なんでこうなるの?   作:とんこつラーメン

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最近、これからの話の展開に迷っています。

一夏はアンチにせずにギャグ枠にしたいと思ってはいるんですが、上手くいくか不安だし、弥生のヒロインを誰にしようか完全に迷走してます。

ストーリーの軸自体はちゃんと考えてあるのですが、それ以外の肉付きが未だに不安定なんですよ。

……気晴らしに、今週末にジムⅢビームマスターを買いに行こうかしら……。







羞恥プレイか!!

 一夏が弥生に勉強を教わってから約一週間が経過して、遂に約束の試合の日となった。

 あれから一夏は言われた通りに、毎日のように放課後の決まった時間に弥生の部屋に行き勉強を教わった。

 勿論、弥生に言われた通り、箒達に見つからないようにして。

 それと並行して、空いた時間を使って密かに筋トレを初めとした体力作りを率先してやり始める。

 弥生に指摘されたからと言えばそれまでだが、それでもやるべき事をきちんとこなしているのは大きな進歩なのかもしれない。

 

 一方の弥生と言えば、勉強会初日の最後に起きたラッキースケベによってほんの僅かに上がった一夏への好感度がマイナスにまで下がっているせいか、表面上はいつもと変わらないようにしているものの、心の中では完全に『乗りかかった舟』と言う気持ちと『義務感』、それと『いのちをだいじに』の命令を自分に下してから、非常に冷めた気持ちで勉強を教えていた。

 最初こそ『自分が教えたのだから、どうせなら奇跡的な勝利を掴んでほしい』と思っていたが、今となってはもう勝ち負けとかどうでもよくなっていた。

 それどころか、『最終的には原作通りに負けるんだろ?』なんて考えるようになっていた程。

 いくら転生前は男だったとは言え、それでも好きでもない男に押し倒された挙句に胸まで揉まれれば、感情表現が苦手な弥生でもブチ切れると言うもの。

 果たして、セシリアとの試合に無事に勝利して、一夏は僅かでも弥生からの信頼を取り戻せるのだろうか?

 それとも、テンプレのように負けてしまうのか?

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 翌週の月曜日の放課後。

 なんでか私は第3アリーナのAピットに立っていた。

 

「……妙に浮かれている……いや、自信に満ちている……のか? とにかく、緊張だけはしていないようだな」

「当然だぜ! なんせ、この一週間の間、弥生が二人っきりで勉強を教えてくれたり、アドバイスをしてくれてたんだからな!」

「ほぅ……? 板垣がなぁ……」

 

 お願いだから、ニヤニヤしながら目を細くしてこっちを見ないでください。

 私だって、やりたくてしたわけじゃないんですから。

 下手に断ったり、中途半端に終わらせれば、次の瞬間にはアンタの手によって私の首が刎ねられる可能性があったから、仕方なくやってあげただけだ。

 ……一応言っておくけど、これは別にツンデレ発言なんかじゃないからな。

 割と深刻な問題なんだからな!

 

「板垣。一体何をこいつに教えたんだ?」

「い…一応……基本的な……事と……ちょっとした……応用……。後は……試合…までにして…おいたほうがいい……と思った事を言っただけ……です……」

「成る程な。まぁ……この馬鹿にはそれぐらいが丁度いいのかもしれんな。学年次席であるお前が本気で勉強を教えたら、間違いなくアイツは知恵熱で倒れる」

 

 あ~…なんとなく分かるわ~。

 なんと言いますか、容易に想像がつくわ。

 学園に来て初めて、この人と意見が合った気がする。

 

「なんにしても……だ。板垣」

「わふ……!」

 

 あ…頭を撫でられた!?

 こ…これはあれか!? ここから必殺のアイアンクローになる流れか!?

 そんなことしたら私の脳みそが飛び出しちゃう!!

 

「私の弟に色々と教えてくれて感謝している……ありがとう。この借りはいつか必ず返す事にしよう」

「は……い……」

 

 お…お礼を言われた? いやいや……ここで早とちりするのは素人のする事。

 私は簡単には騙されないからな……。

 借りを返すとか言いながら、絶対にまた碌でもない事をするに違いない!

