なんでこうなるの?   作:とんこつラーメン

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弥生の口調がたどたどしいのは何故かと言うご意見を頂いたのですが、その理由を明確にするとネタバレになるので、今はまだ言えません。
ですが、IS学園でたった一人だけ、弥生があの口調になった(と思われる)理由を知っている人物がいます。
その人物は、その『原因』を間近で目撃しているんです。
話的には、最初から数えて第10話辺りに、その描写は出てきています。
何気ないシーンだったので、見逃している人も多いかもしれませんね。







激闘?死闘?ビーチバレー!

 他の子達が遊んでいるビーチバレーのコートにて皆とまさかの合流を果たした直後、水着に着替えた織斑先生と山田先生がやって来た。

 

「ん? どうした?」

「皆さん?」

 

 ほぁ~……。

 前々から知ってはいたけど、こうして二人の水着姿を見てしまうと、先生達が女性としてかなり高スペックだと言う事を嫌でも実感してしまう。

 織斑先生は想像以上に黒のビキニがよく似合っているし、山田先生に至っては……

 

「……あの人、歩く度に揺れてるわよ」

「もう、あそこまで行くと反則級」

 

 全くだ。

 胸が余りにも大きすぎて、今にも水着から零れ落ちそうな迫力の爆乳。

 少し歩いただけでも激しく上下している。

 

「………………」

「姫様? いかがなされました?」

 

 はっ!? 冗談抜きで織斑先生達に見惚れてしまった。

 いかんいかん……。幾ら綺麗だと言っても、相手は担任の先生であり同性。

 それに見惚れるとか、ちょっとヤバいだろ……。

 

「む? 板垣」

「は…はい…?」

 

 ど…どうした? ジッと見ていたことがばれたか?

 

「お前のその恰好は……」

「あ……」

 

 そう言えば、二人にも説明はしてなかったっけ。

 出発の際にも、荷物の大きさにビックリはしていたけど、特に追及はしてこなかったしな。

 

「あの大荷物の中身はそれだったのか?」

「は…い……」

「成る程~……。考えましたね~」

 

 ここで感心されても困るけど、まぁ……いっか。

 

「ふむ……」

「千冬姉?」

 

 な…何故に私の体を舐め回すように見つめるんですかね?

 何か変な物でもついてるかな? ヒトデとか。

 

「体のラインが強調されていて、ある意味で水着よりも扇情的だな」

「えっ!?」

 

 皆の前で堂々とそんな発言はしないでください!

 他の皆にも散々と言われてきたけど、この人が言うと重みが違ってくるんだよ!

 自分の発言力を少しは自覚しているんですか!?

 

「よく似合ってますよ、板垣さん」

「あ…りがとう…ござい…ます」

 

 こんな風に普通に褒めてくれればいいのに、どうして敢えて変な言葉をチョイスするのかな~?

 

「ところでお前等、ここで何をしている……って、見れば分かるか」

「はい! 皆でビーチバレーをやってました!」

 

 ビーチバレーね~…。

 確か、普通のバレーとは少しルールが異なってくるんだよね。

 詳しい事はサッパリだけどさ。

 

「ビーチバレー……ね……」

 

 お……おお? なんか鈴の目が怪しく光ってるんですけど?

 不気味な笑みまで浮かべちゃって、何を考えてるの?

 

「丁度いいわ……! ここで雌雄を決してあげようじゃない……!」

 

 し…雌雄って? 何かここにいるメンバーに因縁でもあるの?

 

「鈴。あなたの考えている事……分かるよ」

「そう……。アンタならそう言ってくれるって信じてたわ。簪」

 

 か…簪も鈴と同じ顔になった!?

 二人してマジでどうしちゃったの!?

 

「箒!! セシリア!! そしてロラン!!」

「な…なんだっ!?」

「はいっ!?」

「何かな?」

 

 いきなりの大声でご指名を受けた三人。

 ロランさん以外は鈴の迫力にかなりビビってた。

 

「今からビーチバレーで勝負よ!! 私達……『持たざる者達』の恨みと悲しみを今こそ思い知りなさい!!!」

「一体何の話だ!?」

 

 箒が実にまっとうなツッコみをしてくれた。

 割とマジで『持たざる者達』って何の事よ?

