なんでこうなるの?   作:とんこつラーメン

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暑いよ~。

小説書かなきゃ~。

でも疲れたぁ~。

イベントクリアしなくちゃ~。

と、割とマジでてんやわんやな私です。






一夏の特訓 その7(バイト)

 どうも、織斑一夏です。

 今回、俺は割と本気の大ピンチに陥っています。

 

「織斑ぁっ! 3番テーブルのお客さん、エビピラフとビーフカレー、それから牛カルビ丼だ!」

「了解です!」

「12番テーブルが追加でチョコレートパフェだよ!」

「わかりました!」

 

 後から後からと、ひっきりなしに注文がやってくる。

 冗談抜きでキリが無い。

 これじゃあ、休みたくても休めないじゃないか!

 

 前にも同じ事を言った気がするけど、もう一度だけ言わせてほしい。

 

 ……どうしてこうなった?

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 事の始まりは、この間のプールにおいて矢禿さんにバイトに誘われた事が切っ掛けだった。

 『バイト』と言う単語を聞いて、最初はかなり甘く見ていた。

 高校生にさせるバイトなんだから、それほどキツくは無いだろう……と。

 だが、そんな甘々な幻想はバイト先に行った瞬間に粉々に打ち砕かれた。

 

「ここは?」

「ファミレス『HIROSUE』。吉六会が提携している店舗の一つさ」

「はぁ……」

 

 午前9時頃に、俺は塩田さん達と一緒に矢禿さんに連れられる形で、とあるファミレスの前まで来ていた。

 見た目だけなら、どこにでもあるごく普通のファミレスなんだけど……。

 

「ここでバイトすんのも久し振りだなぁ~」

「そうなのか?」

「ま~ね。小遣いがピンチになった時とかは、よくここでバイトをして臨時収入を得たりしてる」

「塩田ちゃん達には、本当に毎回毎回助けられてばかりだよな~」

「気にしないでくださいよ、矢禿さん」

「私達だって、吉六会の皆にはいつもお世話になってるんですから」

 

 どうやら、彼女達と吉六会は、持ちつ持たれつの関係のようだ。

 互いに協力し合う仲ってのは、とても好感が持てるな。

 

「それじゃあ、裏のスタッフ専用の入り口から入るから。ついて来てくれ」

 

 そう言われ、俺達は店の裏側まで行き、そこにあったドアから直接スッタフルームへと入る事に。

 

「おぉ~…!」

 

 ファミレスの裏側って始めて見たな~…。

 一見すると、普通のロッカールームって感じだけど、なんだか新鮮に映る。

 

「はい、織斑君はこれに着替えてくれ」

「え?」

 

 矢禿さんに手渡されたのは、店員さん達が着ている制服じゃなくて、何故か白衣だった。

 

「君、料理が得意なんだって? 鷹橋ちゃんから聞いたよ」

 

 そーゆーことか!!

 でもまぁ……ホールで接客をするよりかは、こっちの方が俺の性に合ってるとは言えるな。

 

「オレ達は向こうで着替えてくるから」

「覗くなよ~?」

「覗きませんよ!!」

 

 アンタ等の中で、俺はどんなキャラになってるんだよ!?

 

「もしも覗いたりしたら~……」

「したら……?」

「粉々にするからな」

「どこをっ!?」

 

 具体的な場所を言ってくれよ!!

 無駄に怖いじゃないかよ!!

 

「仲がいいね~」

「このやり取りを見て、どうしてそんな感想が出て来るんですか……」

 

 仕事をする前から、もう疲れちまったよ……。

 俺が肩で息をしている中、6人は女子更衣室へと入っていった。

 

「今回は本当に悪かったね。こっちもまさか、この夏一番の掻き入れ時に限って、主力のスタッフが軒並み休んでしまって……」

「災難でしたね……」

「全くだぜ……。家の用事だったり、夏風邪を引いてダウンとか、まるでタイミングを合わせたかのように……」

「うわぁ……」

 

 マジで災難だったみたいだな……。

 こりゃ、俺も気合入れて頑張った方がいいかもしれない。

 

「後から小栗君や兵庫君も援軍として来てくれる予定になってるから」

 

 あの二人も来てくれるのか!

 それなら、なんとか乗り切れそうだ!

