ダンジョンにサーヴァントを連れて潜るのは間違いな気がする   作:キョウさん

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何時かの消え去った幕間の物語

深い闇の中を落ちていく。

底なんて無い。

このままここを漂うのだろう。

恐怖はあるが、後悔はない。

最後に驚愕もあった。

あの子は今、泣いているのかな。

悲しませたくなかった。

でも心の中は暖かくて、つい笑みを作る。

 

「何故だ?」

 

声は震えていた。

その声に答えることはできない。

声を失ってしまっている。

 

「分からぬ」

 

分からなくても良いんだ。

だから面白い。

分からないから面白いんだよ。

 

「絶望だ」

 

そう……絶望だ。

でもそんなの皆知ってる。

だから笑うんだ。

絶望に飲まれないように。

隣を歩く人が笑顔なら、絶望を忘れられる。

 

「何故だ……何故笑える。もう何も無いと言うのに……」

 

やるべきことはやった。

勝利し、そして敗北した。

結果に満足している。

 

「…………そうか。お前は―――」

 

そこから先は聞こえない。

 

「哀れな。我ら―――」

 

大事なことを言っているような気がするのに、耳に届かない。

聞こうともしていない。

コツン、と何かが頭に当たった。

何かは分からない。

目はもう潰れている。

手足も無い。

どころか形もほとんど無い。

 

「これは―――救い―――」

 

悲しみに打ちひしがれていた声が、喜びに変わったのが分かった。

嬉しいことがあったのなら、それは良いことだ。

こちらまで嬉しくなって、また笑顔になる。

 

「人――――――苦―――界―――」

 

テレビの砂嵐のような雑音が聞こえ、気が遠くなる。

ふわっと身体が浮くような感覚の後、轟音が鳴り響いた。

身体は動かない、その音の波に飲まれ流される。

ベキベキベキ……と何かが剥がれるような音が辺り一帯から響いてくる。

なんの音かは分からないが、何か焦燥感のようなものを覚えた。

知っているような気もするし、知らないような気もする。

ただ気が焦る。

 

「―――――――――」

 

声のようなものが聞こえるが、言語を正しく認識できない。

その声に慈愛を感じた。

生命への敬愛を感じた。

やがてバキバキという音は消え、浮遊感に包まれたまま天へと上って行く。

どこに行くのだろう。

何も分からないまま……どのくらいの時間が過ぎたのか。

突然水のなかに落ちた。

一瞬怯んだが、すぐに自分が既に呼吸を必要としない存在であることを思い出して落ち着いた。

不思議なことに、ここは水のなかである筈なのに暖かい。

そしてそのまま意識は残った身体ごと霧散しかき消された。

消え行く意識の中、ふとくだらないことを考えてしまった。

 

 

(俺は……間違っちゃいない……)

 

 

消える。

世界が消える。

でも、何もかもが無くなる訳ではない。

この心の中にあるものは、無くさない。

 

―――皆、大好きだよ―――




無駄に伏線だけ置いときます
自分の腕でこれを上手く回収できるだろうか……
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