佐久間景は操者である  偽 魔装機神 ~A bystander of the Brave~   作:某アークス(三鯖民)

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ゆゆゆに嵌った結果がこれだよ!



という訳でどうぞ。


第一話 『にねんまえ』

 

 

 

「あぁー!今日も一日、楽しかったなー!」

 

「ゆーゆはご機嫌だねー、見てるこっちも元気をもらえるよー」

 

「そのっちの言う通り、流石は友奈ちゃんね」

 

「あははー、照れるなー」

 

 

恐らく学校からの帰り道なのだろう、中学生と思わしき少女三人が笑いあいながら歩いている。

 

 

「でもでも、明日からはもっと楽しいかもかもだよ~?なぜなら~?明日からは、三!連!休!」

 

「イェーイ!そして今日は東郷さん家にお泊りだー!」

 

 

友奈と呼ばれた少女――結城友奈と、やたらハイテンションな少女――乃木園子はハイタッチをする。

 

 

「うふふ、二人とも上機嫌ね」

 

「ふふーん…ぉわっと?!」

 

 

突然、強い風が吹く。

 

 

「うわぁ、びっくりしちゃった…すっごい風だったね」

 

「……風かぁ」

 

「そのっち?」

 

「いやぁ、なんだか思い出しちゃってさ…あの日の事」

 

 

突然懐かしむような、そして悲しそうな目で空を見上げる園子。

 

その様子を見て、もう一人の少女―――東郷美森も空を見上げ思い出す。

 

 

 

 

 

――――――かけがえなき友と、共に戦った「戦士」が「いなくなった」あの日の事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二年前、まだ東郷美森が鷲尾須美で、勇者システムに精霊が実装されておらず、バーテックスの撃退で精一杯だった頃。

 

『それ』は何の前触れもなく現れ、何の前触れもなく去っていった。

 

 

 

初めて『それ』と出会った、2度目のお役目の時のことを二人は今でも鮮烈に覚えている。

 

 

 

 

 

 

「あの日も、さっきみたいに少し風が強い日だったわ。…あの時は、お役目のために頑張らないと、って意気込み過ぎてたの、今でも覚えてるわ」

 

「あの時のわっしー、本当に真面目さんだったよねー」

 

「ちょっとそのっち…まるで今の私が不真面目みたいに言わないで頂戴」

 

「えへへー、ごめーん」

 

「昔の東郷さんかぁ…あ、それでそれで?」

 

 

東郷の自室で、友奈は2人から昔話(…といっても2年前の話ではあるが)を聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――佐久間景は操者である 第一話 『にねんまえ』―――――――――

 

 

 

 

 

「くっ……!」

 

「わー?!」

 

 

神樹館小学校に通う三人の少女が、人類を滅ぼさんとする敵「バーテックス」から世界を守る「勇者」に選ばれ、初めてのお役目から半月が経ち、2度目のバーテックス…リブラ・バーテックスが襲来。

 

 

リブラ・バーテックスはかなりの高度を維持しているため須美の矢も途中で勢いを失い届かず、リブラが回転することによって巻き起こる暴風によって近づく事も敵わず悶着状態。

 

 

 

(くっそー……ここらでアタシが突っ込まないと勝てそうにない…!)

 

 

 

そんな中赤い戦衣に身を包んだ勇者の一人―――「三ノ輪銀」は一人突撃してこの状況を打破しようと考えていた。

 

 

「こんのぉ……いい加減に―――!?」

 

 

啖呵を切って踏み出そうとした時、彼女たち勇者の上を「何か」が通り去った。

 

 

「なんだっ?!」

 

 

思わず空を見上げる銀。

 

須美も、矢を番えながら上空へと視線を向ける。

 

 

 

 

そこにいたのは――――――

 

 

 

 

 

「―――――巨人?」

 

 

 

まるで翼の生えた西洋甲冑のような、白い巨人だった。

 

 

 

その巨人は須美たちを見ようとせず、ただ一直線にバーテックスの元へ向かう。

 

 

「うぉっ?!…なんだアイツ?!」

 

「新手…なのかしら?」

 

「でもでもー、大橋の向こう側からじゃなくて、神樹様のいた方角からびゅーんって来たよねー?」

 

 

紫の戦衣に身を包んだ少女、乃木園子が「不思議だねー」と呟く。

 

