モーモーモーさん   作:ちみっコぐらし335号

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 去年までのあらすじ。


モードレッド
 きょにうサーヴァント
 とつぜんへんいにより体のいちぶぶんが大きくへんかしたモードレッド。
 むねにためこんだエネルギーをほうしゅつして、ぶんしんしたりむじかくに男をたらしこんだりする。
 まじょの黒れきしでほかのかぞくにも知られていない、あるいみレアなサーヴァント。
 くろうしょうでもあるので、かたをもんであげるとよろこぶぞ。



第六特異点 胸にしぼうを キャメロット(後編)

 ブリテン全土に夜の帳が降りて久しかった。星の輝きすら疎らで、光源と呼べる物はキャメロット城内に所々焚かれた松明と夜空に浮かぶ月くらいか。夜警担当の兵士を除けば、城に詰め掛ける殆どの者が夢を見ている頃だろう。

 常であれば武具の手入れも終えて、寝床に着こうかという時刻だ。正直、眠気があるのは否定しない。だが、オレの姿は本来あるべき自室にはなかった。寝こけてなんていられるはずもない。今から重大案件と向き合わなければならないのだ。今宵オレは――――騎士モードレッドは恐れ多くもアーサー王の私室へと呼ばれているのだから。

 何故、オレが呼び出されたのだろうか。移動中もずっと考え続けていたが、思い当たる節はない。

 執務室であれば幾度となく訪れた。だが、こんな夜半に、それも王の私室に来い、などと申し付けられたのは初めてのこと。

 一体、何の用件だろう? モルガン(クソババア)関連のことは吐き出せるだけ吐き出したから、もう情報らしい情報は何もない。そもそも他の円卓の騎士らに隠したいことでもないから、恐らく違うだろう。内務に関しての呼出ならば、オレではなくアグラヴェインにお呼びがかかるはず。人格面はともかく、実務面においては円卓内でもアグラヴェインが突出している。だから、内務関連の話でもない。軍務に関しての相談でも――――悔しいが、ガウェインやランスロットの方が適任だ。個としての武勇なら、あの二人に何ら劣らないと自負している…………が、軍団指揮となると話は別だ。魔女(クソババア)から集団を煽動するコツは教授されども、御する術についてはロクに与えられなかった。円卓に座してからは軍略についても学んでいるが、まだ発展途上だ。実戦で培われてきた二人の指揮能力には敵わない。ならば、何故オレが選ばれたのか。

「ッ――――」

 気付けばオレは、扉の前に立っていた。アーサー王の私室――――これより先は、何者であれ易々と入ることの許されない聖域だ。無意識のうちに生唾を呑んでいた。

 扉をノックしようとして、逡巡した。例えどれほどの武勲や逸話を打ち立てようと、許可なく立ち入れば死を以て(あがな)わねばならない。そんな神聖な場所に、本当にオレが足を踏み入れてもいいのか? 無論、戦果はそれなりに上げてきたし、色んな場面で父上に貢献してきた……はずだ。だが、どういうわけか聞こえてくるのは『姫騎士』だのという望まぬ逸話(ウワサ)ばかり。元々の出所からして不明な『姫騎士譚』はあちこちで流れているようだが、未だに話の全貌が掴めない。『アーサー王の姫にして騎士だ』という噂はまだ良い方で、『笑顔を向けられると男は全員昇天する』だの『騎士は皆籠絡されていて姫騎士の手駒だ』なんてものまで小耳に挟んだ。……いや、オレは父上の息子だから、最初の内容も別に良くはないんだが。まあ、比較すれば後者よりはマシというやつだ。内容を列挙すると『姫騎士譚』はどうも良からぬ流言っぽいんだが、かと思えば見知らぬ人間から握手やサインを求められたりもする。城下町を普通に出歩くだけでよくわからない悲鳴が上がり、人波が押し寄せ、いつまで経っても事態が鎮静化する気配すらない。

 …………不安になってきた。やっぱオレ、このまま王の私室に入るのはふさわしくないのでは? 何か、手土産でも持参した方が良かったんじゃないのか? 今からでも何か適当な嗜好品でも見繕って――――。

「――――モードレッド卿か」

 オレの気配に気づいたのだろう。ぼやぼやしているうちに、中にいる父上から声がかかった。敬愛する王には見えぬとわかっていても、オレは即座に礼を取った。

「はッ、円卓の騎士が一人、モードレッド。王の召還命令に応じ参上いたしました」

「入れ」

「失礼いたします」

 ――――悩むな、覚悟を決めろ。如何なる用向きであっても、アーサー王の選択ならばそれが国にとっての最善手。そう信じて、往くしかないのだ。

 初めて入った王の私室。オレの目に真っ先に飛び込んできたのは、壁に掛けられた王の象徴たる赤き龍が描かれた旗だった。その見事なほど精緻な技巧に思わず息を呑む。常勝の騎士王に相応しい壮麗さだ。しかし、別の意味でもオレは驚いた。他に目を引くような華美な装飾はなかったのだ。それどころか調度品そのものが少ない。これを『質素』という一言で片付けてもいいものか。あるいは、執務室の方が生活感がある気さえする。本当にこの部屋で暮らしているのだろうか。…………もしや父上、極々稀にしか帰ってきていないのでは?

 殺風景な空間の奥、王は蕭条(しょうじょう)と椅子に腰掛けていた。暗がりの中で瞳を閉じ、何か思案に耽っているようにも見える。

 御前に膝を着こうとしたオレを制止したのはアーサー王本人だった。

「…………公ではなく、私的な場だ。楽にしていい」

「は、はぁ」

 しかし話は続くことなく、再びの静寂が場を支配した。部屋の主たるアーサー王は口を閉ざしたまま、用件を告げるわけでもない。間が持たないが、果たしてオレが口火を切っていいものやら。

 微かな擦過音に視線を落とすと、僅かに身体が震えていた。すわ貧乏揺すりか、武者震いか。オレは…………緊張、しているのか。節操なく音を立てるなど、らしくない。ああ、だが、王と二人きりなんて、円卓の騎士となった日以来だった。…………モルガン(クソババア)なら事に及ぶ千載一遇のチャンスだと感じるのだろうが。あの時のオレはただただ素顔を暴かれた己の身の振り方ばかりを勘案していたように思う。自分自身が置かれた状況すら、理解が追いついていなかった。

 オレはアーサー王を尊敬している。魔女(クソババア)からアーサー王について語られる度に、王への憧憬は高まっていった。かつては王のために働けるだけでも幸運だと思っていた。だから、多少の気苦労はあれど、オレは現状にそこそこの充足感を得ている。

 だが、父上は――――アーサー王は、本当のところオレをどう思っているのだろうか。円卓の騎士らに詰問され、オレを『娘』と言ったアーサー王の真意は一体――――。

 騎士として仕えるようになってから今まで、じっくり話す時間はなかった。なればこそ、きちんと向き合わなくては。

 恐る恐る正面から王の尊顔を拝する。薄暗い部屋であっても、アーサー王の整った顔立ちは美しかった。今でも一部の不遜な貴族らの間で『少年王』と揶揄されているようだが、そいつらはきっと遠距離での謁見すら許されていないのだろう。もしくは、審美眼を欠片も持ち合わせていないか、だ。

 美しさと力強さが同居する父上の(かんばせ)は、もはや一つの芸術品と称しても過言ではない。だが、昼間に王として見せていた凛とした佇まいとは異なり、だいぶやつれているように感じた。見れば見るほど質実剛健なイメージから離れ、今この瞬間にもふらりと倒れてしまいそうな――――。

