~テニス部に入る前のお話~
「秋雨先生…ラケットのガットに穴が空くスマッシュって どう対処したらいいと思いま
す?」
「?…ふーむ…君は面白い事を言うね、確かにアパチャイ君達ならボールをパンチしてスマッシュのように打つとそれくらいの芸当は出来るだろうね」
「はい…今 外で先生達がやってるテニスと言う名の何か 見てるとラケットの面に穴が空きそうだな~って…」
基礎練習 及び 俺とケンイチ先輩の修行を担当していない先生達が たまに庭のコートでやっている遊び、ラケットを使わずに拳や蹴りでおこなうテニス? そのパンチで放つスマッシュを見てふと思い出した事がある
風林火山陰雷の「雷」のショット…流石にテニスラケットのガットなんて破れ無いだろ…と思ってたけど目の前を音速のような速度で行き来するボールを見ると自信を持って大丈夫だと言えない…
「そうか…素直に言ってくれたら良かったのに、対策を考えるということは 今度の修行の時にあれに参加したいんだね」
「いえ、違います」
「そうと決まれば しぐれと共に修行のプランを考え直さないとね」
「あの~…秋雨先生 決まってないですし 参加したいなんて一言も言ってないんですが…」
「何…修行の日程がほんの少し早まるだけだよ、だから早まる分 今日の修行内容を濃くしようか」
「え…マジ?…」
…このあとめちゃくちゃシュギョウした
ーーーーー
ぺしっ… ポフ…
情けないインパクト音がコートに響く、その音に負けないくらい情けない 威力のボールはネットの上を越える事が出来ない
「ああ~~…」
堀尾君達のテンションと声のボリュームが下がる
「おらおらどうしたぁ!」
対象的に上手く返せない俺を笑うように 荒井先輩のテンションとボリュームは上がっていく
「やっぱりあんなラケットじゃ無理だったんだ」
頭を抱えて「もう無理だ~おしまいだ~」のテンプレを俺の代わりにしてくれている堀尾君…喜怒哀楽の激しい良い性格だと思う
「一度でかい口をたたいたんだ、最後までやってもらうぜ!」
パヒュン… ガシャ…
次に 返球したショットはコントロールが出来ず 空へと向かいコート後ろの金網まで届く大ホームランになる
「だめだーっ、全然コントロールきかないじゃん!」
堀尾君がまた大げさにリアクションをとる中 観戦しているレギュラー陣はいたって冷静に試合を見つめる
「まともに打ったってムダだろうな 、ガットの緩み等を考え調整するのに後 数手はかかる」
乾はリアルな視点から
「確かに まずあんなガットじゃスピンはかからないよね」
不二はこれから起こる ルーキーの反応を楽しむように…
「うーん…やっぱりこのガットじゃ慣れるまで時間かかるか…じゃあのあの技使うか…」
俺はラケットのガットをデコピンのように弾きながら呟く
「…?余裕ぶりやがって、てめえには勝機はねぇんだよ!」
余裕ぶった俺の態度がムカつくのか力の入ったサーブを打ってくる
ポコン! シュトン
謎の音の後に続き 軽快な音を立てて相手コートへと返球されるボール
「…えっ」
返球されたボールに戸惑う荒井先輩…
「打てた~!?」
俺の返球を喜びながらもどうして返球出来たか解って無い堀尾君…、それに答えを教えるかのようにレギュラー陣達が話し出す
「おー あの おチビやるー ラケットのシャフトにボール当てて難なく返したよ」
「シングルシャフトのラケット上手く使っている…さらにあのボールの角度と威力から計算するにまぐれ当たりでは無く狙ったものだな」
レギュラー陣のお褒めの言葉に周りのギャラリー達も盛り上がる
「マジかよ?あんな所に当てて打ち返しやがった…」や「いやいや あんな所に狙って当てるとか無理だろ…」 などの半信半疑の声が大半だが コートの目線は全てこの試合に集まる
「ふ…っ ふざけるな! 1球まぐれで返したからって」
飛んでくるサーブ まぐれじゃ無いですよ とシャフトに当てて返球する
「チッ こんな返しただけの球…なめるな!」
荒井先輩も負けじと返球
「そーですね、ただ返すだけじゃダメですよね、「 香坂流庭球術 「雷鳴返し」 」
まるで大太刀を扱うがごとく 両手で大きくラケットを振るう
硬いシャフト部分に当たった球は弾け飛び 力強く相手コートにめがけて加速する
シュタンッ!!…
相手コートに響くボールの音、その音の後コートはしばらく無音の空間へと変わる
「 ……… 」
膝から崩れ落ちる荒井先輩
「達宮のヤツ あんな打ち方で更にスマッシュまで打ちやがったー」
堀尾君の声でコート付近は音を取り戻す、「スゲー」やら「何者だ」など むしろ 無音になる前よりざわざわしている
「来るな、アイツ…」
そのショットを見た乾が呟く 、その言葉に 菊丸と不二は ランキング戦の組み合わせを決めている手塚達のいる教室に目を向けた後 ゆっくりとうなずく
「チッ バカバカしい 2年の恥をさらしやがって」
そう言って 海堂は踵を返しコートとは別の方向へと歩いていく…
彼らが察していた通り 後日 出来上がった ランキング戦の表にある名前が記載されていた
達宮 将人 (1年)
追記
三毛猫のテニスバッグは部活が終わった頃には元の場所に戻ってました…めでたし めでたし
ー梁山泊のお泊まり修行の風景ー
「あの~秋雨先生?ガットが破れる以前に…このラケットにガット張って無いんですけど…」
「達宮くん 破れるのは無理矢理ガットで返そうとするからだよ、逆に考えるんだ、『ガットなんて無くてもいいさ』と」
いや…それはおかしい…
「…出来るまで 今夜は寝かさない…ぞ♥️」
ネットを挟み 同じくガットの無いラケットを構えた しぐれ師匠が甘い声で徹夜での修行を宣言する…(目は本気…)
この後 俺はしぐれ師匠の熱血指導のもと 「雷鳴返し」を習得します…
○香坂流庭球術「雷鳴返し」
・ガットを突き破るような強力な回転、球威のボールをラケットのシャフトにぶち当て返球する剛の技、受け流す訳でなく真っ向から返す為 体全体を使い シャフトの一点に力を注ぎ込むような打ち方をする
※普通のテニスでは使いどころの無い悲しい技…
お気に入り1300越え本当にありがとうございます、一気にお気に入り数が跳ね上がった時は信じられず 別の小説ページを開いたんだ とガチで勘違いしました、
感想等もいただき大変嬉しいです。これからも皆様のご期待に少しでも答えれるようにゆっくり頑張っていきます(*´ー`*)。