リーオーNPDを買って、その完成度の高さに地味に驚きを隠せない作者です。
あの値段、あの手軽さであの完成度って……。
ガンプラの進化って本当に凄まじいですね~。
水着に着替えてから弥生に自分の水着姿を披露しようと意気込んでいた鈴だったが、先に来ていた一夏や箒達に先に海に行ってしまったと聞かされて、若干の落ち込みを紛らわせる為に彼女も海でのんびりと泳いでいた。
因みに、箒に指摘されてから、ちゃんと泳ぐ前に準備運動は済ませておいた。
「あ~あ……。若干の出遅れがここまで大きく響くとは思わなかったな~……。つーか、あのインドア派の弥生が海に潜るって、あんまし想像出来ないんですけど」
鈴の中では、弥生は机に座って優雅にお茶を飲みながら高級そうな本を読んでいるイメージが強い。
弥生がお金持ちのお嬢様と知ってからは、特にその傾向が顕著になった。
「ん?」
海水のいい具合の冷たさをその身で感じながら泳いでいると、ふと、足元から何かがやって来るような気配を感じた。
「な…なに? まさか……鮫とかじゃないでしょうね?」
普通、人が泳ぐことを許された海域には鮫などの危険な海洋生物は近寄らないようにしてあるのだが、慌てている鈴にはそれを考える余裕が無いようだ。
「どんどん浮上してくる……! これって逃げた方がいいわよね?」
急いでその場所から移動しようと試みるが、鈴が動き出すよりも早く、海中からの来訪者の方が早かった。
「きゃぁぁぁぁぁぁ………って……アレ?」
バシャッ!っと言う水音と共に現れたのは、専用のゴーグルを初めとした装備を顔に付けた見覚えのある少女だった。
「も…もしかして……弥生?」
鈴の言葉に応えるように、少女はゴーグル類を外して素顔を見せた。
「驚か…せて……ごめん…ね…?」
「う…ううん! 全然気になんてしてないから! 仮にも代表候補生なんですもの。これぐらい、へっちゃらよ!」
なんて言いながらも、さっきまで本気でビビっていたのは何処の誰なのやら。
「なんか言った?」
ナンデモアリマセン。
(あれ? さっきゴーグルを取り外す際に、弥生の顔の左半分がビニール的なヤツに覆われていたような気が……)
既に知っているとは思うが、弥生の顔には非常に大きな火傷の跡が存在している。
幾らダイビングスーツでも顔の傷だけは隠せない。
だから弥生は、普段から彼女が使用している包帯の代わりに、密かに自分専用に作って貰った顔の半分を覆い隠す防水加工のされた顔面マスクを装着している。
これならば、例え海でも顔の傷を隠す事が可能になる。
実に金持ちらしい解決法である。
「それにしても、かなり本格的な装備じゃない? それってプロの人とかも使ってるメーカーでしょ? 前にテレビで見た事があるわ」
「うん……。どう…せ…使うな…ら……丈夫…で長持ちする……のがいい…っておじいちゃん…が言って……これ…を買ってくれ…た……」
「丈夫で長持ちするのがいいのは分かるけど、だからって高級なダイビングセットを買ってあげるなんて、弥生は相当に愛されてるのね」
「そ…それほど…でも……」
(うん。今日も照れる弥生は超可愛いわね!)
僅かな波間に揺られながら、鈴は心の中で照れ顔の弥生の顔を脳内にバッチリと記録した。
「あたしはそろそろ一旦、浜辺に戻ろうと思ってるけど、弥生はどうするの?」
「私……も一度戻ろう……かな……」
「だったら一緒に行きましょ?」
「そうだ…ね……」
結論が出た所で、二人はすぐに浜辺に向かって泳ぎ始めた。
元から運動神経がいい鈴の泳ぎに普通についてこれている弥生。
本人はなんとも思っていないが、これは地味に凄い事である。
「そうい…えば……」
「どうしたの?」
「鈴…の水着……似合ってる…ね……」
「そ…そう?」
普通に返事をしたつもりだが、思わず声が裏返る鈴。
それ程までに水着を褒められたことが嬉しかったのだろう。
鈴の着ている水着は、オレンジとホワイトのストライプ柄のスポーティーなタンキニタイプである。
活発な印象が強い彼女を体現しているかのような水着である。
「や…弥生のそのスーツも似合ってるわよ? かなり様になってる感じ」
「着慣れ…てる…から…ね……」
「って事は、割と頻繁に海に来たりしてるの?」
「中学…の時……は夏休み…に…おじいちゃん……が休み…を取ってくれて……一緒に海…に来てた……よ……」
「家族水入らずで海…か。いいわね~……」
殆ど一家離散に近い状態である今の自分を鑑みて、本当に羨ましそうに呟いた。
