深海棲艦と遊ぼう   作:真・鬼才太郎

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前回のあらすじ

ほっぽちゃんのためにクリスマス会を開くぞー
飛行「でっでっでででで、かーん」



北方棲姫とクリスマスケーキ その2

二人と別れた次の日、俺は酒保の前にやってきた。

この前行ったM鎮守府の所にあった酒保はうちにも存在しているのだ。

いや、していたといったほうが正確か。

向こうの鎮守府同様ここも明石が経営していたが、その明石も早々に出ていってしまい今は誰もいない。

主を失った酒保は荒れに荒れ、今は色んなものが乱雑に置かれているいわば倉庫のようなものと化している。

ちなみに再開のめどはたっていない。

こんなところに来たのはあるものを探すためだ。

しかしここは地味に広い上に散らかっている、ここを一人で探すのは骨が折れそうだと思っていると

「よう、提督」と突然後ろから声をかけられた。

振り返るとそこには、雷と高雄と伊19が

 

レ級「提督おひさー」

リ級「着替え取りに来たんだけど」

カ級「すみません、お手数かけます」

 

ではなくこの前一緒にM鎮守府に行ったレ級とリ級とカ級が立っていた。艦娘のコスプレをした状態で。

どうやらあの後すぐに着替えを忘れてしまったことに気が付いたらしい。

それはそうと、

 

「レ級、なんで体だけこっち向いて首は後ろ向きなんだ?」

レ級「ちょっと寝違えちまってな」

「そう・・・(寝違えたというかへし曲がってるというか」」

リ級『空母棲姫さんに首の骨折られたなんて言えない・・・』

レ級「それはそうとしてこの前くれたヨーカン、あれすっごくおいしかったぞ!仲間もみんな大喜びだったぞ」

「結構広範囲に広がってたらしいな、そこら辺の敵がみんなキラキラしてたぞ」

リ級「提督お前さー、ひどいよー」

「えっ、何、羊羹嫌いだったのか?」

リ級「何だよ14万って、空母棲姫様カンカンだったぞ」

「この前家に来たよ。でも別にいいじゃないか、みんな喜んでただろ?」

カ級「提督さん、気持ちはうれしいけど少しやりすぎ」

「14万?うーん手ごろだねぇ」

カ級「この人あたまおか」リ級「シッ!」

レ級「ところで提督はこんなところでなにしてんだ?」

 

俺は3人にこれまでのいきさつを話した。

 

レ級「そういうことなら僕たちも手伝うよ」

リ級「ほっぽさんのためならね」

カ級「じゃあまずは着替えないと」

「着替えるのちょっと止まった!」

 

早速着替えようとする3人を俺は慌てて止めた。

 

リ級「え、こっちの方がよかったのか?だったらこのままの恰好でもいいけど」

カ級「私はちょっとはずかしいかも・・・」

「そういうことじゃなくて、他の艦娘達も歩いてたりするから」

リ級「あーそういうことか」

 

今の時間は昼を少し過ぎたところ、まだ勤務時間だ。

こんなところに艦娘が来るとは思えないが、万が一ということもある。

深海棲艦と一緒にいるところを見られたりするのはまずいのだ。

更に言うと深海棲艦に上陸を許している時点でまずいのだ、今更すぎだが。

それから俺たちはあるもの求めて酒保の中を探し回った、そしてその時は突然やってきた。

 

「あら、提督こんなところでなにをなさっているんですか?」

「うえっ、た、高雄!?どうしてここに!?」

 

なんと本物の高雄がやってきてしまった。

他の艦娘ならごまかしようもあったのだが、会合の予定もないのに別の高雄がこんなところにいるのはどう考えても不自然だ。

高雄の声を聴いた三人は察してくれたらしく物陰に身を潜めている。

 

高雄「外を歩いてましたら提督の姿が見えたものですから」

「あ、ああ、ちょっと探し物をな」

高雄「よろしければお手伝いしましょうか」

「いや、俺一人で十分だから」

高雄「そうですか・・・」

 

とこのまま引き下がってくれればよかったのだが、後で隠れていたカ級がうっかり棚にふれてしまいそのはずみで物が落ちてしまい大きな音を立ててしまった。

当然のごとくそちらに振り替える高雄。

 

高雄「!!何今の音は!!」

「え、ああ、俺があちこち出しっぱなしにしてたから何か落ちたんじゃあないのか?」

高雄「そうなんですか?でも一応様子を見てきますね」

「なんでもないんじゃないのか?」

 

そう言いながら俺が止めるのも聞かずにカ級の隠れている方へと足を進めていく。

今カ級のいるところは近くに隠れる場所がないので動きようがない、今近づかれると確実に見つかってしまう!

