まだ、原作キャラは登場しません
(やってしまった)
自分が置かれている状況を理解したとき真っ先にそう思った。
(昨日、深夜まで起きて寝落ちたのが原因か?)
いくら考えたところで現状は変わらない。ことの原因を考える事で現実から目を逸らそうとするも意味がない。今の自分にはただ受け入れることしかできない。
「T■UTAYAで借りたDVDを無くすなんて!うっそだろ、今お金ないのに!」
脳裏に浮かぶのはクラスメイトのモブ男君。紛失したDVDの弁償に5万円が必要だったけど、結局払えなくて親に泣きつくしかなかったモブ男君。親にかなり絞られたのだろう、あの時の彼の顔はまさに抜け殻とでもいったところだった。
(やばいやばいやばい!もし母さんにこのことがばれたら…うちはあんまり余裕ないから無駄遣いはするなって口酸っぱく言われてるのに!)
「ちくしょう、どこに行ったんだ俺のシンフォギアAXZ!…いや、TSUTAYAのだけどさ!まじかーこれ、行かないとダメなやつだよなー」
『行きたくない行きたくない』と心の中で連呼しながらも外出の用意ををする自分。もう割と覚悟完了してたりする。手にはコツコツと貯めた小遣い、そしてまだ少し残っているお年玉合わせて2万3千円。
「昨日まではこれで金持ちだと思ってた自分を殴りたい。足りなかったらどうしよう…」
『親にばれたくない』そんな内心でT■UTAYAに向かう。いつも当たり前に通っていた自動ドアがとても重く感じた。
「いらっしゃいませー」
どこか気の抜けた店員の声、いつもの店内なのに凄まじい居辛さを感じた。
「あ…えっと、その、DVD…を紛失してしまいまして」
「分かりました、それでは一度カードを拝見させていただきます」
「は、はいどうぞ」
「根本さとしさんですね……えっと、現在根本さんがお借りになっているDVDはありません。ひょっとして以前返却したDVDと間違えているんじゃないですか?」
「え、いやそんはずは...昨日借りて今朝確かになくなってたんです!」
「ひょっとして、ご家族の方が返却したんじゃないですか?」
「それはまあ、ありえますけど…」
「まあまあ、よかったじゃないですか別にDVDを紛失したわけじゃないみたいで」
「そうですね…失礼しました」
どこか納得できないが、まあ助かった。でも本当に母さんが返却してくれたのかな?うちはそういうの報告しあうって決めてるから書き置きとかあるはずなんだけどな。
「まあ、考えてもどうにもならないか。母さんが帰ってから聞いてみよう」
「母さん、今朝俺のDVD返却した?」
「DVDって…してないわよ別に返却なんて。というか勉強はどうしたのよ春から受験生でしょあんた」
「いや、昨日で見納めにしようと思ってさ」
予想とは違う返事にとても混乱した。母さんが言ってることが本当なら結局誰があのDVDを返却したんだろう?
―――――答えはすぐわかった
『……近頃、認定特異災害通称<ノイズ>による被害が増加しています。○○区では特に多くの数が確認されて……』
「最近多いわね。あんたも気をつけなさい、ちゃんと警戒警報出たらシェルターに避難するのよ」
「………………えっ、あ、うん。分かったその時はちゃんと避難するよ」
そう、シンフォギアAXZのDVDを返却なんて誰もしてなっかた。だって、この世界にそんなDVDは存在しないんだから。