 

「別にビーチバレーの試合をするのは構わないが、そっちは二人じゃないのかい?」

「大丈夫よ。三人目ならそこにちゃんといるから」

 

 そう言ってこっちを見る鈴。

 え? 三人目って私?

 

「ラウラ! とっととこっちに来なさい!!」

「三人目って私の事か!?」

 

 ……あ~……そう言う事か~…。

 最近はすっかり鳴りを潜めていたから大丈夫だと思っていたけど、やっぱりまだ胸に対するコンプレックスはあったのね……。

 

「一夏!!」

「は…はひっ!」

「ちゃんと審判しなさいよ……! もしも誤審とかしたら、その時は……」

「その時は……?」

「………………捩じ切るわよ」

「どこを!?」

 

 具体的な場所を告げない辺りが逆に怖い……。

 元男なだけに、鈴がどこを捩じ切ろうとしているのか、一発で分かっちゃった……。

 

「弥生はそこで大人しく見てなさい! この試合でアタシに惚れ直させてあげるから!」

 

 いや、別に最初から惚れてないし。

 仲のいい友達程度には思っているけど、それ以上には発展しようがないでしょ。

 

「アイツ等は無駄に元気だな……」

「あはは……」

 

 呆れますよね? 分かります。

 私は先生達や残ったシャルロット、本音と一緒に近くにある木陰に移動。

 その際に、シャルロットと本音が二人一緒に何かを持ってきてくれた。

 

「はい、これ。セシリアに連れて行かれた時に置いて行ったでしょ?」

「これ凄く重かったよ~…。こんな物を背負って海に潜るなんて、やよっちは凄いね~」

 

 二人が運んできてくれたのは、私のボンベやゴーグルなどの潜水道具。

 後で自分で取りに行こうと思っていたのに、わざわざ運んできてくれたのか……。

 

「ありがとう……二人…とも……」

 

 ちゃんと笑顔でお礼を言えたかな…?

 

「う…ううん! 気にしなくてもいいよ!? 僕達が好きでやっただけだし!?」

「どういたしまして~。えへへ~♡」

 

 お? こうして話している間に、試合が始まるみたいだぞ?

 

「なら、アタシ達が先攻ね!」

「ちょっと待て! 本来ならばコイントスとかで決めるんじゃないのか!?」

「うっさい!! 色んな意味でこっちが不遇なんだから、これぐらい優遇させなさいよ!!」

「なんだそれは!?」

「滅茶苦茶ですわね……」

「これは……下手に彼女に逆らわない方が良さそうだな……」

 

 なんかすっごい事を言ってるんですけど。

 最悪、これって真ん中にコートがあるだけのバトルロワイヤルに発展とかしないよね?

 

「くらえ!! 愛と怒りと悲しみの!! シャイニングフィンガーサーブ!!!」

「そこはソードじゃないのか!?」

 

 もうさっきから箒はツッコんでばかり。

 こりゃ、シャルロットに続く第二のツッコみ係の誕生ですな。

 

「名前はアレだが、実際には普通のサーブだ! これならば……!」

 

 お? ロランさんが見事にボールを拾ったぞ。

 

「ゴラァッ!! なに胸を揺らして動いてんのよ!! あれか? あたし達に対するあてつけか!?」

「そんな訳ないだろ!? いきなり何を言い出すんだ君は!?」

 

 流石のロランさんも、鈴の理不尽な文句には大声を出さざるを得ないみたい。

 まぁ……無理も無いよな。

 

「何を鈴はあんなにも怒り狂っているんだ……?」

「ラウラもいつの日か分かる時が来る」

「そうなのか……?」

 

 なんか簪がラウラをソッチの道へと引きずり込もうとしてるし~!?

 ラウラ~! お願いだから、君だけは純粋なままでいてね~!?

