シュウきゅーぶ!   作:蒼葉 楓

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どうも皆さんこんにちは、瀬良です。
最近朝晩めっきり冷え込んできましたが体調にはくれぐれもご注意下さい。
それでは本編へどうぞ。


第6話 初練習

バタン、とドアを閉めた。

.....何だろう、前にもあったよね、こんな展開。

 

俺は今しがた起こった出来事を今一つ納得できずにいた。もう一度整理をしてみよう。

俺の目が正しければ確かにドアを開けた瞬間5人のメイド服を着た少女達が俺の方を向いていたと思うのだが...幻覚だろう、そう幻覚に違いないな。

最近俺も俺自身にとっちゃクソみてえな従姉に散々振り回されたあげく今日もここまで連れてこられたからな、きっと疲れが溜まって幻覚を見てたに違いない。

俺は自分にそう納得させるともう一度気持ちを切り替えて再びドアのぶに手を掛け、思いっきりドアを開けた、するとそこには

 

『お帰りなさいませ、ご主人様!!』

 

俺の願いを打ち砕くかの様に先程のメイド服を着た5人の少女達が俺を見つめていた。

そして先程俺に向かって発した台詞を一言一句違わず言い切った。

.....ごめんなさい、僕には理解できないです。

 

俺が心の中で呟いていると、突然俺のもとに5人の少女達の中でリーダーらしき?眼鏡をかけた長髪の少女が歩み寄ってきた。

 

「あのー、気に障ったのでしたら謝りましょうか?私たちも少し張り切り過ぎてこんな格好になってしまいましたので...」

 

申し訳なさそうだったので俺は少し口調を和らげて答えた。

 

「いや、全然大丈夫だよ。まあできることならそのメイド服、かな。着替えてきてくれないかな?あ、あとその『ご主人様』っていうのは言うのをやめてくれると助かるんだけど..」

 

すると少女達は一斉に輪になり何やら話を始めたが、結論が出たのか俺の方を向いて、

 

『わかりました、お兄ちゃん!!』

 

.....どうしよう、誰か助けて下さい。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

あのあと彼女達が着替えを完了させるまで俺はいったん部室の外へ出た。そして何分か経って中から再びどうぞー、という声がかかったので俺はドアを開けた。

見ると、5人ともまだ練習着等が支給されていないのだろう、慧心の体操服を着ていた。

そんなこんなで俺は自己紹介を始めた。

 

「えっと、もう唯姉..じゃなかった、七瀬先生からも話があったと思うけど、自分が七瀬先生の従弟の梅崎蒼也です。コーチをするのは初めてだし、まあ1週間っていっても1日おきでコーチをする訳だから数回くらいしか指導ができないけど、どうぞ1週間宜しくお願いします。」

 

俺が自分の自己紹介を終えると、彼女達はパチパチと拍手を返してくれた。

 

小学生から拍手されるって結構くるなあ...

 

俺がそう思っていると、今度は彼女達の方が自己紹介を始めた。

 

「け、慧心学園初等部6年、湊智花です!」

 

「同じく、三沢真帆でーす!!」

 

「改めまして、永塚紗季です。」

 

「ひなた。袴田ひなた。」

 

「か、香椎愛梨...です。」

 

全員の自己紹介が終わると、突然俺の肩にツインテール姿の三沢真帆さんが飛び乗ってきた。

 

「ねーねーそうやん、練習しないの練習?練習しようよ!」

 

そうやんって...俺のことか?

少なくとも年下、特に小学生辺りからアダ名呼ばわりってのも結構くる。

 

「そ、そうだね真帆さん。じゃあ練習場へ行こうか?」

 

「さん付け禁止ー!!ちゃんと名前で呼ぶように。」

 

「わ、分かったよ真帆。」

 

「おーしっ、そんじゃみんな、行くぞお!」

 

真帆はそう告げると、俺の肩からピョンと飛び降り、そのまま紗季達がいる方へ戻っていった。

しかし今度はボブカット姿の湊智花が俺のもとに緊張した顔つきで寄ってきた。

 

「あ、あの...梅崎蒼也選手..ですよね?今年の冬の選手権と去年の夏のインターハイでMVPを獲得したっていう。」

 

「ああ、そうだよ。」

 

俺がそう答えると智花はパアッと明るい表情を見せ、少し興奮気味に話しかけてきた。

 

