ダンジョンにサーヴァントを連れて潜るのは間違いな気がする   作:キョウさん

9 / 12
イベントからイベントへ……FGOは忙しない


6話―初めてのダンジョン―

ダンジョンに入って一番初めに抱いた感想は、RPGで見たような風景だなぁとかそんなものだった。

洞窟には何度かレイシフト先で入った事はあるけど、明かりがしっかりとついているので外と変わらない感じで歩けるのは初心者にはありがたい。

横道が無いか、罠はないか……あるわけ無いだろうとは思ってはいたものの周りを見ていると、興味深そうに僕を見ているアイズたんに気がついた。

 

「随分落ち着いているんだね」

 

「そう?」

 

「さっきまでとは雰囲気が違う」

 

そうなのかな? 僕に自覚はなかったけど……。

ああでも確かに、今は何となくレイシフト先に来てるような緊張感の中にいる気がする。

 

「怯えは身体を無駄に疲れさせる。怠けは人を殺す。うちの大軍師に教えてもらったんだ」

 

それはサーヴァント全員が当たり前のようにしていることで、僕も気がついたら身に付いていたことだ。

適度な緊張感、言葉にすれば簡単だがこれがなかなか難しい。

 

「貴方はダンジョンに潜る為の心構えがもう出来ている。良い師匠に出会えたんだね」

 

「問題はその心構えに相応しい戦闘技術がまったく無い事なんだけどね……」

 

苦笑しか出てこない。

何度か色んな英雄達に師事を受けたが、皆揃って「お前には才能がない」と突きつけてきた。

それでも巴やエミヤなんかは辛抱強く面倒を見てくれたが、二人もその内僕を諦めさせることにした。

「指揮の才能なら間違いなくある」「後方からサーヴァントを支援する腕は凄い」

違う。僕は皆と一緒に戦いたいんだ。

僕はその言葉を呑み込んだ。

 

「どうしたの?」

 

「いや。…………彼女達が羨ましいなぁ、と」

 

「あの子達が?」

 

僕たちの前を緊張しながら進んで行く三人の少女。

僕にはどうにも眩しく見えてしまう。

彼女達にはまだ輝かしい未来が見えている。

勿論いずれ壁にぶつかるだろう、どこかで挫折するかもしれない。

でもゆっくりと、彼女達は自分の道を進んで行ける。

 

「僕は無力だから―――」

 

気持ちが沈んでいく。

ああダメだ、またあの時のことを、あの時の光景がフラッシュバックしてしまう。

まずいと思ったときには手遅れだった。

 

 

『……良かった。これなら何とかなりそうです、マスター。』

 

『……でも、ちょっと悔しいです。わたしは、守られてばかりだったから――最後に一度ぐらいは、先輩のお役に、立ちたかった。』

 

『―――いよいよだな。ボク……いや、ボクたちが最後に見るものはキミの勝利だ。』

 

『さあ―――行ってきなさい、立夏。これがキミとマシュが辿り着いた、ただ一つの旅の終わりだ。』

 

 

身体が浮遊感に支配される。

自分が立っているのか倒れているのかも分からない。

全部終わってようやく休めると思ったのに、僕は一歩も動けなくなりそうだった。

静謐の声が聞こえてきて、アイズとエミヤが何かを叫んでるのが分かったけど、言葉の意味がわか

 

「マスター、敵だ!」

 

「マシュ! 戦闘体せ……」

 

カチッ、とスイッチが切り替わった。

周りの風景が鮮明に視界に映し出される。

エミヤが僕の肩を痛いくらい強く握っていて、アイズは剣を抜いて僕と三人娘の様子を気にしていた。

冷汗が背中を流れていくのを感じながら、僕は息を調える。

……早々に情けない姿を晒してしまったみたい、恥ずかしいな。

 

「……ごめん、もう大丈夫。ありがとう」

 

僕の顔を見て数秒、エミヤは小さく息を吐き道を開けてくれた。

敵は典型的なゴブリンが8匹、あまり強くなさそうだけど三人娘は随分翻弄されているようだ。

アティーはアリスを背に5匹のゴブリンを相手にし、残りの3匹はベルラを追い回しベルラはそれを弓で迎撃している。

一人一人の動きは悪くないんだけど、統率力と数の差が大きくでている。

エミヤと静謐に待機を指示して、僕はまず近付いてくる敵へ闇雲に弓を放つベルラの肩を掴んだ。

そのまま干将を投げつけて、こちらに向かっていたゴブリンを追い払った。

 

