「……で、お願いします」
「……本当にそれで良いのかい? 君が行く世界は、とても厳しい所だ。下手をしたらその願い事のせいで君が死ぬのかも知れないのに……」
「……それでも、それでも僕は彼が、彼のままでいてほしい。優しい彼が
「……わかった。そこまでの覚悟があるなら、私は何も言わない。それでは、君の第2の人生に加護があらんことを!」
…………………………
……君は、『神様転生』と言うのを知っているだろうか? そう、二次創作とかで良く見る、あれだ。
僕『
因みに、転生した理由は良くある神様が間違って~とかじゃなく僕に元々あった寿命(とんでもない偉業をなす人は伸びる事もあるけど、僕は凡人だったらしい)が尽きたためらしい。
そんでもって、僕が転生したのは……
「ふあ……」
「ハジメ兄……父さんと母さんの仕事の手伝いで徹夜をして眠いのはわかるけど、『
「わかってるよ。本当に、僕にはもったいない彼女だよなぁ……」
……『ありふれた職業で世界最強』の主人公『南雲ハジメ』の妹なんだ。
っで、僕とハジメ兄が話している、雪姉っていうのは……
「あふ……おはよう、ハジメに継。今日は良い実験日和だな」
「……なんで眠そうなの?」
「ああ、全員分の『ベルト』や『ボトル』、『武器』の微調整をやっていてね……昨日は徹夜してしまったんだ
……勿論、姉さんにたっぷりと怒られてしまったが」
「雪姉も!? どうして僕のまわりにはひとつの事にのめり込むと無理をする人間が多いのかな!?」
「「さあ?」」
僕達の幼馴染みであり、ハジメ兄の恋人でもある『
それが雪姉の名前なんだ。
……本当ならハジメ兄には女の子の幼馴染みも、恋人もいないんだけどね。というか、『愛ちゃん先生』に『妹』なんていないし。
これが僕の転生特典によるものなのかはわからない。(原作についての記憶は残ってるけど、どういうわけか特典に関する記憶がスッポンと抜け落ちていた)
まあ、ハジメ兄が幸せそうだから……別に良いか。
「って、そろそろ教室に入らないと不味いね! じゃあ、またお昼に!」
「わかったよ」
「継のお弁当を待ってるぞ!」
そう言って僕達は校門で別れ、それぞれの教室に向かっていった。
………………………
「……おはよう、諸君」
「おはよう……」
ここからは私、『畑中雪兎』の視点でお送りさせていただこう。
私が幼馴染みであり、最愛の恋人でもあるハジメと共に教室に入ると周囲からの視線にさらされる。
……ふむ、この不愉快な視線にも慣れてしまったな。
「よお、キモオタに変人科学者の変態コンビ! 今日もエロゲーをしてきたのかよ!」
「うわ、キモ……」
「学校に来なければ良いのに……」
『檜山』の奴め……私が姉さん泣かせの変人科学者(見習い)なのは認めるが、ハジメは断じてキモオタではない。……
まあ、あいつの感情は嫉妬丸出しの行為であるのだがな。
「おはよう、南雲君。もっと早く来た方が良いよ?」
そう言ってハジメに寄ってきたのはクラスメイトの『
何がどうしてそうなったのか、ハジメに惚れていて良く世話を焼くのだが……彼女は学校の『
まあ、春から夏休みにかけて巻き込まれたもう一人の女神と呼ばれている少女の『御家騒動』や夏休み中の『封印された怪物一族との戦い』に巻き込まれたお陰で理解者や友人が出来たので完全には孤立してはいないが……
「あはは……まあ、自業自得だから……」
「まーた、お前の両親の仕事の手伝いか? 良くやるよ、全く」
「まあ、だからといって授業中に寝たり、遅刻ギリギリで来るのはどうにかしてほしいけどな。
だけど腕が良いからって、高校生の息子に夜遅くまで仕事をさせるのは親として……(ぶつぶつ)」
そう言いながら私達に寄ってきたのは『
白崎の幼馴染みであり、彼女ともう一人の幼馴染み、彼らの四人組は学内でも特に有名である。
二人とも別々の理由で(坂上は体育会系なのでインドア派のハジメに反感を持っており、天之河は白崎に何度言われても態度を治さないハジメに苛立っていたからだ)ハジメを嫌っていたが、御家騒動の過程でハジメが自分達よりも将来に関する明確なビジョンがあり、しかもそれに対する努力もしていると判明すると坂上はぶっきらぼうながらも素直に謝り、天之河はそれでも反感を持っていたがある段階で完全にハジメを認め謝罪した。
そして御家騒動が解決してからはハジメと同じくオタクであり、戦友でもある『
ああ、それから坂上は継に気があるらしく時々デートのセッティングをハジメに頼み込んでいるのも付け加えておこう。
「……ごめんなさい。通してくれるかしら」