 ポロリと。気付けば、そんな感想がオレの口を衝いて出ていた。マズい。煮詰まりすぎて頭がおかしくなったか。『王がやつれている』だの『ふらりと倒れそうに見えた』だのと直接告げるなんて、公的な場であれば間違いなく不敬行為。私的な場であっても、許されるものではない。

 叱責を覚悟したが、王はほんの僅かに目を丸くしただけだった。

「…………そう、見えますか」

 疲れの滲む溜め息混じりの声が、三更(さんこう)の暗がりに解けていった。口調も物腰もいつもより柔らかいが、こちらの方が父上の素…………なのだろうか。

「近年、作物の育ちが悪いのです。そのせいか、農地を持つ一部の貴族は収穫量を過少に報告するなど、その分の税をちょろまかしているようです」

「なっ…………!?」

「まあ、後者に関しては既にアグラヴェイン卿が動いているので大丈夫ですが――――」

 トップの口から語られるこの国の問題点は止まることを知らなかった。

 蛮族の襲来やそれに伴う被害については言うに及ばず。というか、ついこの間も軍議で散々取り上げられていたので嫌でも精通しているが。

 農業の不調は聞きしに勝る深刻さだった。

 いくら耕せども大した量の実らぬ穀物類。民は飢え、新天地を求めて頻発する人口の流出。……ただまあ、この人口減少のおかげで若干食糧の消費量は抑えられているようだが、それも決して良いこととは言い難い。結局、労働力不足に歯止めがかからなければ益々食糧難は悪化するし、国力は低下する。ついには村の取り潰しまで候補に挙がっているらしい。もし、いくつかの村を取り潰してしまえば民からの不平不満は爆発的に増加するだろう。国自体も先細りから逃れ得ない。

 それ以外にも問題は多々あり、幻想種による被害報告の数も馬鹿にならないという――――。

 ノンストップで放たれる父上の愚痴を傾聴しつつ、オレは冷や汗をかいていた。

 …………ヤバい。何か、想像していた以上にヤバかった。駄目だこの国、早く何とかしないと。もっと訓練して、父上の負担を少しでも減らそう。

 オレは決意を新たにして――――。

「あと胸は全く成長しません」

「へっ、胸?」

 何故だ父上。何でそこで胸の話になるんだ!? 

「はい、胸です。一ミリたりとも増えないのです」

 場を和ますためのジョークかと思ったが、王の表情は至極真面目で冗談を言っている風ではない。『胸が成長』って何かの隠語か……?

「あなたが頑張っているという話はよく届くのです。私もあなたの仕事ぶりは評価に値すると思っています」

 けれど親としての威厳が云々、正直羨ましいなど云々。オレの胸部に突き刺さる父上のジト目が全てを物語っている。どうにも、言葉のままの意味らしい。

 …………いや、待って。本当に、何で胸の話? 成長しないも何も、元々父上の胸は膨らむものでは――――――って、まさか。『少年王』とか言われてるけど。王だから可能性を端っから除外していたけど。もしかして父上の性別って…………女!?

 否定材料が欲しくて父上を凝視したが、逆効果だった。というか試しに脳内で女物の服を父上の身体と合成してみたが、少女にしか見えなかった。

 図らずもどうでもいいところでとんでもない真実を知ってしまった気がしないでもない。

 オレの性別はモルガン(クソババア)が弄ったからだとばかり思っていたが、父上由来の自然な結果だったりするのか? あれ、なら父上は父上じゃなくて、母上? いやいや、魔女(クソババア)も女だし。でもそうなると親の性別が………………まあ、いいや。オレがアーサー王の息子だからアーサー王も父上でいいだろ。

「どうにかこの膠着した現状を打破したいのです……!」

 いい感じのこと言っているように聞こえるけど、父上が指しているのは豊胸のことだよなコレ。

 オレと父上の年齢にはそれなりに開きがある。だのに背格好や見た目年齢が同じに見えるのは、まずホムンクルスであるオレの成長が早いということが一つ。そしてもう一つの理由が『アーサー王が老いないため』。つまり『王が何故いつまでも若々しいのか』という話になる。

 で、気になったオレは以前、何か知っていそうな宮廷魔術師(マーリン)(シメ)たことがあった。案の定、件のヒトデナシは知っていた。王は肉体がこれ以上成長しないから、老いることもまたないのだ、と。

 原因までは聞き出せなかったが、恐らく父上の胸が育たないのは『不老』のせいだ。だからその…………父上の願望(のぞみ)は多分叶わない。

 しかし、口に出すことは(はばか)られた。というか顔面蒼白な王にそういうことをできるのは、あのロクデナシぐらいなものだろう。

 豊胸が叶うかどうかは別として、オレが協力を約束すると父上は目に見えてホッとした様子だった。

「安心したらお腹が空きましたね」

 台所の騎士を呼びましょう。と王の合図を受け、暫しの間の後に夜食を運んできたのは一人の騎士………………ええい、言葉を濁すのはやめだ! 台所の騎士として現れたのは、何やかんやで交流のある同僚(ガレス)だった。

「え、お前ガレ――――――」

「今は台所の騎士です!」

 唇に指をシーッと当て、『黙っていて』のジェスチャー。ならせめてその顔を隠してこいお前(ガレス)

「ガレス――――――ンンっ、台所の騎士よ、こちらのおかわりをください」

「待って父上隠せてないから待って」

 

 

 

 

 

 夢のような、あるいは悪夢のような時間は瞬く間に過ぎ去った。

 翌日、キリリと厳めしい顔付きで責務を果たしているアーサー王を眺めていると、()()父上は幻覚だったのではないかと思いたくなる。だが、すれ違い様に召集を告げられ、嫌でも現実だと認識させられた。つまり昨晩のアレも現実(ガチ)だということで…………今から頭が痛い。

 王の横でいつも通り、せっせと補佐に勤しむベディヴィエールが恨めしかった。オレも何も知らないままでいられたなら――――父上がありのままの自分をさらけ出してくれたと言えば聞こえはいいが、オレの心中は複雑だった。まあ、オレが何をどう感じていようと、王との約束を違えるなんて論外だ。

 夜、再び父上の私室に赴くと、開口一番『胸のために早速協力してほしい』と言われ、オレは窓から遠くを見つめた。

 …………いや、それよりももっと重要な案件があるのでは? そう思ったが、領主どもの脱税にアグラヴェインが対処しているように、きっと他の問題にもとっくに取り組んでいるのだろう。ならば戦働き以外でオレにできるのは、父上の心労を少しでも軽くすること。

 しかし、

「大きくする、っつってもなぁ…………」

 思いつくことは少ない。というか勝手にデカくなっていった。動きは阻害されるし、鎧の内部で蒸れるし、良いことなんて一つもないんだが…………。魔女(クソババア)の関与を疑ったが当人もアタフタしていたので、これに関してだけは無実な気がする。

 が、オレに心当たりがないとわかると、父上はあからさまに元気がなくなった。いつもピンと立っている一房の髪も萎れている。ざ、罪悪感がすごい――――。

「……いえ、見方を変えましょう。同じ人間に違う部分があるなら、二人の生活環境の差異に原因があるはず」

 一日の過ごし方や普段やっていること、心がけていることを教えるよう王に迫られた。って、さっきまでしょんぼりしていたはずなのに、気持ちの切り替えが早すぎる……!

