なんでこうなるの?   作:とんこつラーメン

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レゾナンスデート後半戦です。

三人のお買いものはどうなるのでしょうか?






今度こそのんびりと

 水着専門店にて水着を選んでいる最中に箒達が船婆さんに返り討ちに遭ったり、途中で織斑先生達がやってきたり、弥生の財布からブラックカードが飛び出したりと、驚きの連続だったけど、僕達は無事に当初の目的である水着をゲットすることが出来た。

 

 水着を買ってから織斑先生達とは別れ、箒達はまだあそこで意気消沈しながら真っ白に染まっている。

 先生達は放っておけって言ってたけど、本当に大丈夫かな~?

 

「もぐもぐもぐ……」

「なんと……! このスピードは尋常ではない……!」

 

 そんな僕達は今、昼食を食べる為にレゾナンス内にあるお食事処『衛宮』に来ていた。

 僕は箸の使い方の練習も兼ねて焼き魚定食を、ラウラはオムライスを注文していた。

 そして、肝心の弥生はと言うと……

 

「あの『超大盛りビビンバ』をこうも簡単に食べていくとは……!」

「ねぇ……見た感じ、あの子って私達と同年代よね? あの細身の体の何処にあれだけ入る訳?」

「私に聞かれても知らん!」

 

 厨房にいる褐色肌で白髪のお兄さんと、赤い服を着た黒髪のサイドテールの女の子が何か揉めてるけど、そんな事にはお構いなしと言わんばかりに弥生は箸を進めていく。

 

「これほど気持ちのいい食べっぷりを見たのは初めてです! 私も負けてはいられません! 士郎! お代わりをお願いします!」

「まだ食うのか!?」

 

 って言うか、弥生の隣で食べている金髪くせっ毛の女の子も同じぐらいの量のカレーをバクバクと平らげてるんですけど!?

 あれ? 僕がおかしいのかな? 今時の女の子ってあれぐらいをペロリと食べるのが当たり前なの?

 そんな事は無いよね? だって、厨房にいるもう一人の男の子だって凄く驚いてるし。

 

「あの姫様に追従する人間がこんな場所にいようとは……! 世の中とは存外、狭いのもだな」

「そこ、感心するところじゃないからね?」

 

 ラウラはラウラで変な事を言ってるし~!

 

「あの少女……いいですね……」

 

 しかも、あの紫の長い髪の背の高い眼鏡を掛けた美人さんが弥生にロックオンをしたし~!

 なんなの~!? このお店は~!? 確かに料理は最高に美味しいけど、店員さんが個性的すぎるよ~!

 

 僕が内心でツッコみをしまくっている内に、弥生は目の前にある巨大なビビンバの容器を空にした。

 

「御馳走様……でし…た……」

「本当に食べちゃった……」

「素晴らしい食べっぷりでした。感服です」

「どう…も……」

 

 なんか変な友情が誕生しちゃったし……。

 弥生と金髪の子が実にいい笑顔で握手を交わしているよ……。

 

「今回は完全に我々の敗北だ。見事だった、伝説の少女A」

 

 お店に入った時から気になってたけど、『伝説の少女A』って何?

 まさかとは思うけど、弥生の事じゃないよね?

 

「だが、いつの日か必ずリベンジはさせて貰おう。またいつでも食べに来るといい」

「ありがと…う…ございま…す……」

 

 弥生はこうやって、色んなお店の大食いチャレンジメニューを次々と制覇していってるんだな……。

 『伝説』なんて呼ばれるのも納得だよ……。

 

 その後、僕達もちゃんと食事を終えてから、お店の人達全員に見送られながら、その場を後にした。

 ……こんなにも気まずいお昼ご飯……初めてだよ……。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 人生初めての別の意味で胃が痛むお昼ご飯を食べてから、僕達は午後からの目的地であるファッションショップに足を運んでいた。

 

「凄いね……見渡す限りのブランド物の服が並んでるよ……」

 

 レゾナンス…と言うよりは、日本で揃わない物は無いんじゃないかと思わせる程に、この店に並べられている商品は凄かった。

 これが経済大国日本……!

 

「僕と弥生で決めて行こうか?」

「ん」

 

 僕の言葉に頷きながら、弥生はその手に持っていたジャンボクレープの最後の一口を口に入れた。

 さっきあれだけ食べたのに、どうしてまだ入るのさ……。

 本人曰く『食後のデザート』らしいけど……。

 

「わ…私に似合う服など本当にあるのだろうか……」

「大丈夫」

「姫様?」

「ラウラ…は可愛い……から…どんな服…もきっと似合う……よ……」

「!!?」

 

 あらら。ラウラの顔が真っ赤になっちゃった。

 無理も無いけどね。僕だって、弥生にあんなセリフを言われた同じように照れちゃうよ。

 

 弥生がラウラの手を引くようにして、お店の中へと入っていくことに。

 

「見て……あの子達……」

「あの金髪の子、かなりの美少女ね……」

「銀髪の小っちゃい子、すっごく可愛い~♡」

「その子と手を繋いでる子も相当な美人ね……。顔もいい、スタイルもいい。何より……」

「全身から溢れ出している『お母さんオーラ』は、それだけで彼女が並の美少女じゃないって証明しているわ……」

 

 なんか僕達……注目されてる?

