生きています(小声)
今年は他の小説も投稿しようという意思表示の一つとして、匿名投稿を解除しました。
万年中将改め、ちーまるです。
この小説はあくまでもVR艦これのサブ的立ち位置なので、気ままに更新されていくと思います。
勝った、オレは勝ったのだ、国家権力という名の理不尽な運命に!
「よっしゃぁぁぁ!!」
今朝の朝刊を玄関先に投げ捨て、震える手で破いた封筒。その中から覗く通知書には不合格の文字が書かれている。その下には「残念ながらあなたは提督の適性がなく以下略」などという文言も見て取れるが、こんなにも不合格が嬉しかったのは始めてだ。真っ赤な封筒を見ていると、脳裏にあの悪夢がよみがえってくる。
提督適性(強制)検査とかいう人々を地獄へと誘うあの日、俺は悟りを開いた修行僧の如く淡々と検査を受けていた。
出入口はしっかりと施錠されおまけに見張りがしっかりと配置されているため会場から逃れることは出来ず、かと言って試験を不合格になるようにわざと演技できるほど器用ではない。下手な演技は逆に不信感を抱かせる。ならば、そんな状況で自分にできることはただ一つであった。
即ち、くっそ影を薄くしてモブと同化することだ。
うん万人と対象者がいる中で、却って目立つことなど愚策。こういう時こそ一般人が一般人たる所以を発揮するべき、その一心で息をひそめてきた。その涙ぐましい努力が身を結んだのか午前中に実施された簡単な健康診断に始まり、簡単な一般常識を問う筆記試験に体力試験までは一切の問題なく進んでいた。
しかしここまで順調にきたとはいえ、油断はできない。
何せ午後には最大の障害である個別面接があるのだ。さらに最悪なことに耳に挟んだ噂では、その面接には面接官である軍人だけでなく、何故か艦娘も同席するらしい。本当にクソである。こんな所に顔を出す暇があったら、訓練でも演習でも何でも良いから一刻も早く強くなって深海棲艦を一匹でも多く駆逐して欲しい。
検査会場にはたくさんの人が集められていたが皆一様に顔色が悪く、普段なら地元のおばちゃんたちが沢山集まり活気に溢れていただろう食堂は完全にお通夜モードだ。当たり前だ、喜んで今回の検査を受けている人間なんてほんの一握りである。
提督という職業は給料や手当だけ見れば、このご時世においてかなり良い部類に入る。希望制で検査が行われていた時にはこの高い給料や、なまじ見目だけは良いものだから艦娘目当ての奴もたくさんいた。無論前世の「艦隊これくしょん」を知っていた俺は、この検査が地獄への片道切符であることを理解していたので希望などしなかったが。しかし給料や待遇で釣っても提督の数は増えないままであった。理由は簡単——単に提督適性がない者の方が圧倒的多数だったからであるだろう。
しかし、それは戦況がひっ迫していないころだったから人気だっただけで、このクソみたいな現状では軍人なんて貧乏くじは皆引きたがらない。当然だ、誰だって好き好んで死地向かうやつはいない。口に出さないだけで皆、面倒事は引き受けたくないし、なるべくなら楽して生きていきたいのが本音のはずだ。いつだって、結局我が身が一番可愛いのだ。
こんな状況になっても海軍は未だ具体的な適性基準を公にしていないが、おおよその検討はついている。俺が思うに、多分きっと妖精が見えるとかいうクソみたいな理由だろう。
なんでそんなこと分かるかって?そんなの決まっている、現にこの試験会場中に小さい小人が歩き回ってるからだ。やばい、やばいよ……俺の目に空想上の生き物ががっつり入り込んでしまっている。会場に設けられた食堂でカレーを食べながら周囲を見渡すが、ちょこちょこと某真っ黒い害虫みたいに足元を移動している小人共を見てぎょっとした表情を見せている受験者は両手で数えるほどしかいない。そしてそういった反応を見せた人に次々と隅で待機していた軍人が目ざとく話しかけて、別部屋に連れて行っている。
アカン、もう完全にロックオンされとるやん……。数少ない心休まるお昼時にも、小人チェックに面接という抜け目ない海軍の二段構えに戦々恐々としながらもカレーを完食。人様の頭上で遊びだす小人どもをさり気なくはたき落しながら、平静を装う。大丈夫だ、ここまでは順調に来ている……はず。も問題はない。面接さえ乗り越えれば俺は自由の身になれる、モブAとして悠々自適な社会人ライフが待っているんだ。ここで海軍の圧力に負けるわけにはいかない!
(おお神よ、ありがとうございます……)
やっぱり海軍と妖精さんには勝てなかったよ……と即堕ち二コマにならなかったのは―普段真面目に神を信奉していない人間の祈りがどの程度届いたのかはまったくもって不明であるが―やはり神は存在していたのだ。正直面接で「ここにいる妖精さんが見える?」とか聞かれた時は人生詰んだかと思ったが、こうして無事不合格になったということは何とかなったということで。
いや、本当に良かった。何も分からない一般人が提督として働くことを強いられている最悪な状況で、提督になるなんて真っ平ごめんである。そういうのはもっとこう、やる気に満ちて、顔もイケメンでまるでライトノベルに出てくる「ぼくのかんがえたさいきょうのしゅじんこう」みたいな人がやるべきなのだ。
そんな幸せな時間を邪魔するように耳障りなインターホンが鳴る。
恐らく営業か新聞勧誘だろうと思うと少しばかり腹立たしいが、未だにしつこく鳴らす相手に出ないという選択肢はなかった。
「すいません、新聞はうちでは取っていな……く……て」
「お久しぶりです、試験以来ですね。ねっ」
「な、何で……」
何で由良がわざわざ家に訪れることになるんだ、どういう事だ!
取り合えず、駆け足気味に進んでいきます。
ここからの展開は考えてありますが、次回投稿は未定です。許して下さい、何でも(ry