「92%…ハズレだ」
また無情に呟かれる乾先輩の声と共に点数が入る
「30-0」
「さすが乾先輩今日は特に冴えてるんじゃないか」
「ああ」
ギャラリーの声に混じり不二先輩が優しく 一年生トリオに乾の強さを説明する
「試合データやプレイパターンに基づいて、相手との対戦を何度も繰り返し予想(イメージ)する、パワーやテクニックなどの派手さはないけど…詰め将棋の様な穴の無いテニスだよ 乾のテニスは…」
ーーーーー
ネットを挟み乾先輩が俺に向かって話しかける
「君は俺よりテニスのセンスもある、ハッキリと言って強い…、けれど どんなショットでも返ってくる場所がわかれば… 打ち返せない球はないよ 」
クイッ っとメガネを上げる乾先輩、ワンピースとかなら背後に「ドーン!」という文字が背景に出てるのではないだろうか
それにしても…マジですか乾先輩…波動球百八式 とか アパチャイ スマッシュを返ってくる場所がわかったら返せるんですね…
軽く冗談を頭で思い浮かべリラックスさせる、 秘策の成功率を上げる為にも深く集中する必要がある… 限界まで息を吐き 一気に息を吸い込む
空手で言うところの息吹き…丹田呼吸だ…これは梁山泊での練習の際 俺がしているプリショットルーティーン、技を繰り出す前にある特定の動作を行うことにより集中力を高めて技の成功するイメージを高める技術らしい
また乾先輩の呟きと共に続くラリー 、乾先輩が勝負を決めにかかる
「でも…もうちょっと駆け引きを楽しみましょうよ乾先輩?」
「駆け引き?…バックハンドでクロスを打つ確率93%…なっ!!」
「香坂流庭球術「五月雨」」
乾がデータで予測したコースとは全く逆位置にボールが飛んで行く…
「30-15」
「おっ 7%引いちゃいましたか?でもガチャの低確率に比べたら7%とか高確率っすもんね乾先輩」
「……」
ーーーーー
「やったー 達宮君の初得点だ」
「それより達宮のヤツおかしいぜ…何でラケットを逆の手で持ってんだ?」
はしゃぐ一年生トリオを横に試合を見ていた不二はさっき放たれたショットを冷静に考察する
「…一振りのうちにラケットの持ち手を素早く持ち替えている、それにより相手が予測する軌道とタイミングを狂わせているようだね…まさに変幻自在」
ーーーーー
乾のデータ通りに進んでいた試合の流れが更に狂いだす
「右サイドへのボレーの確率89%…」
「香坂流庭球術「天泣」」
「くっ…」
ガシャン
今度は急に爆ぜるように加速した達宮のボレーが乾のラケットを弾く
「なんで普通のボレーがあんな速度に?」
寸勁という技がある、超近距離から相手に衝撃を与えることで、外面ではなく内面に強いダメージを与える技、その技をボレーに応用
ボレーのフォームはそのままにインパクト時の発勁による衝撃がボールに加わり、そのボールは相当なスピードやパワーを秘めていた
「ボレーは当てるだけ」どこのテニススクールでもそう教え、どの雑誌でも参考書にも書いてあるようなこと…このボレーは一見その当てるだけを体現したようなお手本のような綺麗なボレーである、しかしラケットに当たる瞬間に寸勁で加速する為 放たれたるまで 普通のボレーか爆ぜるボレーかわからないの正にに緩急の二択である
「乾も困ってるだろうね…緩急や軌道…その答えが二通りあるショットは乾のデータの数字を半分以下にしている」
不二の言うようにボレーやバックハンドのショットになる確率がいくら高くてもそこからの流れつく答えが1つに絞れない、逆位置にタイミングをずらし放たれる「五月雨」、急加速する「天泣」が乾を追い詰める
そんな中また彼のボレーが爆ぜる
「くっ…」
急加速するボレーにギリギリタイミングを合わせななんとか相手のコートへと返す乾 しかし…
「乾先輩、情報提供です ここ俺の絶好球ですよ」
今まで達宮は居合抜きのようなフォームで返球した事はあるが、今回は腰を低く落とし完全な停止…
ボールが彼の間合いに入った瞬間彼の姿がぶれる…
「無拍子」
ガシャン
一度コート中で跳ねた後コートの後方にある金網に当たりボールが停止する
このショットに反応出来た者は少ないだろう…現に審判をしていた二年生部員も反応出来ていない
「……」
「審判、入っている達宮の得点だ」
ギャラリーから渋カッコいい声が聞こえる 手塚部長だ
「さっ 30-40」