 訓練所での素振りを始め、一部の女中衆からの逃走(かくれんぼ)まで洗いざらい吐かされた。オレが口を開く度、父上は何故かしきりに頷いている。

「なるほど、女中たちと…………ならばきっとそこでBPを摂取しているのですね」

「び、BP…………?」

「バストパワーの略です」

 何だその謎用語。

 その後も憧れの父上との会話は続いたが、中身はどこを取っても胸、胸、胸………………精神的に参った。まさか胸の話題でこうも気骨を折る日が来ようとは。

 一段落着いた頃、父上に断って部屋の片隅でへたばっていると、何か甘い香りがオレの鼻腔をくすぐった。どこか嗅ぎ覚えのあるような匂いだが…………?

「これは一体――――?」

「疲労には甘いものが一番ですから」

 父上が取り出したのは小さな瓶。中身は花の蜜だと言うが、そんなのを出す余裕が(ウチ)にあったっけ?

宮廷魔術師(マーリン)印の逸品です。安全性は保障されています」

「その………………つまり?」

「マーリンの花から搾り取りました」

「え」

 マーリンの花ってあれだろ? 偶にアイツが歩くとどこでも生えてくる奴だろ? それ、食っても大丈夫なのか? 食える奴なのか?

「以前、書類仕事で疲労困憊気味だったアグラヴェインに一服盛りましたが、何も起こらなかったので無害です」

 おっかなびっくり瓶をつついていた指が止まった。既に鉄面皮(アグラヴェイン)が実験台になっていたようだ。

 花の蜜に害はなく、仄かな甘さが美味で、難点はマーリンがしおしおに萎びるくらいだとか。

 ――――よし、実質難点ゼロだな。もっと搾り取ってこようぜ父上!!

 

 

 ◆

 

 

 

 モードレッドはその日、ガレスとのピクニック――――という名の冒険活劇に行っていた。

 ガレス、それは円卓の騎士が一人の名である。よく笑い、蛮族の話題で暗くなりがちな円卓を明るく盛り上げるムードメイカー。マッシュするだけではない料理技能を持ち、厨房というもう一つの戦場に立てる猛者。あの色ボケ……失礼、ランスロットに懐いていることだけは理解できないが。

 ここだけの話、ガレスの母親も魔女モルガンである。つまりモードレッドとガレスは、隠れ姉妹だったのだ。

 ガレスはこの血縁のことをまだ知らないようだが、『マーリン蜜の会』の縁もあって、モードレッドとはちょくちょく四方山話をする仲になっていた。

 なお、マーリン蜜の会の正式名称は『マーリンから蜜を搾り取って美味しい思いをしつつバストアップを目指す会』。命名は、第四回目の会合の際に三徹目に突入していた我が王である。王の虚ろな顔とあんまりな正式名称に、モードレッドは自室でしとどに泣いた。一体誰が、いや何が父上をここまで追い詰めたのか。

 ――――このままではマズい。どうにかして突破口を見つけねばならない。

 そんなような内容を、ふと城内で出会ったガレスにいつもの無駄話のつもりでつらつらと話した。同時に、父上を元気付けたいとも言った。

 するとガレスは「なら探しに行きましょう!」と思考時間コンマゼロ秒で提案した。モードレッドもその後の予定が空いていたので深く考えずに頷き、突発的ピクニックが実施されることと相成った。

 軽食を携え、キャメロット近隣の山林の散策に入った二人。気分転換の軽い散歩のつもりだったのに、平和なはずの王城のご近所にて、何故か出くわす野生の騎士やら野良の幻想種ども。

 まさかこんなことになるとは夢にも思わず、二人揃ってロクな武装をしてこなかったので、とんだ冒険譚となったわけだ。

 まあ出会い頭にぶん殴りアーサー王の偉大さを説いたお陰か、今回遭遇した在野の騎士たちは『アーサー王に仕えたい』と言い出したので、得るものはあった。……目的のものとは甚だ違ったが。

 「今日は楽しかったー!」などと脳天気に笑うガレスと別れたその帰り道、

「何だコイツ…………? 」

 モードレッドが見慣れぬ装束の行き倒れを見つけたのは偶然だった。

 まずは服。緻密な紋様は見たことのないデザインで、上等な設えだということはすぐにわかった。そんじょそこらの貴族(ボンクラ)程度では手は出せまい、そういった美術品に近しい衣類である。

 女自身の顔の彫りは浅く、思い当たる民族はいない。どこの国の出身か不明だった。

 腰には細身の剣が複数並んでいる。こんなにジャラジャラと武器を持ち歩くなど、伊達や酔狂か、あるいは本物か。

 目下、城下に現れた不審者である。行き倒れに見せかけた刺客という可能性もありえる。場合によっては即刻斬り捨てるため、警戒しながらモードレッドは声掛けすることにした。あくまでも慎重に、揺すり起こす。女はしばし、無反応だったが、

「お、お腹空いた…………」

 腹の虫が一等大きな声で鳴いた。

「おうどん食べたい…………」

 それだけ呟いて、あとはうんともすんとも喋らない。いや、腹の音は誰より雄弁であったのだが。

 モードレッドは出鼻を挫かれ――――もとい、呆気に取られた。これで油断させておいてグサリ、ということもあるかもしれないが、それにしては間抜けが過ぎる。空腹は嘘ではあるまい。

 とりあえず連れ帰り、様子を見ることにした。目的地は王城内の自室でも、城近くにあるモルガンがこっそり見繕っていた屋敷でもなく、モードレッドが個人的に用意しておいた城下町の拠点だ。

 近頃、姫騎士の噂が城の外でまで広まっているので、休憩所を自分で用意しなくては心休まる空間がない。握手やら話を求められ、ロクな休暇にならないため、苦肉の策だった。むしろこちらの方が街で過ごす時間より長いまである。プライベートが欲しいモードレッドだった。

 コソコソと戸をくぐり、異国の女を寝台に寝かせてやる。女はぐーすかと鼾をかきながら、ギュルギュルと腹をけたたましく鳴らしている。

 かなりうるさい。外の通りにも響き渡っていそうだ。静かに目立たないための隠れ家なのに、こうも騒がしくされては非常に困る。となるとやはり、腹の主張を収めてやらねばなるまい。

 戸棚に常備していた乾物を用い、適当な軽食を拵える。腹を刺激するいい匂いが立ち込め始めると、何かが動く気配がした。

「ここは――――?」

「起きたか」

 女は目覚めるなり、モードレッドをまじまじと見つめた。

「おや、キミは確か………………いえ失礼、私の勘違い、他人の空似でした」

 一瞬、姫騎士絡みかと身構えたが、どうも違うようだ。

「助けていただきありがとうございます」

 今の間は何だったのか。訊こうにも、その女の雰囲気が追及を拒んでいた。まあ、重要なことでもないだろう。

「ほらよ、腹減ってるんだろ」

 女の目の前に差し出した皿ははあっという間に空になった。食べるの速すぎだろうと思ったが、行き倒れならこんなものか。

 さて食後には楽しい尋問…………ではなく、質問コーナーが待っている。

 モードレッドの問い掛けに、女は素直に口を開いた。曰わく、旅をしていたらうっかり行き倒れてしまったらしい。手持ちの武器は護身用。幾つか質問を重ねたが、女はブリテンの内情に疎かった。蛮族でも刺客でもなさそうだ。よって、拘束する必要はない。

「色々聞いちまって悪いな」

「いえいえ。あなた、王様を守る騎士なんでしょう? ならば、見慣れぬ異邦人を警戒して当然」

「そう言ってもらえると助かる」

「さて、それじゃ」

 ――――食後の運動といきますか。

 キンと響いた金属音に、意識が戦場へと引き戻される。音の出所は、女が佩いた剣とは異なる刃の反った武器。あれはタルワールの類だろうか。蛮族の中にもああいった得物の使い手はいる。だが、ああも刃が薄く、刃紋の美しいものはいないだろう。握りの造りも凝っている。着衣の件と合わせて、やはりただ者ではなさそうだ。

 刃を僅かに露出させるあの動作は……誘っているのだろうか。アーサー王の円卓の騎士は強い。普通の騎士とは隔絶している。それを彼女は理解しているのか。

「おい…………本気か? オレは強いぞ」

「でしょうね。だって私が誘ったらすぐにビリビリするような殺気を叩きつけてきたのだもの。今まで会った武芸者の中でも間違いなく指折りの強者よ」

 ()()()()()()()()()()()()()()

「なるほど、な」

 モードレッドは合点がいった。この女は戦闘中毒者(バトルジャンキー)というわけだ。本当の旅の理由もまさか――――。

「いや、これに関しては体質というか仏様の采配というか、私の意思が介在するところではないのですが。まあ、それはそれとして」

 ――――やるでしょう?