その反応を見て、原作知識で鈴の家族の状況を知っているが故に失言だったと思った弥生だが、ここで下手に掘り返せば逆効果だと判断したのか、そのまま何も言わずに会話を続けた。
その何気ない優しさに、鈴はまた弥生に対して惚れこんでいくのだが、その事には全く気が付いていない、鈍感ヒロインな弥生ちゃんであった。
余談だが、浜辺に到着するまでの間、鈴は一度も足を攣らせることは無かった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
浜辺まで辿り着いた私達は、並んで浜に上がる事に。
「少し疲れたけど、気持ちよかったわね~♡ やっぱ、暑い日は海に限るわ~♡」
それに関しては同感。
なんかかんだ言っても、海が嫌いな人間はあまりいないと思う。
だって、全ての生物はこの海から誕生したのだから。
「これからアタシは少しそこら辺の木陰で休もうと思ってるけど、弥生はどうするの?」
「私…も……少しだけ休も…う……かな……」
結構長い間海に潜ってたからな。仮にもう一回海に行くとしても、少しぐらいはインターバルが必要だ。
「そう。あたしはちょっと飲み物を買ってきてから休む事にするわ」
「ん。分かっ…た……」
そう言うと、鈴は自分の荷物が置いてある場所まで小走りで行った。
(さて……と。こっちはこっちで休ませて貰いますか)
丁度、目線の先にいい感じの木陰を発見したから、あそこで体を休める事にしよう。
水かきをつけたままだから歩きにくいけど、足の傷を見せない為に、こればかりは仕方が無い。
「ふぅ……」
背に背負ったボンべなどを外してから、木を背凭れにして座り、ホッと一息。
座った直後にいい風が吹いて、体の疲れを癒してくれる。
「ぬぉっ!? い…板垣さんのあの恰好って……まさかダイビングスーツ!?」
「すごっ!? かなり本格的じゃん!!」
「なんか……すっごい色気があるんだけど……」
やっぱり、この姿は水着だらけの集団の中じゃかなり目立つか。
分かっていても、注目されるのは慣れそうにない。
「ほらよ」
「っ!?」
いきなりほっぺに冷たい感触が。
反射的に振り向くと、そこには爽やかな笑顔を浮かべて、こっちにペットボトルを差出している一夏がいた。
持っているのはスポドリの類のようだ。
「疲れてるんだろ? そんな時はお茶やジュースよりもこっちの方がいいからな」
確かに、疲労した体にはこういった飲料水がベストだけど、なんでそれを一夏が持ってくる? しかも……
(不覚にも、一瞬だけ本気でドキッってなっちゃったじゃないか……)
ほんの一瞬だけとは言え、まさか私が男にときめいてしまうなんてな……。
もう完全に精神が女性寄りになってきてますな。
「隣、座るな?」
おいこらそこ! 私はまだ了承してないのに勝手に隣に座るな!
しかも、距離が近いんだよ! なんでこっちにくっつくように座るんだ!
「海……綺麗だな……」
「そう…だ…ね……」
なんだこの甘ったるい空気は……。
いつから私は青春ドラマのヒロインになった?
それとも、夏の陽気で頭がおかしくなったか?
「でも、俺的には海よりも弥生の方が綺麗だと思うけどな」
なんでそんな歯が浮くようなセリフを普通に吐くんだよ!!
本格的に頭がどうにかなったんじゃないのか!?
「なんて言ったら、弥生はどうする?」
んなこと知るか!!
お前は私をどうしたいんだ!!
「やっぱり、あの二人って付き合ってるのかな~……」
「そうでしょ。じゃなきゃ、あんな風に一緒に座ったりしないって」
「そっか~……。一応、織斑君の事、狙ってたんだけどな~…」
「一応って何よ、一応って」
ほらぁ~! そこら辺でいらぬ誤解が発生してるし~!
と言うか、その手の噂って前にもしてなかったっけ?
もしかして、まだ収束してないの?
それと、私とこいつは一切、全く、全然、これっぽっちも付き合ったりとかしてませんからね~!
まだ君達にも希望はありますからね~!
「はは……なんかカップルに見られちまったな」
「みたい……だ…ね……」
照れくさそうに頬を掻くな!
こっちからしたらいい迷惑なんですよ!
なんか空気が変な感じになってきたので、それを誤魔化すために一夏がくれたスポドリを飲む事に。
「……美味しい」
「だろ? 疲れた時はソレに限るよな」
爽やか笑顔でこっちに笑いかけんな!
女としての本能が働いて……その……照れくさいんだよ!
今すぐにでもこの場を立ち去りたいけど、どうもここに漂う空気がそれを許してくれない。
誰でもいいから、この空気をぶち壊してくれる存在がいてくれれば……。
「あ~! やよっち発見~!」
うをっ!? ほ…本音っ!? いつの間に目の前に!?
