なんでこうなるの?   作:とんこつラーメン

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『ロリショタ』をリメイクする報告をしたら、思った以上に多くの応援が寄せられました。

まだまだ、プロットも出来上がってはいませんが、いつかはきっとすると思います。

でも、まずはこっちかなぁ~……。






宣戦布告

 旅館内に設けられた即席の司令室にて、私達はスペースガチョビンスーツを身に纏ったおじいちゃんと、何者かに強奪されたと思われる福音との激闘を画面越しに見ていた。

 

「か…勝っちまった……」

「まさか……軍用のISに勝利してしまうとは……」

「なんと言う強さだ……」

 

 皆もかなり驚いているが、一番驚愕しているのは私自身だ。

 だって、私のおじいちゃんがあんなにも強いなんて、微塵も思わなかったんだもん!

 確かに、おじいちゃんも他の人達も凄いけど、ここまでだなんて誰が予想する?

 それに……

 

(スペースガチョビンスーツの性能が凄すぎる……)

 

 福音と言えば、専用機達が束になって掛かってもまともな勝負にすらならない程の強敵だ。

 しかも、今回は暴走しているわけではなくて、操縦者が自分の意思で動かしていた。

 そんな相手に、おじいちゃんはまさかの完封に近い勝利を収めた。

 これを驚かずに何を驚くと言うんだ。

 

(でも、福音が強奪されたって事は、今回の事件は束さんの仕業じゃない……?)

 

 原作では、福音の暴走事件は紅椿の踏み台にする為に起こされた事だったけど、あの他者を極端なまでに拒絶する彼女が何者かに福音の強奪を依頼するとは思い難い。

 ならば、今回の真犯人は別にいる……?

 

「弥生! やったな!」

「うん……うん……!」

 

 いや……考えるのは後にしよう。

 今はとにかく、おじいちゃんの勝利を素直に喜ぶべき場面だ。

 

「あ!」

「今度はどうした?」

「え…えっと……。板垣さんのおじいさんが戻って来てます。到着予想地点は、花月荘の近くの浜辺です」

 

 おじいちゃんがここに来る……?

 そう思ったら、いても立ってもいられなくなって、私はその場から駆け出していた。

 

「い…板垣さんっ!?」

「弥生っ!?」

 

 おっと、山田先生に一夏、引き止めてくれるなよ?

 

「行かせてやれ」

「織斑先生……?」

「たった一人の身内が死闘を終えて帰ってくるんだ。ここでジッとしているなんて、アイツには出来ないだろうさ」

 

 はい、織斑先生の許可を頂きました~!

 んじゃ、おじいちゃんの元へレッツラゴ~!

 

「……さて、俺も行きますか」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 私が浜辺まで全力疾走して、砂の上に立って待っていると、遠くの方に緑色の物体が見えてきた。

 ソレは段々と大きくなってきて、こちらへと近づいてきた。

 そして、腰の部分にあるブースターを噴かして、ゆっくりと浜辺へと降り立った。

 

「おじいちゃん……!」

「ただいま……弥生」

「おじいちゃん!!」

 

 久し振りに聞くおじいちゃんの肉声。

 それを聞いた途端、私はおじいちゃんの身を包むスペースガチョビンスーツに抱き着いていた。

 

「おじいちゃん……おじいちゃん……おじいちゃん……!」

「ははは……。いつの間に弥生は寂しがり屋になったんじゃ?」

 

 私はいつでも寂しがり屋だよ!

 大好きなおじいちゃんに会えないなんて、辛いに決まってるじゃん!

 

 抱き着いている私の頭を、そっと優しく撫でてくれるおじいちゃん。

 それが凄く嬉しくて、思わず涙が零れそうになった。

 

「おや? どうやら、弥生の友達も来たようじゃぞ?」

「ふぇ……?」

 

 おや、旅館から他の皆もぞろぞろとやって来たではありませんか。

 

「まさか、弥生の足があんなにも速かったなんて……」

「思ったよりも弥生はアウトドア派なんじゃないのか……?」

 

 何を仰る箒さん。

 私はどこに出しても恥ずかしくない立派なインドア派ですよ?

 

 他の子達の前に織斑先生と山田先生が立ち、私達の傍に鬼瓶さんが来た。

 

「この度は本当にありがとうございました。本来ならば我々がしなければいけない事を……」

「なに。あのような危険な戦いに未来ある若者達を送り出すなど、我々のような大人がすべきことではない。この子達に必要のない業を背負わせることは無い」

「はい……そうですね……」

 

 先生達が背を伸ばして屹立している。

 まぁ……無理も無いのかな?