 モードレッドは首肯した。強くなればそれだけ王のために働ける。強敵との戦闘は忌避するものではない。

 ただ、街中で暴れるわけにはいかないので、城壁の外まで移動した。街道からも離れた何もない平原だ、ここなら思いっきりやれるだろう。

「やあやあ、それではお立ち会い。これなるは二天一流、根無し草の風来坊。相対するは怪力無双の親切騎士。いざ、いざ! 尋常に勝負――――ッ!!」

 変わった口上に気を取られ――――瞬間、二つの鋭利な閃きがモードレッドの喉元に迫っていた。

「ッ!?」

 即座に剣で打ち払う。女は二刀流の使い手だった。単純な力ではモードレッドに部がある、が、如何せん相手の手数が多い。

 それにしても、華奢だがしなやかな刀身はなかなか刃こぼれしない業物だ。しかも、扱いきれぬか力任せに粗雑に振るうが関の山の二刀流で、ここまで繊細な剣技を身につけるとは。

 騎士との打ち合いでは味わえない、新鮮な驚きに満ちた試合(死合い)に思わず笑みが零れる。何のしがらみもない勝負がここまで気持ちの良いものとは。

 打ち合うこと数十合。不意に女が武器を鞘に仕舞った。周囲に漂う清澄な気配――――ゆらり、と女の背後が揺れた。

「仁王倶利伽羅!」

「んなっ!?」

 出現したのは巨大な何かだった。四本の腕を持つ男の虚像が剣を振るう。幻覚か、はたまた虚仮威しか。――――いや、違う。間違いなく、彼女は真剣だ。戦いに無意味なことはしない。幻なんかじゃない。これは、()()()

「往くぞ! 剣轟抜刀!」

「――――――」

 モードレッドは無我夢中で剣を振るった。ようやく息を吐き周りに目をやると、大地が抉れていた。

 ――――何だ、今のは? いや、アーサー王を筆頭に騎士の中にはポンポン光の柱をぶっ放す奴もいるが、これは別物。撃ったのではなく、()()()のだ。

 ――――面白い。

「お見事。今のを回避しますか」

 そもそも、あの大男は一体何だ。四本の腕で切りかかって来た後に消えたあれは。生き物ではあるまい。となると異教の神の類か。

 あとの問題はどのようにして行ったかということ。女が武器を納めた刹那、何かを念じ、召喚していた――――?

「ぶつかる一瞬、僅かに軌道を反らし、攻撃を避けること五度。言うは易し、行うは難し」

 神に祈ればいけるのか――――いや、戦場にあって、モードレッドが崇めるのは神ではなく王だ。敬虔なる神の信徒に信仰心では遠く及ばない。されど、王の忠実なる騎士として、忠誠心では負けるわけにはいかない。

「我が剣技を偉大なる父上に捧ぐ――――」

 敗北とはすなわち王に対する不義だ。それが野良の死合いであろうとも。

 流浪の武芸者が斬るのであれば、円卓の騎士(モードレッド)もまた斬らねばならない。

 ――――これは詭弁だ。そんなの、わかりきっている。円卓の騎士として世界を知れば知るほど、思い知らされる。モードレッドには足りないものが多すぎる。個の武勇でも、将としての采配もモードレッドはまだまだ未熟だ。ガウェインやランスロットが相手でも、恐らく実際の殺し合いであればモードレッドの勝率は三割ほどだろう。…………ランスロットはどうもモードレッドとの模擬戦では甘さが出るようだが。

 しかし、しかしだ。常勝無敗、騎士の中の騎士、理想の権化たるアーサー王の騎士であるならば。例え気概の上であっても劣るわけにはいかぬのだ。

「王の路を邪魔する不届きもの、その悉くを――――」

 ――――斬る。

「雄雄雄ォォォオオオオッ!!!」

 剣の間合いの外とはいえ、さほど離れていない。魔力を込め、一歩踏み出せば瞬く間に縮む距離だ。

 だが、モードレッドはそうしなかった。大きく振りかぶった剣をそのまま振り下ろした。聖剣でも魔剣でもない、ただ魔女(モルガン)の所持していただけの剣。何の神秘も内包していない武具。当たるはずのない一撃。しかし、斬ると決めた。だから、これは斬れる。

 モードレッドの背後に影が差した。いや、それは影ではない。幻の、しかし実体を持った大剣を翳す二本の腕だった。

「って、嘘ぉ!?」

 女は素っ頓狂な声を上げ、目を見開いた。が、すぐに気を持ち直す。戦場において、呆けている暇などない。女とは違えど、目の前の騎士もまた何がしかの境地に手をかけたであろうことは想像に難くない。

 全力で全力に応えてくれた。ならば、こちらは更に死力を尽くして返礼するのが筋。それが強者に対する礼儀に他ならないのだから。

「何の…………これしきィ――――!!」

 女武芸者もまたモードレッド渾身の一撃をいなしてみせた。本家本元の矜持がある。

 互いに大技を打ち合い、決着は付かず。勝負はまだまだこれから。

「いやはや、旅を始めて長いこと色んな世界を見聞してきたけど、アレを見た直後にここまで再現されたのは貴方が始めてです。腕だけとはいえ、感服致しました、はい。お互いまだまだ余力はある、しかし――――」

 遠くからガシャガシャと慌ただしい音。

「まあ、あれだけ暴れれば物見が気付くだろうな」

 あれだけ派手に斬り合ったのだ。むしろ、気付かなければクビである。アーサー王の配下に節穴はいらない。

 聖剣も魔剣も持たず必殺(ぶっ放し)技がないモードレッドとしては、今身に付けたばかりのあの感覚を完全に己のものにしたいという思いがある。チマチマと雑魚どもの相手をするのは意外と疲れるのだ。

 だが、

「で、どうするの?」

 兵士を斬りますか、とでも言いかねない女に、モードレッドは首を横に振った。

「適当に言いくるめてやるさ。で、色々気付かれない内にトンズラする」

「オッケー。なら私は黙っていた方が良さそうね」

 剣呑な様子の複数の兵士はすぐそこまで来ていた。ちゃんと任務に精を出しているようだ。

「おい! そこの二人! ここで何をして――――」

「あれ…………? ちょっ、ちょっと待て!」

「あ、何だよ急に。騎士様相手でもこれが俺らの仕事だぞ」

「ちげーよ! やっぱりそうだ! この方はただの騎士じゃねぇ、姫騎士様だ!」

「な、何だって!?」

「姫騎士様、だと……!?」

「姫騎士…………というと、()()モードレッド卿か!」

「やっべ、俺今夜寝れないかもしんねぇ……」

 一気に騒々しくなる兵士の一団。比例して苦々しい顔になるモードレッド。せっかく仕事人だなと感心していたのにコレである。

「あらまー…………ものすごい人気っぷりね」

「やめろ、言うな…………」

 相変わらずどんな内容かは把握仕切れないが、いちいち『姫』と付けられるのだ。アーサー王の嫡男なのに。そのせいで、精神的な疲労感が半端ない。あとせめて個人的な時間くらいは静かに過ごさせてほしい。

