深海棲艦と遊ぼう   作:真・鬼才太郎

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艦娘交流期 その4

今日は珍しく朝潮が手伝いに来てくれた。
お礼を言うとまた塩対応されるんだろうなーと思いつつ、ありがとうと言うと「いえ、提督が例えどんな人であろうとも、真摯にお仕えするのが艦娘の役目です!」と真面目な顔で言われた。
全然うれしくなかった。
そんな朝潮は17時になると、とっとと帰っていった。

終わり


重巡リ級とコスプレ その1

一体どうすればいいんだ・・・、俺はいつものベンチで苦悩していた。

 

話は数時間前に戻る。

 

 

 

いつものように艦娘に遠征の指示を出して、デイリー任務も終わらせ、あとは適当に執務をこなして終わりかと思いきや重大なことに気がづいた。

 

「ああああああ!今日は他所の提督と打合せがあるの忘れてたああああああ!」

 

今日の会談には秘書官を連れて行かないといけないというのに、頼むのを忘れてしまうという愚行を犯してしまった。

 

前にも言ったと思うが、俺がこの鎮守府に来てから大勢の艦娘が出て行ってしまい、少しでも艦娘をとどまらせるために彼女達には最大限の配慮をしてきたつもりだ。

 

ブラック鎮守府がはびこるこの昨今、週休二日、有給休暇あり、勤務時間は午前8時から午後17時まで、残業は無しと極力ホワイトな鎮守府を心掛けてきた。

 

こういう時はもっと早くに頼んでおけばよかったのだが忘れていたために、彼女達にとっては予定外の残業になることは間違いない。

 

ただでさえ低い好感度をこれ以上下げるわけにはいかないので彼女等に残業なんかさせるわけにはいかない、それが俺のミスのせいならなおさらだ。

 

しかし今回ばかりは背に腹は代えられない、こうなったら嫌われるのを覚悟のうえで残業を頼むしかない。

 

普段から好き好んで俺の秘書官をやろうなんて奴はいないので頼みにくいったらありゃしない。

 

というわけで俺は高雄、愛宕の部屋の前までやってきた。

 

高雄達なら(この鎮守府内では)比較的やさしいので多少の無茶なお願いも聞いてくれるだろうと思い、いざ彼女等の部屋に入ろうとした時部屋の中から話し声が聞こえてきた。

 

高雄「ねぇ愛宕、私の恰好変じゃないかな?」

 

愛宕「そんなことないわよ、似合ってるわよ。△□提督もきっと喜んでくれるわよ」

 

高雄「あー、ものすごく緊張してきたわ~」

 

愛宕「今からそんな調子だと先が思いやられるわねぇ。こうなったら私一人で行こうかしら?」

 

高雄「ダメよ!抜け駆けは許さないわよ!」

 

愛宕「ふふっ、冗談よ」

 

高雄「まったく・・・」

 

どうやら仕事終わりでよその提督とデートに行く約束をしていたようだ。

 

楽しみにしていたデートをぶち壊しにしてまで仕事を頼む勇気は俺にはなく、そっとその場を立ち去った。

 

そして冒頭に戻る。

 

 

 

「どうすりゃいいんだ、もう打つ手がない・・・。」

 

ここでこうしていても何も解決しないとわかってはいても、どうしていいかわからない。

 

と、海の向こうから何かが、深海棲艦が近づいてくるのが見えた。

 

たいして驚かない当たり感覚がマヒしてるんだろうな、きっと。

 

あ~いっそのことこのまま殺してくれないかな~などとアホなことを考えている間にそいつは俺の目の前までやってきた。

 

「ヨウ提督!、久シブリ」

 

と気さくに話しかけてきたのは、重巡リ級だった。

 

「おう、この前のお菓子は気にいってくれたか?」

 

リ級「アア、トッテモオイシカッタヨ、アリガトウナ」

 

そういってニッコリ笑うリ級の笑顔につられてこっちも笑顔になってしまう。

 

落ち込んでいた俺の心が少しだけ癒された。

 

リ級「今日ハコレヲ返シニ来タンダ」

 

そういって渡したのはこの前お菓子を入れていたタッパだった。

 

「これをわざわざ届けに来てくれたのか?」

 

リ級「エット、ソレデ、コンナコト言ウノモアレナンダガ、モシヨカッタラ、マタ来テモイイカナンテ・・・」

 

リ級はなんだか言いにくそうにその言葉を絞り出した。そんなリ級に向かって俺は、

 

「別にいいぞ」と言ってやった。

 

リ級「イイノカ!?私タチハソノ・・・」

 

「敵同士って言いたいんだろ?同じ釜の飯、いやお菓子?、を食ったんだからもう敵同士じゃないよ。いつでも歓迎するよ。」

 

リ級「アリガトウ!ミンナ喜ブト思ウゾ!」

 

ん?今なんて?