絶体絶命の大ピンチというところに

 

愛宕「高雄~?どこ行ったの~?」

高雄「いけない、愛宕おいてきちゃった」

「そ、そうなのか?早く行ったほうがいいぞ、ここは俺がかたずけておくから」

高雄「すみません提督、後はよろしくお願いします」

 

そう言い残すと高雄は今度こそ酒保から出て行ってくれた。

高雄と愛宕が遠くの方へ行くのを見届けてから、ようやくホッと一息つくことができた。

 

「カ級だいじょうぶか?」

カ級「うえ~~もうダメかと思った~~」

 

へなへなと座り込むカ級。

 

リ級「今度ばかりはおしまいかと思ったよ」

レ級「じゃあミサイルでもうちこんでやるか」

リ級「レ級さん、根本的な解決になってないですよ!」

 

ひと波乱あった後あるもの探しを再開した俺達は埃まみれになりながらも酒保中をひっくりかえすこと一時間、ようやくお目当てのものを探し当てることに成功した。

これならきっと北方棲姫も喜んでくれることだろう。とここでレ級が

 

レ級「そういやプレゼントってさ、さんたとかいうやつが渡すことになってるんだろ?」

「それはそうだけど・・・」

 

プレゼントに関しては港湾棲鬼から北方棲姫に渡すつもりでいた。

実際本物のサンタから渡せれれば北方棲姫ももっと喜んでくれるとは思うけど

 

「サンタなんて本当にいるわけじゃ・・・」

レ級「それなら僕に心当たりがある」

リ級「ええっ!?レ級さんサンタと知り合いなんですか!?」

レ級「知らん!だがサンタの知り合いならいる!」

カ級「どういうことなの・・・・?」

 

どうもレ級の言っていることがよくわからない。

しかしレ級のことだから、きっと北方棲姫を喜ばせる何かサプライズ的なことを考えているのだろう。

そう思った俺はレ級にプレゼントを託すことにした。

 

レ級「早速サンタ人を征伐しに出かけるぞ、後に続け!」

カ級「サンタ人!?」

リ級「やめてください(サンタが)死んでしまいます」

 

託すといった直後に急に不安になってきた。もしかしたら俺は判断を誤ったのかもしれない。

とりあえずプレゼントの件はレ級たちに任せて、次はケーキとご馳走を用意することに。

・・・・・また着替え忘れて行ってる。

 

 

しばらくして港湾棲鬼と飛行場姫が合流し、いつもの執務室キッチンで調理を始めることになった。

早速調理を始める前に俺は気になることを聞いてみた。

 

「ところで一体何をやってたんだ?年末の作戦についてか?」

飛行「心配するな、こっちはめどがついたから大丈夫大丈夫」

「めどって何だよ」

飛行「本人が来てくれることになったから、どうぞー」

「本人?」

 

飛行場姫にうながされ見たことのない人物が執務室に入ってきた。

深海棲艦であることは間違いないのだろうが、なんとなく村雨に似ているような気がする。

 

?「アナタガ噂ノ提督ナンダア~、フ~ン、ナンダカ冴エナイワネ」

「あ、どうもこんにちは、えっとこの人は誰?」

飛行「聞いておどろけ、この子はE1戦力ゲージボスの深海雨雲姫ちゃんだ!」

「えーーー!!」

 

この前中枢棲姫が来たのでもう驚かないだろうと思っていたが、この時ばかりは盛大に驚いてしまった。

大本営もまだ把握していない新種の深海棲艦がウチにやってきてしまった。

 

「え、ちょっと、こんなことしていいのか!?」

雨雲「まあクリスマス近いし、ほっぽちゃんのためなら、多少はね。」

「いくらほっぽちゃんのためだからってここまでとは」

飛行「なんだよー、もうしょうがないなあ、それじゃあもう一人つけましょう!」

「なにがそれじゃあなのかわからないんだけど」

 

さらにもう一人新しい深海棲艦が入ってきた。

 

飛行「じゃあ自己紹介をどうぞ」

?「フザケルナ!私ヲコケニスルノモイイカゲンニシロ!」

「メチャクチャ怒ってるぞ、無理やり連れてきたんじゃないのか!?」

飛行「キレてる割には丁寧にドア開けて入ってきてるんだよなあ」

 

と俺達が普通に喋っているのを見た深海棲艦の怒りはさらに膨れ上がり

 

?「キサマ~人間ナドト仲良シオッテ深海棲艦ノ恥晒シメガ!マトメテ葬リ去ッテクレルワ!」

 

その深海棲艦はこちらが身構える前に襲い掛かってきた!

 

「この~どりゃ~ちくしょうめ~~」

 

しかし飛行場棲姫に頭を押さえつけられ、拳をブンブンと振り回すも全然届いていない。

しだいに息も切れ初め

 

「はあ、はあ、はあ、よっしゃ今日はこのくらいにしといたるけえ、ははははは・・・(´Д⊂グスン」

「泣くなよ!」

 

落ち着いたところで飛行場姫に事情を聴いてみた。

 

「こちらは一体どちら様で?」

飛行「今回のラスボス深海日棲姫ちゃんだ!」

「ちょっとネタバレがすぎるんじゃないのか」

 

俺は改めて彼女の様子を見てみた。

手は骨っぽく、顔はなんだかのっぺりしていて、なんというか全体的に禍々しい。

これまでの深海棲艦とちがってかなり不気味な見た目だなと思っていると

 

飛行「大丈夫だ!こう見えて結構かわいいやつだからナ!」

「かわいい?どこが?」

飛行「それはな」

 

そう言うと飛行場姫はそいつの腕を引っ張り始めた

 

日「あ、こら、なにをする!やめるのじゃ~」

 

するとそいつの腕がもげてしまった!

