ダンジョンにサーヴァントを連れて潜るのは間違いな気がする 作:キョウさん
嘘ですごめんなさい詳細には覚えてないのでノリで書きました。
僕たちを出迎えたのは、豪邸でした。
いや冗談でもなんでもなく軽く数十人は住めそうな豪邸に僕は素直に驚かされた。
「流石ギルガメッシュ」
「我の財の中でも質の低い物をくれてやったわ。あの程度で喜ぶなどこの世界の底も知れるというもの」
ギルガメッシュが鼻を鳴らして中へ入って行き、そして僕の横で孔明先生が静かに崩れ落ちた。
「そうだよな……カルデアだとそんなことなかったから忘れてたけど、うちには金に困るなんてこととはまったく縁の無い奴もいたんだよな……僕って本当馬鹿だ……」
「まぁまぁダンジョンに行く必要が無くなったから良かったじゃないの。ねぇアーサー?」
「そうだね。ほらせっかくだから室内で休もう、捕まって」
アーサーに肩を抱かれながら孔明先生も家に入っていく。
なんとなく背中に哀愁が漂っていた、南無。
他の皆も家の中や、花壇に咲いた花などを見に行ったりと自由に動き出した。
エミヤママなんて少し楽しそうにキッチンへ向かって行った。
豪邸に驚いていたロキ神は気を持ち直したのか、「あんなぁ」と僕に声をかけた。
「ファミリア作り立ての神がこんな家に住んだら他の奴になに言われるか分かったもんじゃないで」
「ママの作るご飯美味しいから楽しみにしててよ」
「聞けやぁ!!」
パチコーンと頭を叩かれた。痛い。
何事かと思ったマシュが玄関から駆け出そうとしてきたので、来なくて良いとジェスチャーを送る。
「うーん……他人の嫉妬に驚くほど興味が持てない」
「嫉妬ってのは怖いで。いつか悪意に変わって、何かしら理由をつけて手を出してくるんや」
「凄くどうでも良い。勝手にやってれば良いと思う」
「こっちは心配して」
僕はロキ神を見つめた。
そして、
「覚悟はある?」
そう問い掛けた。
「は? 覚悟?」
「そう、覚悟。覚悟があるなら、僕は、僕たちはどこまででも相手になるよ」
「…………なんや、覚悟って」
「誰を敵に回そうが己の意志を貫く覚悟だよ」
僕たちの敵は全員、その覚悟を持っていた。
敵だけではない。それに立ち向かった僕たち全員も同じ覚悟を持って戦っていた。
「その覚悟を持っているなら、僕らは全身全霊で相手になる。持てる力を全て使ってはね除けるよ」
「……ったく。軟弱そうにヘラヘラしてるだけの奴や思ってたけど、しっかり男の顔するやんけ」
おっと、それはいけないな。
僕はあくまで状況を楽しむだけだ。
僕はすぐにロキ神の言う軟弱そうなヘラヘラした表情に戻した。
「まぁ僕は何にもできないんだけどね。皆が凄いから僕も凄く見えるらしいけど、僕は後ろで見てるだけだから」
僕は笑いながらガンドを撃つように手を突き出した。
ロキ神は僕の顔を無表情で眺めている。
やれやれ、真面目空間反対なんだけどなぁ失敗した。
こっち側に入っちゃうと僕はとことんネガティブになっちゃうから嫌だ。
「ごめん」
ロキ神に素直に謝ると、謝罪なんていらないと言うように手をヒラヒラと振った。
マシュがまだこちらを心配そうに見ていたので、そろそろ僕も中に入ろう。
「ひとつ言っとくで。あまり自分を卑下すんなや。つまらんで」
僕の心臓が跳ねる。
卑下するな、なんて何度言われたかも分からないのに、僕は未だに感情的になってしまいそうになる。
いやいや僕だって成長したんだから落ち着け自分。
「卑下くらいさせてくれよ!!!」
全然ダメ、まったく冷静でいられない。
僕は今まで何度も口にしてしまった悪癖を大声で叫んでしまった。
あっと口を塞いだがもう遅い。
大声をあげた僕に驚いているロキ神から逃げるように僕は家へ向かった。
「先輩!?」
マシュに声をかけられたが恥ずかしすぎて反応する余裕もなかった。
~~~~~~~~
「悪いな姉ちゃん。マスターはちょっと思春期って奴なんだわ」
藤丸が走り去るのを見ながら、ロキに声をかけたのはクーフーリンだった。
横にはアーラシュもいる。
「あいつ自分がすげぇ奴だってのが分かってねぇんだわ。俺らみたいなのに憧れてるみたいでな。なんつーの適材適所って奴? 戦いの才能はからきしでよ」
「『僕は見てるだけ』『指示してるだけ』……ってな。あいつがいたから世界が救われたことを理解してない。変な奴だろ?」
何気なく世界を救った、という発言が出たことにロキは少しだけ困惑した。
二人がまったく嘘をついていないことが、より藤丸から聞いたことが嘘では無いことを証明していたから余計にその困惑は増していく。
「でも俺たちにとっては最高のマスターだから。仲良くしてやってくれや」
ニィッと爽やかな笑顔のクーフーリンを見て、ロキは去っていった藤丸の方を見た。