「大変失礼致しました! モードレッド卿はご公務でしょうか?」

 洗練された動作で敬礼する兵士らは、しかし有名人に会えた興奮のためか顔が上気しており、色々と台無しである。

「いや、ただの私的なトレーニングだ。あー、『知り合い』に手伝ってもらってたんだが…………ついついヒートアップしちまってな」

 知り合いのところで女に視線をやれば、兵士たちは得心したようだった。

「なるほど、そうでありましたか」

「悪いな、余計な仕事を増やして」

「い、いえ! とんでもない!」

「モードレッド卿からお言葉を頂けるなんて…………!」

「僥倖…………圧倒的僥倖ッ…………!」

「余計な仕事どころか、モー様と出会えた幸運でお釣りがきます!」

「そ、そうか」

 聞き間違いだと思いたかったが、兵士らの顔は至って真面目であった。こいつらもか、とモードレッドは嗟嘆(さたん)した。

 握手を求められ、一人一人に応じていると彼らは満足したようだった。

「では我々は戻ります!」

「お、おう。頑張れよ」

 最後に一際野太い歓声を上げながら、兵士集団は城門の方に戻っていった。

 会話の内容が想像と百八十度違った。萎えた気力は早々回復しない。女もそれを察しているのだろう。

「今回はこれでお開き、ね」

 モードレッドは無言で首を縦に降り、激闘の跡が刻まれた草原を発った。

 街に戻り、女に隠れ家のベッドを使っていいと言うと、彼女は喫驚した。

「え、それまでしてもらっていいの!?」

「乗り掛かった船だ。そのぐらいの面倒は見てやるよ」

「やった! すごい! ぃよっ、太っ腹!」

「煽てても何も出ねぇぞ」

 とはいえ、打算込みだ。

 彼女が持っているであろう異国の知識といい、戦闘能力といい、アーサー王の役に立つはず。そんな考えがモードレッドの根底にあった。

 しかし、モードレッドの見込みは外れることになる。

 翌朝、女を勧誘しようと再び拠点を訪れると、ベッドはもぬけの殻だった。戸には鍵が掛かったまま、忽然と消えていたのだ。

 一体どうやって。しばし首を捻っていたが、そういえば、旅の理由として『体質』がどうのと女が言っていたのを思い出した。この消失が件の体質なのだろうか。残念だが、そういう(運命)だったのだろう。別れの挨拶もできなかったのは少し心残りだが。

「ん…………?」

 ベッドを整えていると、枕元に覚えのない紐が落ちているのを発見した。綺麗に編み込まれた飾り紐だ。忘れ物か、置き土産か。

「…………ま、今度あった時に聞けばいいか」

 ベルトに紐を巻き付け、モードレッドは秘密の拠点を後にした。

 

 

 

 

 

「…………おや? こんな夜更けに出会うなんて珍しいですね」

 毎度お馴染みとなった『マーリン蜜の会』の会合に向かう途中、思わぬ声にドキッとしてモードレッドは足を止めた。声の主は円卓の変わり種・トリスタン。いつもの弓の代わりに、小さな竪琴(ハープ)をポロロンと鳴らしている。

「あん? って、トリスタンか。何してんだこんなところで」

「いえ、夜の散歩を少々。そちらは?」

「あー…………まあ、オレも似たようなもんだ。眠れなかったからな」

 秘密の集いについては言えないのでぼかしながら答える。モードレッドが眠れなかったのは満更嘘でもない。アーサー王からのご用命に、約束の時間ギリギリまで睡眠していられるほど肝は据わっていなかった。

「んじゃな。トリスタンもちったぁ真面目に戦えよ」

 一方的に別れの挨拶を告げ、モードレッドは足早にその場を去った。

 もはや『マーリン蜜の会』会場として馴染み深くなってしまった王の私室にて。

「ふふ、それでですね。モードレッドがしていたように私も――――」

「そ、そっかー…………良かったな父上」

 微々たる変化を嬉しそうに報告するアーサー王の話に合わせ、合いの手を入れるモードレッド。身体の成長そのものが止まっているので、その変化も全て勘違いだろうなと思いつつもモードレッドは口に出さない。

 宮廷魔術師であれば胸ぐらいちょちょいと盛れそうなものだが…………恐らくマーリンは『成長しない? 性別バレにくくなるからいいよね』の精神で放置しているのだろう。やはりあの半夢魔はヒトデナシだ。

「じゃじゃーん! 今日の『マーリン蜜の会』特製デザートです!」

「おい馬鹿、声がデケェ!」

 トレイを運ぶ台所の騎士(ガレス)の大音声にモードレッドが苦言を呈している頃、私室の横の柱の陰に隠れ、聞き耳を立てている者がいた。

 トリスタンである。先ほどのモードレッドのどこか急いた様子を訝しみ、スニーキングをやらかしていたのだ。

「む…………詳しい会話内容までは聞き取れませんでしたが、王があのように楽しげなトーンで話されるなんて」

 王も子を持つ一人の親だった、ということですね。

 トリスタンは愉快そうに呟いた。

「しかし『マーリン蜜の会』とは一体…………とはいえそれを本人に訊ねるのも気まずい…………ここは一度ガウェイン卿やランスロット卿に確認を取るべきですね」

 癖で竪琴に触れようとして、すんでのところでトリスタンは思いとどまる。そう、ここはあくまでも内密に退散せねば。

「おっと、危ない危ない…………ここで鳴らしては見つかってしまいます。それにしても『マーリン蜜の会』…………何と蠱惑的でファビュラスな響きでしょう…………ふふっ」

 

 

 ◆

 

 

 円卓の騎士内で馬上槍の模擬戦を行うことになった。まあ要する訓練だ。今回の言い出しっぺはガウェイン、ランスロット、トリスタンの三人らしい。この組み合わせは少し珍しい。ただの偶然かもしれないが、そうでないとしたらどういう縁だ?