 それがなんなのかは、私の乏しい想像力じゃ思いつかないけど……。

 

 因みに、本来ならここにいる筈の篠ノ之箒は、今回は観客席に移動している。 

 その観客席には簪と本音も一緒にいて、本当なら私も一緒に二人と観戦をするつもりだったのだけれど、移動する前に一夏(何度もしつこく『名前で呼んでくれ』と言われて、最終的に弥生が折れた)が私の手を引っ張って、ここに連行してきた。

 その際、その場にいた三人は親の仇でも見るような目で一夏を鬼の形相で睨み付けていた。

 あの歩くマイナスイオン発生装置である本音ですら、言葉に出来ない顔をしていたし。

 

「俺の専用機ってまだ来てないのか?」

「今、山田先生が取りに向かっている。もうそろそろ来るんじゃないか?」

 

 なんて適当な……。

 

「お…織斑君! 織斑君! 来ました! 来ましたよ!」

 

 あやや……ピットの中に山田先生が今にこけそうな駆け足でやって来ましたよ?

 

「はぁ……はぁ……つ…疲れましたぁ~……」

「わふっ」

 

 にゃ…にゃんと!? 疲れてよく前が見えていないのか、山田先生が私に抱き着いてきましたよ!?

 実を言うと、私は山田先生の事を基本的に信用も信頼もしている。

 何故なら、原作でもこの人は全くと言っていい程に暴力的な描写がされていなかったし、実力も申し分ない。

 おまけに、滅茶苦茶いい人だし。

 それは実際に何回か話して改めて実感した。

 私の中では、山田先生はこのIS学園における数少ない『良心』だと本気で思っている。

 残りの良心は簪と本音ね。これゼッタイ。

 

「おい……何を抱き着いている……!」

「え……? あわわわわ! ご…ごめんなさい! 板垣さん! 別にそんなつもりでしたんじゃなくてですね……」

「だ…大丈夫……です」

「いいなぁ~……」

 

 寧ろ、私的には役得でした。

 あ~……なんで日本って同性愛&一夫多妻じゃないんだろう……。

 もしも許されるなら、絶対に山田先生と簪と本音と結婚するのに……。

 あと、お前だけには絶対に抱き着かれたりなんてされたくないから。

 

「で? どうしたんだ?」

「そ…そうでした! 来たんですよ! 織斑君の専用機が!」

 

 やっとですか。

 生で主人公機を見てるのは、地味に興奮するな~。

 色々と問題が指摘される機体ではあるけど、それも使い手次第なんだと思うんだよな~。 

 だとしても、普通はトーシロにブレオンの機体なんて与えないと思うけど。

 

「もう準備は出来ているな?」

「おう」

「ならば……」

 

 織斑先生の視線に山田先生が頷いてから、ピットの搬入口がゆっくりと開かれていく。

 その向こう側にあったのは……少しくすんではいるが、実に綺麗な純白の機械鎧だった。

 

「これが織斑君の専用機……『白式』です!」

「こいつが……」

 

 やっぱり名前の通りに白いんだな。

 見た目だけはかなりカッコいいけど、癖が強すぎる上級者向けの機体。

 ……あの天災兎が手を加えたんだから、これぐらいはまだ生易しいレベルなのかもしれないけどさ。

 

「あの……私……そろ…そろ……」

「む? もう行くのか?」

「友達……待たせてる……ので……」

「そうか…………残念だな……」

 

 最後、ちゃんと聞こえてたからな。

 私に何をする気だったんだよ。

 

「弥生」

「ん?」

 

 またまた……男らしい笑顔なんて見せてくれちゃって。

 これが私じゃなかったら、普通に惚れてたかもね。

 

「絶対に勝ってみせるからな。だから、見ててくれ」

「う…ん……」

 

 どうぞご勝手に。

 勝てるもんなら勝ってみなよ。

 でも、代表候補生はそう甘くは無いぞ。

 

「失礼……しま…した……」

「「「あ……」」」

 

 その場から逃げ去るようにして、私は簪達の下に急いだ。

 最後、山田先生も一緒に声出してなかったか?

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 予め言われていた席まで行くと、そこには本音と簪以外にも別の人物が一緒に座っていた。

 

「お? 遅かったな」

 

 なんでこいつ……篠ノ之箒がいるんだよ……。

 確かに彼女も観客席に行くとほのめかしていたけど、数ある席の中でどうしてここに来るのかな~!?