「ほっといてええんか? あのままだとどうなるかも分からんで。最悪、死ぬ事になるかも知れんわ」
「大丈夫大丈夫、そんな柔な奴じゃねーから。つーかそれで死んでるならもう何回死んだかわかんねーわ!」
「それは確かだな! マスターはあれだ、無茶はするけど無謀な奴じゃ無い。ちゃんとその時の自分の行ける位置は心得てるから安心して見てられる」
「あいつが嬢ちゃん庇って敵の攻撃受けたときはヒヤッとしたけどな!」
クーフーリンとアーラシュは一頻り笑い終わってから、真顔になってロキへ向き直る。
「んでまぁ……同じ神としてってのもなんだけどよ、暇だったら坊主のこと気にかけてやってくれや」
「マスターのことを一番信用してないのはマスター自身でな。この世界で良い巡り合わせがあることを期待してるぜ」
それだけ言って二人も家へ、ロキは少しだけ思考してから首を振り二人に続いた。
~~~~~~~~
ああ恥ずかしい子供の癇癪以上に恥ずかしいものなんてこの世にあるのかってくらい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。
無い物ねだりをする時期なんてとっくの昔に過ぎ去っているだろうにまだあんな事を言っちゃうなんて僕って本当成長しない。
と僕がゴロゴロ床を転がっていたのを見かねたのか、マシュが優しく僕を起こしてくれる。
「何があったのかは分かりませんが……もし辛いようなら……その……私の膝で」
「うええええいマシュの膝枕うえええええい!!!」
先ほどの事を振り払うように僕はマシュの膝に飛び付いた。
咄嗟の事にマシュが体勢を崩してしまうが、僕はマシュの下敷きになるように体をずらした。
マシュのお尻が僕の腹部に乗っかるが、これはこれで夢見心地という奴だ。
「せ、先輩!?」
「癒されるぅ……あーマシュほんっとマシュマシュ……」
「意味がわかりません……! 今降ります……え、先輩!? 離してください!」
「男なら 得られた幸福 逃すなかれ」
「全然上手くありませんよ!?」
なんてイチャついている僕たちを許せない奴らがいつの間にかいた。
無論清姫と静謐、あとジャックと刑部とランスロットまで僕たちを羨ましそうに睨んでいた。
ただ皆踏み込んで来ないのは、僕の様子がおかしいことに気付いているからだろう。
ただ遠巻きに見ているだけだが、サービスタイムはそろそろ決壊しそうかもしれない。
ランスは柄を力強く握っているし、清姫と静謐は徐々に距離を詰めてきている。
ジャックと刑部は頬を膨らませているだけだから可愛いもんだけど、多分清姫静謐が乱入してきたら迷いなく騒動に加わって来るだろう。
至福の時なんてあっという間なんだ、僕は泣く泣くマシュを手放した。
「もう! マスター、こういうことは二人きりのときに」
「マシュさん?」
「……二人きりのときに?」
「あっ」
あーーー、とマシュが二人の妖怪に捕縛されて引きずられて行った。可哀相なマシュ。
でもマシュって最近けっこう本気で僕のこと好きになって来てるみたいなんだよなぁ。
それはとても嬉しいことなんだけど、ランスは自分のことを棚にあげてマシュと僕の間には中々厳しい。
まだマシュには早い、と目で訴えかけて来てるからなんだかなぁと言った所だ。
「マスター。どうか、正しき道をお進みあれ……」
直に語りかけてきた。
モンスターペアレント……って言ったらマシュが怒りそうだから僕はなにも言わない。
沈黙は金だ。
「すまない遅くなったな、元の世界とは勝手が違い……と今は良いか。今回は客人もいるということで少し贅沢をさせてもらった。たのしんでいただければ良いのだが」
そういって並べられた料理は一品一品でも御馳走と呼べる物だらけだった。
肉に魚に野菜にデザートまである。
「おおおおなんやこれぇ!? こんなん酒場でも見んで!」
早速手を出すロキ神。
それから皆が食堂に集まってきて、思い思いの料理に手を出し始める。
ギルとオジマンの姿は見えないけど、まぁあの二人のことは良いか。
「うまぁ!」とガツガツ食べているロキ神を見てエミヤは満足げだった。
「こんなにいっぱい大変だったでしょ」
「タマモとブーディカがいないから確かに大変ではあったが、いつもより作る量も少ないからそれほどでもない。それに巴とじ……アサシンも手伝ってくれたからな」
「頑張りました!」
笑顔の巴さんが手を握る。可愛い。
殺エミヤの表情は見えないけど僕の視線に気付いて逃げた。可愛い。
おっとそれはそうとして、今のうちに言っておかないといけないことがあったなそういえば。
「マシュ、ご飯が終わったら……僕の部屋に来て……」
「えっ」
無駄に含みを持たせちゃった。
