インフィニット・ストラトス~白き翼~ 作:ReiFeL@Ayuru
ラ「一戦目で当たるとはな。この前の借りを返させてもらう」
ノ「…………」
五、四、三、二、一――――――。
ラ「叩きのめす!」
ノ「…………」
俺は思いきり地面を蹴り上げ、間合いを詰める。
今回は……。
ラ「その手は食わん!」
ボーデヴィッヒは思いきり後ろを向き、裏拳を叩き込もうとするが。
残念……。
ラ「居ない!?」
ノ「こっちもそれは予想済みです……」
ラ「しまっ!?」
ノ「遅いっ!」
脇腹に拳を叩き込む。
そして瞬時に離れ、距離を置く。
ラ「ぐっ……カフッ……!このっ……」
ノ「……ボーデヴィッヒさん、確かに貴女は強いよ。軍人だからかもしれないし、他の女子に比べたら、凄く高みに居ると思う……」
ラ「何が……言いたい……」
ノ「……だからこそ言うけど……弱いよ、君は……」
ラ「何だと……」
ノ「人の過去に縋り付き、復讐しようと考える事、そんな考えを持ってるから君は弱いんだ……」
ラ「黙れ……黙れ黙れ黙れぇぇぇ!!貴様に何が分かる!貴様に!!教官が居なかったら、今の私は居なかった!!教官がISを教えてくれたから、今の私がここに居る!!貴様に、貴様に分かってたまるかぁぁぁぁ!」
そう叫んで、ボーデヴィッヒが突っ込んでくる。
……無駄なことを……
俺は停止結界が作動される前に後ろに回り込み、蹴りをくらわす。
だが、それを予測したようにボーデヴィッヒは避けて、ワイヤーブレードを飛ばしてくる。
ノ「ちっ!」
それが肩アーマーを掠める。
ちぃっ……直撃じゃないだけましか……。
俺はそのまままた距離を置く。
「俺は、君を許さない……友達を侮辱した君だけは」
「黙れぇぇぇぇぇ!!」
再びワイヤーブレードが飛んでくる。
シ「一対一じゃないって事を、いい加減思い出してもらおうか!」
いきなり頭上から声がする。
そこにはアサルトカノン《ガルム》を持ったシャルがいた。
既に装填は終わってるらしく、ボーデヴィッヒに爆破(バースト)弾を浴びせていた。
しかも、ワイヤーブレードごと……。
凄いな、シャル……。
シ「全く、僕を忘れないでよ?」
ノ「パートナーの人は?」
シ「あそこ」
シャルが指さした方向を僕は見る。
そこには……。
「負けちゃった~……」
既にエネルギーを0にされていたパートナーの人が居た。
……早いな……。
ノ「お疲れ様……でも今回は手出しは無用だよ」
シ「……大丈夫なの?」
ノ「うん、任せて…」
シ「分かった。援護が必要だと思った時は、迷わず撃つからね?」
ノ「……分かった」
シャルは俺の近くから離れていく。
ノ「さて、行くよ?」
バシュン!!!
オーラコンバーターを起動させ、蛇行移動を開始する。
ビュン!ビュン!ビュン!
ラ「厄介だな……その動き!」
ボーデヴィッヒが肩に装備されているレールガンを撃ってくるてくる。
だけど、その弾は空を切り、外れる。
ノ「(先ずはあの鬱陶しいレールガンを破壊するか)」
ノ「はぁっ!」
ボーデヴィッヒの目の前に現れ、腕に装備されているクローでレールガンを破壊する。
これで接近戦しかできないはず…………。
ラ「ちっ!」
ガシッ!!
なっ……ヤバい!
ラ「捕まえたぞ!!」
くっ、体が動かない……停止結界か!
ボーデヴィッヒは空いている手で攻撃をしてくる。
ノ「ぐぁ……」
ラ「潰れてしまえ!ノーラン・デュノアぁぁぁ!!!」
ノ「グァッ!」
さ、流石にきついかな、こりゃ……。
その時。
ドガァァン!!
ラ「なっ!?」
ボーデヴィッヒの足元が狙撃される。
……シャルか……!
ボーデヴィッヒは俺を離し、距離を置く。
ノ「ふぅ、ありがとうシャル……」
シ「だから言わんこっちゃない……今から僕も加勢するからね?」
ノ「ありがとう……それじゃあ……」
カチャッ……。
シャルはアサルトライフル《ヴェント》を取り出して、ボーデヴィッヒに狙いを定める。
シ「ラン、任せるよ?」
ノ「分かった、じゃあ牽制攻撃をお願い」
シ「分かった!」
ドンドンドンドン!!