 でもそっか。IS学園から来る人間が多いとは言え、まだまだ日本人にとって海外の人間は珍しい存在なんだろう。

 逆の立場なら、僕だって似たようなリアクションをしただろうし。

 彼女達の気持ちはとてもよく分かる。

 

「どれがいいかな?」

「う~ん……」

 

 弥生と一緒になって、ラウラに似合いそうな服を探す。

 ラウラは普段からスカートを全く穿かないから、ここはスカート系を中心に探す事にしよう。

 今回も思ったけど、ラウラは彼女が思っている以上にスカートがよく似合う。

 しかも、いつもはズボンばかりを穿いているから、そのギャップでインパクトも絶大だ。

 

「「これ」」

 

 僕と弥生が悩んだ末に決めたのは、似たようなデザインのワンピースで、違いがあるとすれば色だけだった。

 僕が選んだのが白いワンピースで、弥生は黒いワンピース。

 きっと、専用機の色で決めたんだろう。

 

「ラ~ウラ♡」

「試着……お願…い……」

「うぐ……! 本当ならば断わりたいが、姫様とシャルロットの頼みとあれば断れない……」

 

 あっけなく観念したラウラは、僕達がそれぞれに選んだワンピースを持って試着室へと入っていった。

 

「あ…あの、お客様?」

「「ん?」」

 

 いつの間にか店員さんが近くまで来ていて、数着の服を手に持っていた。

 

「お二人にはこれ等なんかがよくお似合いかと」

 

 どうやら、僕達に商品を見繕ってきてくれたようだ。

 

「後で是非とも試着をしてみてください。きっとお似合いになりますよ!」

「あ…ありがとうございます」

 

 心なしか笑顔が眩しい気が……。

 

「き…着たぞ……」

「ほんと!? 見せて見せて!」

 

 試着室のカーテンが開かれると、そこには僕が選んだ白いワンピースを着たラウラが羞恥心に悶えながらそこに立っていた。

 

「「「可愛い!」」」

 

 もう、お世辞とか抜きで本当に可愛いよ!

 僕の見立てに間違いは無かったね!

 

「どう?」

「悪くは無い……とは思うが……」

「思うが?」

「制服以外の白い服と言うのは……あまり慣れないな……」

 

 う~ん……僕はいいと思うんだけどな~……。

 けど、本人の好みを無視するのは一番いけない事だし……。

 

「今度は姫様が選んだ方を着てみる……」

 

 素早くカーテンを閉めると、中からゴソゴソと着替える音が聞こえた。

 

「白も似合うと思ったんだけどな~……」

「着慣れている色と言うのもありますからね~」

 

 それもそっか。

 普段から暗い色の服を着ている人が、いきなり明るい色の服を着たら違和感しかないもんね。

 

「弥生には敵わないなぁ~……」

 

 弥生はラウラとルームメイトってだけじゃなくて、ちゃんとラウラの事を心から分かっている。

 なんとなくだけど、そんな気がする。

 

「よ…よし……完了だ……!」

 

 着替え終わったラウラが再びカーテンを開ける。

 

「「「おぉ~……」」」

 

 白が黒に変わっただけなのに、凄く違和感なしに似合っている。

 可愛いのはそのままに、ラウラの白い肌と銀色の髪、黒いワンピースが見事なコントラストを描いていた。

 

「ラウラ自身はどうなの?」

「う…うむ……。矢張り、白い服よりは黒い服の方がいいな……。それに……」

 

 スカートの裾を掴みながら、ラウラが可愛らしくはにかんだ。

 

「姫様が選んでくれた服……だしな……」

 

 だよね~。

 弥生に言ったら恥ずかしがるだろうけど、ここはこの言葉が相応しいと思う。

 

「母は強し……か」

「え?」

 

 こりゃ、最初から僕よりも弥生が選んだ方がよかったかもしれない。

 その代わり、僕が弥生のコーディネイトをするけどね!