 

「お?」

 

 矢禿さんがドアを開いてホールを覗く。

 すると、ドアの隙間から複数の声が聞こえてきた。

 

「もうお客さんが来てるのか……」

「みたいだな。着替え終わったら、すぐにでも厨房に入って貰うから。分からないことがあったら、遠慮無く他のスタッフに聞いてくれ」

「はい!」

 

 よぉ~し! 訓練じゃないけど、ここで頑張って、少しでも仕事の出来る男を目指すぜ!!

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 なんて、息がっていた時期が俺にもありました……。

 

「大丈夫か? 織斑君」

「だ…大丈夫っす……」

 

 隣でオムハヤシを作っている小栗さんが、心配そうに話しかけてくれた。

 小栗さんだって、かなり疲れた表情をしてるのに……。

 

「なんでこんなにもお客さんが多いんですかね?」

「あれだろ? 今は時期的にお盆だから」

「あぁ~……」

 

 お盆の帰省ラッシュってやつか。

 唯でさえ夏休みは、こう言った店はお客さんでごった返している印象が強いのに、お盆休みが重なる事でそれが倍加しているのか……。

 

「それに加えて、アレの効果もあるからね……」

「アレ……?」

 

 手元で完成した中華風野菜炒めを盛り付けながら、ホールの方に目をやる。

 すると、男性客の殆どがウェイトレスの恰好をした塩田さん達に目を奪われていた。

 

「あの子達がバイトをする時って、大抵があんな事になるんだよ。モデル顔負けの女の子達がウェイトレスの恰好で接客をしてるんだから。そりゃ、客も入るよな」

 

 あいつら……ここをメイド喫茶か何かと勘違いしてるんじゃないのか?

 中には明らかに塩田さん達を目当てにしてる連中もいるみたいだし。

 あ、眼鏡を掛けたキモオタから鷹橋さんがカメラを取り上げて、目の前で壊した。

 しかも、なんか言ってプレッシャーを掛けてるし。

 

「ありがとうございました~」

 

 遂には店から追い出しちゃったよっ!?

 迷惑な客の方が明らかに悪いけど、あそこまでやっていいのかっ!?

 

「よくやった涼香ちゃん!」

「俺等の涼香ちゃんを許可なく撮影しようなんざ、一億年早いわ!!」

「別にアンタ等のものになった記憶は無いんですけど」

 

 鷹橋さん……人気あるんだな。

 でもそっか。性格はアレだけど、可愛いのは事実だしな。

 

「SNSとか口コミとかで、瞬く間に情報が拡散していってるんだろうな……」

 

 今はもう、色んな方法で情報を入手したり、発信したり出来るからな~。

 この中の誰かが拡散しているに違いない。

 

「おい織斑! 9番テーブルの中華風野菜炒めはもう出来たかっ!?」

「吉崎さんっ!? は…はい! たった今出来上がりました!」

「よし! それじゃあ持っていくからな!」

 

 テキパキとした動きで、吉崎さんが料理を運んでいった。

 

「なんか、吉崎さんが一番張り切ってません?」

「兵庫さんに良い恰好見せようとしてるんじゃない?」

「へぇ~……」

 

 普段から下ネタを連発する吉崎さんも、根っこの部分は恋する乙女ってことか。

 

「織斑君。小休止が終わったら、次の注文に取りかかってくれるか?」

「了解です」

 

 今度は確か……ビーフシチューか。

 暑い時に熱い食べ物を食べるのも、ある意味で風流なのかな……。

 

「悪い! 小栗君はいるかっ!?」

「兵庫さん? どうしたんですか?」

「客の入りが予想以上になってきてる。皆も頑張ってくれているが、このままじゃ捌ききれない。いきなりで申し訳ないが、小栗君もホールに入ってくれないか?」

「マジですか……分かりました」

 

 エプロンを畳むと、小栗さんは更衣室の方へと歩き始める。

 

「ごめん! ここは任せてもいいかな?」

「こればっかりは仕方がないですよ。俺には構わずに、行ってきてください」

「助かるよ! ありがとう!」

 

 さて……貴重な戦力である小栗さんが抜けた穴は大きいけど、だからと言って泣き言を言ってる暇は無い。

 他のスタッフさん達も頑張って手を動かして注文を作り続けてる。

 俺だって頑張らなきゃいけないよな!