確かに敵であるならば、この戦場―――瀬戸大橋に創り出されている結界、「樹海」の向こう側…四国の外側から現れる筈である。

 

 

そう彼女たちが話しているうちに、白い巨人はバーテックスに近づく。

 

 

 

 

 

「…ん?そういやなんでアレ近づけてるんだ?」

 

 

 

巨人を追いかけるような形で三人が前に進むなか、銀が気付く。勢いが収まったとはいえ、今だあのバーテックスは回転運動によって風を発生させ続けている。

 

 

 

 

しかし巨人はその強風をものともせず突き進んでいる。

 

 

 

いや、よく見れば…巨人の周りだけ風が無くなっている。

 

 

「…!二人とも、見て!あの巨人の周り…風が無くなっている…いいや、相殺されているわ!」

 

 

須美の指摘通りだった。巨人はあの暴風に対し、どういう理屈か同じ強さの風を纏い相殺している。

 

 

「なんだそりゃぁ!?」

 

「えぇ~?!魔法みたーい!」

 

 

驚く銀と、その隣で無邪気に目を輝かせる園子。

 

そうしているうちに巨人はバーテックスの目の前へ。

 

 

地面に着地し、勢いを殺すように足で大地を踏みしめブレーキをかけながら、巨人はまるで居合斬りをするかのように腰に何も持っていない手を据える。

 

 

その据えられた左手に、緑色の魔法陣が創り出される。

 

そこから持ち手のようなパーツが現れ、巨人は右手でそれを掴み引き抜く。

 

 

すると、まるで見えない鞘に入っていたかのように両刃の剣が魔法陣から現れた。

 

 

剣を引き抜き、構える巨人。

 

 

そしてそのままバーテックスに突貫する。

 

 

 

『――――!!』

 

 

 

すれ違い様、一閃。

 

 

腕のようにぶら下がっていた部分が切れ、その先にぶら下がっていた分銅のようなモノが地面に落ちる。

 

 

当然、それを振り回すことによって発生していた風も徐々に勢いを無くし、最終的に強風ではなく、普段通りのそよ風になる。

 

 

「…今ならやれる!」

 

「よし!なんだかよく分かんないけど形勢逆転!」

 

「のりこめ~」

 

 

それに乗じて距離を詰めていた勇者三人が、今までの仕返しとばかりに攻撃する。

 

 

「おりゃぁぁぁぁ!!!」

 

 

一番に銀が突っ込み、得物である巨大な手斧で何度も斬りつける。

 

 

「それー!」

 

「…そこ!」

 

 

一方園子は胴体部分へ。

 

須美は顔のような形の部分へ矢を射る。

 

 

怒涛の勢いの連続攻撃。

 

それに押し戻されるように、バーテックスは徐々にその姿を虚ろにし、消えていく。

 

 

 

 

そして結界の中に、花吹雪が吹き荒れる。

 

 

 

 

「な…何とか、倒せた……!」

 

 

ぜぇぜぇ、と肩で息をする銀。

 

 

「もう、へろへろ~…」

 

「…けれど、問題がまだ残っているわ……!」

 

 

 

三人の目線は、謎の巨人に向く。

 

 

 

『………』

 

 

三人の視線を受けてもなお、巨人は無言を貫く。

 

 

『―――』

 

「ん?今なんて……ってうぉ?!」

 

 

何か言葉のようなモノを発した巨人はそのまま大きく空に飛翔し、凄まじいスピードでその場を後にした。

 

 

「……なんだよもう!お疲れの一言くらいあってもいいじゃんかー!」

 

「わー、すごい速いねー。もう見えなくなっちゃったー」

 

「……あの白武者、いったい何者なのかしら。大赦が作った新しい兵器?」

 

「でもでもー、そしたら私達にも事前に教えてくれてるよねー?」

 

「サプライズって奴じゃないか?」

 

 

そんな暢気な会話を交わしているうちに、樹海化が解けていく。

 

 

 

 

――――――空には、心地よい風が吹いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――絶対に、覆してやる。優しくて強い、あの子が死ぬ未来なんて……!」

 

 

 

空に飛び去った巨人の中、一人の青年が操縦桿を強く握りしめていたのを、彼女たちは知らない。

 

 

 

 

 

 

 












無垢なる少女たちの物語。しかし結末は―――――――――








結果とは、どういった形であれ収束するのである。



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