 

「ところで、もうそろそろスーツを脱いではいかがですか? ちゃんと弥生ちゃんのお友達に自己紹介もしないと」

「おっと、そうじゃったな。これは失敬」

 

 スーツの頭の部分が前に倒れ、そこから私のよく知っているおじいちゃんの顔が出てきた。

 少し白髪交じりの髪を掻き上げて、皺がある渋い顔に眼鏡を掛けている。

 そのレンズの奥には鋭い眼光があって、見るものを圧倒するけど、その瞳には優しさが見え隠れしている。

 

「こ…この人は……!?」

「まさか……!?」

 

 おや? 箒や簪には分かっちゃったかな?

 でも、まずはおじいちゃんの自己紹介を聞いてね。

 

「私が……」

 

 来るぞ来るぞ~……。

 

「内閣総理大臣!!! 板垣平松であ――――――――――――――――るっ!!!」

 

 おじいちゃんの総理大臣宣言キタ―――――――――――っ!!

 やっぱ、これが無いと始まらないよね!

 

「「「「「「「「……………………」」」」」」」」

 

 あ…あれ? 皆の目がキョトンってなってるんだけど……。

 

「「「「「「「「え―――――――――――――――――っ!?」」」」」」」」

 

 うわぁっ!? その人数での大声は反則だよぉ~!

 鼓膜が本気で破れるって思ったじゃないか!

 

「ど…どこかで見た事があると思ったら……」

「前にこの顔……お父さんがよく見てた国会中継で見た……」

 

 あ、だから二人は知ってたのね。

 

「内閣総理大臣って……つまり、弥生は総理大臣の娘って事なのか……?」

「そ…そうなりますわね……」

「ちょ……ドッキリよね? だって、幾ら弥生がお嬢様だからって、総理大臣の娘って……」

 

 そうそうには信じられないよね。うん、分かります。

 おじいちゃんの事を知った人達は、その殆どが似たり寄ったりの反応をするから。

 

「いや、事実だ」

「ち…千冬姉は知ってたのか……?」

「無論だ。以前に会った事もある」

 

 え? そうなの?

 

「い…いつ……?」

「私がまだ現役で国家代表をしていた頃だ。モンドグロッソに出発する前日に総理官邸に呼ばれてな。そこで直に応援をして貰った」

「そんな事もあったのぅ。いやはや、あの時のお嬢さんが、今はワシの愛娘の担任をしているとは。凄い偶然もあったもんじゃ」

「全くですね」

 

 おじいちゃんと織斑先生に意外な接点が……。

 人と人の繋がりは、どこでどんな風になっているか分からないもんだな。

 

「総理。まだまだ話し足りないでしょうが、まずは……」

「そうじゃな。織斑先生、先程の戦闘で分かった事などを報告させて貰いたい。案内を頼めるかな?」

「分かりました。こちらです」

 

 先生の先導で、私達は再び旅館に戻る事に。

 その間も、私はずっとおじいちゃん抱き着いたまま。

 だって、今は一時も離れたくないんだもん。

 

 けど、何か足りないような気が……なんだっけ?

 

「あれ……? 姉さんはどこに消えた?」

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 板垣総理が降り立った浜辺とは別の場所にある浜辺。

 そこに、先程の戦闘から帰還したラケシスが降り立っていた。

 

「ラケシス姉さま!!」

 

 そこに、どこからやって来たのか、アトロポスも慌てるように駆けつけてきた。

 

「大丈夫ですか!? おのれ……よくも姉さまを……! 絶対に許さ……」

 

 砂浜の上に膝を立てて座っているラケシスを見てから、激怒した顔で立ち上がるアトロポス。

 だが、そんな彼女を手で制して、落ち着かせた。

 

「え? 今の私達では分が悪い? そ…それはそうですが……」

 

 悔しそうに歯を噛み締めながら、そっとラケシスに寄り添う。

 

「はい……そうですね。どうやら、私達は吉六会と言う存在を過小評価していたようです。まさか、ISに乗った『今の』ラケシス姉さまを完全に圧倒するなんて……」

「……………」

「仰る通りです。今回の事で認識を改めました。吉六会を最優先警戒対象に指定します。今日のような事は、もう二度と起こさせはしません……!」

 

 拳から血が滲み出るような勢いで握るアトロポス。

 その褐色の手から血が滴り落ち、砂浜に赤い染みを作った。

 