 

飛行「これマジックハンドだから」

「え、なにそれは」

飛行「それから、この顔は・・」

日「うわっ、ぷっ、ぺっ」

 

今度は顔をゴシゴシとタオルでこすり始めた。するとそこには

 

日「あああ~子供たちの夢が~」

雨雲「あなた何言ってるのよ」

 

かわいらしい美少女が目の前に現れた。

 

飛行「特殊メイクだ!」

日「うう~5時間もかかったのに~」

「えっそうなの?なんかそんなにかかってるようには見えなかったんだけど?」

雨雲「うそおっしゃい!白く塗ってただけで本当は20分もかかってないじゃない。しかも戦艦棲鬼の化粧品勝手に使ってたでしょう。あの人カンカンだったわよ」

日「ひいいいいいいい!ワンコ助けてくれ~」

港湾「え、わ、私・・・?」

 

追い詰められた深海日棲姫は港湾棲鬼に助けを求めた。

急に振られて港湾棲鬼も困惑気味だ。

 

飛行「大丈夫だって、安心しろよ~。それもひっくるめて提督が何とかしてくれるさ」

日「なに!?それは本当か!?本当にお主が何とかしてくれるのかえ!?」

 

なんでこっちに振るんだ?と聞く暇も与えず日棲姫がこちらに迫ってきた。

しかしこんなに必死な目で訴えられては無理だとは答えられず

 

「ああ、まあ何とかしてみようか」

日「好きーーーーーーーーーー!!」

「何か告白されたんだけどどうしたらいい?」

雨雲「ロリコン、派手にやるじゃないの」

飛行「どうだ?憲兵に知らせてやろうか?」

「やめてください、ぼくはただ」

 

それにしても化粧品か・・・酒保をさぐってみれば何とかなるか。

ここは女性ばかりだから探せばあるだろう、最悪Amazonでポチるか。

 

「それで、この人たちを呼んだのはどういうことなんだ?」

飛行「いっそのことここまで来てくれた方がさー、オマエもわざわざ行く手間省けるだろ?一緒にクリスマスパーティーもできて一石二鳥だろ?」

雨雲「なるほど、合理的ね」

「どこが!?」

日「我はまだやるだとは言っておらんぞ」

飛行「オマエここまできてまだそんなこと言ってんのか?」

 

ここへきてまさかの内紛勃発か!?辺りが緊張感に包まれた!と思っていたら、

 

飛行「どうですお客さん?可愛い顔してる割には、結構ハードなことやりますよコイツは。服とかどうです?この紅白の衣装なかなかのもんでしょ?」

雨雲「お、お客さん!?私たちに言ってんの?」

「さあ・・?」

日「別にくりすますとやらに合わせたわけじゃ」

飛行「なぁ何が出来るんだよお前はぁ!」

日「え、いや急にそんなこと言われても・・・」

 

さしもの深海日棲姫も飛行場棲姫の勢いにたじたじだ。

 

飛行「この可愛い顔にシャンパンぶっかけたり、ケーキ食べさせたりして、楽しんでみませんかぁ?」

「100万でぇ、決まりだぁ!さあ、顔向けろ!ほうら、このピチピチした口に!ご馳走ぶち込んで楽しんでやってくださいよ!」

「さぁ、歩け!オラ!」

日「い、いや、やめて・・・」

港湾「ひーこ落ち着いて」

飛行「バガガガガガガ・・・・・グフッ」

 

暴走した飛行場棲姫は港湾棲姫にチョークスリーパーを食らって失神した。

 

港湾「お騒がせしました」

雨雲「え、ええ・・・」(ドン引き)

日『ガタガタガタガタ』

港湾「提督さん、早く料理つくろう。クリスマスが終わっちゃう」

「お、おうそうだな。それじゃ料理を始めるとするか!」

飛行「おー」

「はやい!もう復活したのか」

 

港湾棲姫、飛行場姫と新たに深海雨雲姫と深海日棲姫の二人を加えここから5人体制でケーキとご馳走を作ることになった。

はたしてどうなることやら。




正月3が日スペシャル連続投稿延長版です。
作中ではまだ把握してない深海棲艦となっていましたが、書き始めたのが二年前で、投稿したのが今日だったのでかなりズレが生じています。
でもおかげでオークション男をネタにすることができました。
この後は全く書いていないので、連続投稿はこれが最後です。
次はできるだけ早くといいたいところですが、イベントもクリアしないといけないので、どうなるかわかりません。
皆さん言われているように、まさしく今回は(も?)運ゲーだと思います。

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