テニスのお弟子様   作:テニス歴0年 HORIO

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2・テニスの達人目指して

 やっぱり あった…

 

 目の前にあるのは威厳ある純和風の立派な門、ロダンの地獄の門を和風にすればこの門になるんじゃないかと言うほど存在感を放っている

 

 その門の上部には達筆で「梁山泊」と書かれてある…

 

 漫画好きの俺は知っている

 

 そう、ここ「梁山泊」はスポーツ化した武術になじめない豪傑や、武術を極めてしまった達人達が共同生活をしている場所 

 

 凡人の俺がテニヌ界で活躍するにはこれしかない、と言うことでここまで来ては見たものの、なかなか一歩が踏み出せずにいる…俺は漫画で見た あの修行?…拷問に耐えられるのだろうか

 

 いややってやるぜ 逹宮 将人 11才、ここで行かなきゃ男が廃る

 

 ドゴーン

 

 俺が一歩踏み出した瞬間に梁山泊の塀が爆発する、俺はその爆発に身を硬直させてしまい 飛んでくる塀の破片をただ見るしか出来なかった…

 

 シュタタタタッ

 

 目の前に迫った塀の破片がことごとく綺麗に振り払われる

 

 「大丈夫かね、君」

 

 今まで誰もいなかった位置に ぬんッと瞬間移動したかの様に現れる男性、左手に本を持っているからあの量の破片を片手で処理したんだろう…達人ってスゲー

 

 そう、そして俺はこの目の前にいる人を知っている…

 

 哲学する柔術家! 岬越寺秋雨

 

 「ん、何か私の顔についてるかね」

 

 そう言って彼は綺麗に整った髭を撫でる

 

 「いえ…その~ありがとうございます」

 

 お辞儀をして礼をする俺に軽く手を上げて優しい声で俺に話す

 

 「こんな事は滅多に起こらないだろうが 家まで気を付けて帰りなさい」

 

 はい…と言いそうになったが思い止まる、違うだろ、俺は何しにここに来た?このまま帰っても仕方ないだろうが

 

 「いえ、帰れません、俺を一年で出来る限り強くしてください」

 

 自分に気合を入れる意味も込め 大きな声で気持ちを伝える

 

 「ん?」

 

 いきなりの事に若干驚く彼…達人を驚かしたよ 俺スゲーな…

 

 しばらく思案顔をした彼は門を開けて入るように促す

 

 「取り合えず君の話を聞こうか、立ち話もなんだし入りたまえ」

 

 頼むぞ俺の転生特典3人衆…この梁山泊で生き残るには精神力、器用さ、丈夫さが役にたってくれる筈だ

 

 行くぞ俺…テニスの達人を目指して

 

 

 ーーーーー

 

 

 客間で美羽の淹れてくれたお茶をすすりながら 目の前にいる少年とお互いの自己紹介を終わらす

 

 彼、逹宮君は ここで世界最強のテニスプレーヤーになりたいと言った、テニスなら他をあたりなさいと言ったが、「ここでなければ駄目なんです」と真っ直ぐな目をして私に言ってきた

 

 その後も説得をおこなったが私の目を真っ直ぐ見て譲らない

 

 最終手段にと庭にいる弟子一号の修行の風景を見せたが「是非お願いします」と頭を下げられた

 

 彼は若いながら確固たる信念を持っている、私の眼力でどう見ても身体の年齢は十ほど…だが心は…ふむ

 

 ふらっと縁側を通りかかった剣星をちょいちょいとジェスチャーにて近くに呼ぶ

 

 (ひそひそ会話)

 

 「秋雨どん どうしたね、何でこんな無垢な少年を連れて来たね」

 

 「門前で強くして下さいと頼まれてしまって、それより剣星 彼の目を見てどう思う」

 

 改めてその少年をマジマジと見る剣星

 

 「流石においちゃんにも分かるね、あの少年の目は覚悟した人間の目ね…」

 

 「そう、彼の覚悟を些か無下にするのも可哀想かと」

 

 「確かに、あれを見ても引かない胆力は恐れいるね…」

 

 剣星は庭先に魂が抜けたように転がっている弟子一号に目をやる、今の時間はアパチャイ君の担当だったのだが…私でも普通の人が見たらほんの少し刺激が強いんではないかと思う

 

 「よって彼用に一年分プランをさらっと組んでみたんだがどう思う」

 

 手に持っている紙を剣星に見せる

 

 「いやいや秋雨どん、兼ちゃんに比べると優しいけど、どう考えても殺人メニューね」

 

 「彼の覚悟には誠意で答えるのが大人の対応だよ剣星…それに彼がこの梁山泊が抱えてる問題の一つを解決出来るかもしれない…」

 

 

 逹宮君への返事は親御さんに了承をしっかりと取ってきたら考えるということになった

 

 「絶対に取ってきます 、ありがとうございます 岬越寺先生」

 

 ガッツポーズして帰っていく その姿は十才ほどの年齢に相応しいものだった

 

 …さて、準備を整えよう…彼を門から見送りながら髭を撫で彼の再度育成プランを考える、彼の目を見るに絶対に了承を取って来るだろう…

 

 「ホッホッ、良い目をした少年じゃのう」

 

 「…お帰りなさい長老、丁度お話したい事が一つ」

 

 「ほー、それは楽しみじゃの」

 

 にかッと笑う長老、今まで1週間の世直しの旅に出ていたのにまるで全てを知っているかのように走り去る少年を見つめる

 

 きっと彼はここの一員になる――そう確信しているかのように

 

 

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