 オレは初戦で顰めっ面のアグラヴェインをぶっ飛ばし落馬させ、二回戦でガレスに辛くも勝利し、ガウェイン、ランスロットとの三つ巴の戦いにも何とか白星を上げた。

 次はついに決勝戦。父上が――――騎士王アーサー王が出てくる。アーサー王の試合とあって、取り囲む見物人の数は恐ろしいほど膨れ上がっていた。見学者の見る目を養うために、騎士や兵士の見学を許可したらしいが…………ここまで増えるとは予想していなかった。

 さすがにこうも多いと…………いや、いくら人目があろうと関係ない。日頃の訓練成果を今こそ見せる時。父上に頼りがいのあるところを見せつけるのだ。

 そう、息巻いていたのだが、気掛かりなことがあった。

「どうかしました?」

「あー、鎧の留め金がやられたみたいでな……」

 声を掛けてきたガレスにそう返す。先ほどの試合で穂先が当たってしまったのだろう。鎧の一部分に歪みが生じていた。

「え!? 急いで交換してきますか?」

「何と交換すんだよ。特注品だぞこれ」

 オレは鎧の胸部を小突く。不本意だが、普通の鎧では着られないのだ。「ですよねー」と頬を掻くガレスの提案を一蹴して、オレは馬に跨がった。……まあ、試合ぐらいであれば問題ないだろう。無理やり外そうとしたり、何度も激しくぶつからない限りは。

 観客の興奮が否が応でも緊張感を高めてくる。

「――――始め!」

 審判役のベディヴィエールの声を合図に、オレは馬の腹を蹴る。一撃必倒のつもりで肉迫するが、父上の騎乗スキルの方が巧かった。オレの槍はひらりと回避されてしまう。

 そして父上の槍がオレに迫る。狙いはまっすぐ、一直線に胸元へ――――心臓狙いか。やばい、父上のやる気が違う。

「くそっ!」

 穂先が鎧を掠める。思うようにカウンターをいなせず、オレは毒づいた。手綱を繰り、もう一度。今度は槍の持ち手を狙うも、やはり父上の方が一枚上手だ。思考を読まれ、反撃を叩き込まれる。

 何とか身体を捩り、紙一重で有効打を逃れるがこのままだと――――焦燥感が募る。

 何度繰り出そうとオレの攻撃は避けられ、父上の反撃を食らうというループに陥る。マズい。というか父上の攻撃が胸に集中し過ぎ――――!?

「あッ!?」

 ギャリンと金属が弾ける嫌な音がした。視界の端にあったはずの歪んだ留め金が外れ、いくつかのプレートがすっ飛んでいた。父上の執拗な猛攻に耐えられなかったか。鎧が壊れた以上、次に槍を突きつけられれば、アーサー王の勝利は揺るぎない。

 ――――ここまでか。

 半ばオレは諦めていたが、いつまで経っても追撃は来なかった。父上は何故かオレを凝視し、愕然としたように硬直している。

 何で固まってるんだ? ……いや、理由は後だ、この隙を逃す手はない――――!

 オレはここぞとばかりに魔力を込めて槍を突き出す。ずしりとした衝撃と共に父上の手から槍が弾かれた。間髪入れずに、穂先を父上の顔に横付ける。

 辺り一帯が、静まり返った。

「しょ――――勝者、モードレッド卿!!」

 ベディヴィエールの宣言。万雷の喝采がキャメロット城に響き渡る。

 オレが、勝った、のか…………? 父上に…………?

 決勝が始まってから終始父上に圧されていたので、実感はない。だが、見物していた兵士らの快哉を聞いていると、徐々に込み上げてくるものがあった。

「本当に――――」

 オレが勝ったんだ。

 決着した後も、父上はしばらくの間茫然としていたが、ハッと我に返ると試合会場を見渡した。

「…………モードレッド卿。しばし、ここで待機するように」

 そしてふらりと出ていったかと思うと、一振りの剣を携えてアーサー王は戻ってきた。あの剣…………遠目でしか見たことがないが、確かあれ……王剣クラレントでは? 宝物庫に保管されているはずの。

 何でそれを今ここに――――?

「これを」

 膝を付いたオレの肩に、クラレントが触れる。つまりこれって、もしかしてオレは――――。

 歓喜にうち震えるオレに、父上は小さく耳打ちした。

「これからもより一層精進し続けるのですよ、モードレッド」

 認めてもらえた――――オレはついに報われた!

 

 

 ……あれ、オレ何しに円卓入ったんだっけ? でもまあ、父上に認めてもらえたから別にいいよな!!

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 そのうちアルトリアとモルガンがキャットファイトします(しません)。

 

 アルトリアが聖杯の話を聞き、豊胸のために探させます(させません)。

 

 ちなみに後世では『アーサー王が「自らの勝利を約束する存在だ」と語った』だの『男の円卓の騎士全員を骨抜きにし、自らが後継者となれるように秘密裏に動いていた反逆者』だのと伝わっています(いません)。

 

 




【オチ的な】

元凶「やっべ、配分ミスった」

青王「まけたしのう」

太陽三倍剣「おっと、私のガラティーンが(ry」

ヒトヅマニア「うむ、やはり素晴らしい」

ポロロン「あの王がこのような顔をされるとは…………やはり王も人の子でしたか」

盾(聖杯探索――――えっ、豊胸?)

花の魔術師「」

???「マーリンイイキミ、フォウ!」




【宝具】

『燦然と輝く王剣』
《クラレント》

 よくあるアレ。省略。
 ちなみに、普通にブッパするだけである。
 こちらの宝具でスタンドの剣(二本)からビームを出せたりはしない。


『極大王剣・三煌一尽』
《クラレント・エクステンション》

 クラレントの真名開放に合わせ、武蔵ちゃん印のスタンド(腕単品一組)を召喚。クラレントのごんぶとビームと剣二本の物理攻撃で、三方向から滅多打ちにする技。相手は死ぬ。
 例え正面からのビームを食い止めても、別方向から巨大な剣(×2)で斬りつけられるという。
 この宝具を防ぎたくば、全方位への完全な防御、複数人で連携して対処、そもそも宝具を撃たせない――――などの対策が必要。
 なお、通常時スタンドの剣からビームは出ない。(出せないとは言ってない)

 FGO的な効果は以下のようなイメージ。
『敵単体に超強力な防御力無視攻撃&強化状態を解除+自身のNPをリチャージ〈オーバーチャージで効果アップ〉』

 つまりアルトリア(通常種)×武蔵ちゃん



【スキル】

『勝利約せし叛逆の姫騎士』(初期CT7→CT5)
 味方単体を超強化する代わりに、味方〔男性〕の弱体耐性がダウンしそう(こなみ)。
 具体的には多分以下のような感じ。
『味方単体の攻撃力をアップ(1ターン)&与ダメージアップ状態を付与(3回)&防御力をアップ(1ターン)&被ダメージカット状態を付与(3回)
 +味方全体〔男性〕の防御力をダウン(10%)(1ターン)【デメリット】&弱体耐性をダウン(20%)(3ターン)【デメリット】』
モー×3「姫騎士ィ? 何の話だそりゃ」

『分身剣』(初期CT8→CT6)
『自身に通常攻撃のヒット数が2倍になる状態を付与(1ターン)〈ヒットあたりの威力は大きく落ちるがスキルレベルに応じて威力が上昇〉&スターを大量獲得』
 要するに第五勢+直感。
モー×3「父上に捧げし我が剣技――――受け切れるか?」

『魔力放出(胸)』(初期CT8→CT6)
『自身のBusterカード性能をアップ(3ターン)&スター集中度をアップ(1ターン)&クリティカル威力をアップ(1ターン)』
 マーリンのスキル・英雄作成のHP増加の代わりにスター集中が付いたような奴。なお、使用すると星よりも視線が集中する。
モー×3「っ、テメエ……どこ見てやがる!?」



