なんでこうなるの?   作:とんこつラーメン

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前回の予告通り、今回は魅惑(?)のお風呂回です。

美少女達の艶姿をどうぞご堪能あれ。






また気苦労が増える・・・

 な…ななななななななんでシャルロットがここにいるんだよ!?

 確かに原作でも大浴場に乱入するシーンはあったけど、あれは一夏に対してでしょ!?

 君のお目当ての一夏君なら、とっくに上がって自室に帰ってますけど!?

 

「えっと……そっちに行ってもいいかな?」

「!!?」

 

 私は反射的に顔の下半分までをお湯の中へと沈めた。

 え…え~と……何か考えろ私~……!

 

「そ…その前…に……お湯…で体…を流し…た方がいい……よ……」

「あ。それもそうだね。ごめん」

 

 よし! これで少しは時間を長引かせて……

 

(……いや。これって全くもって根本的な解決になってないじゃん)

 

 事態の先延ばしをするなんて、私はいつから一夏のような思考になった?

 アイツに私も毒されてきたかな?

 

 私が頭の中で思考を巡らせていると、視線の先でシャルロットがお風呂椅子に座ってから洗面器に溜めたお湯で体を流している光景が映った。

 

(……綺麗な肌をしてるな~……)

 

 私とは雲泥の差だ。

 同じ女子として、なんとも羨ましい限り。

 

「流したよ。今度こそそっちに行ってもいい?」

 

 なんかもう断れない空気になってるんですけど~!

 ここで下手に断っても後々が怖いし……。

 

「う…ん……」

 

 ここは敢えて返事をして、その後で彼女から離れれば無問題!

 

 案の定、シャルロットは湯船に入る際に私の傍に来たけれど、すかさず私は前方を向いた体勢のままで移動を開始。

 1mぐらい離れた位置に行き、そこでいつ上がろうかとタイミングを計る事に。

 

(丁度いいのは彼女が余所を向いている時なんだけど……)

 

 ちょこっとだけシャルロットの方に視線を向けると……

 

「思ったよりも熱いんだね……。でも、これぐらいなら大丈夫かな?」

 

 私から視線を逸らす気ZEROなんですよね。

 もうなんつーか、こっちのことを射抜かんと言わんばかりに凝視してまんがな。

 

「……なんで弥生は僕から離れるの?」

「別…に……」

 

 こっちにはこっちの事情があるの!

 君は気遣いが出来るいい子でしょ!? お願いだからそれぐらいは悟って!!

 

 このままなんとかしてシャルロットが出るのを待とうと思うけど、その前に私が逆上せてしまいそう……。

 早く根負けして欲しいと言うのが素直な気持ちだ。

 

(って!? なんでこっちに来る!?)

 

 そんな私の願いも空しく、シャルロットは湯に浸かったままで私の方に向かってきた。

 勿論、こっちだってそのまま黙っているわけじゃない。

 彼女に動きに合わせて私も移動して、着かず離れずの謎の競争が始まった。

 

「なんで近づいて来てくれないの!?」

「なんで……でも……」

 

 そっちこそ、なんで私に近づきたがる!?

 

 そんな攻防戦を繰り広げていると、いつの間にか私は角まで追い詰められていた。

 

「もう逃げられないよね~?」

「うぅ……」

 

 まさか、彼女がここまで執念深かったとは……。

 精神的な面だけで言えば、地味にスパイ向けだったりするんじゃないのか?

 

 ジリジリとこっちに距離を詰めてくるシャルロット。

 どうするどうするどうするどうする!?