「どうやら、今回は手痛くやられたようだね」

「「!?」」

 

 いきなりの声に振り向くと、そこには息を切らせている束が木に手を添えて寄りかかっていた。

 

「タバネ・シノノノ……。矢張り、私達に接触しに来ましたか」

 

 この状況をある程度、予想はしていたのか、姉妹に動揺の色は見えない。

 いつも通り、何も感じさせない無機質な目で彼女を見つめていた。

 

「吉六会でも充分に打倒が可能と言う事は、『こちら』にも勝機はあるって事だよね」

「あまり図に乗らない方が身の為ですよ。大言壮語は後々に恥を晒すだけですから」

「なんとでも言いなよ。可能性が見えただけでも私的にはここに来た甲斐はあったから」

「ほぅ……?」

 

 目を細めて束を睨み付けるアトロポス。

 その間にラケシスは砂浜に座り込み、息を整えていた。

 

「私は絶対に諦めない。例え何を犠牲にしても、必ず『世界(・・)を解放する(・・・・・)

「出来るのですか? たかが人間である貴女に」

「人間だから出来るんだよ。人類の底力……侮らない方がいいよ」

「それはもう、身を持って知りましたから」

 

 体力が回復したのか、ラケシスが立ち上がり、それに合わせるようにアトロポスも一緒に立ち上がった。

 

「今日は確かに我々の敗北です。ですが、二度目はありません」

「くっ!?」

 

 突然、二人の体が輝きだし、束の網膜を刺激する。

 

「次に我々が会う時は恐らく、私達と貴女とで雌雄を決する時になるでしょう」

「ま…待てっ!!」

 

 光が止んだ時には、もう二人の姿は無かった。

 

「逃げられた……!」

 

 腹いせに自分の傍にある木を蹴ると、木の幹に罅が入る。

 

「八つ当たりはよくありませんよ」

「……来てたんだ」

 

 束が振り向くと、金色の髪を潮風に靡かせた一人の美女が立っていた。

 

「えぇ。彼女達を止めるのは『姉』である私の使命ですから」

「でも、今回は『あの人達』が食い止めてくれたよ?」

「分かっています。彼等には感謝しかありません。今回、暴走したのはISではなくて、あの子たち自身」

「そうだね。私から見ても、アイツ等の精神状態は明らかにおかしい。だって、あの姉妹は私以上に目的の為に手段を選ばない節が垣間見える」

「………私達姉妹は、一体何処ですれ違ってしまったのでしょうね……」

「そんなの、私に分かるわけないじゃん」

 

 金髪の美女は悲しそうに目を伏せてから、背中を向けた。

 

「もう行くの?」

「はい。あの子達の事を追わなくては」

「それはいいけど、いつも後手後手に回ってない?」

「あまり、追跡とか得意じゃないもので」

「貴女ってさ……時々、天然なのかそうでないのか、よく分からない事があるよね」

「そうでしょうか?」

 

 小首を傾げながら、ゆっくりと歩き出す。

 

「余計なお世話かもしれないけどさ……気を付けてよね。貴女だって、アイツ等を止める大事な戦力なんだからさ」

「それはお互い様でしょう」

 

 首だけ束に振り向いてから、優雅に微笑んで、彼女は消え去った。

 

「本当に……本当に気を付けてよね……クロトさん」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 さっきまでいた即席司令室におじいちゃんを案内して、そこで報告会のような物が始まった。

 おじいちゃんは、先程までのスペースガチョビンスーツを脱いで、今は仕事着として普段から着用しているスーツ姿に変わっている

 

「やっぱり……弥生の予想通り、あの福音は何者かによって強奪されたものだったんだな……」

 

 おじいちゃんの事後報告に、皆がしっかりと耳を傾けて、箒がそっと呟いた。

 

「なんと。弥生も奴が暴走していない事を見抜いたのか?」

「えぇ。福音の動きをよく観察し、総理と同じ結論に至っていました」

「そうかそうか! 流石はワシの自慢の弥生じゃ!」

 

 皆の前で頭を撫でられるのは少しだけ恥ずかしいけど、今だけはいいや。

 

「弥生の別の一面を見た感じだわ……」

「大好きな義父に頭を撫でられて嬉しそうにしている弥生……。なんて可愛らしく、そして、感動的な場面なんだ……」

 

 ロランさん。別にここは泣くようなシーンじゃありませんよ?

