ダンジョンにサーヴァントを連れて潜るのは間違いな気がする 作:キョウさん
僕たちの全てを賭した戦いの終止符。
その時、僕は紛れもなく生きていた。
マシュが、ヘラクレスが、孔明先生が……皆が。
僕を見て歓声をあげた。
そこにいてほしかった人がいない。
共に生を喜び、これから来る未来に夢を見たかった人がいない。
でも僕は後ろを見ない。
いつだってどんな時代だって僕は前だけを見て歩いて来たんだ。
悲しくても辛くても……僕はそこには留まらない。
どんなときだって前進してやるんだ。
そしてまずはマシュに抱きついた。
涙を流して、皆に見守られながら、恥ずかしかったけど。
僕は子供のように泣いた。
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あれから数日後……先ほどようやく外の世界との連絡がつき、ようやく人心地ついたのだが、今日は休もうと思っていた時に清姫に捕まってしまった。
僕の手を握るなりそのまま僕の部屋に連行され、そして清姫は口を開く。
「ますたぁ!」
「はい」
「なぜあの時まず真っ先に私の元へ来てくれなかったのですか! 清姫は、清姫は胸が締め付けられる思いでした……!」
清姫が顔を真っ赤にさせながら、僕の胸をポカポカと叩いてくる。
君が怖いからだよなんて口が裂けても言えないので、「一番初めに目に入った人につい」と嘘のない範囲で無難なことを言った。
マシュに泣きついたのは自分でも予想外のことで、マシュの笑顔を見て思わず……というのが真相なのだが、それを話してしまうとそれはそれで怒られそうだ。
清姫は先ほどのマシュとのあれを再演を求め、俺はもう涙も枯れたというのに清姫を抱きしめる。
「さぁ! 泣いてくださいますたぁ!」
「えーんえーん、助かってよかったよぉ」
「あぁ安珍様……怖かったのですね……」
僕の背中を擦る清姫に言いたい。
君は、本当にそれでいいのかい……?
満足そうにしているので何も言わないが、それよりも気になることがあった。
僕の背中に刺さる無数の視線だ。
清姫は気付いてないのか気にしてないのか分からないが、とにかく今後ろくなことにならないのは確定している。
今日くらいはゆっくりしたいと思っていたのに……。
最近は忙しくて他の子も遠慮していたみたいなのだが、清姫の接触で皆今が好機だと思っているようだ。
「……皆見てるよ?」
「見せつけているのです」
そんな僕たちを見て耐えきれなくなったのが、数人が部屋に乱入してきた。
「トナカイさん! 辛いのなら私が慰めてあげますよ!」
とジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ……以下ジャンタが僕の腕に抱きついた。
「マスター……私の胸でよければ……お貸しします」
と静謐のハサンが僕の手を握って胸の方に持っていった。
「お母さん! 解体するよ!」
一人物騒なことを言っているがつまり遊んでほしいみたいだ。
仕方なく清姫の腕を外そうと……はず………………外れない……!
「ますたぁ、今日だけは清姫だけのますたぁでいてください……」
潤んだ瞳で見上げてくるのはずるいと思います。
こんな顔で懇願されたら許可するしか無いじゃない!
なんてことをすればこれから毎日サーヴァントの子達の面倒を見なければいけなくなってしまう、それは色んな意味で勘弁だ。
「ふふ、変な清姫。僕は清姫のマスターだよ?」
「誤魔化そうとしてもダメです! 今日だけは! 一人占めすると決めていますから!」
チッ、昔の清姫ならこれでも騙されてくれていたのに。
清姫が意地でも離そうとしないのを見て、ジャンタとジャックは更に暴れ始めた。
「ずるいですずるいです! 私もトナカイさんと遊びたいです!」
「お母さんを一人占めしちゃダメなんだよ?」
便乗するようにフェルグス、クーフーリンまで入ってくる。
ついでにアサシンのエミヤがそっと俺の側による。
「よう坊主! 落ち込んでやしないかと思ったが、楽しそうだな!」
「どうだ、酒でも一杯」
そして他のサーヴァントまで乱入してきて、場が混沌としてきた。
所謂すし詰め状態だ、もうだめだ収拾がつかなくなる……。
僕は近くで僕を守ろうとしてくれた殺エミヤに全てを任せて逃げ出した。
「エミヤごめん、スキル3を自分にかけておいて」
「わかっ……なに!?」
「あーっ! マスターが逃げようとしてますぅ☆」
スキル3が発動した瞬間に僕は殺エミヤを指差して声をあげる。
そして僕は外に出た。
「うぐおおお!?」
瞬殺される殺エミヤ。
「これは……マスターじゃねぇぞこいつ!?」
「お母さん! 逃げちゃダメだよ!」
あっという間に気付かれて、追いかけてくる声。
僕は心のなかで謝罪をしながら、隠れられそうな場所を目指してとにかく走った。
「マスター、どうかし……うぐおおお!?」
エミヤが死んだ。
「おい雑種! 貴様我を無視して……な、何をするうがあああ!?」
ギルガメッシュも死んだ。
「マスターじゃん! 何して……ええええありえないしーー!!」
鈴鹿も飲み込まれた。
道中大切な仲間たちがやられていくなか、そして僕を追うサーヴァントが増えていくなかを僕はひた走った。
今捕まったら酷いことされる。
絶対に捕まる訳には……。
ぽにょん、と。柔らかなものに当たった。
「わっぷ」
「あら、まあ」
キ、アラ…………終わった……一番捕まるとやばいのに当たってしまった……。
「うふふ……怖がらないでください。私が守ってさしあげますから」
「どさくさに紛れて変なところ触ろうとしないで?」
「うふ、うふふふふ」
「くっ……この言葉を叫ばなければならないとは……」
僕は全てを諦めて、最期の言葉を口にした。
「や~~ら~~れ~~た~~!」
そしてここで僕の意識は暗闇に落ちていったのだった。
台本形式廃止してみました
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