なんとか俺たちの物語はこれからだぜ!エンドを迎えたい   作:お家が恋しい

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GWは悪魔には存在しないのだ……!
社畜悪魔は今日も冥界を行く。


冥界はダークサイドですか?

結局、初対面の悪印象を拭うことが出来ずにリアスたちは帰って行った。

女の子の扱いなど知る由もなく、また警戒されている以上下手に近付いて余計に怒らせては相手側の印象も悪くなってしまう。

 

既に一部からは“出来損ない”の言われようすらあるのに、より評価を下げるようなことがあってはマズい。そのことが頭から離れず笑顔を痙攣らせたままタイムリミットを迎えてしまった訳だ。

 

 

しかし、そう悲観することはないと考えていたりもする。子供が仲良くなるなんて一つキッカケがあれば十分だ。好きな遊びだったりアニメだったり……。

まずは女の子の流行を調べるところから始めたいと思う。

 

 

 

「おにーちゃん何してるの?」

 

「うん? レイヴェルか。今ね、探し物をしてるんだよ」

 

「何かなくしちゃったの?」

 

「無くしてはいないんだけどね。女の子は何が好きかなって」

 

「レイちゃんはピピちゃんが好きだよ!」

 

 

俺に話し掛けてきたレイヴェルは五つほど歳の離れた妹である。ついこの間までハイハイをしていたと思ったらもう喋るようになっていた。子供の成長は早いものだ。

調べ物、という言葉は難しいと思い咄嗟に探し物、と言ってしまったが何となくニュアンスが通じたらしい。

 

レイヴェルは我が家の天使(悪魔的禁句)であり、にぱーと笑う顔はそれはそれは可愛くて仕方がない。レイヴェルという発音が上手く出来ないために、レイちゃんと自分で言うあたりも可愛らしいではないか。兄バカで結構。

 

なおピピちゃんとはおままごとの人形であり水に漬けると髪の色が変わるという画期的な仕様があるのだ!

 

 

「おにーちゃんだっこ!」

 

 

寄ってきたということは遊んで欲しいのだろう。レイヴェルを抱っこすると転ばないように注意しつつオモチャのある彼女の部屋へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

ここ冥界では人間界と異なる点として娯楽が少ないことが挙げられる。アニメに至っては男子向け、女子向けという以前である。

 

あくま昔ばなし。

過去にあった冥界での話を紙芝居風のアニメにするという誰得なものくらいしかなく、小さい子には難解過ぎ、しかし俺くらいの年齢の子には内容的に興味がわかない。

これではリアスが何に興味があるのか探るのも難しい。さすがにレイヴェルと同じくピピちゃんが好きなんてことはないだろうし、案外直ぐに見つかると思っていたけれどどうしたものか。

 

いっそのことこちらから新しい遊びを提供した方が有効な手段になるかもしれない。女の子も楽しめる難しくない遊び。

 

 

「何があるかなぁ」

 

「ライザー様、どうかされました?」

 

「いや、ね。リアスが興味を示すような遊びが何かないかなって」

 

「リアス様……。この前いらっしゃったライザー様の婚約者でしたっけ?」

 

「うん。今度は向こうに行くことになるみたいだから、少しでも仲良くなるためにお土産があった方が良いだろ?」

 

 

ええ、と頷くのはユーベルーナ。フェニックス家に仕える一族の一人でメイド見習いとして俺についている。可愛い女の子が側にいるのは嬉しい。嬉しいけど緊張してしまい幾らか口調が硬くなってしまう。

それでも初めは会話すらなかったのだから少しはマシになっているとは思う。

 

 

「私もリアス様にお会いしたかったです」

 

「家の用事では仕方ないさ。また今度会う機会はあるだろうから」

 

「はい。あ、女の子はキラキラした物が好きですよ」

 

「どうしたんだ? 藪からスティックに」

 

「スティック……?」

 

「気にしなくて良いよ」

 

「は、はい。」

 

 

まだ癖が抜けきっていなかった。メジャーを目指すならルー語を覚えておくと良いよ、という姉の戯言を真に受けてしまった前世の幼い俺は必死になっておーしばさんをテレビで追い続けた。

愉快な嘘(ライ)に騙され続け、小学校の教室で自慢気に周りに語っていたのが俺の黒歴史である。

 

嘘が発覚してから何とか普通に話そうと努力してもう完治したと思っていたが、未だ後遺症があるらしい。

 

 

「キラキラした物か……」

 

「アイリス様にお聞きしてみては?」

 

「母上にか。そうだな、良いアイディアをもらえるかもしれない」

 

 

色恋事が好物の母上に相談などしたらそれはもう喜んで応じてくれることは想像に難くない。むしろ子供より親の方が張り切ってしまうあの夏休みの自由研究のような取り組み具合になることだろう。

 

なるべく助力を乞うことはしたくないけれど、いかんせん悩んでいても話は進まない。何よりも大切なのはリアスに嫌われないことであり、そのためなら母上の玩具になることは甘んじて受け入れよう。

やや重くなった足を叱咤しつつ母上の部屋へと向かった。

 

 

 

 

「そうねー、指輪とかどうかしら?」

 

 

頰に手を当てて悩む仕草は母上は若々しい。百年単位の差があるとは思えない。

 

 

「何か変なこと考えてない?」

 

「い、いえ! そんな母上が若作りしてるなーとか思って──」

 