「ラウラウたいちょ~! ターゲットを発見しました~!」
「よし! すぐに姫様を保護するのだ!」
「ぶ~らじゃ~!」
「わ…わっ!?」
着ぐるみ装備の本音が私の手を掴み、一緒に来ていたラウラと一緒に私をその場から連れ出してくれた。
去り際に急いでこの場においた道具を持った時に一夏が何かを言っていたけど、あまりよく聞こえなかった。
まさか、私を助けに来たお助けマンが本音になろうとは……。
世の中、一秒後にどうなるか分からないな……。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
本音とラウラに連れてこられたのは、海の家だった。
そこには簪とシャルロットも一緒にいた。
簪の水着は薄い緑と白の水玉模様のワンピースタイプ。
大人しい性格の簪によく似合っている。
「やっと来たぁ~。すぐに海に入っていっちゃうから、ずっと待ってたんだよ?」
「ご…ごめんなさい?」
ちゃんと海に入る旨は伝えた筈なんだけど、なんだろうか……この言い知れぬ罪悪感は。
「先程まで、姫様は織斑一夏と一緒におられた」
「えっ!?」
か…簪? なんでそんなにも驚くの?
「何かされなかった? 胸を揉まれたりとか、お尻を触られたりとか、いきなり抱き着かれたとか」
「な…なんに…も…されてない…よ……」
「ほんと? 言いたくても言いにくくて我慢とかしてない?」
「してない…よ……?」
今日の簪はグイグイ来るな……。
海に来ているから? それともこの陽気だから?
「さっき、あの男にパンツ見られたって聞いたから、心配で心配で……」
あぁ~……そーゆーことね。
「大丈夫だ。確かに一緒にはいたが、本当にそれだけだ。何かをされた形跡は無かった」
「そっか……本当に良かった……」
心配してくれるのは純粋に嬉しいけど、彼女達の中で一夏の株が順調に大暴落していってるな……。
「万が一、あの男が何かをしても、私がすぐに『制裁』を与えるから問題無い」
その『制裁』の内容を詳しく聞きたいけど、怖くて聞けません……。
「それよりも、先程まで姫様は海に潜っておられた。お体を休ませなくては」
「そうだね。弥生、ここに座りなよ」
シャルロットが示してくれたのは、海の家の前に設置された木製のベンチ。
ここもいい具合に木陰に入っているから、休むにはいい場所だ。
別に断る理由も無いから、遠慮無く座らせて貰う。
腰を掛けながらスポドリを一口。
「さっき本音達に聞いたんだけど、その着ているスーツが弥生の大きな荷物の正体なんでしょ?」
「うん……」
「凄いね……。私はあんまりダイビングに詳しいわけじゃないけど、それでも、これが高級品だって分かるよ」
「姫様だからな」
「なんでラウラが嬉しそうなの?」
雑談をしながら皆も私と一緒のベンチに座りだす。
なんか、一気に女子高生っぽい雰囲気に変わったな~。
「僕達はまだ海に行ってないんだけど、どうだった?」
「透き…通っ…ていて……凄く……綺麗だ…った……。魚たち…と一緒……に泳いだ…よ……」
「お魚と一緒に泳ぐなんて、まるでやよっちは人魚姫みたいだね~」
「なんと!? 姫様は人魚の姫でもあったのか!?」
「ラウラ。物の例えだから」
ここでもラウラは純粋で可愛いな~♡
自分の体が海水塗れじゃなければ、すぐにでもハグしたいよ~♡
「……あれ?」
今更ながら気が付いたけど、ラウラの髪型が原作の時みたいにツインテールになってる?
海に入る直前までは普通に流してたよね?
「あ。もしかして気が付いた?」
「うん……。ラウラ…の髪型……」
「そうだよ。折角、可愛い水着を着てるんだから、いっそのこと髪型も変えちゃおうと思って。簪と本音にも手伝って貰ったんだよ」
「いい仕事をした……♡」
「髪を弄ってる時のラウラウ、可愛かったよ~♡」
だろうね。
私も寮の部屋でラウラの髪を梳いてる時の事を知ってるから、よく分かるよ。
「あまりジロジロと見ないでください……」
ラウラ……可愛すぎか!
「皆………ぐっじょぶ」
私は皆に向けて、自分なりの最高のサムズアップを送った。
「「「どういたしまして」」」
水着のラウラはツインテール。これはもう鉄則だね。
あら、もうスポドリが空になってしまった。
「もう少し休んだら、また海に行くの?」
「どうし…よう…かな……」
まだ酸素には余裕があるし、お昼まで時間もある。
別にあと一度ぐらいなら海に潜ってもいいとは思うけど……。
「見つけましたわ!!」
「「「「え?」」」」
いきなりの叫び声。
振り向くと、そこには肩で息をしているセシリアがいた。
(今度はお前さんか……)
先の展開がなんとなく予想出来てしまう自分だけど、臨海学校の時ぐらいは皆に流されてもいいと思う自分もいる。
先の事は忘れて、今だけは女子高生らしく海を満喫しますか。
オリジナル展開って言うよりは、順番を色々と変えている感じですね。
セシリアが出た時点で次回の展開がある程度予想できる人も多いと思います。
まだまだ彼女達の海は終わりません。