猫と89式とモブの話(仮題)   作:ライス・オン・エッグ

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三話です

今回はちょっとシリアス(?)な内容を含みます。

それと、ついに原作キャラが登場します!


それでもノイズは空気を読む

やあ、みんな。主人公のサトシだ

 

 なんと!今俺はあのお好み焼き店『ふらわー』に来ている。そう原作で響たちが通っていたあの『ふらわー』だ。やべえ感動してきた。なんで俺がこんなところにいるのかというと実は昨日まで、ゴールデンウイークに毎年やってる親戚の集まりに参加していたんだ。俺も最初は驚いたよ叔父さんの家に行ったら近所にリディアンとかあの大きなライブ会場があるんだから。えっ?親戚の集まりに参加するほど余裕あるのかって?大丈夫大丈夫まだ5月だから。まあ、そんなこんなで今は親戚とも一旦別れてこの街を観光中で、俺はやっと見つけた『ふらわー』でお好み焼きを食ってる訳だ。そこ、ぼっちとか言わない。親戚で年が近いやついないんだ。母さんは近所でやってる風鳴翼の握手会に行ってるし。

 

 「一人の方が楽しいって奴だって世の中にはいるんだぞ全く。それにしてもこのお好み焼き美味いな、おばちゃん。おかわり!」

 「はいよ!いやぁ、いい食いっぷりだねぇ。お兄さんこの辺の人かい?」

 「いいや、観光」

 「なるほど、普段はどこに住んでるんだい?」

 「八王子の方、遠いって程じゃないけど学生が一人で遊びに行くにはちょっと移動費がキツイんだよね」

 

 もちろんノイズの発生数が多いってのも理由だけどこれも観光に来なかった理由だ。往復で4桁は学生にはちょっとお高い。

 

 「そうかいそうかい、じゃあおばさんのおすすめの観光地はやっぱりスカイタワーだね。時間があるなら行っといで」

 「ほうほう、なるほどそれじゃ次はそこに行こうかな」

 

 2期で壊されるし見れるうちに行っとこう。

 

 「それじゃあ、ごちそうさま。はいおばちゃん、お勘定」

 「まいど、楽しんでおいで」

 

 

 いやー、行ってよかったよ『ふらわー』おばちゃんもいい人だったし、お好み焼きも美味しかったし。ノイズが出るかもって思ったけどよく考えたらまだ原作始まってないし。ノイズに出会う確率って通り魔に会う確率より低いはずだから簡単に遭遇する訳ないか。いやまあ、通り魔に出会う確率とか知らないけど。

 

 「よーし、次はスカイタワー行ってみよう。と、その前に母さんに連絡しとこう」

 

 さーて、スマホスマホ。……………あれ?

 

 「………マジですか。やっちまったよ、あー叔父さんの家に居た時か。とりあえず公衆電話探そう」

 

 はー、ついてないぜまったく。そういえば結局父さんの89式は何の聖遺物なんだろう?歌がトリガーになってるっぽいから多分聖遺物だよな。いろいろ試してみて歌っている間にマガジンを作る能力がある事は分かったけど、それだけなんだよなぁ。まあ、さすがに怖くて試射はできてない、身近にノイズなんていないしな。ただ、シンフォギアとかとは違ってなんか変身するわけじゃないから多分対ノイズ戦はオワタ式になりそう。まあ、そもそも戦う気なんてないけどね。

 

 「お、公衆電話みっけ。………もしもし母さん、サトシだけど。実はスマホ叔父さんの家に忘れちゃったみたいでさ」

 『何やってんのよあんた。ちゃんと取りに行きなさいよ』

 「分かってるって。いつまで観光する?」

 『夕飯は家で食べる予定だから大体16時くらいね。それから、このあたりはノイズがよく出るらしいから気をつけるのよ』

 「大丈夫大丈夫、そう簡単にノイズなんて現れないよ」

 

 まだ原作始まってないし、わざわざフィーネが出すわけないじゃん。

 

 『あんたねぇ…今どこに居るの?』

 「スカイタワーに行く途中。その前に叔父さんの家に寄るけど」

 『そうじゃあ、私も翼ちゃんの握手会が終わったらスカイタワーに行くことにするわ』

 「了解、それじゃね向こうでね」

 

 さて、叔父さんの家に行くか。まったく母さんも心配性だな。確かに原作ではリディアンの周辺ってノイズがめっちゃ出現するけど、それは原作中だからであって……………………あれ?じゃあなんでこの辺りはよく出るなんて言われてるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥウゥゥゥゥゥゥゥゥゥウゥゥゥゥゥゥゥゥゥウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………正直、そろそろ来ると思ってた。

 

 「て、そんな落ち着いていられるかよ!ど、どこに逃げればいいんだ」

 

 この辺の避難所の位置なんて把握してないぞ!と、とりあえず周りの人に付いて行けばその辺の避難所までたどり着けるかな?えっと、周りに人は…………

 

 「え?…………あれっ!?」

 

 ひょっとして、置いて行かれた!?ちょ、まじかよ。今、スマホも持ってねえぞ。えっと、どこかに看板とかは……ん?向こうにいるチカチカしてるのってもしかして…………ノイズ!

 

 「ヤバ!距離をとらなきゃ。どこかに安全そうな場所は…………」

 「そこの君!こっちだ!避難所まで誘導する」

 「は、はい!」

 

 たすかった!ありがとう、そこのお兄さん。正直マジで今のはヤバいと思った。

 

 「ハッハッ、そこの角を曲がればすぐだ」

 「ぜぇぜぇ、わ、わかりました」

 

 ちくしょう、こちとら体育の成績は上からよりも下からの方が数えやすいんだぞ。もっと手加減してくれ!というかノイズってどの辺りまで来てるんだ?