「あらライザーちゃん、そんなこと考えていたの?」

 

「あ、」

 

 

この後めちゃくちゃ怒られた。

とかはどうでも良くて、いや良くないのだけど。何故か途中からノロケ話になってたし。

 

しかし、指輪は一桁の子供にはまだ早過ぎやしないだろうか。成長したら指に入らなくなるのでは。

 

 

「そうしたらチェーンに通してネックレスにすれば良いのよ」

 

 

なるほど。それなら安心だ。

ところで俺には指輪を買うお金が全く無いのだけど。

 

 

「ライザーちゃんが作るのよ?」

 

「僕が作るのですか?」

 

「心がこもっている方が女の子は嬉しいの。お母さんも手伝うから作ってみましょう?」

 

 

親の金で購入したプレゼントで得た笑顔など俺には何の価値もない、というよりも俺がそういうのを好きでない。

せっかく母上が協力してくれるのだからしっかり頼ることにするか。

 

 

 

 

「指の大きさは……、ライザーちゃんの小指の大きさに合わせればどの指でも入りそうね」

 

「母上、そんなテキトーで大丈夫なのですか?」

 

「ええ。もし少し大きいのであれば、成長してから着けてもらえば良いのよ」

 

「はあ……」

 

「じゃあ、紙を指に巻いて印を付けてね」

 

 

結構雑な感じもあるものの、子供でも比較的簡単に作業出来るくらいにはつつがなく進行していく。

まあ、悪魔だと子供でも人間よりも力もあり、また魔力を扱えることが前提にあるのだろうけど。

 

 

「銀をなますための火はライザーちゃんの火を使いましょう」

 

「僕のですか?」

 

「これはあなたがリアスちゃんに贈るプレゼントなの。だからあなたが使える物は何でも使うべきなの」

 

 

そして想いをこめなさい。

May the Force be with you.

母上の言われるがまま、耐熱レンガの上に置いた銀材に炎を当てる。

リアスは主人公のヒロインの一人であり、いつかは俺の元から去っていくことになる。俺の役目はその時が来るまでリアスを守ることなのではないか。

最近そんな風に思い始めていた。勝手に守る宣言などおこがましいことは理解している。鼻で笑われるかもしれない。

 

それでも良い。物語が正しく進んでくれればきっと俺も死ぬことなくハッピーエンドを迎えることが出来るはずだ。

みんなで主人公を取り囲んで拍手しながら言うんだ。

おめでとう、と。

 

一心不乱になました銀材を丸めて叩いて、気が付いたらそこそこには綺麗なリングが出来上がっていた。

このままヤスリをかけて磨くのでも十分な気がするのだけど、母上はリングに小さく穴を開け、俺に小さいガラスの結晶を手渡してきた。

 

 

「この紙の上でガラスにライザーちゃんの魔力をこめるのよ」

 

「魔力をこめて何か意味があるのですか?」

 

「この紙の上で魔力をこめれば悪魔でも問題なくシルバーのアクセサリーを着けられるわ。後は……ふふふ、ナイショ」

 

 

唇に指を当てる仕草も様になる。こういう可愛らしいところを父上は好きになったのだろうか。だとしたら父上はロリコンだな(錯乱)。

 

 

「磨いたリングに魔力をこめたガラスをはめ込んだら完成よ」

 

「はい。……出来た!」

 

「良くできました。初めてとは思えないくらい素敵な指輪ね」

 

「母上が手伝ってくれたからです。ありがとうございます!」

 

 

よしよしと頭を撫でてくるその手が好きなのは子供になってしまったから。いつか大人になるのだから、今はただバブみの極みに浸ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんっ」

 

 

あれー?

なんか想像してたのとちがうー。

 

もっとキラキラした目で喜んで貰えると思ってたけど、すごいツンケンしてる。まあ貰ってくれただけ良かった。貰ってくれるってことは嬉しい気持ちが全くない訳ではないのだろう。

 

 

「ほら、リーアお礼を言いなさい」

 

「ベーッだ!」

 

「こら、リーア! ……ライザーくん、ごめんね」

 

「い、いえ。でも僕は嫌われたのでしょうか」

 

「特別嫌ってはいないよ。ちょっと難しい時期なんだ」

 

 

お義兄様(仮)もこう言ってくれるのだから信じよう。

ほとぼりが冷めたら帰ってくるから待っていよう、というルシファー様の言葉でお茶をしているのだけれど何時まで待っても帰ってくる気配がない。

もう一時間以上は経過している。いくらグレモリー家の屋敷の近くとは言え、怪我をして動けないとか何かあってもおかしくない。ルシファー様も少し不安に思ったようで使用人を呼ぶ。探しに行くよう伝えるのだろう。

 

 

「ルシファー様、僕も探しに行きます」

 

「待っていて大丈夫だよ?」

 

「仮でも婚約者ですから、僕がリアスを迎えに行きます!」

 

「そうかい? でも絶対に安全という訳ではないからね、無理はダメだよ? 何かあったら直ぐに連絡すること」

 

「はい!」

 

 

何もなければそれで良い。でもどうしてか嫌な予感がする。俺は席を立つと森の方へと走った。

 




ピピちゃん
→ミルクもあげられるよ!

藪からスティックに
→トゥギャザーしようぜ

愉快な嘘(ライ)
→ラジオの1コーナー

May the Force be with you.
→冥界はダークサイドではありません
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