 頭の中で必死に打開策を考えている間に、もう目と鼻の先まで来ていた。

 

「そんなに逃げなくてもいいの……に……?」

 

 あぁ……とうとう見られてしまった……。

 ここまで近づけば、嫌でも分かるよね……。

 

「や…弥生!! この沢山の傷はどうしたのさ!?」

「……………」

 

 その問いに対する答えを私は持ち合わせてはいない。

 何故なら、この傷に関する記憶が無いから。

 

「あ……ゴメン。僕は別に弥生を責めるつもりじゃ……」

「気にして……ない……」

 

 この傷を知った大抵の奴が同じような反応をする。

 一夏なんかがいい例だ。

 

「この傷……について……は私……もよくは知らない……の……」

「どういう事?」

「私……はおじいちゃん…に拾わ…れた子…供…だから……」

「拾われた……!?」

「うん……。拾われる前……の事は…全然覚え…てなく…て……、この無数…の傷跡……はその時…からあった……って聞いて…る……」

「聞いてるって?」

「当時……の事…は曖昧…にしか…覚えてない……から……」

「そっか……」

 

 あの頃はまだ私も幼い幼女にしか過ぎなかった。

 誰だって、自分の幼少期の詳しい出来事なんて事細かに覚えていないでしょう?

 それと同じだよ、きっと。

 

「弥生の肌はとても綺麗なのに……どうしてこんな…………っ!?」

 

 シャルロットが私に手を取りながら悲しそうに俯くが、その指先を見た途端に息を飲んだのが分かった。

 

「これ……爪が……」

「うん……全部剥がれ…てる…んだ……足の爪…も……」

 

 爪切りいらずのこの体ってか?

 最初は私も驚いたけどさ、慣れればどうって事無いんだよね。

 いざとなれば付け爪とかすればいいし。

 それ以前に、私はネイルアートとか微塵も興味無いんだけど。

 

「もしかして……普段から前髪で隠している顔も……」

「分かっちゃう……よね……」

 

 ここはお風呂だから、私も全ての前髪をかき上げている。

 今まで顔半分が見えていなかったのは、位置的な問題だ。

 だから、私は自分の『素顔』が見えるように正面を向いた。

 

「醜い……よね……これ……」

 

 顔の左半分が完全に焼け爛れて、左目はその機能を失っている。

 故に、私は右目だけでしか物を見る事が出来ない。

 これにもすっかり慣れてしまったけど。

 

「目は……」

「見え…ない……」

 

 こんな気色悪い物をいつまでも年頃の少女に見せるのは忍びない。

 少し水分でべたつくのは承知の上で、前髪だけを元に戻した。

 

(嫌われたかな……。いや、これがきっと正しいんだ。私は少しだけ自分の身の安全を保障されて、彼女も愛しの一夏の方に行く。これでよかったんだよ、うん)

 

 こうして全てを見られてしまった以上、ここに長居をする理由は無い。

 早く上がって部屋でのんびりしよう……と思っていると、なにやらポタポタと水面に水滴が落ちている音が聞こえた。

 

「う……うぅぅ……」

「え…えぇ……?」

 

 な…なんでシャルロットが泣いてるの!?

 私は別に彼女を泣かせるような事はしてないよね!?

 

「どうし…て泣いて……」

「弥生が泣かないからだよぉぉ……」

 

 は? 意味不明ですけど?

 

「グス……弥生は女の子なんだよ……? 十代の女の子が全身にこんな傷跡を持っていたら、普通はどうにかなっちゃうよ……。それなのに、どうして弥生はそんな風に笑っていられるのさぁ……」

 

 え? 私……笑ってた? 自覚無かったわ~。

 

「片目が見えなくて、爪も無くて……しかも拾われたって……弥生の方が僕よりもずっと酷い目に遭ってるじゃないか……」

「そう…かな……」

 

 少なくとも、今の私は幸せな方だと思うんだけど。

 おじいちゃんに拾われて、学園ではラウラや本音や簪達もいる。

 普通に考えて、これだけでも充分でしょ。

 

「泣いていいんだよ? こんな体なんて嫌だって言っていいんだよ? 滅茶苦茶に悲しんでもいいんだよ? 誰も何も文句なんて言わない。それなのに……どうして弥生はそんなにも……」

 

 どうしてと言われましても。

 今更になって悲観するとか、したくても出来ないんですけど。

 ほんと、慣れって恐ろしいね~。

 

「他にコレを知ってる人っているの……?」

「織斑先生…と山田先生……それと……保健…の佐藤先生……後は……」

「後は?」

「一夏……」

「一夏も!?」

 

 驚くよね、うん。分かるよ~…その気持ち。

 

「なんで男子である一夏が弥生の体の事を知って……ハッ!? まさか……」

 

 ん? いきなり犯人が分かった名探偵みたいな顔をしてどうした?

