉が急にキッと目を鋭くさせ、いきなり俺の胸ぐらを掴んで近くの壁に俺の体を強く押し付けた。
「っ痛え!!てめえ、いきなり何すんだよ!!」
「とぼけんのも大概にしろ。何がサッカーやめるだ?はっ、たかが1年部活が休部になったぐらいで自分の夢に諦めつけるなんて可哀想なヤツだねえ、お前は。」
さすがにイライラが積もった俺も
「ざけんな!!てめえに俺の何が分かる!もういいんだよ、サッカーやるのも何か冷めたしもうする気力すらねえんだよ!!」
「それでも、逃げちゃダメ。」
激昂する俺に対し、唯姉はそっと呟いた。
「蒼也、アンタはサッカーから逃げちゃダメ。アンタはサッカーをこれからも続けるべき人間なんだ。今ここで逃げたら、アンタ社会に出ても一生負け犬のままだよ。」
何も反抗せず、ただ唯姉の言うことを俺は黙って聞き続ける。
「なあ蒼也、1週間だけでいい。1週間、あの子達のことを見てやってほしい。1週間やってやっぱり無理って思ったら、もうコーチはしなくていい。だから、1週間コーチをやって。お願い!」
ここまで散々言われたら男としてのプライドもすたるし、まあ1週間程度なら見てやってもいいかな。俺は自分自身に言い聞かせて、決断を下した。
「1週間だけだぞ。それ以上続けるか続けないかは俺自身で判断する。」
こうして俺、梅崎蒼也はサッカーコーチとして新しいサッカー人生をスタートさせた。
はい、これで蒼也がサッカーコーチをすることがようやく無事に決まりました。次回は女子サッカー部の事情についてオリジナルストーリーを作成する予定ですのでお楽しみに!
そしてプロフィールを見ている方はお分かりと思いますが作者は現在、現役バリバリの高校2年生ですので更新が遅くなることが多々出てくると思いますがそこはご了承下さい。
それでは今日はこの辺りで失礼します!!