「あ、悪い。……って、雫!?」
「雫ちゃん! 久しぶりだね!」
「え、ええ……と言っても、たった一週間だけどね……」
そう言って白崎が抱きついたのは『
御家騒動に私やハジメ達が巻き込まれる原因になった少女であり、もう一人の女神でもあると同時に天之河の恋人でもある。
ついでに世界一の自由人兼世界一のバイオリニストと『とある一族』の『元』女王の娘でもあり、敏腕投資家の異父妹でもある。
「雫ちゃん……確か、雫ちゃんの実の両親がやって来たとかで、親権を巡って大変だったんでしょ? もう学校に来ても良いの?」
「……なんで、香織がその事を知ってるの?」
「畑中さんと天之河君が話しているのを聴いちゃったの……」
「…………」
八重樫が無言の抗議を飛ばしているが、私と天之河は眼を逸らして対処する。
うん、偶々私達が話していたところを白崎が通りがかったせいで根掘り葉掘り言わされただけだ。……重要な部分は全て隠してあるがな。
「っと、そろそろ姉さんが来るぞ。席に座れ座れ」
「露骨に話題を逸らしたわね……!」
私が眼を逸らしながらそう言うと、八重樫は殺気をだしながら私を牽制するも……私の姉兼このクラスの担任でもある『畑中
さてと……今日も一日、頑張るか。
………………………………
お昼休み。僕はハジメ兄と雪姉、それから二人の友達になったメンバー全員分のお弁当を持ってハジメ兄達の教室に向かっていた。
「ハジメ兄、雪姉、お弁当持ってきたよ!」
「毎日ありがとう、継」
「うむ。今日も継の弁当で元気をチャージするとするか」
僕が教室の扉を開けると、十秒チャージで有名なゼリー飲料を飲んでいるハジメ兄と『クローズドラゴン』の調整をしている雪姉がいた。
「……相変わらず
「……これでも、マシになった方だ」
僕がそう言いながらお弁当を手渡すと、雪姉はブスッとしながらそれを受け取った。
で、天之河先輩は……雫先輩と向い合わせでお弁当を食べていた。
……本来は天之河光輝は白崎香織に惚れていて、八重樫雫とは付き合っていない筈なんだけど……これもバタフライエフェクトなの?
と言うか……本来ならあるわけがないアイテムも多数あるし、本来ならいない人物もいる。
八重樫家には何故か『仮面ライダーキバ』に出てくる『
「お、今日のお弁当は豚カツと唐揚げとしょうが焼きか! どれから食うかな……」
「あ、こら! 龍太郎! 勝手に開けるな!」
僕がお弁当を勝手に開けた龍太郎を叱ろうとして……
「な、なんだこれ!?」
何時の間にかハジメ兄達と仲良くなっていた清水先輩が床を見ながら慌てたような声をあげる。
私が下を見るとそこには……精緻かつ繊細な魔方陣が存在していた。
「……! 『キバット』! 今すぐ『ライフエナジー』を放出してこれを破壊して!」
「ダメだ! 間に合わねえ!」
「春からの事件以来なんだか良く不可解な事件に巻き込まれるな、糞!」
「はあ、また巻き込まれるのか……」
「今度は異世界召喚か……」
「三人ともなんか達観してない!?」
「なんなんだよこれは!?」
「これを利用して、あの『怪物女』から光輝君を取り返さないとね……!」
「ど、どうなってるんだよ、これ……!?」
「みんな! 急いで教室の外へ出て!」
愛ちゃん先生の声が響き渡ると同時に僕らの視界は光に包まれ……僕達はこの世界から消えた。
そして僕は転移する直前、聴いた。聴いてしまった、その『言葉』を……
「「やっと原作かよ……!」」
「やっと原作なのね……!」
「な、なんで……なんで色々変わってるのに今更原作が始まるんだよ……?」
「あら~……本当に始まるのね~」
「いやなんでそんなに冷静なんすか~!?」
………………………………
この事件は生活感の残してある状態で生徒、教師が消えたことにより『陸上のメアリー・セレスト号事件』として面白おかしく新聞で書き立てられテレビで報道された……が、直後に面白おかしく書き立てた新聞社やテレビ局は『怪物』の襲撃と脅しを受けたとの報道により面白おかしく書く新聞社や報道するテレビ局はすぐに激減することになる。
本来ならあり得ぬ変化により捻り狂ってしまった『
そこに待っているのは破滅か、それともハッピーエンドか……それは、誰にもわからない……
次回
召喚~故に始まり~
???「これは『エヒト』様の御加護によるものです」
雪兎「……ただの誘拐じゃないか。しかも役にもたたん神を使ったな」
ハジメ「っし!」
光輝「だから、戦うしかないんだ! 皆、俺に力を貸してくれ!」
愛子「だ、ダメですよ~!?」
……お楽しみに。