 なお、兜はない(迫真)。




【キャラクター紹介】

☆モードレッド
 本作の主人公。
 運命の悪戯とか乱数調整とかの末、何故か胸に(物理的に)色々溜め込んじゃった人。魔改造物二次創作の犠牲者ともいう。
 モルガンの手によって作り出されたホムンクルス…………という辺りまでは原作と相違ないが、モルガンの(ミスという名の)やんごとなき事情により秘匿されて育った。そのためモルガンの他の子供たちはモードレッドのことを知らなかったし、円卓側でも把握していなかったのである。
 若干拗らせている感があるが、割と純粋でツッコミ気質。親が少々アレだったが、反面教師で無事たわわに育った。……これ精神的に豊かという意味ですよ?
 メタ的な話だと、冒頭部分のアルトリアに別室まで連れて行かれる場面まで書いた後、長らく放置。そうこうしている間にアポのアニメが始まり、「あの兜可変式かよォ!?」と作者を(おのの)かせた結果、そのまま兜はドナドナされた。兜「解せぬ」
 なお、本人的にはアーサー王の『息子(嫡男)』のつもりなので、『姫』扱いされると機嫌が悪くなる。モルガンが何やかんやとチラホラやらかしていたため、意外にも女子力が高い。
小モーさん「うー……おれアーサーおーのむすこだから、りょーりとかべつにいーだろー……」
母魔女「何言ってんの時代は男も家事をするものよ」
小モーさん「わかった! ちちうえのためにがんばる!」キラキラ 
母魔女(吐血)


☆アルトリア(アーサー王)
 主人公の父親(♀)、兼上司。『stay night』のヒロインであり、製作会社の顔とも呼ばれる存在。
 人々の安寧のため、国王という人ならざる装置になることを良しとした人。しかし、モードレッドの胸を見て、捨てたはずの女の憧れとかプライドとかその辺りが刺激されてしまった。
 本人はアヴァロンの効果で成長が止まってしまっているが、自身のホムンクルスだというモードレッドの胸に一縷の望みを見いだした。もうこの時点で相当ヤバいレベルまで病んでいたと思われる。
 モードレッドと交流が深まってからはやや人間味を取り戻せたらしいが、まだ夢と希望という名の未来(物理)は取り戻せていない。
 頑張れ女性ホルモン、アヴァロンに負けるな。ちょっとだけ、あとほんの先っちょだけでいいから頑張って。


☆モルガン
 主人公の母親。もともとは原作における黒幕的な存在、つまり悪役である。
 しかし、本作においては中二病罹患者だったことにされたりと、ある意味被害者。何やらモードレッドからは蛇蝎のごとく嫌われているが、多分ツンデレのデレが伝わっていないだけである。時代を先取りし過ぎた女。『†理想王を守護(まも)りし漆黒の姉君†』。
 原典の伝説において、アーサー王にちょっかいを出した理由は判然としない。そのため本作でもその辺りの動機は不明である。……が、「ふん、あなたには荷が重いからこの国潰してあげる。膿とか全部絞り出して存分にいたぶってあげるから、その後は好きにしたら?」とか言っていても不思議ではない気がしなくもない。おい誰だこんな業の深いキャラ付けしたのは。
 なお、当初は普通に悪女のつもりで書いていたので、この着地点は作者をも大いに困惑させた。さすがモルガン、略してさすモル!


☆ランスロット
 円卓の騎士の一人。湖の騎士として名高いプレイボーイ。原典であるアーサー王伝説でも大活躍()しているが、その場合だいたいフランス系の話を纏めた物なので、物語の成立から考えると後付けが多いと考えられる。
 本作では何故か若干Mじみた感じに収まった。こちらも想定外である。最終的にモードレッドを取るかギネヴィアを取るかは神のみぞ知る。
 なお、感想欄において未来の義娘からの熱い風評被害が発生していたが、考えてみれば勘違いでも何でもないので残当。


☆ガウェイン
 円卓の騎士の一人。モードレッドの異父兄。アーサー王の聖剣、エクスカリバーの姉妹剣であるガラティーンを所持する。
 円卓が誇るポテトマッシャー。雑な味付けで食べた者のSAN値を直葬してくるナイスガイ。
 彼の自前のガラティーンがモードレッドに反応している節があり、二人の関係を見るにヤバげだが…………原典のアーサー王誕生経緯からして色々とアレなので、当時のブリテンからすれば割と普通だったのかもしれない――――という言い訳を並べてみる。


☆トリスタン
 円卓の騎士の一人。通称、嘆きのトリスタン。出番はあったが比較的影は薄め(当社比)。私は悲しい(ポロロン)。
 彼の心はどちらにせよイゾルデの物なので、モードレッドには靡かなかった。
「それはそれとして眼福ですね」ポロロン


☆ベディヴィエール
 プロットの時点では特に登場予定がなかった人その一。
 アーサー王のお世話係の騎士。本作ではよくアーサー王に引っ付いている。ぶっちゃけいつ頃円卓に座ったのかうろ覚えだったので、とりあえずまだ円卓ではないという設定で書いた。比較的キャラ崩壊という名の蹂躙の被害が少なかった人。


☆アグラヴェイン
 プロットの時点では特に登場予定がなかった人その二。
 円卓の騎士の一人。武力よりは知力に優れた男。優秀な仕事人で実はそんなに悪い人ではないのだが、鉄面皮で言葉少ななために勘違いされがちな可哀想なお方。まあ母親が母親なので是非もないよね!
 モードレッドの素性については、調べている内に「……あれ?」となったが、他にも頭痛案件が山のようにあったため放置した。割と兄妹は多いので、今更一人増えたぐらいじゃ動じない。


☆ガレス
 プロットの時点では特に登場予定がなかった人その三。キャラクターは当然捏造。第二部六章が怖い。…………とか書いていたら中編と後編の間にいきなり実装されやがりましたよこの娘は!! やったぜ!!(ヤケクソ)
 円卓の騎士の一人。ちょくちょく台所にも顔を出しているらしい。
 同性なことも相まって、モードレッドとはいいお友達。一緒にいると何だか他人の気がしない。もしかしてこれって運命かな?
 本作において、二人の関係がFGOと微妙に異なるのは仕様。いいですね?(迫真)
Q:ところで『マーリン蜜の会』に一言お願いします。
A:女子会楽しいです!


☆ガヘリス
 円卓の騎士の一人。しかし、出番はなかった。モードレッドとは異父兄妹の関係にある。だが出番はなかった。許せ。
 FGO第二部六章に全ての望みを託すのだ!


☆ケイ
 円卓の騎士の一人であり、アルトリア(アーサー王)の義兄。しかし、出番は以下略。


☆ギャラハッド
 ランスロットの息子にして、いずれ円卓の呪われし十三番目の席に着く騎士。聖杯探索にも成功しているなど、原典的に考えると超チート。いつ頃円卓に加わったのかうろ覚えだったので、本作では特に語られることがなかった。
 某マシュマロ後輩と関係があったりなかったりするかもしれない無責任ボーイ。


☆ギネヴィア
 アルトリア(アーサー王)の妃。原作における、円卓崩壊要因の一人。いつ頃輿入れされたのかうろ覚えだったので、障らぬ神に祟りなしとばかりに全力でスルーされた。ランスロットがやらかした辺り、多分豊かに実っておられるはず。
 なお、詳しく描写したら描写したで、全部ぶっちゃけたアルトリアに「羨まけしからんぞキサマー」とか言われて乳繰られていそう(こなみ)。キマシタワー。そのため描写されない方が幸せと思われる。


☆マーリン
 キャメロットの宮廷魔術師の職にある半夢魔。魔術が得意ではない凄腕の魔術師。余談だが、FGOにおいては孔明(ウェイバー)と並び称される二大、もといスカ様を加えて三大便利サポーターの一人なので、ピックアップの機会を逃さぬよう注意されたし。諭吉? 知らんな。そんなことは俺の管轄外だ。
 色々と計画を張り巡らしていたが、モードレッドのおかげでその悉くがおかしな方向へと行ってしまった。本人は目が点状態である。
 なお、最後はヤケになり楽しんで見ていた模様。


☆フォウ
 FGOでお馴染みの癒し系モフモフ小動物。而してその正体は、人類にとってデンジャラスなビーストであるとか何とか。フォウ!
 本作中では特に出番がなかったが、「こんなはずでは……」と頭を抱える花の魔術師のおかげで存分に愉悦できた模様。


☆見慣れぬ装束の流浪の剣士
 プロットの段階では影も形もなかった人。なかなか良いおもちをお持ち。いったい宮本某ちゃんなんだ……。
 行き倒れ状態のところをモードレッドに助けられた。モードレッドとの真剣チャンバラはなかなか楽しかった模様。
 書いている内に「多分これ剪定事象だよな……」とか血迷ってしまったのが運の尽き。こうして余計な要素と文量が増加していくのであった……。エタる原因にもなるので、良い子は決して真似しないように!
 




