ありふれた職業と転生者の願い事が世界最強   作:愛川蓮

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絶望の序曲~降臨~


第5話

「どーしてこうなったんすかねぇ……?」

 私『山宮渡』は前門のベヒモス3匹(・・)、後門のアントロード(・・・・・・)の大軍(ペデス(歩兵蟻)は少なくとも200匹以上はいるっすね。しかもエクエス(騎士蟻)が複数とレギア(女王蟻)付きっす)にパニックるクラスメイト(アントロードと戦ってる天之河っち達と私達転生者、ベヒモスを足止めしている南雲っち達を除く)を見ながら、どうしてこうなったかを思い出していったす。

 

…………………………

 

 オルクス大迷宮に挑む日の早朝……この世界にとって『運命の日』とも言える所に私達『転生者(イレギュラー)』を含む全員が集合していたっす。

 

 原作で見知ってはいたけど……まるで博物館か遊園地みたいな入場ゲートっすよね。全くダンジョンって気がしなくてちょっと脱力するっす。

 

 ……まあ、内部は危険だらけだから、戦争前で余計な犠牲者を出したくないって理由は良くわかるんすけどね。

 

「まあ、内部は全くそんな事はないんすけどね」

「山宮さん、誰に向かって言ってるの?」

「おっと、オルクス大迷宮に関する感想っすよ。南雲っち」

「あ~、ちょっとわかるかな?」

 因みに私と南雲っちは高校1年生の頃からの知り合いっすね。切っ掛けは私が読んでいる漫画の続きを探してて、それを南雲っちが見つけてくれたのが切っ掛けっすね。因みに私は万が一南雲っちが『真のオルクス大迷宮(奈落)』に落ちたら一緒に飛び込むつもりっす。……理由っすか? まあ、私もあらゆる前世でオタクっすから同じオタク仲間がハーレム屑野郎(魔王様(笑))になるのを見たくないからっすかね? あとそれから雪兎っちの為っす。昨日雪兎っちが原作の夢を見ちまったらしいっすからね。

 

「……それにしても雪兎っちって、謎が多いっすよね」

「? 雪兎の何が謎なの?」

「!? あ、ああ此方の話っす! ごめんっす!」

 あ~ヤバイ! 何時の間にか声に出していたっすか!? まあ、雪兎っちの謎って言うのは1:何故ビルド系列の道具を作れるのか? 2:『ネビュラガス』がないのにどうしてビルド系列のライダーになれるのか? 3:何故この世界に来てから妙に苛立つのが多いのか? 4:何故魔王様(笑)の夢を見たのか? の4つっすね。

 ……3については、雪兎っち本人から聞き出してみたんっすけど、どうにも『まるで何も変わっていないこの世界に私の心が苛立っている……気がする』らしいんすけど……どういう事っすかね?

 

「っと、止まれ! 光輝達、前に出ろ! お前達には交代で戦って貰うぞ! ……ハジメと雪兎。お前達にはあの魔物が何かわかるか?」

 メルドさんが立ち止まってそう言うと、天之河っち達仲良し4人組と元気ロリっ娘『谷口(たにぐち)(すず)』っちと……眼鏡外道死霊サイコヤンデレ電波女『中村(なかむら)恵里(えり)』が前に出て、南雲っち達にあの魔物……二足歩行の筋肉ムキムキのネズミ人間『ラットマン』について聞いたっす。

 

「……あれはラットマンと言ってこの階層ではポピュラーな魔物です」

「ちょっとすばしっこいけど、みんななら何の問題もないよ」

 

「おう、説明ありがとうよ。ハジメ、雪兎」

「(き、気持ち悪い……!?)」

「(意外と可愛い物好きな雫にはキツいだろうなぁ……)」

 ……雫っちが微妙に怯んでいるのは、ラットマンがリアルなネズミ顔のうえに何故か割れてる腹筋だけが体毛に被われていなくて、しかも二足歩行してるからっすかね?

 

 で、戦闘の方は……

「二足歩行するネズミなら……夢の国のネズミが良いのよ!」

「(すっげえ本音を言ったっすー!?)」

 そう言って心臓を貫く事で一撃でラットマンを突き倒す雫っち。

 うーん……そう言えば雫っちって、意外と可愛い物好きって設定があったすね。……まあ、私も可愛いものは好きっすけど……

 

「これで……終わりだ!」

「これが瞬殺! 撲殺! 必殺だ!」

 そうこうしている間にラットマンを倒す天之河っちと坂上っち……坂上っちがなんか『仮面ライダーグリス』の変身者の『猿渡(さわたり)一海(かずみ)』に見えたのは気のせいっすかね?