 

「元気を通り越して、ただの馬鹿だな……」

「あれも若さなんですかね~?」

「言うな……空しくなる」

 

 いや。二人ともまだまだ十分に若いでしょうよ。

 少なくとも、男にすっごくモテるような顔と体はしてるでしょ。

 

「だが、時にはあれぐらい体を動かして、ストレスを発散するのも悪くは無い」

 

 鈴の場合は、ストレス発散と言うよりは、個人的理由での嫉妬と八つ当たりだと思うけど。

 

「鈴と簪が完全に主導権を握ってるね……」

「ラウラウが困った顔で右往左往してるよ~」

 

 多分、生まれて初めてのビーチバレーのラウラ。

 その人生最初のビーチバレーがこんなカオスな試合になるなんて、なんだか可哀想だ……。

 よし、後で思いっきり頭ナデナデしてあげよう。

 

「板垣さんはバレーとかってした事はあるんですか?」

「中学……の時…の体育の授業……だけ…でしか……」

「普通はそうだろうな。私も、学生時代に部活の助っ人ならやった経験はあるが、本格的な試合となるとあまり経験は無い」

 

 織斑先生は剣道のイメージが強いからね~。

 でも、運動神経抜群のこの人なら、大体のスポーツは万能にこなせそうな気がする。

 

「試合自体は一進一退の攻防に見えるけど……」

「篠ノ之さん達のチームが凰さんと更識さんの迫力に押されてますね……」

 

 あの鬼気迫る動きは尋常じゃない。

 この怒りをISの試合でぶつけられれば、かなり強くなるだろうな。

 

「しかし、この試合で一番哀れなのは、間違いなく……」

「一夏……です…ね……」

 

 さっきの鈴の発言に相当な恐怖を覚えたのか、顔を青くしながら必死に目配せをして誤審をしないように審判を頑張っている。

 一つの間違いが自分の分身の命運を分けるんだから、そりゃ必死にもなるわな。

 

「あれもあれでいい経験だ。偶には悪くあるまい」

 

 で、私の隣にいる実姉さんは弟さんを敢えて谷底へと叩き落とす方針のようです。

 男の子だしね。これぐらいの困難ぐらいは乗り越えて見せないと。

 こんな時ぐらい、根性がある所を見せてよね。

 

「あれ? 板垣さん……さっきからずっと織斑君の事を見てませんか?」

「「「えっ!?」」」

 

 そ…そうかな? 一夏の事を視界に入れていたのは事実だけど、そんなにもジッと見つめ続けてたっけ……?

 

(ま…まぁ……これで弥生と一夏がくっついても、私には得しかないがな。弥生が私の義妹になる可能性が増えたと言う事だしな)

(ここに来てまさかの一夏の好感度が上昇!? なんでっ!?)

(む~……。なんでここでおりむ~が来るのかな~……)

 

 なんだか山田先生以外の三人がこっちをジッと見てくるし。

 私なんか見たって面白くないですよ?

 

 そうこうしている間も、試合は増々ヒートアップ。

 正確には、鈴と簪だけが無駄に熱くなっていた。

 ラウラは完全にチームメイトである二人に翻弄されていて、対戦相手の三人も、迫力にはもう慣れた様子だが、それでも二人の形相に若干ドン引きしていた。

 

「も…もう体力の限界ですわ……」

 

 セシリアがフラフラになりながらタイムを掛けて、その場に座り込む。

 

「なんだか私も疲れてきたぞ……」

 

 それと同じタイミングでラウラもペタリと尻餅をつく。

 

「ならば、選手交代といこうか。真耶」

「はい! 腕が鳴ります!」

 

 お~っと! ここで意外な乱入者のご登場だ~!

 

「オルコット。私とチェンジだ」

「お…織斑先生……?」

 

 セシリアが織斑先生とバトンタッチしてから、こっちへと戻ってきた。

 

「ボーデヴィッヒさん、お疲れさまでした。後は私に任せてください」

「山田先生……後は頼みます」

 

 ラウラも弱々しく山田先生とタッチして交代。

 

「姫さまぁ~…」

 

 両手を広げながらこっちやって来たラウラを出迎えてから、私はその場に座る。

 

「ここ…に寝てもいい…よ……」

「お邪魔します……」

 

 私の膝枕にラウラが頭を乗せる形になった。

 そよ風を感じながら、ラウラの頭をそっと撫でていく。

 

「頑張った…ね……」

「姫様……♡」

 

 部屋じゃラウラを膝枕するなんて日常茶飯事だしね。

 もう今更って感じ。

 

「ここで織斑先生の加入とは、なんて心強い……ってっ!?」

「弥生の膝枕だとっ!?」

「なにぃっ!?」

 

 おいこら。試合はどうした。

 早く前を向かんかい。

 

「山田先生が加わったけど……」

「心境としては何とも言えないわね……。でも、それよりも……」

 

 なんで鈴達もこっちを見る?