 

(僕の時と同じように、ラッキースケベで弥生の裸を見たんじゃ……)

 

 お…おぉ……シャルロットの顔が段々と険しくなっていくんですけど……。

 

「弥生……僕、決めたよ」

「何…を……?」

「僕、弥生の体の事を誰にも話したりしない。お墓まで持っていくよ」

 

 いきなり凄い事を言いだしたんですけど!?

 それって死ぬまで言わないって事だよね!?

 いや…私としては嬉しい限りだけどさ、いつかは皆にも話さなくちゃいけないと思っているわけでして……。

 

「そして、弥生が僕の事を助けてくれたように、今度は僕が弥生の事を助けるから!」

「そ…う……」

 

 としか言えないです。はい。

 

「弥生の辛い事は……僕も一緒に背負っていくから……」

「あ……うん……」

 

 泣きながら裸で抱きしめられると、なんにも出来ないんだよね……。

 と言うか、今、私達の体って大変な事になってる自覚ある?

 私とシャルロットの胸が互いに押し潰しあってるんだよ?

 

「ん………!」

 

 ち…乳首同士が擦れ合って……!

 なんか暑苦しくなってきたから、割とマジで離れて~~!!

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「あ……ははは……その~……ごめんね?」

「だい…じょぶ……です……」

 

 嘘です。

 実は密かに乳首で感じちゃいました。

 

「あの……」

「ん? なに?」

「どうし…て……大浴場…に……?」

「そう言えば、まだ言ってなかったね」

 

 こっちも地味にパニくってたから、ここに来た理由とか経緯とか聞くのをすっかり忘れてた。

 

「さっき寮の廊下で弥生が山田先生と一緒に大浴場に歩いて行く姿が見えたからさ、慌てて部屋に戻って準備をして後を着けたんだ」

 

 お前もストーカーさんにジョブチェンジですか。そうですか。

 よく山田先生に気が付かれなかったな……。

 

「まだ弥生にちゃんとお礼を言ってないなって思って、それでここまで来たんだけど……」

 

 お礼……ね。別に礼を言われるような事って何もしてないじゃん。

 あの問題に関しては、私達が関与しなくても自然と解決していたみたいだし。

 

「僕がお父さんの事で取り乱しそうになった時、弥生は僕の事を優しく抱きしめてくれたよね……」

 

 そんな事もありましたね。

 

「その後も、僕がお父さんたちと話している最中もずっと傍にいてくれて、頭まで撫でてくれた……。あの時さ……凄く嬉しくて、安心したんだ……」

 

 アレは私も自然と『そうしなくちゃ』と思ってやったことだからなぁ~。

 あの程度の事で喜んで貰えたなら、こっちとしても嬉しい限りだけど。

 

「本当にありがとう……。弥生達がいてくれたから、僕はお父さんたちと仲直りが出来た……」

「どう…いたしまし…て……?」

 

 お礼を言いながらもシレっと私にまた抱き着いてくるのは勘弁して貰えませんかね?

 しかも、今度は私の胸に顔を埋めるような格好で。

 

「こうしてるとさ……なんだか凄く心が安らぐんだよね……。まるで、お母さんにギュッてされてるみたい……」

「同級生……なんで…すけ…ど……」

「分かってるって。ふふふ……」

 

 少なくとも、私はこんな大きな子供を持った覚えはありません。

 子供を持つならラウラだな、うん。

 いや、同時に本音や簪のような子供も一緒に欲しいかも……。

 あの三人のお母さんなら喜んでなるね!