シャルがトリガーを引き、どんどん撃ちまくる。
ボーデヴィッヒはそれを何とか避けるが、避けきれない奴は撃ち落としている。
まぁ、時間の問題だね……。
ノ「そこっ!」
ラ「っ!?」
バシュッ!
そして、隙を着いて俺は攻撃を開始する。
更に俺はがら空きのお腹に向かってオーラソードを振る。
ガキィン!!!
ラ「ガフッ!」
スジャッ!
今の攻撃が効いたのだろう、ボーデヴィッヒが溜まらず片膝を付く。
そして、ボーデヴィッヒにオーラソードの刀身を向けて。
ノ「これで……終わりだ……」
オーラソードを振り下ろそうとする……。
その時、異変が起こった……。
―――――――――――――――――――
~ラウラサイド~
ラ「(こんな……こんなところで負けるのか、私は……!)」
確かに相手の力量を見誤った。
それは間違えようのないミスだ。しかし、それでも―――――――
ラ「(私は負けられない!負けるわけにはいかない……!)」
ラウラ・ボーデヴィッヒ。それが私の名前、識別上の記号。
一番最初につけられた記号は―――遺伝子強化試験体C-○○三七。
人口合成された遺伝子から作られ、鉄の子宮から生まれた。
―――暗い。暗い闇の中に私はいた。
ただ戦いのためだけに作られ、生まれ、育てられ、鍛えられた。
知っているのはいかにして人体を攻撃するかという知識。
分かっているのはどうすれば敵軍に打撃を与えられるかという戦略。
格闘を覚え、銃を習い、各種兵器の操縦方法を体得した。
私は優秀であった。性能面において、最高レベルを記録し続けた。
それがある時、世界最強の兵器―――ISが現れたことで世界は一変した。
その適合性向上のために行われた処置『ヴォータン・オージェ』によって異変が生まれたのだ。
『ヴォータン・オージェ』―――――疑似ハイパーセンサーとも呼ばれるべきそれは、脳への視覚信号伝達爆発的な速度上昇と、超高速戦闘条件下における動体反射n強化を目的とした、肉眼へのナノマシン移植処理の事を指す。
そしてまた、その処置を施した目の事を『超界のヴォーダン・瞳(オージェ)』と呼ぶ。
危険性はまったくない。
理論の上では、不適合も起きない―――はず、だった。
しかし、この処置によって私の左目は金色へと変質し、常に稼働状態のままカットできない制御不能へと陥った。
この『事故』により私は部隊の中でもIS訓練において後れを取ることにとなる。
そしていつしかトップの座から転落した私を待っていたのは、部隊員からの嘲笑と侮蔑、そして『出来損ない』の烙印だった。
世界は一変した。――――――私は闇からより深い闇へと、止まることなく落ちていった。
そんな私が、初めて目にした光。
それが教官との‥‥‥織斑千冬との出会いだった。
千「ここ最近の成績は振るわないようだが、なに心配するな。1ヶ月で部隊内最強の地位へと戻れるだろう。なにせ、私が教えるのだからな」
その言葉に偽りはなかった。特別私だけに訓練を課したということはなかったが、あの人の教えを忠実に実行するだけで、私はIS専門へと変わった部隊の中で再び最強の座に君臨した。
しかし、安堵は無かった。自分を疎んでいた部隊も、もう気にならない。
それよりもずっと、強烈に、深く、あの人に―――憧れた
その強さに。その凛々しさに。その堂々とした様に。自らを信じる姿に焦がれた。
―――ああ、こうなりたい。この人のようになりたい。
そう思ってからの私は、教官が帰国するまでの半年間に時間を見つけては話しにいった
そんなある日に私は訊いてみた。
いや、話など出来なくてもよかった。
ただ側にいるだけで、その姿を見つめるだけで、私は体の深い場所からふつふつと力が湧いてくるのが感じられた。
それは、『勇気』と言う感情に近いらしい。
そんな力があったからだろうか。私はある日訊いてみた。
ラ「どうしてそこまで強いのですか?どうすれば強くなれますか?」
その時―――ああ、その時だ。あの人が、鬼のような厳しさを持つ教官が、物凄く優しい笑みを浮かべた。
千「私には弟が居る。」
ラ「弟……ですか」
ラ「ああ……あいつを見ていると、分かる時がある。私が強くなれた理由と……強さとはどういう物なのか、その先に何があるのかをな」
ラ「……良く分かりません」
千「今はそれでいいさ。そうだな。いつか日本に来る事があるなら会ってみるといい。」
ラ「(それは、違う。私が憧れるあなたではない。あなたは強く、凛々しく、堂々としているのがあなたなのに)」
だから―――許せない。教官にそんな表情をさせる存在が。
そんな風に教官を変えてしまう弟……織斑一夏を……。
それを認められない、認めるわけにはいかない。
だから――――――
ラ「(敗北させると決めたのだ。あの男を完膚無きまでに叩き伏せると!)」
ならば―――――こんな所で負けるわけにはいかない。
あの男は、あれは、まだ動いているのだ。
動かなくなるまで、徹底的に壊さなくてはならない。
そうだ。そのためには―――
ラ「(力が、欲しい)」
ドクン……と、私の億で何かがうごめく。
そして、そいつは言った。
『キヒャッヒャッヒャッ!!おい小娘、力が欲しいのか?なぁ、おい!より強い力がよぉ!?』
その声はとても狂っている感じだった……。
言うなれば、狂気そのもの……。
言うまでもない。力があるのなら、それを得られるのなら、私など―――空っぽの私など、何から何までくれてやる!