いかん皆の視線が僕に集まってる。
顔を真っ赤にさせてフリーズしているマシュには頼れなさそうだし、早く誤解を解かないと。
「いや違うんだ。ちょっとマシュに裸になってもらうだけで」
何も違わなかった。なんだ僕疚しいことの為にマシュ誘ってたんじゃないか。
さて、僕の命の残り時間も少なくなって参りました。
「ますたぁ……? それはどういうことでしょう……」
清姫が持っていたナイフを机に突き立てる。
お行儀が悪いぞぉ。
「マスター……私はいつでも……」
あぁ僕の持っていた料理が毒を付与された。
「私達もおかあさんと遊びたい!」
ジャックは黙ってなさい。
「じゃなくて、マシュと契約してステータスを見るだけなんだってば。ごめん紛らわしい言い方して、ちょっと何も考えてなかった」
僕が謝ると空気が柔らかくなる。
なんだぁそんなことかぁ、みたいなそんな
「ますたぁの一番はこの清姫です!!!」
いやダメだった清姫がまったく納得行ってない。
一瞬下ろしかけた腰を上げて机を叩いた。
いやでも僕もこれだけは譲れない。
「マシュは僕の一番初めのサーヴァントだからこれだけは譲れない譲りたくない渡さないの三段活用! 清姫、許せ!」
くっ、と清姫が悔しそうに俯いた。
「……契約の一番はお譲りしましょう。確かに安珍様と一番始めに契約したのは、とても悔しいことにマシュさんですから……ですが契約の! 二番は譲りませんよ!」
妥協案を出して清姫は泣きそうになりながら席についた。
いつの間にか復帰していたマシュが申し訳なさそうに言ってくる。
「あの……私は別にいつでも……」
「初めてはマシュって、決めてるんだ」
顔を紅潮させるマシュが可愛いのでまた冗談を言ってしまった。
また騒動になるのも嫌なので僕はマシュの手を取り、契約を始める。
そんなに時間もかからずに契約は終わった。
僕はロキ神を見る。
「それで終わりや。嬢ちゃんの背中にステイタスが現れとる筈やで。んで必要ならさっき教えた通り紙を貼って力込めて終わり、簡単やろ?」
「どれどれ」
「きゃあ! な、何をするんですかぁ!」
マシュの後ろ襟を捲ると、凄まじい早さでマシュが逃げた。
名前とレベルが4ってことしか分からなかった。あとマシュの肌が綺麗ですべす
「どうか……どうか……正しき道をお進みあれ……そうである限り……」
「待って待ってごめんなさいごめんほんとちょっとした冗談なんだってば」
神速で剣を抜いたランスの剣の刃がキラッ、と光った。
まったく、冗談も通じない。
「でも随分レベル下がっちゃったね、マシュのレベル4だってさ」
「4……またここから鍛え直しですね!」
「は?」
なに言ってんだこいつらみたいな表情をして食事の手を止めたロキ神は、しばらく僕とマシュを交互に見たあとに茶碗を置いて立ち上がった。
「れ、レベル4ーー!?」
「あ、でもこの世界に種火とかないらしいからどうやってレベル上げよう」
「無視すんなやー!」
スパンっと頭を叩かれた。痛い。
「嬢ちゃんレベル4なんか!? 2、3に上げるんも大変やのにいきなり4!? いままでどんなバケモノ相手にしてきたんや!?」
「どんなバケモノと言われましても……あまりにも強大過ぎてなんと言えば良いのか……」
「……まさか、皆嬢ちゃんくらいに強いんか……?」
「そんな! そんなことありません!」
「ほ……なんや、嬢ちゃんがエース」
「私なんてみなさんに比べたら……あくまでサポート役ですから!」
謙遜するマシュに、ついに言葉を失ったロキ神。
ロキ神の慌てぶりを見た孔明先生が悪い顔をして耳打ちしてきた。
「僕たち、この世界じゃ一大勢力みたいだな」
「元の世界でもそうだったと思うけど」
「そりゃあまぁ、そうだけど」
僕は孔明先生のノリには付き合わず手を出した。
「それよりも孔明先生、契約しようか」
「え? なんで僕なんだよ?」
特に意味なんてない。
男ならこの場で脱いでも特に問題無いと思ったという程度の話で、近くにいたのがたまたま孔明先生だったというだけだ。
「そんな! ますたぁ、なんでですか!」
「ごめんね! 僕って孔明先生のこと大好きだから☆」
特に意味もなくそんなことを言ったせいで、清姫と静謐のターゲットが孔明先生に移った。
「ちょっやめ、さ、触るなァァァ!!! これは罠なんだァァァ!!!」
意味もなく孔明先生を追い詰められて僕は大変満足です。
さて、と僕はアーラシュを見ると僕の考えが読めてたかのように僕の手を握ってくれた。
速やかに契約を済ませると、アーラシュは上着を脱ぐ。
流石の千里眼……。
僕と、それからロキ神が素早くアーラシュの背中に注目した。
まったく何が書いてあるのか分からなかったのだけど、それがどんな言葉なのか正確に把握することができた。