 

「弥生の傍にいる銀髪の子が、報告に聞いていたドイツ軍の少佐殿かの?」

「は…はい! ドイツ軍特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ隊』の隊長を務めております、ラウラ・ボーデヴィッヒと申します!!」

 

 いきなり立ち上がってビシッ!っとした敬礼を見せるラウラ。

 その立ち姿はとても勇ましいけど、いつもの可愛い姿を見られた私から見れば、小さな子が背伸びをしているようにしか見えない。

 

「うむ。弥生ととても仲良くしてくれていると聞いている。これからも、弥生の傍にいてやってくれ」

「りょ…了解しました! 姫様は私が絶対に守ってみせます!!」

「うんうん…………姫様?」

 

 おじいちゃん。そこにはツッコみは無しでお願い。

 多分、気にしたら負けだから。

 

「お主達も、弥生と仲良くしてくれて、心から感謝する」

 

 おじいちゃんが頭を下げて皆に礼を言う。

 見る人が見れば、凄い光景なんだろう。

 

「あ…頭をお上げください! 板垣総理!!」

「そ…そうですわ!」

「あたし達は好きで弥生と一緒にいるだけで、そんなお礼を言われるような事は……」

 

 普通はそうだよねぇ~。

 でも、私のおじいちゃんはとても義理堅いから、私からすれば見慣れた光景だ。

 

「だからこそじゃ。弥生には中学まで友達が一人もいなかった。そんなこの子が、多くの友達に囲まれて、一緒に笑い合っている。それを見られただけで、ワシは嬉しくて仕方がないんじゃよ」

 

 ……私が中学までずっとボッチを貫いていたせいで、おじいちゃんにはいらぬ心配を掛けさせていたっけ……。

 その事はずっと心苦しかったけど、ここでやっとおじいちゃん孝行できたかな……。

 

「織斑先生。山田先生」

「「は…はい!」」

 

 おう……あの二人が緊張している。

 凄く珍しい姿を見れた気がする。

 

「これからも、ワシの大切な義娘の事をたのんだぞい。これは総理大臣としてではなく、一人の養父(ちち)としての頼みじゃ」

「お任せください。担任の教師として、一人の人間として、彼女の事を支えていきます」

「板垣さんは色んな子に好かれていて、慕われているんですよ」

「そうですか……。それはいい事を聞いたのぅ」

 

 なんだか、私だけ授業参観な気分……。

 

「奪取に成功したと言う福音はどうさなるおつもりですか?」

「ワシの方から、直接アメリカに返還しようと考えておる。向こうの大統領とも、個人的に親しくしておるしな」

「弥生の養父殿は非常に顔が広いのだな……」

 

 ロランさんの言う通り。

 おじいちゃんは日本の総理大臣として、世界各国のお偉方と凄く懇意にしていて、とても友好な関係を築いている。

 

「あのスーツは……」

「アレに関しては、今はまだ何も言えん。すまんな」

「い…いえ。こちらこそ済みませんでした」

 

 やっぱり、スペースガチョビンスーツの存在は、まだ公にするつもりはないんだな。

 それは妥当な判断だと思う。

 だって、あの戦闘能力は冗談抜きで規格外だしね。

 

「お二人はこの後、どうなさるおつもりで?」

「一応、ここに後でチェックインをして、一晩だけ泊まっていこうと思っています。偶には総理にも骨休めが必要ですから」

「そうですね」

 

 私的にも鬼瓶さんの意見には全面的に賛成だ。

 幾ら総理大臣とは言え、おじいちゃんはいつも頑張り過ぎなんだよ。

 時には思いっきり羽を伸ばして休んでほしい。

 これは義娘として切実な願いだ。

 

「ところで、織斑一夏と言うのは……」

「お…俺です」

 

 ん? おじいちゃんが一夏をご指名?

 何の用なんだろう?

 

「そうか……お主が……」

 

 おじいちゃんが、まるで一夏の事を品定めするように見ている。

 何か気になる事でもあるのかね?

 

「一夏くんとやら」

「は…はい!」

「後で……ワシの所まで来てくれんかの?」

「わ…分かりまし………えぇっ!?」

 

 え……え? な…なに? おじいちゃんが一夏を呼ぶ?

 これって……どういう事? 

 




またまた動き出している事態。

束の意外な協力者が判明。

おじいちゃんこと板垣総理は一夏に何の用があるんでしょうか?

実は、夏休みに入る前に弥生の昔の話、中学時代の話を書こうと思っています。

勿論、オリジナルの話のオンパレードになります。

実はもう、ある程度のプロットは出来てるんですよね。
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