「落ち着いてもっと敵をちゃんと見ようか」

 

「な、なによ! 邪魔しないで!」

 

「アティーたちの方を見て。少し離れた所で様子を見ながら攻撃しているゴブリン、見えるよね? あいつらに弓を射って、意識を散らしてくれ。狙って当てようとしないでとにかく数を撃つ感じで」

 

僕の言っていることが理解できないのか、はぁ? と不満げに僕の方を見ようとしたベルラの視線を僕は指先で目標のゴブリン達へ誘導する。

3匹のゴブリンだけはアティー、アリスを囲んでいる他のゴブリンから一歩離れて様子を伺い、隙を見ては横槍を入れて来ている。

その動きに二人が少しずつ追い詰められていることにベルラも気付いたようだ。

 

「多分あんな感じに前衛と後衛を入れ換えて戦っているから、後衛を攻撃してあの二人から意識を反らしてあげて。追ってきてるのは適当に撒くだけで良いから」

 

「…………分かったわ」

 

渋々了承したといった風だがそれでも良い。

僕はベルラの前に立ち、投げつけた干将の位置を確認……地面に転がっている。

今は取りに行っている暇は無さそうだ、アティーが剣を上手く弾かれてもう1匹のゴブリンから斬られそうになっている。

流石にアリスを庇いながらは難しいだろう、そもそも後衛二人に対して前衛一人となるとなぁ。

僕も前衛なのかも知れないけど、数には入れられない。

一太刀入れようとしていたゴブリンに残った莫耶を投げ、腕を弾いて邪魔をする。

その衝撃で地面に落ちた莫耶は律儀にも干将の近くに滑っていった。

攻撃を邪魔されたゴブリンは当然怒ったみたいで、こちらを睨んで襲いかかろうとした……のだがその瞬間、アリスの氷塊に吹っ飛ばされて地面に激突し気を失ったようだ。

 

「アリス! あと何回打てる!?」

 

「ぇ……ええと、多分二回……」

 

アリスの魔法は中々強力だがそこまで精密に当てられるという程では無い上に、彼女のレベルが低いから何度も撃てるほど魔力も無い……と聞いている。

当てることさえできればゴブリン程度なら確実に倒せる、それなら……。

僕はアリスの視線を引いたまま干将・莫耶へと駆け出した。

それを待っていたとばかりにベルラを適度に小突いていたゴブリン2匹が間に入り、僕へと牙を向ける。

あっ、と叫ぶアリスに構わず僕は一直線に突っ込んだ。

驚き戸惑うゴブリン達……その一瞬の隙が命取りだ。

僕の動向に注目していたアリスが、ゴブリン二匹が直線上に並んでいることに気付いてくれたようで氷塊を発射してくれた。

2匹のゴブリンは仲良く地面に叩きつけられ、僕は安全に干将・莫耶を回収する。

 

「ありがとう!」

 

アリスに手を振ると彼女は恥ずかしそうに顔を背けた。

残りは5匹。

ベルラの攻撃に苛ついたゴブリン2匹がそっちを追い回し、残った3匹は連携をとってアティーを攻め立てている。

アティーの方は殆ど問題無さそうだ、ゴブリン3匹を相手にしても冷静に受けている。

一瞬アティーと目があった、かまベルラが騒いでいるので慌てて1匹のゴブリンに狙いを定めた。

 

「ガンド!」

 

バチンッ! と音が走り、ベルラの方の1匹がひきつけを起こしたかのように動きを止める。

そのゴブリンへと逃げながらもベルラは頭部を撃ち抜いた。

1匹になったゴブリンはもう怖くない。

ベルラの構えた弓に意識が集中しているゴブリンの背中を双剣で突き刺した。

だが前に出過ぎていたせいか、ゴブリンに深く刺さりすぎた剣を無理に引き抜こうとしてバランスを崩して倒れてしまった。

倒れたまま僕はベルラへ叫んだ。

 