「大ファンなんです私!!七瀬先生から話を聞いてもしかしたら、ってずっと思ってたんですけど...うわあ、本物だあ...あ、後でサインとか頂いても良いですか?」

 

俺のファンがいるとは思ってもいなかったが少なくとも凄く嬉しかったので、

 

「うん、サインくらいだったら全然大丈夫だよ。じゃあ今はとりあえず練習場へ行こっか?」

 

「はい!ありがとうございます。」

 

それから練習場へ向かう間、俺と智花は終始インターハイやら選手権の話で盛り上がった。

 

「へえ、ちゃんと人工芝のグラウンドなのか。」

 

唯姉から聞いていた限りでは小学生の女子サッカーは基本的に大会でも怪我を考慮して、人工芝のグラウンドでプレーをさせるらしい。そのため慧心の様な私立校でも同様に安全第一を考えて人工芝を設置しているのだそうだが、俺自身も強豪校でプレーをしてるぶんそこまで驚きはしなかったが...まあスゲえな、私立校。

そうこう思っている内にグラウンドの近くにあるポール型の時計は午後の4時を回っていた。

 

「よし、じゃあもうあんまり時間がないから今日はパスとシュート練習をしよう。まずはパスから。じゃあ2組になって早速やろう。」

 

振り分けの結果、真帆と紗季、ひなたと愛梨、そして残った智花は俺と一緒にパスをすることになった。

智花とパスをしている間、俺は智花以外の4人の様子を見てみた。

まず真帆と紗季だが、この2人はボールに慣れているのかまずまずといった所か、様になっていた。真帆はまだトーキックで蹴っていたのが目立ったがこれからの練習次第ではきっと上手くなっていくだろう、紗季はボールも足の裏で止めたり、ちゃんとインサイドでパスを出していて安定感がある。走力を身につければボランチで活躍できる日も遠くはないだろう。

俺はそんな監督の様な考えを既に抱いていた。

お次はひなたと愛梨だが、2人ともまだあまり蹴った回数も少ないのだろう、蹴り方もまだ両腕を前に出したまま蹴るような感じだった。ひなたはそこそこ良い方だが愛梨はボールが来たらあたふたしていたのでまずはボールに慣れていく必要があるだろう。

そして智花だが、この子はこの5人の中では格段に上手い。パスも正確なら、遠距離のパスもインステップでしっかりと返すことができる。

これは凄い才能を持った子かもしれない、と俺が思っていても当の本人は、

 

「あ、憧れの梅崎選手と一緒にパスしてるんだ..えへへ。」

 

どうやら少し上の空だったようだが、とにかく凄い存在を発見だ。

 

続いてシュート練習をする為にゴール前まで5人を連れてきたが、俺が彼女達の正面に立って、そこからボールを出してそれをシュートさせる様な形になったが、真帆と紗季はシュート力の方も中々強く、高確率でゴールネットを揺らしていた。

一方やはりひなたと愛梨はまだシュート力も弱く、愛梨はボールが違うところへ飛んでいったりもしたが、まあそこは仕方ない。これからの中で鍛えていくしかない。俺は心の中でそう決めた。

しかし智花はこのシュート練習もそつなくこなし、左右両方でシュートを出来るというまたしても驚くべき才能を発揮していた。

初日の収穫にしちゃ、凄く意義のある1日だった。そう考えていると先程見た時計の針は午後の5時前を指していた。

 

「よし、そろそろ辺りも暗くなるし今日はここまでにしよう。さあみんな、片付けに入って!」

 

俺がそう告げると、彼女達は不満気ながらも各々片付けに入っていった。

ふと目をやると、やはり少し物足りないのだろう、智花が1人ボールを抱えたまま、ペナルティエリア手前で立ちすくんでいた。

瞬間、智花はボールを前に置いて、ボールと距離をおいた後、思いっきり助走を始め右足を振り抜いた。

 

ゾクリ、と寒気が走った。智花が蹴ったボールは美しい軌道を描きながらゴールへと吸い込まれた。

 

「ごめん、智花!今のもう一回見せて!」

 

「ふえっ!?」

 

気づけば俺は智花のもとへ夢中で駆け出していた。

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
ちょっとストーリーがスローペースですいません。
これからは少しずつペースを上げるようにします。そしてオリキャラも直に登場します、ぜひお楽しみに!

感想頂けたら嬉しいです。こちらも宜しくお願いします。それではまた。
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