【後書き】
 ということで後書きです。こんな後ろの部分にまで目を通していただきありがとうございます。
 全ての発端は二〇一七年某日、私の誕生日のことでした。浮かれポンチになった私はその場の思いつきと勢いに任せ、語感のままに突っ走ったメモを残します。
 内容は、二千字程度の簡易プロットとそれを書き起こした冒頭部分がおよそ三千字。プラス、オマケ的なナニカ。
 ぶっちゃけ、いつもの突発的な病気なので、このままメモ帳の肥やしとして朽ちていく――――ハズでした。
 二〇一八年某日、まさかのセイバーウォーズ復刻。ばらまかれたアルトリウムに触発されたのか、まさかまさかの執筆再開。
 で、本編を書いてみれば、当初の予定を遥かにオーバー(知ってた)。全然キンクリできてない! 全然ごり押しできてない! 長いんだよゴルァ!!
 そんな感じの、(ある意味)魔改造モーさんのお話でした。そして後編を投稿するまでに三年掛かりました。アホか自分。
 最初はただ胸がデカくなっただけの話の予定だったのに……何故ここまで魔改造されてしまったのか。今でもよくわかりません。だいたいその場のノリとフィーリングで書いてます。
 一応、話が進むにつれて、モーさんからアルトリアへの「父上」呼びの割合が増える……というギミックを仕込んだつもりですが、これまたフィーリングでやっていたので実際にできていたのかどうかは甚だ疑問だったり。
 誤字脱字の修正もできてたりできていなかったりなので、今後暇で気力のある時に取り組みたいと思います(こなみ)。

 前編を投稿した時にはここまで多くの方に目を通して頂けるとは思ってもみませんでした。本当にここまでお付き合いいただき感謝です。
 他の投稿作も完結目指してボチボチ書きたいなと思いつつ。

 ――――まあ、とりあえずマイロストベルトをクラフトするよね!!






【追記】
 メモ帳に初期のアイディア書き的なプロットがそのまま残っているのを発見したので、もったいない精神で載せておきますね。
 本編と見比べると、どれだけ脱線しまくったのかがよくわかるな!()






【プロット】

 モーさん円卓加入。胸のあたりの鎧に違和感を抱かれる。兜を剥がされる。顔バレ。「な、王と同じ顔だと!?」的な動揺。アルトリアも顔色が変わる。円卓メンバーから詰問されているモーさんをアルトリアが連れ出す。
「少し、二人で話したいことがある」

 王の執務室に連れてこられる。人払い済み。観念して正直に生まれを話す。「そうか」俯きながらアルトリア。ガシッと肩を掴まれる。ホムンクルスというところを再三確認される。肯定するとアルトリアはガッツポーズ。呆然としているとアルトリアの呟きが聞こえた。「これで私の勝利は約束された」……何ですと?

 円卓に戻る。案の定円卓メンバーから問い詰められる。モーさんがうろたえているとアルトリアが、「そこの騎士は私の『娘』だ」「なっ――――王よ、それは誠ですか!?」「ああ。だが姫として扱う必要はない。同じ円卓に座す者として扱うように」まだ疑惑の目を向けてくる者もいるがその場は収まる。父上が娘って……認めてくれた? いやでも息子って言ってほしいし……

 モーさんの主な任務は毎週ハイキングしに来る蛮族と戦場でタップダンスすることである。それを幾度か繰り返した後耳に届いたのはアーサー王の姫騎士の噂だった。つまりモーさんのことである。どこからか情報が漏れたらしい。遠巻きに見られてヒソヒソ話され気分が悪い。イライラしているとヒトヅマニア登場。諸々あってぶっ飛ばす。やっちまった。しかし後悔はなかった。とりあえずクビになるだろう。そうしたらモルガンもぶっ飛ばそう。心に決めて神妙な面持ちで王の元へ。

「ランスロット、ギルティ」「何故ですかぁ!?」
 皆モーさんに同情的。とりあえずランスロットはマッシュポテトの刑になった。円卓の騎士以外にも話は伝わる。モーさんは女性を無理やり××しようとした悪しき騎士を撃退した勇ましき姫騎士らしい。特に城に勤務している女性からの人気が鰻登り。どうしてこうなった……?

 ちなみにランスロットからの言い寄りはなくならなかった、何でさ。

 珍しく蛮族とのランデブーが途切れている。晴れ空の下中庭で稽古。ガウェインと遭遇。どこか辛辣なガウェイン。親に甘えるために来たのではないと断言すると感心された様子。「よく見ると…………ふむ」ガウェインはモーさんを獲物に見定めたようだ。「私がお相手しましょう」ちなみに太陽三倍剣は卑怯だった。

 アルトリアの部屋に呼ばれたモーさん。今まで何やかんやでじっくり話す時間が取れてなかった。アルトリアはだいぶやつれているように見えた。指摘するとそこから始まる愚痴の数々。ヤバいこの国早く何とかしないと。決意を新たにするモーさん。しかし直後に飛び出てきたのは胸の話。何でだよ。親としての威厳が云々、正直羨ましいなど云々。成長止まってるとかマーリンの野郎が言ってたし多分無理だろうなとか思いつつ協力することを約束。
「安心したらお腹が空きましたね」アルトリアと部屋で夜食。台所の騎士が運んできてくれた。

 翌日もアルトリアからの呼び出しが。胸のために早速協力してほしいのだとか。しかし思いつくことは少ない。なら何か違うことに原因があるのでは。一日の過ごし方や普段やっていることや心がけていることなどを洗いざらい吐かされる。疲れたころにアルトリア「疲労には甘いものが一番です」そんなのを出す余裕が城にあったっけと思っていると出されたのは花の密。マーリンの花から絞り取ったものらしい。マーリンの花ってあれだろ、奴が歩くとどこからでも生えてくるのだろ。食べて大丈夫なのか?

 その後もアルトリアとの会合(笑)は続いた。微々たる変化でも嬉しそうに報告するアルトリア。勘違いだろうなとか思いつつも話を合わせる。その様子を陰から見ているトリスタン、アルトリアとモーさんのやり取りを見てトリスタンの心証が変わった様子。やったねアルちゃん崩壊原因が減ったよ!

 アルトリアとモーさんが馬上槍の試合をするとモーさんの胸ばかりを狙ったりとか。見物人増えた中でモーさんが勝っちゃって話誤魔化すためにクラレントを渡したりだとか。
「これからもより一層精進し続けるのですよ、モードレッド」

 ……あれ、オレ何しに円卓入ったんだっけ? でもまあ、父上に認めてもらえたから別にいいよな!!

【プロットここまで】







 ………………………………………………。

 ちなみに「『もしドラ』~もし巨乳モードレッドがFGOのカルデアに召喚されたら~」なんて電波を受信しちゃったけれども、続きません。
 いいか、絶対だぞ! 振りじゃないからな!
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