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 一方その頃。

 完全に戦場と化しているホールは、ウェイトレスになった塩田達が店の中を東奔西走していた。

 

「はい! ご注文を繰り返させていただきます!」

「もう少々お待ちください! 今すぐに持って来ますので!」

「お客様、こちらへどうぞ」

「お待たせしました。ご注文のカツ定食セットになります」

「では、お皿を下げてもよろしいでしょうか?」

「喫煙席はこちらになります」

 

 普段は絶対に使わない口調を駆使して、塩田達は完全なお仕事モードになっていた。

 しかも、客たちの大半は、そんな彼女達を見てほんわかとした顔になって癒されている。

 何故なら、忙しそうにしながらも、営業スマイルだけは決して忘れてはいなかったから。

 六人の美少女達が汗水垂らして笑顔で働いている姿を見て、気持ちが高ぶらない男がいないだろうか? いやない。

 

「鉄人ちゃん……王道の可愛さがあるよな~…」

「彩愛ちゃんも、あの一生懸命なところが可愛いな~…」

「あの眼鏡のイケメンが彼氏……! 悔しいけど、それでも俺は真由美ちゃんのファンだけはやめないぜ!」

「はぁ……はぁ……朱美ちゃん萌え~♡」

「見ろよ……涼香ちゃんのあの胸にある巨大なメロン……歩く度に揺れてるぜ……」

「茜ちゃん! 俺だ! 結婚してくれ~!!」

 

 どうやら、六人それぞれに根強いファンが存在するようだ。

 実際、この六人は学校でも中々に人気者だったりする。

 

 だが、ファンが多いのはこの六人だけではない。

 ここにいるのは塩田達だけではないのだから。

 

「キャ~! 兵庫さ~ん! こっち見て~!」

「ちょ…ちょっと! 今、小栗君がこっち見なかったっ!?」

 

 兵庫と小栗もまた、数少ない女性客に大人気だった。

 同じようにホールにいる矢禿だけが、なんだか居た堪れないないような顔をしている。

 

「……別に悔しくないけどな。俺……彼女いるし」

 

 目尻に涙を溜めながら言っても、説得力は皆無である。

 

 店内は慌ただしくも穏やかな雰囲気が流れている。

 しかし、どんな場所にもトラブルというのはやって来るのが世の常な訳で……。

 

「おいゴラァッ! いつになったら注文とりに来るんだよ!!」

「テメェの店、あまりにも不親切じゃねぇかっ!!」

「いえ、僕は親切君です……」

 

 明らかにガラの悪い三人組が痺れを切らせて、近くにいた小栗に絡んできた。

 他の客たちは表情を曇らせて迷惑そうにしている。

 

「おっと。小栗君が刺青君に絡まれている」

「どうする?」

「別に大丈夫でしょ? 俺達が特に何かしなくても、どうにかなりますよ」

「そうだな。今日は彼女達がいるんだし」

 

 密かに兵庫と矢禿が話し合っていると、小栗の近くに一つの影が現れる。

 

「おいテメェ……」

「あん? なんだゴラァ……?」

「なに小栗さんに手ぇだしてんだよ……クソが……!」

 

 米神に血管を浮かび上がらせている塩田が、鬼の形相で不良達に向かって行った。

 

「おい嬢ちゃん。怪我したくなかったら引っ込んでな」

「引っ込むのは貴様等の方だ」

「いっ!?」

 

 今度は、不良の背後に気配を消した状態で叶親が出現し、いつの間にか手にしている日本刀の切っ先を不良の首筋に当てている。

 

「よくも私の大切な又兄ぃに暴力を振るったな……! その薄汚い体を細切れにして、豚の餌にしてやろうか……!」

「ひ…ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」

 

 叶親の全身から発する殺気にビビりまくりの不良達。

 その中の一人が、ある事に気が付く。

 

「あ……もうダメだ。お前……確実に死んだわ」

「え?」

「あの金髪美少女……噂の鉄人だよ……」

「げっ!?」

 

 塩田の正体を知った途端、不良達の顔が見る見るうちに青褪めていく。

 

「お前……よりにもよって鉄人の男に絡んじまったから……」

「ま…まだ死にたくない……」

「別にオレの彼氏じゃないし。唯の親友の兄貴ってだけだよ」

 