 

「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ! 『螺炎』!」」」

 そして後衛組3人の同時詠唱による炎の魔法が炸裂し、残りのラットマンは「「ききー!?」」と金切り声をあげて燃え尽きたっす。……焦げた臭いが鼻に伝わってきてキツいっす。

 

「あ~……喜ぶのは良いが、此処はダンジョンだからな? 気を緩めるなよ?」

 そう言ってメルドさんが注意してきたけど……正直、初めて魔物を倒した興奮で(前衛3人は命を奪った事に対する罪悪感があるみたいっすけど)頬が弛む生徒達に「……しょうがねえな」と頭を掻きながら溜め息を吐いたっす。

 

「それとな……今回は訓練だからいいが、魔石の回収も念頭に置いておけよ。明らかにオーバーキルだからな?」

「……そう言えば、魔石の回収も今回の訓練の一貫だったすね」

「「「……あ」」」

 メルドさんの言葉に反応して言った私の言葉で3人は顔を真っ赤にして俯いたっす。

 

………………………

 

「次は……ハジメ、継、渡、雪兎、楓、斬夜。前に出てくれ」

「わかりました!」

「了解です!」

「うぃーっす」

「わかりました」

「はい!」

「やっと俺の出番かよ……(くくく……此処でハジメ(糞雑魚)との格の違いを見せつければベヒモスの足止めをするような真似はするまい……!)」

 そう言って私達は犬の魔物……『ブラッドハウンド』の群れの前に向かったっす。

 因みに前衛は楓っち、鎌上、継の3人、後衛は南雲っち、雪兎っち、私の3人っすね。

 

「「錬成!」」

 先手を打ったのは南雲っちと雪兎っち。2人は容赦なくブラッドハウンドの先頭の2頭の足元に錬成で作った落とし穴を仕掛けると、2頭はつんのめってそのまま後続を巻き込んで団子状態になったっす。

 

「御苦労様っす。螺旋の雷よ、舞い踊り、彼の敵を貫け! 『雷槍・四連』!」

 私が魔法を唱えるとそのまま螺旋状の雷が4本出現し、団子になっているブラッドハウンド達を貫いたっす。

 

 因みに私の天職は『中級魔法賢者』。その名のとおり、あらゆる属性の魔法を覚えられる代わりに、それらを全てにおいて中途半端にしか覚えられない器用貧乏の代名詞と言われる天職っす。

 まあ、その分魔法関連のスキルをバンバン習得して、その中途半端な部分を補えるんっすけどね。

 

「はっはぁ! 『初の舞 月白』!」

 鎌上の天職は『死神』。能力は『BLEACH』に出てくるあらゆる『斬魄刀(ざんぱくとう)』の能力を使えるって天職なんすけど……中途半端っすね~……今の袖白雪の技もそうっす。ルキアっちだったら中途半端に凍らずに全身が凍ってたっすよ。そもそも一護っちだったら『天鎖斬月(てんさざんげつ)』を使ったのにメルドさんに手も足も出ずに負ける……なんて事にはならないんっすから。

 

「この広さなら! 万翔羽ばたき、天へと至れ! 『天翔閃』!」

 継が鎌上が凍らせたブラッドハウンド達を倒したっすね。

 因みに継の天職は戦闘系でも珍しい『冒険者』っす。これは『このすば』の冒険者の能力そのまんまで(ステータスは似ても似つかないっすけど)、見せて貰った魔法や技を覚えられるって天職っす。この能力のお陰で継は天之河っちの『天翔閃』を使えるっす。

 

「魔法連剣……『怒濤(どとう)』から『破断(はだん)』まで遠距離斬撃混成接続技!」

 ……無双っすか? 楓っち、今群れの殆どを飛翔する斬撃で片付けちまったんすけど……?

 

「今のは神代において最強と言われた魔法剣士の技か……?」

「はい! 偶然その技が記された本を手に入れまして……まあ、今のところ覚えられたのは飛ぶ魔法剣関連だけなんですけどね……」

「全く……勉強熱心な生徒を持ったよ、俺は!」

「いたたた!?」

「(くそが……! モブのクセにでしゃばるんじゃねえ!)」

 鎌上がメルドさんに背中をバシバシ叩かれてる楓っちを見て、腹をたててるっすね~……何事も起こらなければいいんすけど……

 

…………………………

 

「全員、止まれ。此処で昼食にするぞー! 俺が合図をするまで各自自由にして良いぞー」

 メルドさんが10階層の最後でそう言うと、私達は持ってきた弁当を広げて仲の良い友人や、パーティーメンバーと親睦を深めるために昼食を食べ始めたっす。

 