「ベルラ! アティーの援護! 1匹集中狙いだ!」

 

「分かってるわよ!」

 

数で勝った以上勝敗は決したも同然だ。

残りのゴブリンを制圧するのにはそれほどの時間はかからなかった。

 

 

~~~~~~~~

 

 

「上手い」

 

後ろで新人達の戦いを見守っていたアイズは藤丸の動き方に、熟練の戦士と比べても遜色無いものだと感じていた。

藤丸の動きは決して自ら前に出て戦う人間のものではない。

だが常に仲間の邪魔をしない位置へと動き回り、サポートも邪魔にならない且つ効果的な方法を選んでいる。

指示の仕方も、前衛にはあえて触れずに好きに動かせておき、サポート役で最大限に攻撃役を生かそうとする方法を選択していた。

小さい部隊の指揮官は自分の思い通りに戦線を動かしたがり、結果的に足並み揃わず壊滅することも少なくないが、藤丸はかなりの場数を踏んでいることがアイズにもよくわかった。

マスターを褒められたからか少し嬉しそうに静謐が頬笑む。

 

「あれでも大分マシになった方なんだが、見ての通り剣の腕は三流にすら届かない。だがマスターは他人を動かす天才なんだ。本人に自覚はないが、誰も彼もつい踊ってしまう」

 

数日前の最終決戦のことを思い浮かべるエミヤ。

そこには藤丸の全てがあった。

全ての特異点で結んだ縁……敵であった者も味方であった者も藤丸の背中を押していった。

エミヤは各特異点については詳細を聞いていただけだったが、それでもただの人間である藤丸に対して憧憬の念を抱くには十分過ぎる光景だった。

 

「訓練はしていると聞いているけど」

 

「私も何度か稽古をつけてみたが……鍛えがいが無いというか才能が無いというか……。あと一歩踏み込む所で半歩足りない、かと思えば踏み込みすぎて先ほどのようになってしまう」

 

誰のどんな指導でも矯正されることのなかった藤丸の動きに、訳が分からないとばかりにエミヤは肩をすくめて首を振った。

本当に藤丸にはまるで戦闘の才能が無かった。

剣に槍に弓に銃……とにかくありとあらゆる武器を用いての訓練は評価E・才能なしの烙印を押されている。

剣を振れば振り回され、槍を振れば放り投げ、飛び道具はどこに飛ぶかも定まらない。

誰かのサポートをする時だけは不思議と上手くことを運ぶのに、自身が前衛として立ったときには驚くほど無力となる。

 

「そんなマスターが良いんです」

 

静謐が珍しくハッキリと口を出した。

ゴブリンと相対する藤丸を見る目が怪しく輝いている。

『弱い上に才能が無いことを自分で理解もしているのにそれでも自分達を目指すマスター』……そんなマスターにむしろ弱いままでいてほしい、と歪み始めているサーヴァントすら出て来ていたりする。

静謐もその一人か……とエミヤは藤丸に同情した。

 

「いきなり武器を投げたのには驚いた」

 

「マスターにとってはあれが最も効果的な使い方だ。酷い話だがな」

 

「……努力すれば誰でも一定のレベルに達することができる筈。なのに何故?」

 

「分からない。私はそれで良いと思っているしな」

 

え? とアイズはエミヤを見た。

 

「変に戦えるようになってしまえば、それだけ慢心や無理をする場面が増える。ならば己を弱者と自覚しその中でやるべきことをやっていてもらえる方が個人的にはありがたい」

 

「なら、なぜマスターをダンジョンに……?」

 

静謐のそれには答えず、エミヤは自嘲気味に微笑むだけだった。

 

 

~~~~~~~~

 

 

ゴブリンの死体から魔石というものを取り出すと、その死体は崩れるように消えてなくなってしまった。

三人娘は随分疲れたようで、肩で息をして座り込んでしまっている。

 

「初戦は大勝利だね」

 

「な、なんであんたは平気なのよ……」

 

「なんでと言われても、一目見て上手く三人と連携が取れれば負けることはないと思ってたし」

 

それにゴブリンが何匹出てこようとサーヴァントが敵にいないなら恐れる理由なんてまったく無い。

勿論油断はしない、例えゴブリンだろうと油断すればあっさり殺されるだろう。

 