 塩田の訂正も全く耳に入らず、不良達は只管に恐怖に震えて涙している。

 

「な…なんとか謝って許して貰えないかな……」

「今更、謝罪なんて通用する訳ないだろ!! 鉄人は殺人マシーンなんだぞ!!」

「ゆ……ゆるじでくだざい……」

 

 とうとう、マジ泣きをしながらの土下座をし始めた。

 そこまでされると、流石の塩田もドン引きした。

 ついでに言うと、周りの客たちもドン引きした。

 

「いいからとっとと店から出て行け。それと、誰が殺人マシーンやねん」

「「「ずびばぜんでじだ~!!!」」」

 

 見栄も外聞もかなぐり捨てて、不良達は無様に逃げ去っていった。

 連中がいなくなった途端、店中が歓声に包まれた。

 

「「「「「おおおおおぉぉぉぉ~!!!」」」」」

「な…なんだっ!?」

「び…びっくりした……」

 

 いきなりの事に驚いた塩田達であったが、すぐに持ち直した。

 

「鉄人ちゃん! めっちゃカッコよかったよ~!!」

「よくやってくれた!! 二人はウェイトレスの鏡だ!!」

「彩愛ちゃんも凄かったぜ!!」

「俺……これからもこのファミレスに通い続けるよ……」

 

 不良達から店と客を救った美少女ウェイトレス。

 これで人気が出ない筈がない。

 

「なんか……」

「私達が出る幕……」

「全然無かったな……」

「頼もしい一年生達だ」

「つーか、誰も俺の心配はしてくれないのね……」

 

 タイミング悪く店の奥の方に行っていた吉崎と嶋鳥と鷹橋と植村は、少し離れた場所から喧騒を眺めていて、いつの間にかそこに小栗も合流していた。

 

「さて、仕事仕事」

「ちょっとした休憩にはなったけどな」

 

 場が収束し始めた頃、またまた客が来店した。

 

「また来た。私が行ってくるよ」

「頼むよ、植村」

 

 植村が早歩きで店の入り口まで向かうと、なにやら聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「ここ、知ってるお店なの?」

「ん……。私……の知り合い……が働い…てる……ファミレス……なの……」

「あれ? もしかして……」

 

 そう、店に入ってきた客とは、なんと……。

 

「あ……植村…さん……?」

 

 私服に身を包んだ弥生と簪の二人だった。 

 

 

 

 




            幕張メンバーのプロフィール

                植村茜



年齢:17歳
血液型:B型
身長:178cm
体重:んん~? 乙女の秘密を聞こうだなんて、いい度胸してるね~?
誕生日:7月24日



他の上級生組と同じクラスの二年生で、嶋鳥や鷹橋とは違って、一年の頃から野球部に所属している。
他の生徒と比べても非常に背が高く、それに比例するようにスタイルもかなりいい。
かなりのんびりとした性格で、少し前までは遅刻の常習犯だったりもする。
塩田達が入学して来て、彼女達と一緒に登校するようになってからは、幾分か遅刻は減ったらしい。
野球部員であるにも拘らず、足はかなり遅い……が、その以外の身体能力は塩田に比肩する程の実力者。
特に、その長く細い足から繰り出される踵落としは、一撃必殺の破壊力がある。

植村は『機神拳』と呼ばれる拳法の達人で、今の所、塩田と格闘戦で互角に渡り合える数少ない存在。
機神拳は父親から伝授されたもので、その父親は髪が赤くて少し表情が乏しいイケメンで、母親は元気が取り柄の東京の下町出身の活発系美女。
全身の気を自在に操る事に長けていて、彼女が本気になると髪が逆立って真っ白に染まると言われているが、まだ誰も見た事が無い為、真相は闇の中。

そんな植村も人並みの恋をしていて、幼い頃から一緒に機神拳を学んできた男が存在し、彼に密かに淡い恋心を抱いている。
実は両想いだったりするんだが、相手の男がかなりの奥手な上、植村自身も今の関係を壊したくないと考えているせいで、一向に進展はしていない。
 
これは全くの余談だが、過去に何回かグラビアモデルにスカウトされそうになった事がある。
勿論、その時はやんわりと断ったが。

イメージCVは水橋かおり



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