「ん~! んまい! やっぱり運動した後のご飯は最高っすね!」

 私が宿屋で貰ったご飯に唸りながら、他のメンバーの話をこっそりと聞くっす。

 

「楓、楓。お前、白崎先輩と目で通じあってたけどどうしたんだよ?」

「ん? ああ、ちょっと白崎先輩と約束してさ」

「約束!? それってもしかして『帰ったらお話があります』系統の……!?」

「いや、昨日、白崎先輩が南雲先輩と八重樫先輩がいなくなる夢を見たうえに自分が死ぬ夢も見たみたいで……だから僕が護って……いででででで!? 祐介! いきなり何をするんだよ!?」

「アホかぁぁぁぁぁ!? 恋敵を護る約束をしたうえに、なんでそこで名前呼びにしようとしないんだこのドヘタレがぁぁぁぁぁ!」

「何がどうでどういう意味なのかわからないんだけどぉぉぉぉぉ!?」

 そう言って楓っちにヘッドロックを決めたのは『榊原(さかきばら)祐介(ゆうすけ)』っち。楓っちの親友で香織っちに対する恋の鞘当てをしてるんすけど……楓っちが結構なヘタレのせいで難航してるんすよね。

 

「相変わらず篠宮君の周りは賑やかだね!」

「いや、香織。あれは篠宮君が一方的に榊原君に攻撃されているだけよ?」

 そう言って賑やかな楓っち達に香織っちがクスクスと笑い、雫っちが呆れたような表情でそうツッコミをいれたっす。

 

「……なあ、光輝。香織のあれは何とかならないのか?」

「無理だな。何せ、香織は思い込んだら何かあるまで止まらない……いや、止まれない暴走超特急だ。しかも無自覚だし……」

「だよなぁ……」

 坂上っちが天之河っちに香織っちの鈍感ぶりをどうにか出来ないかと相談したっすが、即座に否定されガックリと肩を落としたっす。

 

「ハジメ兄、雪姉……僕なんだか嫌な予感がするんだ。だから……」

「落ち着け、継。最近急に過保護になったお前の事だ、どうせ『すぐに地上に戻ってくれない?』だろう?」

「だからそれをすると僕らの地位が地面の下に潜り込むんだって……それに、皆や騎士団の人達もいるからね。大丈夫だよ」

「でも……」

「「くどい!」」

「……は~い」

 継が必死に南雲っち達を地上に戻そうとしているみたいっすけど……焦りすぎっすよ。幾らなんでもダンジョンに来た時点で腹を括るべきなのに……

 

「……よーし、そろそろ時間だ! 出発するぞ!」

 そう言ってメルドさんが立ち上がると、私達も下に向かって歩き出したっす。

 

…………………………

 

『運命の』20階層。私達はチート持ちなんで、あっさりと来れたっすけど……普通の冒険者だったら此処に辿り着くことが一流の条件なんて言われてるっすね。

 まあ、騎士団の皆さんが『フェアスコープ』って言う罠を見破る道具を適宜使って、経験から来るルート読みで最短ルートに向けて一直線に向かったお陰なんすけどね。

 

「よし、お前達! ここからは一種類の魔物だけでなく複数の種類の魔物が混在したり、連携を組んで襲ってくる! 今までが楽勝だったからと言ってくれぐれも油断するなよ! 今日はこの二十層で訓練して終了だ! 気合入れろ!」

 メルドさんの言葉に私達は「「「おー!」」」と雄叫びをあげたっす。

 

 20階層に入って10分位経ったとき……先頭の天之河っち達やメルドさんが止まったのを見て、南雲っちとか一部の人間を除いたメンバーが訝しげな顔になったっすけど、皆が戦闘態勢の入ったのを見て敵に遭遇したことに気付いたみたいっす。

 

「擬態しているぞ! 周りをよ~く注意しておけ!」

「……そこだ!」

 そう言って雪兎っちがドリルクラッシャーを撃つと、ゴリラの様な魔物『ロックマウント』が絶叫をあげながら現れたっす。

 

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

「それから咆哮にもね!」

「わかった!」

 天之河っち達が頷きながらロックマウントに攻撃しようとして……

 

「グゥガガガァァァァアアアアーーーー!!」

「うわ!?」

「な!?」

「きゃっ!?」

「ふえ!?」

「きゃあ!?」

「く!?」

 天之河っち達の真横の岩(・・・・)から咆哮があがり、天之河っち達全員が硬直したっす。

 

「な、もう1体いたのか!?」

 天之河っち達は慌てて態勢を建て直そうとするっすけど……もう1体は猛然と態勢の整っていない香織っち達後衛組に攻撃しようとして……

 

 ゴリラ!