アーラシュ
Lv.6
力:B751
耐久:B776
器用:C623
俊敏:D588
魔力:G231
《宝具》
【流星一条】
・矢を放つ
《スキル》
【頑健EX】
・自身の耐久力以下の攻撃への耐性を得る
【千里眼A】
・戦闘中、味方の位置を常に把握できる
・戦闘中、敵の位置を常に把握できる
・戦闘中、敵の弱点を見抜くことができる
【弓矢作成A】
・魔力を用い瞬時に弓矢を作成する
矢を放つって。
放ったら死ぬんだけど。雑だなぁ。
ロキ神も食い入るようにアーラシュのステータスを確認している。
「なんやねんこのステイタス……あり得んやろ……」
じっくりと眺めてから、深くため息を吐いたロキ神は諦めたように吐き捨てた。
「こりゃ認めるしかないわ。こんな強力なスキル持った奴が団長なら文句も」
「団長? アーラシュにはいつもお世話になってるけど、主戦力って言われるとちょっと違うかな」
「俺の場合すぐにぶっ飛んじまうからな!」
アーラシュ、笑って言うことじゃないそれ。
けっこう僕の胸を抉る発言だ……。
ロキ神の開いた口が塞がらなくなっているのが面白い。
「いやいやいやいや……え? なに? レベル6で主戦力じゃない? なんの冗談や? は?」
「弓兵って呼んで良いのか分からねぇけど、古代の王様には流石に勝てねぇな。俺の弓で撃ち落とすにも限度があるしな!」
「でもアーラシュ、ギルの剣全部撃ち落としてたよね」
「あれじゃジリ貧だったな」
あの時のオジマンの子供のように喜んでいる表情は今でも忘れられないし、ギルが滅茶苦茶楽しそうだったのが印象的だった。
僕も……いや今考えるのはやめておこう。
「そ、そのギルっちゅう奴のステイタスは!?」
がっと僕に掴みかかってきたロキ神だが、僕とロキ神の間に見た目にも分かるくらいに疲弊した孔明先生が割って入ってきてロキ神を止めた。
「残念だがサービスはここまでだ! ステータスは大事な情報! 情報は命! つまり軽々しく見せられないってことだ!」
「ぐ……確かにその通りや……」
僕は別に良いのに、と言おうとして止めた。
孔明先生は別に意地悪で情報を明かさないというわけでは無い。
ロキ神が僕らの敵になるかもしれない……という最悪の事態を想定するなら残念ではあるが孔明先生の行動は正しい。
勢いの削がれたロキ神は椅子に座って頭を掻いた。
それから天井、床、サーヴァントの皆へと視線を右往左往させる。
「……で結局誰が一番強いんや?」
「キングハサン」
聞こうか悩んでやっぱり気になって聞いてきたのだろうその質問に、僕は少しの間も無くその名を告げた。
心情的にはヘラクレス、と言いたい所だけれどこれだけは変わらない。
カルデア最強の存在がキングハサンだ。
…………ギルガメッシュは「我だ!」と譲らないけど、多分ギルでも勝てないと僕は思っている。
「キングハサン……誰や?」
ロキ神はキングハサンを探すが、キングハサンは普段隠れているので見える所にはいない。
「普段は出てこないよ。呼べば出てきてくれるけど」
実のところキングハサンは僕の後ろにいるけど、わざわざ姿を見せる必要は無いだろう。
納得はしていなさそうだがそれ以上しつこく迫ってくる事はなく、食事を続けることにしたようだ。
「んまーーー!」
食事を終えた後、ロキ神はまたご飯を食べに来ると言って帰っていった。
僕は現在自分の部屋として宛がわれた場所にいる。
「さ……脱いで、マシュ」
「せ、先輩……」
潤む瞳を見つめ、僕はそっとマシュの手を取
チャキッ……
僕の手が取れそうなのでゆっくりと引っ込めた。怖い。
別に僕はエッチなことをしている訳ではなくマシュのステータスを確認しようとしてるだけなのに、清姫と静謐、あとくっついてきたランスにエミヤまで僕を監視している。
「ますたぁ……ダメですよ、おいたは」
「清姫熱いよ清姫」
ちょろちょろと清姫の口から漏れるとろ火に焦がされる。
「んもぅ、ますたぁはそんなにおっ……胸が見たいのですか?」
「当たり前だろうが!!! マシュのおっぱいだけじゃない!! 静謐のだって清姫のだって僕は平等に愛そう!!」
「な、なんと男らしい! 好き!」
「流石は我がマスター……!」
「私のなら……いつでも」
僕の堂々とした宣言に感銘を受けたのか、清姫、静謐、ランスが胸に手を当てて片膝をつく。
その光景をエミヤは冷めた目で見てきた。
「こいつらは放っておこう。今のうちに準備を」
「は、はい」
僕がおっぱいに対する熱い感情を吐き出し終わったのは、マシュが上半身をはだけさせてベッドにうつ伏せになったあとのことだった。
憎しみで人を殺せるのなら、エミヤは既に呪殺されていただろう。