「今回は三人ともよく考えて戦ってくれたからね、完璧な勝利だ。この調子で頑張ろう」

 

「よく考えて? ……それは嘘だよ。全部フジマルさんの考えた通りになっただけ……正直私たちじゃ、力不足だと思う。貴方の期待に応えられるかな……」

 

アティーの僕を見る目が少し嫌な感じで、戸惑ってしまう。

何故か僕を高く険しい壁でも見るような目をしている、自信を無くしたような……。

 

「戦況を常に把握して、私たちの力を見ただけで先を理解し……その上で今日会ったばかりの私たちを上手く操り当たり前のように勝利した。私の考えすぎなんかじゃない、明確に貴方と私たちじゃレベルが違いすぎる」

 

……いや、まさかこの僕が恐れられる日が来るだなんて思ってもいなかったなぁ。

確かにベルラがエミヤだったら、とかアティーがモーさんだったら……なんてことを考えなかったと言えば嘘になるけど、それはちょっとした思考トレーニングの一種で彼女たちに失望した訳ではない。

……今はそんなことを考えている場合じゃないか。

ベルラとアリスも戸惑っている、このままだとこのパーティの空気が最悪なものになってしまうだろう。

なんとかせねば。

 

「僕なんてアティーと斬りあったら五秒で瞬殺されちゃうような奴なんだから、そんなに怯えないで欲しいんだけどなぁ」

 

自分にクリティカルダメージを出しつつフレンドリーな空気を出してみたけれど、あまり効果はなかった。

あまり深く考えていなかったベルラとアリスも戦闘中の僕のことを思い出したのか、段々と表情を暗くさせて行っているような気がする。

参った。僕は散々見上げるだけだったから、見上げられることに慣れてない。

 

「……そんな目で見られても困る。僕は君たちの目指すべき形じゃない」

 

確かに経験値の差はあるかも知れないけど、だからといって彼女達を役立たずだなんて思わない。

 

「僕はあくまでサポーターだ。君たちを最高の状態で戦わせるのが僕の役割なんだよ」

 

僕は足を引っ張らないようにと必死なんだ。

一緒に戦ってくれる人には誰にでも感謝している。

だから……うん、そう!

僕はずっとそうだったんだ!

 

「だから、ありがとう! ゴブリンに勝てたのは君たちと協力できたおかげだ!」

 

僕は落ち込みかけた気持ちをこじ開けた。

心の底からの感謝を笑顔で彼女達に贈る。

 

「僕は弱い、強くなりたいけどあまりにも弱すぎる。だから君たちが必要なんだ」

 

弱い自分は嫌いだけど……皆が認めてくれた僕は大好きなんだ。

だから僕はこれで良い。

戦闘訓練は止めないしサーヴァントの皆と肩を並べて戦えるようになるっていう僕の願いは変わらない、変えられない。

でも元々一人で戦うつもりなんて毛頭無かったんだ。

戦力になりたかった、それだけなんだ。

 

「だから僕と一緒に戦ってくれ」

 

僕は彼女達に手を伸ばす。

三人は少しだけ顔を見合わせて、ふっと笑いあったあとに僕の手を掴もうとして、忍び寄る影に気付いた僕は三人の手を掴んで立たせた。

ゴブリンが更に6匹、僕らへと走ってきている。

 

「よし、それじゃ早速新パーティの絆を深めようか!」

 

「……ええ! 精々私たちを上手く使いなさい!」

 

「あんまり連続で魔法は使えませんけど……頑張ります……!」

 

「うん! 誰でも最初は初心者……そうだよね、頑張ろう!」

 

皆との結束が強まった所で早速次の戦闘だ。

僕も三人に負けずに頑張るぞ!

 

「きゃーフジマルさん!」

 

「貴方は後ろで指示してなさいよ!」

 

男の子だもの! 泣かないわ!