 ダイヤモンド!

 ベストマッチ! Are you ready?

「世話の焼ける……! 変身!」

 輝きのデストロイヤー! ゴリラモンド!

 イエイ!

 

 そう言って雪兎っちが変身した『仮面ライダービルド ゴリラモンドフォーム』がもう1体の腕を掴み、その腕をへし折り、投げ飛ばしたっす。

 

「グガゴガグァぁぁぁぁぁ!?」

「グゴ……ア? グガぁぁぁぁぁ!?」

 悲鳴をあげて自分の折れた腕を庇うロックマウント2号。ロックマウント1号が怒り狂いながら殴りかかろうとして……『ゴリラハーフボディ』の威嚇装置で怯んだのか悲鳴をあげて2号の隣に立ち止まったっす。

 

「おいおい……ゴリラがゴリラに怯んでどうする!」

 ボルテックフィニッシュ!

 そう言って雪兎っちはビルドの必殺技である『ボルテックフィニッシュ』を発動させたっす。

 

「くたばれ! 『ダイアモンドスマッシャー』!」

「あ、バカ!」

 そのまま雪兎っちは『ダイアモンドハーフボディ』の能力で形成した巨大なダイアモンドを殴り飛ばし、ロックマウント達を吹き飛ばし壁に炸裂したっす。

 

「……勝ったな」

「あんなバカ力で殴り飛ばすな! 迷宮が崩壊したらどうする!」

「ぐべ!?」

 満ち足りた表情で変身を解除した雪兎っちにメルドさんの鉄拳が炸裂したっす。

 

「あれ? あれは……?」

 楓っちがボルテックフィニッシュで崩壊した壁の向こう側を見て……私は凍りついたっす。何故ならそこには……

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

最悪の宝石(グランツ鉱石)』が大量に存在していたからっす。

 ……グランツ鉱石は、言わば宝石の原石みたいなもので、特に何か効能があるわけじゃないんすけど、その涼やかで煌びやかな輝きが貴族のご婦人ご令嬢方に大人気で、加工して指輪・イヤリング・ペンダントなどにして贈ると大変喜ばれるらしいんす。求婚の際に選ばれる宝石としてもトップ三に入るみたいっすね。

 

 でも、此処のグランツ鉱石は……

「素敵……」

 あ、香織っちが反応を示したっす。

 

「ぐ!?」

「雪兎!? どうしたの!?」

「頭に……頭に光景が浮かんで……『オスカー』? 『リーシア』? 誰だ? リーシアの方は何故、私に似て……いるんだ?」

 そして、雪兎っちが突如として苦しみ……

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 そう言って檜山がグランツ鉱石に向かって走りだし……

 

「これは……そうか、あのグランツ鉱石は……! 止せ、檜山! そいつは罠だ!」

「団長! トラップです!」

 雪兎っちの制止の声と、騎士団員の焦りの声、檜山がグランツ鉱石に触れ、魔方陣が出現して光るのが同時だったっす……

 

…………………………

 

「っ……檜山の大バカ……!」

 僕は呻きながら檜山に対して罵倒しながら起き上がる。

 

「っ……! 此処は……?」

 そう言って、天之河先輩の言葉と共に全員が立ち上がる。

 ……吊り橋のような石の橋……此処だ。此処が僕のターニングポイントだ……!

 

「お前達、直ぐに立ち上がって、あの階段の場所まで行け。急げ!」

 雷の如く轟いたメルド団長の号令に、わたわたと動き出す僕達。

 だけど、オルクス大迷宮のトラップがこの程度で済むわけもなく、撤退は叶わなかった。階段側の橋の入口に現れた魔法陣から大量の魔物……え!? なんで『超越生命体(アンノウン)』のアントロードが団体で出てくるんだ!?

 

「結局……絶望は降臨するのか……!」

 嫌な予感がして僕は後ろを振り向く。そこには角から炎を燃やす大きなトリケラトプスの様な魔物が……3、体?

 

 僕は完全に絶望したくなった。だって……絶望(ベヒモス)が3体もいたからだ。




次回

絶望との死闘~落下~

楓「行ってください、南雲先輩! 白崎先輩には南雲先輩が必要なんです!」
ハジメ「それじゃあ、篠宮君が!」
継「なら僕もお手伝いをさせてもらおうかな?」

檜山「(死ね! 篠宮!)」

雫「こいつ、まだ生きてるの!?」
???「(さようなら、怪物女)」

鎌上&星影「「待ってろよ、『ユエ』!」」
ハジメ&雪兎「「誰だ(よ)そいつは!?」」
渡「何してくれちゃってんですかあんたらわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

香織「いや……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

……お楽しみに
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