項垂れた僕に視線で早くしろ、と飛ばしてくるエミヤに殺気を返して僕はマシュに股がる。
マシュ・キリエライト
Lv.4
力:E450
耐久:A826
器用:F308
俊敏:F366
魔力:F352
《宝具》
【いまは遥か理想の城】(ロード・キャメロット)
・城を数分具現化させる
・認識している味方全員の耐久を激上昇させる
・認識している味方全員の力を激上昇させる
《スキル》
【誉れ堅き雪花の壁】
・認識している味方全員の耐久を上昇させる
・認識している味方全員に見えない鎧を付与する
【時に煙る白亜の壁】
・攻撃を完全に防ぐ
・自分は動けなくなる
【奮い断つ決意の盾】
・全ての敵の注目を集める
【守護天使】
・他者を守る時、耐久のレベルを上げる
殆ど僕の知っている情報なのだが、少し説明がザックリとしているな。
あとこの守護天使ってなんだろ? 初めて見るな。
とりあえずマシュの背中に用意しておいた紙を押しつける。
これでなんか力を込めて……おお、マシュのステータスが紙にコピーされた。
「終わったのか?」
僕は紙をエミヤに渡す。
ランスとエミヤがそれを見て、ほう、と声を漏らした。
こうしてみると本当に防御一辺倒だな。
「せ、先輩もういいでしょうか? 服を着たいのですが……」
恥ずかしがるマシュを無視してマシュの肢体に指を這わせる。
防御高いなーマシュの肌はすべすべで瑞々しく僕はこの感触を楽しむために今まで生きてきたんだなということを瞬時に理解した清姫や静謐の肌も柔らかくて気持ちいいんだけどその感触を楽しむ暇なんて
「ひゃ、せ、先輩!」
無い状況であることが多いしこう純粋に楽しめるこのマシュの反応も相まってとても興奮するマシュはあれかな異性を誘惑する天才かななにこの女の子女の子してる感じ大人しいし僕がこうして触っても身体をくねらせるだけで拒絶も逃走もしないマシュえろ
判決
死刑
朝。あのあと僕は三人からの粛清を受けたあとに四人と契約をし、速やかに気絶した。
生きてて良かった……なんて言えない程の地獄を経験した僕は、それでもこうして生を実感していた。
今日もエミヤの飯がうまい。
「マスター。傷は大丈夫か」
「大丈夫じゃないけど僕がマシュに与えた心の傷はこんなんじゃハカリシレナイ」
「ダメだ、まだ治っていない」
僕は別段性に狂ってる訳じゃない。
昨日のもいつもの悪ふざけの一環だったんだ、少なくとも僕はそのつもりだったけど。
結果はギルティ。
僕は僕のしたことにはいつも罰を受け入れるようにしているが、流石に気絶するまで責められるとは思わなかった。
「あ、あの先輩……私はその、気にしてないので……」
顔を赤くして僕の手を上から握るマシュに、こいつわざとか……? と疑心暗鬼になっていた。
マシュはもしかしたら、僕の命を確実に奪う気なのかも知れないな。
―――ああ、でも
―――マシュの胸のなかで眠ることができたなら
―――どれだけ良いかと、僕は憧れた
―――この気持ちは、間違いなんかじゃない
いや間違いだこれは悪魔の囁きだ。
正気に返った僕はマシュのことを親の仇でも見るように睨んだが、何を勘違いしたのか顔の赤みが耳まで達していた。
クソッ! この後輩め! 可愛い!
チリンチリン
どこからかベルの音が鳴って、僕の思考が切り替わる。
何の音だ?
「どうやら来客のようだ」
僕が音の出所を探していたのを見てエミヤが答えた。
そういえば家の入り口のところに垂れた糸のようなものがあった気がする。
僕は立ち上がり、客人を迎えようとして……殺エミヤに手で制された。
「僕が出る」
殺エミヤは僕の返事も聞かずにさっさと玄関へ向かっていく。
殺エミヤの雰囲気がどうもピリピリしているな……と思ったけど、よく見たら他の皆も似たような状況だった。
僕は気になって殺エミヤの後をこっそりと着いていく。
殺エミヤが玄関の扉を開けると、美人なお姉さんが笑顔(何となく嫌そうにしてるのが伝わってくる笑顔だった)で立っていた。
「どちら様ですか?」
「ギルドの者ですが。こちら新規発足されたカルデア・ファミリアの拠点でよろしいでしょうか?」
「ええそうですが」
「主神のカルデア様をお呼びしていただいても? 書類の提出をしてもらいたいんですけど」
「申し訳無いが主神はまだ寝ているんだ。……あぁそれと、僕達はダンジョンには行かないんだ。だからギルドと関わる必要もない」
「えっ」
相手の反応も待たずに殺エミヤは扉を閉めた。
向こうで大声をあげながら扉を叩く音が聞こえているがガン無視して戻ってきた。
「マスター、囲まれている。かなりの数だ、100は越える」
殺エミヤの報告で皆が警戒していた理由が分かった。
それに気付いていたから武器なんて身に付けてたのか。
でもどうしたもんかな……全面戦争?