 

 「」チラッ

 

 

 

 

 そこには炭化した人がいた。きっと俺と同じように逃げ遅れたんだろう、さっきまでは俺と同じようにノイズから逃げていた人だ。でもノイズによって死体も残らないで殺される、普通ではありえないような光景がそこにはあった。

 

 

 

 

 『振り向くんじゃなかった』そう思ってももう遅い。視線を戻していつも以上に高い心拍数を感じながら全力で走った。すぐ後ろまで来てるじゃないか!そうだ、この世界がそんなに甘いわけないって知ってたはずなのに!

 

 「あそこだ!あの扉まで行けば安全だ」

 「あ、ありがとうございます」

 

 

 

 

 シェルターの扉が閉じる音を聞きながら俺は呼吸を整えていた。この中にいれば安全だ、さすがにノイズもシェルターの中には入ってこないだろう。

 

 ――そう思っていた

 

 

 

 

 ここでノイズの位相差障壁について確認しよう。ノイズはこの能力によって自分が存在する比率を操ることができる。具体的には存在比を下げることで人類からの攻撃を減衰または無効化したり、逆に存在比を上げることで人間に触れて相手を炭化させるなどのことができる。ここで注目するべきは存在比を下げた時の物理的干渉の無効化だこれを簡単に言うと『ノイズはシェルターの壁もすり抜けることができる』ということになる。

 

 

 

 

 あ、あれ?待てよ、そういえばノイズって壁くらいすり抜けられなかったっけ?どうしてここにいる人は皆、平気な顔をしてるんだ?ノイズは壁のすぐ外に居るんだぞ。

 

 「おいどうした、大丈夫か?顔が真っ青だぞ。安心しろ奴らもこの壁は越えられないさ」

 「そ、そうですか……。いえちょっと、急に走って疲れただけです」

 「そうか、ゆっくり呼吸を落ち着けるといい。なに、すぐ外に出ても問題なくなるさ」

 

 そ、そうだ確かによく考えたらアニメでもシェルターの中に入って人を襲うシーンなんてなかったじゃないか。きっとこの人が言うみたいにノイズはこの扉を越えられないんだ。そうに違いない。だから一旦落ち着こう。

 

 

 

 …………心臓が今まで聞いたことがないくらいうるさいな。

 

 …………おかしいな、なんで俺の手、こんなに震えてるんだ?

 

 …………少し息苦しいな…なんだろう、うまく呼吸できない。

 

 大丈夫なはずだ。ここ避難所だろ、きっと大丈夫。

 

 「お、おい。体調が悪いなら奥の方で休むといいぞ」

 「……はい、そうさせてもらいます」

 「ああ、それがi」

 「え?」

 

 

 この人は俺をこのシェルターまで連れてきておまけに気遣ってくれた。いい人だったのだろう急な警報で混乱してた俺に声をかけてくれたし避難所まで誘導もしてくれた。きっとこのあたりに住んでいてノイズからの避難にも慣れていたのだろう。

 

 

 ――そんな彼が今、目の前で死んだ。跡形もなく一瞬で炭化した。

 

 

 「あ…あぁ、うわああああああああ!!なんだこれ、なんなんだよこれ!」

 

 逃げなきゃ、奥に行けばまだ安全なはず。そうだ、ノイズは人を炭化させたら自分も炭化して消える。奥に行けば周りの人を盾にすればいいい。急がないとこのままだと逃げ遅れちゃう、走らなきゃ!

 

 前の人を押しのけてどんどん奥に進んでいく。後ろからは断続的に悲鳴が聞こえてくる。ノイズにやられたか目の前で炭化したところを見たかのどちらかだろう。このままノイズが減ってくれればいいんだけど。シェルターの外からはどこかで聞いたことのある歌声と歌が聞こえる。きっと風鳴翼が来たのだろう。『近所に居たんだからもっと早くこれなかったのかよ!』と心の中で思いながらも、同時に『もうなんでもいいから早く終わってくれ』という感情でいっぱいだった。

 

 「ちくしょう、なんで俺がこんな目に合わなきゃいけないんだ!俺が何をしたっていうんだ!」

 

 誰もかれも自分が生き残ることに精一杯だった俺も誰かも押しのけたし同時に押しのけられた。これだけもみくちゃになっていたから姿勢を崩したのか、それとも誰かに足をかけられたのか俺はその場で倒れた。

 

 結果から言えばそれがよかった。

 

 ノイズたちもかなり数を減らされていてもう数えるほどしか残っていなかった。最後に一矢報いるつもりなのかわからないが、奴らは体を紐状にして攻撃を仕掛けた。運悪く転んで地面に転がりながら逃げる人たちに踏みつぶされていた俺は運よくこの攻撃を回避できた。ただ、それ以外の逃げ惑う人はそんなうまく回避なんてできなかった訳で…………

 

 肉体的にも精神的にも参ってしまった俺は自分に降り積もる炭素の軽さを感じながら意識を手放した。目が覚めたらこの地獄から救われてることを願って――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 多分この世界の人たちって直接ノイズを見たって人は少ないと思います。大体やられるので、なので『シェルターの壁は越えられない』と”思いこんでる”という設定になっています。

 ちなみに、本家を考察すると多分地下深くまでシェルターは伸びていて、ノイズの索敵範囲外に隠れているのだと思います。

 そして原作キャラで初登場はふらわーのおばちゃんでした。

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