 

「それじゃあ、最初の一着はそれにして、次のを探そうか?」

「な…なんだと!? これで終わりじゃないのか!?」

「勿論。たった一着だけじゃ足りないでしょ?」

「そ…それは……」

 

 僕は弥生とラウラを引き連れて、お店の中をぐるりと回りながら、色々な服を探していった。

 ラウラの服は弥生に任せて、僕は僕で弥生に似合いそうな服探し。

 弥生もスタイルがいいから、どんな服がいいか迷っちゃうよ~。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「沢山買ったね~」

「「う…うん……」」

 

 お店を出ると、弥生とラウラの両手には大きな紙袋が握られていた。

 その中身は当然、二人の為に買った服類だ。

 

「けど、本当に良かったの? またお金を出して貰って……」

「気にし…ない…で…。こういう機…会…でもない…と……使う事…ってない…から……」

 

 そりゃそうだろうね。

 普通、一介の女子高生の財布にブラックカードなんて入っているわけないんだし。

 

「にしても、来た時以上に雲行きが怪しくなってきたね」

「今にも雨が降りそうな天気だな」

 

 なんて言った矢先に、ポツポツと雨が降ってきてしまった。

 

「本当…に降って…きた…ね……」

 

 こんな時は、そこら辺のコンビニで安い傘でも買って……。

 

「傘…を出す…ね……」

 

 弥生が手持ちのカバンの中から小さく折りたたまれた紺色の傘を取り出して、それをバサッ!っと開いた。

 

「って、大きい!?」

 

 なに、この巨大な傘は!?

 僕達三人が余裕で入れるぐらいの大きさがあるんですけど!?

 

「行こう……?」

「う…うん」

「し…失礼します」

 

 傘の中に入って歩き出すと、雨を弾く音が上から聞こえてくる。

 多少の隙間を開いて歩いているけど、それでも全く濡れない。

 日本って、傘一つとってもこんなにも凄いんだな~…。

 

(確かに驚きはしたけど、弥生と相合傘が出来たからいいや♡)

 

 雨が降ると本当なら嫌な気分になりがちだけど、今日ばかりは雨に感謝だね。

 こんな事、これから先あるかどうか分からないし。

 

 そのまま僕達は一緒の傘に入ったまま、モノレールの駅まで歩いて行った。

 こんなにも楽しい雨の日は、生まれて初めてだった。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 地球のどこかにあるとある天災の移動式ラボ。

 そこでは、束が一体のISの最終調整を行っていた。

 

「束さま。少しご休憩をなさってはいかがですか?」

「お! ありがとね~! クーちゃん!」

 

 クロエがお盆に乗せて持って来たコーヒーをグイッと一気飲み。

 

「これが妹君にお渡しすると言う機体……ですか?」

「そうだよ。箒ちゃんは欲しがらないと思うけど、これはどうしても必要な事(・・・・)なんだよね~」

 

 眼前にあるISの真紅の装甲を撫でるように触り、腕を組む。

 

「いっくんも決意を固めて特訓を始めたようだし、着々と『因子(・・)』は揃いつつある」

「そして、束さまの夢を叶える為の最後の1ピースが……」

「この『紅椿』と箒ちゃんだよ」

 

 近くにある椅子にドカッと座ってから、足を投げ出す。

 

「全ての条件と準備が整った時、やっちゃんが私の夢を叶えてくれる」

「弥生様は了承してくれるでしょうか?」

「この場合、やっちゃんの意思は関係無いよ。その時が来れば、自動的に『発生(・・)』するから」

 

 ふとモニターを眺めると、そこにはモノレールの席に座ってから頭を傾けて眠っている弥生の姿があった。

 彼女の膝に頭を乗せるようにして、ラウラも静かに眠っている。

 

「……………」

「羨ましい? 自分の『()』がやっちゃんと仲良くしていて」

「…………そんな事はありません」

 

 そう言ってはいるが、クロエの口はとんがっている。

 

「ふふふ……。大丈夫だよ、クーちゃん。その内、嫌でもやっちゃんに会う日が来るんだから。その時になってから思う存分やっちゃんに甘えればいいじゃない」

「そう上手くいくといいのですが……」

 

 束がその辺に適当に置いてあるポテチの袋に手を伸ばし、一枚掴んで口に入れる。

 

「さて……と! もう一頑張りしますかね~っと」

「では、私はお夕飯の準備をしておきます」

「お願いね~」

 

 奥の部屋に消えていったクロエを見届けてから、束は作業を再開した。

 鼻歌交じりに手を動かす彼女の姿は、どこまでものんびりとしたものだったが、その瞳の奥にはクロエすらも気が付かなかった『狂気』が見え隠れしていた。

 

 篠ノ之束……彼女は一体どこへ向かおうとしているのか……。

 それは、本人しか知らない……。

 

 

 

 

 

 

 




少し時間が掛かりましたが、次回からようやく臨海学校編のスタートです。

ここから一気に物語が加速する……といいんだけどなぁ~……。
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