審判はなんとか得点を告げる、まだ向かいにいる乾は固まっていた
ーーーーー
反応すら出来なかったあのショット…普通ショットを打つにはリズムがある…構えから 1,ターン 2.テイクバック(振りかぶり) 3,ヒット 4,フォロースルー という工程を踏む、彼のショットにはそれが無い…構えの後にはその工程を飛ばしたかのように放たれるショット…
「まいったな…予測しても返せない球を打つ奴がいるなんてね」
つい口から出てしまった言葉…反応すら出来なかったショットは俺のメンタルにもダメージを与えてるようだ…
「でも乾先輩は 来る場所がわかったら返せるんですよね…同じ場所にもう1球いかがですか?」
ネットを挟み彼が含みある笑顔で言ってくる、まったく…本当に生意気な新入生(ルーキー)だ
ーーーーー
データ通りに進まなくなったゲームは終わりを迎える
「ゲームセット、ゲームウォンバイ 達宮将人 6-3」
この日 青学に一年生レギュラーが誕生した。
なおDブロックではもう1つ誰もが予想しなかった大波乱起こる、海堂があの乾からレギュラーを勝ち取ったのだ
-かくしてランキング戦は幕を閉じた
ここに8人のレギュラーが決定
手塚 国光(3年)
大石 秀一郎(3年)
不二 周助(3年)
菊丸 英二 (3年)
河村 隆(3年)
桃城 武(2年)
海堂 薫(2年)
達宮将人 (1年)
青学は全国大会を目指して動き始める
ー梁山泊でのお話ー
「適当に殴っとけば終わるだろ…そういうのはオレ じゃ無くて秋雨やしぐれにでも聞け 」
「いいじゃないですかー、せっかくラーメン連れて来てもらって 会話の話題 無しとか寂しいじゃないですか」
修行終わりにどうだ?と言われ逆鬼先生と二人でラーメン屋に来ている、出した話題は相手の行動を読む敵の対処法だ、他の人に聞け と言いながらも面倒見のいい逆鬼先生はアドバイスをくれる
「「山突き」とかがいいヒントになんじゃねぇか?」
「山突きですか?」
「そうだ、あの技は1つの技でありながら結果を2つもたらす、拳が向かう先が頭と腹2つあるのさ」
抜塞大の中の山突 、1つの動作で上下同時突きを放つ空手の技である
「それをテニスで…どうやって?」
「そこはお前が考えろよ…」
「逆鬼大先生…そこをなんとかもう少し何かヒントを」
「しょうがねぇな…オレの昔の友人に山突のように両手で貫手を放つ奴がいる、ただ山突と違うのは片方の貫手に全力を込める…よって片方は虚…ただその虚は当たるまで本物 過ぎてわからないんだ…つまりだその技は必然的に勝負を二択にもって行く」
「二択…」
「いくら相手が動きを読んでも強制的に二択にしてしまえば 確率は2分1…2回に1回は殴れるんだ なんとかなるんじゃねーか」
「殴りはしないですけどね…でもなるほど…二択ですか 参考になりました、さすが逆鬼先生 頼りになりますね」
「いやぁー ほらあれだ ここのラーメンがオレの大好物でよ、テンションが上がっちまっただけだ、 別にお前の為に方法を考えたりした訳じゃねぇよ」
謎に照れだす逆鬼先生…見ているこっちが恥ずかしくなるレベルだ
「はい、ラーメン4つお待ち」
「…4つ?」
横を見ると髭を撫でるダンディーなおじ様と刀を持った美女が…
「よし、じゃあ次の修行から早速 「山突」に似た技の修行をしぐれ にしてもらおうか…虚を気付かせない練度となると…今の修行の4ば…大丈夫だろう」
秋雨先生…4倍って一瞬聞こえましたよ!それは人が死ぬレベル…
「…次の修行楽しみにしてて…ね♥️」
「イヤぁァアーーー」
こうして達宮は「五月雨」と「天泣」を習得する
追記 アパチャイ先生達 他のメンバーは後ろのボックス席の方でジャンボ餃子 3万円チャレンジをしてました…
香坂流庭球術「五月雨」
[家庭教師ヒットマンREBORN!]より 時雨蒼燕流 攻式五の型「五月雨」(さみだれ)
参考にさせていただいた技
香坂流庭球術「天泣」
名前の由来は天気雨、狐の嫁入りなどの意味を持つ天泣(テンキュウ)より、雨と晴れの 二面性を持つのをイメージ
お気に入り、感想等ありがとうございます大変嬉しいです。これからも皆様のご期待に少しでも答えれるようにゆっくり頑張っていきます(*´ー`*)
・すいません難産です(´・ω・`)まだ出来上がってません… 6/25までには書きますのでお待ちください…申し訳ないです_(._.)_