 

「みんなってどういうこと?」

 

リ級「前作ッテクレタオ菓子ガ大好評デナ、是非提督ニ会ッテミタイッテヤツガタクサンイルンダヨ」

 

「え、なにそれは・・・」

 

リ級からとんでもない発言が飛び出した。

 

もしかしたら取り返しのつかないことになっているのかも。

 

「来るのはいいけど艦娘には気づかれないようにしろよ?」

 

リ級「エ?奴ラハコノコト知ラナイノカ?」

 

「こんなこと言えるわけないだろう!?」

 

深海棲艦と仲良くしてるなんてことが艦娘に伝わって、それが大本営に知られた日には何が起こるかわからない。

 

俺はさっきの発言が軽はずみだったかもしれないと若干後悔した。

 

リ級「トコロデサア、遠クカラ見テタンダケド、何ヲソンナニ落チ込ンデイタンダ?」

 

リ級の言葉で俺は肝心なことを思い出した、そうだったのんきに話なんかしてる場合じゃなかったんだ。

 

コイツに話したところでどうにかなるとは思わないけどとりあえず事情を話してみることにした。

 

「実は・・・」

 

 

提督説明中

 

 

リ級「ソウカー、オ前モ大変ナンダナ」

 

「ああ」

 

俺の横に座っているリ級が同情の目で俺を見る。

 

どうにもならないことは分かっていたけど、こうして話を聞いてくれる奴がいるだけでもうれしかった。

 

「そういうことだから、来てくれたばかりで悪いんだけど今日はこの辺で・・・」

 

こうなったら休暇中の奴に声をかけてみるか、と思っていたら

 

「僕ニイイ考エガアルゾ」

 

リ級ではない別の声がした。

 

「ヤア提督!ハジメマシテ!」

 

白い肌に黒いフードをかぶった少女、レ級が目の前に現れた。

 

リ級「レ級サン、来テタンデスカ!」

 

レ級「リ級ガ一人デ提督ノ所ヘイッタッテ聞イテ追ッカケテキタンダ、ナンカオイシイモノ食ベラレルカナト思ッテ」

 

リ級「マタ泊地棲姫サンニ留守頼ンダンデスカ」

 

レ級「アイツハ逮捕サレタ」

 

「は?逮捕?なんで?」

 

 

5-5

 

憲兵1「警察だ!(インパルス板倉)」

 

泊地「ハ?」

 

 

逮捕状

罪状 無断で通常海域に出場した

罰  島流し(アーケード)

 

 

憲兵1「じゃあ署までつ、連れていきます。」

 

泊地「何スンダオ前!流行ラセコラ!」

 

憲兵2「動くんじゃない! 押さえろ!」

 

泊地「流ラセコラ!流行ラセコノ!ムーミン野郎!(人違い)放セコラ!」

 

挑戦者が現れました

 

泊地「何ダオ前!?」

 

憲兵3「3人に勝てるわけないだろ!」

 

泊地「バカ野郎オ前俺ハ勝ツゾオ前!オ前ラニュートリノダカラナオ前!ドケオ前!コラ!」

 

憲兵1「あぁもう…!もう抵抗しても無駄だぞ!」

 

泊地「ヤメロォ(建前)ナイスゥ(本音)」

 

 

 

レ級「5-5ガ許可申請シナイトイケナカッタナンテ知ランカッタ」

 

リ級「ッテイウカ本来アソコニイチャイケナ人デショウガ!大丈夫ナンデスカ、泊地サン連レテイカレチャイマシタヨ!」

 

レ級「実ハサッキ泊地カラ連絡ガアッテ、コッチハ待遇ガイイカラシバラクコッチデ働クコトニスル、ダソウダ」

 

リ級「マア本人ガイイナラソレデイイデスケド・・・」

 

レ級「モウスグイベントガ終ワリソウダカラ、マタ戻ッテ来ルッテ」

 

「深海勢もいろいろ大変なんだな」

 

 

深海棲艦の妙にリアル(?)な一面を知ってしまった。

 

「ところでさっきのいい考えっていうのは何なんだ?」

 

と俺がレ級に尋ねると、レ級は2着の服を取り出した。

 

「これは高雄と、雷の服?」

 

俺はレ級の考えている作戦がすぐに分かってしまった。

 

レ級「ソウ、僕タチガ艦娘ニ変装シテ提督ノ秘書官二ナルンダ!」

 

「マズイですよ!いくらなんでもそれは、絶対にばれるって!」

 

リ級「アノ、僕タチッテ私モヤルンデスカ・・・?」

 