「いったん皆で相談しようか」
僕が大広間に戻ると既に臨戦態勢の面々が今すぐにでも飛び出そうとしていた。
血気盛んな連中の多いことよ。
「ちょっと待って待って。やる気出すの早すぎだから」
「向こうがやる気出してんだ、仕方ねぇだろ」
「もっともらしいこと言ってるけどクーフーリンはただ暴れたいだけでしょ」
「まぁな!」
笑って認めた潔さだけは僕も認めたい。
うーん……でもどうしたもんかな。
向こうがその気なら僕らもしっかり受け止めるつもりだけど……。
「ねぇ孔明先生、向こうの目的なんだと思う?」
「さぁな。【僕に分かるわけ無いだろ】」
あ。……嘘をついてるのが分かるってこういうことだったのか。
いや孔明先生の様子見てたら嘘なのは分かったけど、これだけ明確に分かると誰かの反応に鈍くなりそう。
とりあえず孔明先生のことは後回しにして、どう戦争を回避しようか……。
ドンドンドンッ!
「おう! ここ開けろや!」
ロキ神がチンピラのような台詞を言いながら、扉を乱暴に蹴る音が聞こえてきた。
それで僕は今回の襲撃の理由を理解した、ついでに孔明先生の狙いも。
僕は立ち上がって駆け足で玄関へ向かう。
「先輩!?」
「誰かあいつを止め」
遅いぞ孔明先生!
「オープンザドアー!」
「うおっ!?」
勢いよく扉を開けたせいでロキ神がバランスを崩して僕にぶつかり、僕も僕でスピードが出ていたので二人してもつれ合いながらごろごろと外へ転がってしまった。
……こういうアクシデントの時、僕は殆ど毎回柔らかさに包まれる。
だが今回はそれがない。
「固い」
「皮一枚一枚剥いだるわ」
怖い。やっぱり女性だ。
と僕はおちゃらけた空気を作ってみたが、ロキ神はすぐに無表情に変わった。
「つーか起きとったんかい」
「つーか起きとったんやわ」
「まぁええわ。お前ギルドから来い言われとんやろ。今から行くで」
「それなんだけどもね。僕達」
「拒否権は無い。これは決定事項や」
取りつく島もないやん。
こっちの皆もかなり苛立ってる。
立ち上がったロキ神は僕の首根っこを掴もうとして、クーフーリンとエミヤが阻んだ。
「悪いがマスターを引き渡す気はない」
「問答無用じゃ仕方ねぇ。そっちが望んだ事だ、文句ねぇよな?」
「別に取って食ったりせんよ。ただファミリアになったならギルドに所属せぇ言う話や」
ロキ神凄いな、二人の殺気にもまったく怯んでない。
ロキ神の後ろにいる二人も武器を手にとっていつでもやる、と目が暗に告げている。
参ったなぁ……いや参った。
これじゃあ孔明先生の望む通りになってしまうじゃないか。
いや……ロキ神もかな。
こちらの手の内を見ておきたいって所だろう。
「悪いけど、力づくでも連れてくで」
それが合図になった。
ロキ神の後ろにいた無表情の少女がエミヤに、獣耳のついた男がクーフーリンに斬りかかる。
「おせぇ!」
獣耳もかなりのスピードだったが、クーフーリンを捕らえるにはまるで足りない。
獣耳の蹴りが放たれた頃には既に背後に回っており、槍で横っ腹を殴り付けた。
空中に投げ出された獣耳は浮いたまま器用に体制を立て直したが、大分ダメージが入ったようで攻撃部位を押さえて荒い呼吸を繰り返した。
そんなハイスピード戦の後ろではエミヤvs無表情少女戦が始まっていた。
いつもの夫婦剣を投影したエミヤは無表情少女から大分距離を取っている。
エミヤから動く気配は無い。
無表情少女も出方を伺おうとしていたのか、動かないエミヤと視線を交えている。
少しして無表情少女は走ってエミヤに近付いた。
こちらはあまり速度は早くない(あくまでクーフーリン達からすれば、という話であり僕じゃまったく追い付けない)。
エミヤも剣を構えて
「目覚めよ」
瞬間、急加速した無表情少女はエミヤの剣を弾き飛ばしてそのまま蹴りつけた。
剣を弾かれ一瞬無防備になったが、即座に防御姿勢に移りダメージを軽減させるエミヤ。
剣は遠方へ飛んで行き、取りに戻るなんてことになったら一方的に痛めつけられることになるだろう。
「投影、開始」
エミヤにはまったく関係がないことだが。
同じ武器が瞬時にエミヤの手元に出現したことに無表情少女は一瞬驚愕した、がすぐに先ほどと同じように急加速からの攻撃を繰り出した。
だが同じ戦法が通じるほどサーヴァントは甘くはない。
下からの一閃を干将で綺麗に受け流し、莫耶で剣を弾こうと横から殴るように振るった攻撃を無表情少女は身を退いてかわす。
今のエミヤとクーフーリンの戦いを見て僕は確信した。
まず負けることは無いだろう。
手の内はまだ隠しているようだが、戦闘力と戦闘経験という点で二人は相対している二人に大きく差をつけていた。
獣耳も無表情少女も弱くはない、非戦闘員のマシュや孔明先生が戦ったなら大苦戦を強いられるだろう。