 因みに、山田先生はお姉さん枠ね。これは確定。

 

「ボーデヴィッヒさん……ラウラともいつもこうして寝てるの?」

「一応……」

「そっか……羨ましいな……」

 

 そんな事を言われても困るんですけど。

 これが本音や簪なら寧ろ大歓迎なんだけどね。

 

「そう言えば、今日の試合……想像以上に弥生って強かったよね? どこかの施設とかで本格的な訓練とかしてたの?」

「そう…じゃない……けど……基礎的…なことな…ら一通り…は……入学前…に勉強…した……程度……だよ……」

「って事は、今日は正真正銘の初めての試合だったんだ? それにしては動きが滑らかだったような気がするけど……」

「ラウラ…との訓練…の成果……が出てるお蔭…かも……。それ…に……簡単…な護身術……を習ってる……から……」

「成る程ね……。ちゃんと基礎が出来てるから、応用も簡単に出来るんだ。弥生の頭脳なら楽勝だろうね」

 

 前々から思ってたけど、いつの間にか私って皆の中で『秀才キャラ』になってない?

 いやね、自分でも人並み以上に勉強を頑張っている事は認めるけど、そこまでずば抜けて頭がいいわけじゃないから。

 今回の作戦だって、原作知識があって初めて成立したようなもんだし。

 それが無かったら、今頃は原作みたいになってたに違いないよ、きっと。

 

「あの……そろそろ……」

 

 本格的に頭がボ~ッとしてきた。

 これは割と本気でヤバいのでは?

 

「そ…そうだね! そ…それじゃあ頭とか洗っちゃおうかな!?」

 

 慌てて湯船から立ち上がったシャルロットは、ギクシャクしながらお湯から出た。

 なんだか足元を滑らせそうで心配だよ……。

 

「ちゃんと待ってて…よね?」

「ん……」

 

 はいはい。ちゃんと待ってて上げるから、早く洗ってしまいなさいな。

 私は体を少しだけ出して半身浴モードになるけど。

 

 それからシャルロットはキチンと体と頭を洗って(途中から私に頭を洗ってほしいとお願いしてきた)、更に10分ぐらいだけ湯船に浸かってから、大浴場を後にする事にした。

 頭を洗ってあげてるとき、シャルロットが満面の笑みを浮かべてたんだけど、そんなに誰かに頭を洗って貰う事が嬉しかったのかな?

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 頭と体をちゃんと拭いた後、私達は一緒に着替えてからホコホコの状態で大浴場の更衣室を出て、廊下を窓を開けて夜風に少しだけ当たる事に。

 

「ラウラが保健室にいるって事は、今晩は部屋に弥生一人だけって事?」

「そうな…るね……」

 

 寂しいけど、こればかりは仕方が無いのよね。

 まぁ、一晩だけの辛抱だ。

 

「そ…それじゃあさ……」

「???」

 

 なんだかイヤ~な予感がするけど……。

 

「今日だけ……僕が弥生の部屋に泊まりに行ってもいい……かな?」

 

 なんとなく、この発言を予想出来た自分が嫌いです……。

 どうしてそんな風な発想に至るんですかね……?

 

「ぼ…僕の部屋のルームメイトもさ……今日は別の子の部屋に泊まりに行ってるんだよね。だから…その……」

 

 分かったよ……分かりましたよ。

 完全にデジャビュってるけど、このようなパターンにおける私に与えられた選択肢は大体が『YES』or『ハイ』しかない訳で。

 

「……先に部屋……で待ってる…から……」

「う…うん! 急いでいくね!」

 

 そこまで急がなくてもダイジョーブですよ~。

 

 その後、シャルロットはデフォルメされた動物が描かれた可愛らしいパジャマを着てから、嬉々とした顔で部屋までやって来た。

 なし崩し的に互いの髪をドライヤーで乾かしあってから、何故か一緒のベッドで寝ることに。

 ……一人で寂しく寝るよりかはずっとマシだけど、どうして私に抱き着いてくるのかな?

 君はそんなにもハグが大好きな女の子だったか?

 

 ……人肌と疲れの相乗効果もあってか、気持ちよくぐっすりと熟睡出来た事は否定しないけどさ。

 そこだけは私も感謝してるよ……シャルロット。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっとだけアダルトな表現もありましたけど、それはご愛嬌。

案の定、シャルロットにも体の傷がバレてしまいました。

彼女もこれから秘密を共有する仲になりましたね。

これで少しは弥生からの好感度もアップする……かな?
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