テニスのお弟子様   作:テニス歴0年 HORIO

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13・蛇に勝つには?

 

「おい…いつになったら終わるんだよこの試合…」

 

 試合を見ているギャラリーの誰かが言った言葉だ、言葉には出さないがそう思っている者も沢山いるだろう

 

 デュース…先ほどから何回審判がこの言葉を発したかわからない

 

 ゲームは5ー4で達宮のリード後1発 綺麗にスマッシュでも決まればゲーム終了である…だが

 

「…デュース」

 

 まだこの試合は終わりそうもない

 

 ーーーーー

 

「おチビのやつ完全に海堂の罠にハマって喰われると思ったんだけどねー」

 

 試合を終えたレギュラー陣達がこの試合を見てそれぞれに感想を言う、あまりにも長いこの試合 青学の全コートの内 打ち合っているのはもう海堂と達宮だけ、テニス部員ほぼ全員がこの試合を観戦している

 

 「そうだな…海堂のテニスは「スネイク」を使って左右に大きく走らせて体力を奪うテニスだ …セオリー通りに相手を走らせてる」

 

「だけど勝ってるのは達宮の方…海堂焦ってるだろうな彼のしぶとさに」

 

 ーーーーー

 

 正直きついがまだやれる!梁山泊の拷問を思えば

 

 インターバルの無い高速シャトルランをしながら俺はテンションを上げる為に今の状況と過去にあった地獄とを比べて大丈夫だと言い聞かせる

 

 昼イチに始まったこの試合だったが気付けばもう夕方である…二人共が粘り1ゲーム事に長いデュースになった結果がこれである、 たたでさえポイント毎にとても長いラリーが続くこの試合…だがその試合にも終わりが見えてきた

 

 「くっ」

 

 食い縛るような声と共に放たれるスネイク、試合始めと比べると威力は落ちているが、狙いや回転が洗礼されてきていて 相変わらず全力で走り 届くか届かないかギリギリのボールである

 

 「ちょわー」

 

 馬先生がたまに出す奇声を上げながらなんとか返球…

 

 「っフシュゥー」

 

 逆サイドに放たれるショット、負けるか

 

 「アパー」

 

 謎の掛け声と共にさらに返球…サイドに走らされまくる俺は海堂先輩の2~3倍位は走っているだろう、汗だくである

 

 「チッ」

 

 海堂先輩が返球したボールがネットに遮られる

 

 「達宮 アドバンテージ」

 

 対する海堂先輩も汗だくである、達宮より走っていないが全力でラケットを振り上げる動作を何百と続けている、過去にこれだけ粘った選手がいたのか聞きたい位だ

 

 

 そして俺のサーブからまた始まる長いラリー、お互いの意地と意地がぶつかりあったこの試合がついに終わりを迎える

 

 カクッ

 

 右側に走り込む海堂先輩の膝が疲れからなのか カクンと折れバランスを崩したのである…

 

 それを見た瞬間 俺の感想は 「よし」 では無く「ヤベー」だった …何より海堂先輩の目が死んでいない

 

 俺の身体は無意識にある方向に向かい飛んでいった

 

 バランスを崩す海堂先輩、その手には力強くラケットが握られている

 

 「ナメんじゃねぇ!」

 

 斜めになった体勢から振り上げられるラケット そこから放たれるショットはポールの外側を通り俺のコートへと入ってくる

 

 「…何故そこにいやがる…」

 

 縮地法…地面を蹴って走るのではなく引力、自然落下を使い移動する技法である…だけど俺のはまだ不完全だ…着地が出来無い、でも加速したままラケットを出し飛び込む

 

 「うっ」

 

 無理な体勢から落ちたせいかあれほど梁山泊でした受け身を失敗する…だがそのお陰で無事成功した

 

 ポトッ

 

 縮地法の初速を利用したダイビングボレー

 

 「…ゲームセット、ゲームウォンバイ 達宮将人 6-4」

 

 審判のコールだけがコートに響く、その後徐々にざわざわし始める「何だあの海堂のスネイク…」「いや…達宮のヤツ 変な加速しなかったか?」など様々である

 

 「勝った!? 達宮君が勝った!やったー」

 

 一年生トリオも盛り上がっているようだが正直しばらく動きたく無いな…寝転がりながらオレンジがかった空を見て考える

 

 それにしてもヤベー…原作読んで無かったら反応すら出来て無かったんじゃないだろうかあの「ブーメランスネイク」…と言うか王子様 このランキング戦で余裕で海堂先輩に勝ってたよね…王子様やっぱパネェ…

 

 明日は「データテニス」か…ヤベーな長期戦だったからめっちゃデータ録られたかも…頑張ろう

 

 こうして期待の新人 対2年生レギュラーの戦いは粘り勝ちで期待の新人に軍配が上がった

 

 

 ~テニス部に入る前のお話~

 

 「…蛇って どうやったら勝てますか?」

 

 修行のやり過ぎのせいで いろいろツッコミたくなるような言葉が口から出てくる、ついでにこの言葉が出た理由は 手のひらの摩擦でとんでも魔球を放つ中国人を見て「青学の蛇」を思い出したからである

 

 「…ナメクジ?」

 

 謎の質問にも関わらず答えてくれるしぐれ師匠…ヘビ、カエル、ナメクジの三竦みかな?

 

「いや…すいません端折り過ぎました…」

 

 「?…ふーむ…また君は面白い事を言うね、君の事だからテニスの事だろう、あれの事かな?」

 

 一緒に謎の質問を聞いていた秋雨先生の目線の先は俺と一緒、うねうねとした軌道で動くテニスボールだ

 

 「ついでに言うとおいたんの所では蛇に勝つのは蛞蝓(ナメクジ)じゃなくて螂蛆(ムカデ)ね」

 

 ヘビのようなうねうねとした魔球を放ちながら馬先生が答える

 

 「螂蛆食蛇、蛇食蛙、蛙食螂蛆、互相食也…つまり三竦みの事だね」

 

 秋雨先生が難しい言葉を言い出す…若干ニヤついているのが怖い…

 

 「蛇にどうやったら勝てるか?だったね…なら蛇に勝つムカデに習おうではないか」

 

 嫌な予感がする…

 

 「いやいや、秋雨先生それは諺ですよね、ムカデなんて蛇にパクって食べられて終わりですって」

 

 「そうだね、でも終わりでは無く結局はムカデが勝つんだよ、生命力でね、蛇は基本 丸飲みだから生命力の強いムカデは蛇を中から倒してしまうんだよ」

 

 くっ 流れが悪い話をそらさなけ…

 

 「だから鍛えようじゃないか「生命力」!」

 

 イヤーーーーーーーーー

 

 「「生命力」は言い換えると「しぶとさ」つまり持久力、その蛇とやらを正面から倒すまでずっと持久力強化の練習だ」

 

 「倒すまで…ずっと?他の修行は?」

 

 「勿論するに決まってるじゃないか」

 

 この日より更に修行の量が多くなった…

 

 つまり…このあともめちゃくちゃシュギョウした

 

※後日談…全力を出して 正面から挑み蛇を倒したにも拘らず…修行量は減りませんでした…倒すまでって言ったのに なんでだろー(´;ω;`)

 

 




お気に入り、感想等ありがとうございます大変嬉しいです。これからも皆様のご期待に少しでも答えれるようにゆっくり頑張っていきます(*´ー`*)
次回6/4に投稿します…待っていただいてる皆様申し訳ないです(´・c_・`)
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