 

(試合の後に『疲れた~』って言えば……)

(私も弥生の膝枕を堪能できる!?)

 

 二人から怒りの表情が消えて、その代わりに邪な感情を感じたような気がする。

 一体どんな目で何を見ているのやら。

 

「別の意味でやる気がアップしたわね……!」

「負けられない戦いが、そこにはある……!」

 

 急に二人のテンションがヒートアップっ!?

 

「それはこちらのセリフだと言わせて貰おう……!」

「これはまさに千載一遇の大チャンス……!」

「絶対に勝つ……!」

 

 こっちもこっちで妙に顔がギラギラしてるし~!?

 

「板垣さんの膝枕ですか~。気持ちよさそうですね~」

「「「「「はっ!?」」」」」

 

 別に山田先生にならいつでもしてあげるけどな~。

 普段からお世話になってるんだし。これぐらいで恩返しになるなら、いくらでもしますけど?

 

「つーか、試合に参加出来てない俺には最初から(膝枕の)権利すらないじゃねぇか……」

 

 なんの権利かは知らないが、一夏……哀れな奴。

 

「確か、こちらからのサーブだったな。では……いくぞ!!」

 

 そう言って織斑先生がボールを高々を上げてからの~……

 

「ふんっ!!」

 

 その時、コートに一陣の風が吹いた。

 

「いっ!?」

「凰さん!」

 

 凄まじいスピードのサーブに、鈴は咄嗟に反応してボールをレシーブするが、その衝撃で少し吹き飛ばされてしまった。

 

「な…何よ今の……。スピードもそうだけど、威力も半端じゃないんですけどっ!?」

 

 いきなりの事でボールが明後日の方向に飛ばされてしまったが、それになんとか追いついて簪がボールを上げる。

 

「ナイスですよ! 更識さん!!」

 

 そこですかさず山田先生がアタックの体勢に入る。

 そうなると、必然的にあのでっかい二つのメロンがたゆんたゆんする訳で……。

 

「ていっ!!」

 

 可愛らしい声とは裏腹に、そのボールは殺人的なスピードで反対側のコートに迫る。

 

「ぬぁっ!?」

「ロランっ!?」

 

 辛うじてロランさんがボールを弾く事に成功したが、それでも彼女の体がかなり後ろに下がってしまった。

 

「完全に外見に騙されたよ……! 山田先生……想像以上の強者のようだ!」

 

 笑ってはいるが、その顔は完全に引きつっている。

 ここから見いても分かる。

 山田先生の身体能力も、十分にチートの領域に足を踏み込んでます……。

 

 そこからはもう両教師のチート祭りだった。

 二人の先生のアタックの応酬がひっきりなしに行われ、途中からは心なしかボールにオーラのような物まで見え始めた。

 これじゃあもう、『少林サッカー』ならぬ『少林ビーチバレー』だよ!

 

 十数分後。

 立っていたのは織斑先生と山田先生だけになっていた。

 他の4人は完全に精も根も使い果たし、砂浜に横たわっている。

 

「「「「はぁ……はぁ……はぁ……」」」」

 

 あの二人が入った瞬間から、なんとなくこの結果は読めてたな……。

 

「流石は教官……見事なプレイです……」

「それについてこれる山田先生も恐ろしいですわ……」

 

 その後、流石に二人だけでは試合が成立しないと判断されて、勝者なき試合はここに幕を閉じた。

 今回の一番の被害者は間違いなく、この色んな意味で常識と言う物から逸脱した試合の審判を半ば無理矢理やらされた一夏だろう。

 

 ……これからは少しだけ優しくしてやってもいいかもな。

 

 あ、因みに、その後に食べたお昼ご飯はとても美味しかったとだけ追記しておく。

 また食べたいにゃ~♡ あの『超大盛り海鮮丼』♡

 

 

 

 

 

 




死闘とか激闘とか言いながら、試合の描写は一切無しと言うタイトル詐欺。

だって、私にバレーの試合の様子とか書けないし。
 
そこは皆様の想像力にお任せします。

今回で海での話は終了し、次回からは旅館内での夜の話になります。
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