 

 

 

「今日はここまで」

 

第一階層を踏破した僕らは、下の階層に降りる穴の前でアイズたんに待ったをかけられた。

今回はとりあえず研修だけということなのだろう。

今回の戦果はゴブリンが18匹、それとコボルトというモンスターが8匹だ。

僕が直接倒した敵は最初のゴブリンだけだ! 泣かない、泣かないんだから。

三人娘はまだまだやれると言った風だが、こういうのは少しずつやっていくのが良い。

 

「種火があればすぐにレベル上げられるのになー」

 

「うっ……」

 

「…………うう……」

 

エミヤと静謐が呻く。

大量にあのどうしようもなく不味い物を食べさせられたんだから仕方ない。

強くなるのは楽じゃないんだなぁ ぐだお

ぐだおって誰だ。

くだらないこと考えてないでさっさと帰ろう、と僕は来た道を戻ろうとして……前から三人の人影が歩いてくるのが見えた。

 

「まったく……やっぱりここにいたか」

 

「げぇっ、孔明!」

 

孔明先生と、その後ろにランスロットとアーサーが剣を構えていた。

僕、マスター狩りにあうのだろうか。

 

「マスター! 勝手な行動は控えてくださいとあれほど!」

 

「まぁまぁランスロット、一応エミヤ達を連れてるんだから良いじゃないか」

 

「しかし……」

 

おや、連れ戻しに来たって訳じゃ無いみたいだ。

そうなると別に疑問が出てきた。

 

「あれ? じゃあなんで三人はダンジョンに?」

 

「今日まで考えたこともなかったことで僕としては非常に恥ずかしいことだけどさ。ここが特異点なんじゃないか、と思ったんだ」

 

「…………特異点? え、でも」

 

「分かってる。受肉してるのと僕たちの契約が切れてるなんて今までにないことが起こってたから有り得ないと断じてた、けど思えばカルデアでのことなんて有り得ないことの連続なんだ。有り得ないなんてことが有り得ないくらいには」

 

「そっか、となると怪しいのはこの辺りだと」

 

つまり孔明先生はダンジョンに聖杯がある可能性に思い至り、二人を連れてダンジョンに潜りに来たと言うことか。

それなら僕のやることはもう決まったようなものだ。

 

「なら僕たちも付き合うよ。三人なら心配はいらないと思うけど戦力は多い方が良いしね」

 

「こっちも見つけたら無理矢理連れてくつもりだったから丁度いい」

 

まったく孔明先生の手の平で転がされるのは何度目のことか。

全部分かっててやってそうだから一生敵わなさそう。

 

「それと…………マスター。マスターの自由を侵害するつもりは無いのですが、もう少し我々サーヴァントのことも考えていただけると。分かりやすく言うならマシュを泣かせるようなことは止めていただきたい」

 

「やっぱり怒ってた?」

 

「怒ると言うよりは……信用されていないのでは、と本気で泣いてしまっていました」

 

あ、ダメそういう本気なの僕の心に来るから。

そんなつもりじゃないんだ、マシュを戦いから遠ざけようとして……避けて……。

 

「うぐぅ……」

 

「うんうん、思い当たることがあったみたいだね。マスターの気持ちはよく分かるよ。ただね、言わない方が良い、言わなくて良いと相手のことを思って本心を打ち明けず、そうしてスレ違いが増えていって何もかもを失うこともある。マシュのことを本当に想うならもう少し話し合った方が良い」

 

やべぇ言葉の重みが段違いすぎてどんな顔をすればいいかわからない。

今すぐにでも戻ってマシュを抱き締めて一頻り撫で回した後で清姫に燃やされたい。

罪悪感半端ねえや。

 

「ええと……そういうわけで僕たちはここから更に下に行くので今日はここで解散……ということで良い?」

 

「良いけど……大丈夫? ダンジョンに行くのは初めてと聞いている」

 

「大丈夫じゃないかな」

 

弓持った敵が100体出てきたら八裂きにされる気もするけど……そういえば相性ってどうなってるんだろう。

うん……まあ大丈夫だ、うん。

アイズたんが何かを言いたそうに三人娘と僕の間で視線を往き来させる。

アイズも着いてきたいようだが、三人娘のことを放っておくこともできないと行ったところなのだろう。

 

「……あの、この三人は私が地上まで送りましょうか?」

 

それに気付いた静謐がそんな提案をする。

じっと静謐を見つめたアイズは、数秒ほど考えて「お願いします」と頭を下げたのだった。




イベント終わって書いて散々展開に悩んで没没没没、ようやく書けました
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。