ロキ神も僕と同じことを思ったのか、奥の方で控えている何人かに目配せをした。
うわ、まだやる気だ。こっちの二人は先遣隊って所か。
これ以上無駄な戦いは避けたいというか、向こうに殺す気がないから対処に困る。
切りの良いところで僕が間に入―――
全員の動きがぴたりと止まった。
音が消えた。
鳥の鳴き声も草木のざわめきも何もかも一切合切全部だ。
まるで世界から生が消えてしまったような、そんな錯覚を覚える程の静寂。
そしてそこにただ一人、存在感を放つそれは告げる。
「そこまでだ、これ以上の無益な争いを止めよ。双方に争う意思無し。それでも剣を振り翳すのならば……首を出せ」
圧倒的な死の恐怖が、この場にいる全員を支配した。
無表情少女と獣耳、そしてロキ神が同時に尻餅をついた。
そこにはもう誰もいない。死は通り過ぎた。
というかキングハサンやり過ぎ。
向こうさん、見ちゃいけないものを見た、みたいな顔をして全員その場に腰を下ろしてるよ。
「……んん。まぁほらあれだ。僕ちょっと行ってくるから」
「どうしてそうなるんだよ!?」
陰でこそこそと見守っていた孔明先生が鋭くツッコミを入れてきた。
「いや僕が行けば解決じゃん? 元々僕行くつもりだったし。キングハサンも言ってたけど、顔見せはもう十分だよ」
「それはまぁ、そうだけど」
ロキ神がまだ呆然としたまま座った状態で、震える声を抑えて口を開いた。
「お前……今のが、昨日言ってた……」
「うちの最強さんことキングハサン。ビビった?」
「ビビったなんてもんやない……死ぬかと思った。……いや、死ぬんやろな。天界に帰ることも出来ずに、私は死ぬ」
軽口ガンスルーで神妙な表情をしてるよ。
もうどぎつい下ネタでもぶっ飛ばして空気変えようかな……。
「まぁそんな訳で。行ってくるから、留守番よろしくね」
皆が見守る中、結局僕は空気に耐えかねてロキ神に手を貸し、その場からそそくさと立ち去った。
僕の思い付く程度の下ネタなんて、「マシュのマシュマロ柔らか過ぎマシュ」とかどうしようもなくくだらないものだったのだ。
そんな訳でinギルド上層階。
大柄な老神ことウラノス神、そしてその傍らに控える揺らめく人影と対面していた。
到着一番僕への質問は「お前は何者だ?」。
僕は懇切丁寧に僕の世界での出来事を包み隠さず教えた。
にも関わらずだ。
「嘘をつくな」
人影さん、まるで信じてくれず。
そりゃそうだろうさ、なんだよ気付かないうちに世界滅んでたから特異点一つ一つ修復して世界救いましたって。
今どき小説でももう少し納得できる理由で世界救ってるよ。
「で僕はどうすればいいんですか?」
「正直に話せ」
「正直に話したのに信じてもらえない場合どうすれば?」
「お前が真実を話せば良いだけだ」
「オーケィ話を聞く気が無いことだけは分かった。よーしじゃあ凄く本当っぽいこと言うぞぉ!!! 彼女探しに来ました!!! いい人紹介してください!!!」
沈黙。僕は深く深くため息を吐いた。
最初から信じる気のまったく無い人間と話す必要性を感じない。
もう少し話ができるかと期待したからここに来たのに。
「信じる信じないはそちらの好きにしてよ。僕は真実を話した。僕は世界を救って間も無く前の世界の仲間とこの世界に来てしまった。以上。それじゃあ帰らせてもらうから」
僕はペコリと頭を下げて入口へ向かっていく。
「私はお前を信じよう」
ウラノス神の迷いの無い声音に僕はホッと小さく息を出した。
良かった、この神すら聞く耳持たないタイプじゃなくて。
「ウラノス!?」
「真実を告げているのは分かった。 非礼を詫びよう、すまない」
僕は満面の笑みで振り返り、ウラノス神へ向け手をつきだしてぐっと親指をあげた。
「うん許そうじゃないか! 疑う心は大事だけど、相手の何もかもを疑って話も聞かないんじゃ話し合いの意味がない。自分の知識や経験に無いことを有り得ないと断じるのはやめた方がいいよ人影さん」
どんなに有り得ないと思う事だって起こるときは起こるんだ。
世界消滅なんて最たる例だろう。
人影さんはフードで表情は窺えないものの少し悔しそうにしている。
「…………分かった。まだ完全にはお前を信じられないが、私はウラノスの判断を信じるよ」
「僕たちのことは疑ってても良いさ。ゆっくり調査してよ。僕たちに隠すことなんて無いから、すぐに疑いは晴れるだろうし」
人影さんはこほんと、わざとらしく音をならした。
それからようやく本題に入った。
「それで神カルデア、お前は何故ギルドに所属することを拒む?」
「いや僕は別にどっちでも良いと思ったんだけどもさ。うちの軍師が「帰る方法探さなきゃいけない時にこっちの世界の都合に付き合ってられるか」って言ってましてね」