だから、力を‥‥‥比類無き最強を、唯一無二の絶対を―――私によこせ!
『キヒャッヒャッヒャッ!!良いねぇ……その狂気……アハハァ……気に入ったぜ……』
DamageLevel………D.
MindCondition………Uplift.
Certification………Clear.
《ValkyrieTraceSystem》………boot
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~一夏サイド~
対戦はノーラン達が優勢だった。
片膝を付いたラウラを、剣を振り下ろして止めを刺そうとしていた。
その時、異変が起きたんだ。
ラ「あああああああっ!!!」
突然、ラウラが身の裂けんばかりの絶叫絵を発する。
と同時に、ノーランよりも少し離れた場所に居たシャルが吹き飛ばされる。
そして、俺は自分の目を疑った……。
ラウラのISが……変形しているのだ……。
しかもそれは、ラウラの全身を飲み込んでいった……。
一「な、何だよあれは……」
俺は無意識にそう呟いていた……そして……言い知れぬ恐怖が、ひしひしと伝わってくる……。
一「何だよ……あれは!?」
怖い……怖い怖い怖い怖イ怖イコワイコワイコワイコワイ!!
機体がじゃなく……あのISが出している、言い知れない雰囲気が怖い……。
恐怖のあまり、俺は動けなくなる……。
アリーナに居る観客もそうなっている……。
なのに……なのに……どうして……。
一「ノーランだけ……動けるんだよぉ……」
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~ノーランサイド~
ノ「まずいね。それにこの感覚……」
サ『……オーラ力だな』
ノ「………やっぱり」
サ『まずい。あのままでは彼女は……』
ノ「分かってる……」
それにしても……
ノ「何だよ……そのオーラ力は……」
目の前のボーデヴィッヒを見る。
そこには、何もかもがごちゃごちゃな魂になっているボーデヴィッヒが映る……。
そして、会場を見渡すと。
そこには阿鼻叫喚な景色が。
叫んでいる者、泣いている者、笑っている者……。
間違いない、これは……狂気だ……。
シ「ら……ラン……」
不意に俺の名前が呼ばれる。
そこにはシャルが居た。
狂気が近くにあるのに、良く正気だな……。
でも、時間の問題か……。
シ「なん……なの……あれ……怖い……怖いよぉ……」
俺はシャルを落ち着かせる為に、優しくシャルを抱き締める。
シ「っ!?」
ノ「少し落ち着いて?俺はあれを倒すから…シャルは怪我しないように隅っこに居て?」
それだけ伝えると、すぐに肩から手を離し、ボーデヴィッヒ……いや、狂気に目を向ける。
シ「ら……ラン……」
ノ「?……何?」
シ「が……頑張って……」
恐怖で上手く回らない舌を一生懸命動かして、言ってくれる。
そしてすぐに、隅っこの方に行く。
うんうん……よし、分かった……。
ノ『サーバイン、【ハイパーオーラ斬り】で行くよ』
サ『仕方ないか……』
俺はオーラソードを構え、狂気と対峙する。
ボーデヴィッヒさんを傷つけず正気に戻す!
変形が終了したのか、狂気も僕の事を睨む……。
ノ「行くぞっ!!」
こうして、ハイパーVSハイパーの戦いが始まった……。
次回、やっとハイパーオーラ斬り解禁です!
お楽しみに!