 

「いや~、あのまま別れるのも忍びなかったから、一緒にいるんだ~」

「意外と話が合って楽しかった」

「私もだ。簪とはいい友達になれそうな気がするぞ」

「こちらこそ」

 

 わ…私の癒しが剣道女に懐柔されてしまったぁ~!!

 そんな……どうして……。

 

「立ってないで、ここに座ったらどうだ?」

「そう……だね……」

 

 んでもって、指定された席も篠ノ之の隣だし……。

 人類に逃げ場無し。私にも逃げ場無し。

 諦めて、大人しく座った。

 下手に導火線に火をつけるぐらいなら、私が流れに従った方がいい。

 

「はい。やよっちの分のジュースも買っておいたよ」

「ありがとう……」

 

 うぅぅ……本音ぇ~!!

 やっぱり私、貴女と結婚するぅ~!!

 

(本音がくれたジュース……美味しい……)

 

 市販のジュースでも、本音が渡してくれただけで美味しさが二乗だよ~!

 

「ところで……一夏の奴はどうしていた?」

「張り切ってた……」

「そうか。別に張り切るのはいいが、アイツの事だから、変に空回りとかしそうだな」

 

 お? おぉぉ? なんだかんだ言って、やっぱり愛しの幼馴染の事が心配なんですな~?

 いいぞいいぞ~! そのままゴールインしちゃえ!

 

「織斑一夏……」

「あ………」

 

 そっか……簪はあの男がISを動かした事によって、専用機の開発を凍結されたんだっけ。

 彼女としては、なんとも複雑な気持ちなんだろうな……。

 でも、それならなんで試合を見に来たんだろ?

 あれか? せめて怨敵の顔ぐらいは見ておきたいってか?

 

「あ! おりむーが来たよ!」

「それに合わせて、セシリアもやって来たな」

 

 タイミングを計っていたのか?

 別にどうでもいいんだけどさ。

 

(あれがブルー・ティアーズ……)

 

 あっちも遠目とは言え現物を拝めることが出来た。

 機体の形状自体は私が知っている通りなんだけど……。

 

(本当に上から下まで真っ青なのな……)

 

 『名は体を表す』とはよく言ったもんだ。

 白式も同じ様なもんだけど。

 

「一夏の機体が白で、セシリアが青か……。対照的な機体だな」

 

 言われてみれば確かにそうかも。

 ん? なんか二人して話してないか?

 

『ようやく、この時が来ましたわね』

『あぁ……俺も待ち遠しかったぜ』

『ここで貴方を屠り、弥生さんにこの勝利を捧げる……。なんて素敵なんでしょう……♡』

『それはこっちのセリフだ! 絶対に勝って、弥生に勝利の報告をするんだ!』

『叶わない夢を語るなんて哀れですわね~。何度も言っている通り、貴方に弥生さんは相応しくありませんわ』

『それを決めるのはお前でも俺でもない。弥生自身だ』

『言うではないですの……。でしたら……』

『…………!』

『この場にて弥生さんに証明してみせますわ! 私こそが彼女の伴侶に相応しいと!!』

『やってみろ!!』

 

 オルコットの長身のレーザーライフルの先制射撃が炸裂。

 一夏は上手く回避出来ずに、胴体部に直撃を受けてしまった。

 つーかさ……

 

(こんな大勢が見てる前で! 弥生弥生弥生って人の名前を連呼するんじゃねぇよ!!滅茶苦茶恥ずかしいじゃないか!!)

 

 思わず両手で顔を覆って体を縮こませてしまった。

 顔が熱い……私が二人の話していた弥生だって気が付かれませんように……!

 

「ど…どうした弥生!? 大丈夫か!?」

 

 そこで私の名前を出すんじゃないよ!! ちっとは空気を読め!!

 

「あの子が二人の言ってた弥生って子……?」

「そう言えば……前に図書室で一緒にいるところを見たような……」

 

 もうバレてるし~!

 しかも、あの時の事も見られてたのかよ!?

 

「意外と頑張ってはいるが……」

「防戦一方……」

「だね~…」

 

 三人の会話を聞いて、指の隙間からチラッとだけステージの様子を見る。

 そこには、一本の近接用ブレードを持ったまま、レーザーの雨を前に回避に専念している一夏の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キリがよさそうなので、続きは次回に。

今回は、ある意味で弥生の好感度を上げる貴重なイベントなのですが、果たしてそう上手くいくのやら……。

いざって時にやらかすのが一夏クオリティですからね……。

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