「……遠征か」
「そうそう。それでギルドに所属する理由もないし見送ろうってことになったんだ」
「そちらの事情は分かるが……」
金銭的な問題もギルとオジマンが解決してしまうのでいよいよダンジョンに行く必要が無い。
遠征に時間を取られるくらいなら帰る為の手がかりを、という意見には僕も同意だし。
ウラノス神は少し考えるように顎に手をあてて、十秒ほど悩んで考えを口にした。
「話は分かった。だがカルデア・ファミリアもこの世界に生れたファミリア、であるならばギルドへの所属は義務となっている。なので落とし所として、カルデア・ファミリアへの遠征義務の免除。代わりに強制任務には必ず参加してもらう……ということでどうだろうか?」
「ウラノス! 特別扱いしては他のファミリアからの不信感にも繋がるぞ!」
「ならどうする? 力づくでどうにかなる相手で無いのはお前もよく分かっただろう。この辺りでお互いに妥協できるならそうするべきだ」
あれ、二人ともさっきの揉め事を見ていたのかな。
人影さんは押し黙って「うむむむ」と唸り出した。
「っと、強制任務ってなに?」
「緊急事態の時、ギルドは特定のファミリアへ依頼を出す。それほどの緊急事態故に拒否することはできない、だから強制任務と呼んでいる」
緊急事態……世界が滅びたとかかな。
「一応言っておくが、世界滅亡レベルの緊急事態は一度も無いからな? モンスターが街で野放しになってるとか、あとは秘密裏に行ってもらいたい事がある時だ」
人影さんに思考を読まれてしっかり釘を刺されてしまった。
にしても秘密裏に……か。
「うーん……納得の行かない内容なら僕は当然拒否するけど、大丈夫?」
「基本的に拒否することは許されていない。……一応聞いておくがお前の拒否するラインはどこだ?」
「邪魔者を消せとかライバル企業を潰せとかとか」
「そんなこと頼まんわ!」
それは良かった。
悪いことは基本お断りのクリーンなイメージに傷をつけるわけにはいかないもの。
どこかからツッコミを受けそうだけど我々はクリーンな企業です!
「なら契約成立ってことで。人助けなら僕らは協力を惜しまないから、困ったらいつでも言ってよ」
人影さんは明らかにホッと緊張を解いた。
僕らはどれだけ心労をかけていたのだろうか。
「よーしようやく懸念も消えたし、彼女探すぞー酒池肉林だーキャッホーイ!」
「まだそれを続けるのか……変なやつだ」
仮に彼女探しなんて始めたら一時間後に火炙りだけどね。
おお怖い怖い。
「ウラノス?」
ウラノス神はあまりこういう冗談は好かないのか、目をクワッと見開いて僕を見つめている。
少し気恥ずかしい。
くそぅ余計なこと言うのは僕の悪い癖だ。
「……まさか、こんなことがあるとは……」
「どうしたんだ?」
険しい顔を更に渋くさせて、僕を凝視するウラノス神。
僕はそんなに悪いことをしたのだろうか。
ハーレム嗜好は悪なのだろうか。
良いじゃないか夢くらい見ても。
どうせ僕にまともな恋愛なんて待ってないんだし。
「神カルデアは、藤丸 立夏は……冒険者になる資格がある。立夏は神でありながら子供達でもある、ようだ」
「あぁクソ! ストーカーしない物理攻撃に訴えてこない照れ隠しに手を出さない僕のベッドに潜り込んで来ない僕を巡って争わない僕の安全を第一に考えてくれる優しい女の子に出会いたい!!」
一番近い存在だったマシュも回りに感化されたのか嫉妬で盾を使ってくるようになってしまった。
儚い夢よ。
「横でとんでもないこと言ってる時にボケを重ねてくるんじゃない! 目が本気過ぎるから笑い飛ばすことすら出来ないだろうが! いやそれは良い、今のはどういうことだ!?」
「言ったままだ。神でありながら立夏は他の神と契約をすることができる。眷属としてな」
「な、な……!」
人影さんが驚きのあまり後ろに下がって行く。
ガクッと動いた衝撃でフードが脱げた。
「なるほど骸骨じゃねーか」
フードが脱げた人影さんは、レイシフト先でよく見た骸骨の姿をしていたのだった。
「ということがありましてね。改めて自己紹介をば……」
拠点に帰ってきた僕は皆の視線を一身に浴びていた。
その視線に込められた気持ちは……紛れもなく怒りだった。
今すぐ逃げ出したい。
だが僕は今日、生まれ変わったのだ。
「僕の名前は藤丸 立夏! ロキ・ファミリアのビッグホープな男の子、よろしくね!」
「な…………なにしてるんだこのバカァァァーーー!」
そう、僕は冒険者になったのだ。
藤丸 立夏の冒険はこれからだ!
間違えて消さないように気を付けます
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