レ級「アタリマエダヨナア」

 

「この服は一体どこから持ってきたんだよ」

 

レ級「ドロップ艦カラ剥イデ来タ」

 

リ級「ファッ!?ナンテコトヲ・・・」

 

レ級「大丈夫ダ、中身ハ新人提督ノ所ニ送ッテオイタカラ元気デヤッテルハズダ、多分」

 

「100歩譲って格好は何とかなるとして、声はどうするんだよ」

 

レ級「ア、それなら問題ないよ」

 

「えっ、お前らはまともに喋れたのか!?」

 

突如レ級が普通にしゃべりだしたのでびっくりしてしまった。

 

レ級「んーとね、中枢棲姫がね、片言で喋ったほうが未知の生物っぽくてカッコイイからって」

 

「すごい理由だな」

 

リ級「まさかこんな形で発覚するとは思わなかったよ」

 

レ級「それでどうするんだ、提督?」

 

 

やることが無茶苦茶だなあ、とは思いつつも俺のためにここまでしてくれることがうれしかった。

 

どのみち秘書官無しで行ったら、艦娘に慕われていない無能指揮官とバカにされるのがオチだ。

 

ここはレ級の作戦にのっかってってみることにする。

 

「分かった、レ級、お前にまかせるよ」

 

レ級「よーし、作戦開始だー!」

 

リ級「大丈夫かなあ・・・」

 

 

少女着替え中

 

 

改めて着替え終わったレ級とリ級を見てみる。リ級が高雄の服を、レ級が雷の服を着ている。

 

「うーん、やっぱり無理があるような気がするんだがなあ」

 

レ級「そうか?」

 

リ級は顔をマスクでごまかせばギリギリ行けそうな感じはしないでもないが、レ級に至ってはまんまレ級が雷の服を着ているだけにしか見えない.

 

「レ級はお留守番ということに」と俺が言うと

 

レ級「やだやだやだやだ!僕も陸地に行きたい~~!」などと駄々をこねてしまった。

 

リ級「レ級さんそっちが本音だったんじゃ」

 

レ級「うっさい!」

 

発案者のレ級をこのまま置いていくのもさすがにかわいそうなので、

 

「個性ってことにしとくか」

 

リ級「それは無理があるんじゃないのか?」

 

そんなリ級に俺はレ級の前髪を指してこう言った。

 

「ほら、ここの部分雷の前髪にそっくりだろ」

 

リ級「ん~確かに似てるっちゃ似てるけど、よく見ないとわからないな~」

 

「あとヘアピンの部分とか」

 

リ級「だからよく見ないとわからないってば」

 

「しょうがないだろ、ここぐらいしか共通点ないんだから」

 

レ級「よーし!今日から僕は雷だー!ガンガン行くわよ!ついてらっしゃい!」

 

それは霞だ。急に不安になってきたので、

 

 

「出発までまだ時間があるから、今のうちに予習しておこう」

 

「「予習?」」

 

「そうだよ、このまま行ったんじゃ少し話しただけで偽物だとバレる恐れがあるからな」

 

レ級「ふーん、で何をすればいいんだ?」

 

「まずは自己紹介から始めてみようか。おれが向こうの提督の役をやるからそれに対して返してみてくれ」

 

レ級「うん、わかったやってみる!」

 

 

鎮守府に到着した、向こうの提督さんにあいさつしないといけない

 

リ級「えーと、私は高雄といいます、本日はお日柄もよく・・・」

 

「いや結婚式に行くんじゃないから」

 

レ級「結婚?リ級結婚するのか?」

 

リ級「はああああああああああああああ!?意味わかんないんですけど!?」

 

レ級「おう、どうしたホモの兄ちゃん」

 

リ級「ホモでも兄ちゃんでもありません!」

 

レ級「結婚は否定しないんだ」

 

リ級「ぶちますよ!!」

 

「ええっと、じゃあ次はレ級行ってみようか」

 

 

レ級「やっほー、おはこんちゃー、僕は雷だよ、今日はよろしくね!」

 

「今度は馴れ馴れしすぎだ!、なんだよおはこんちゃーって」

 

レ級「おはよう、こんにちは、こんばんは、の3つのあいさつを組み合わせた便利なモノだ!」

 

リ級「レ級さん、今から行ったんじゃ夕方ごろになるからこんばんはとおはようはいらないですよ」

 

レ級「あ、そっかぁ」

 

「そういう問題じゃないよ、っていうか二人とも自分の名前はきちんと名乗らないといけないな」

 

「「名前?」」

 

レ級「雷じゃだめなのか?「土井義春です」とか言ったほうがいいのか?」

 

「全然違うじゃねえか!土井義春のどこに雷の要素があるんだよ!」

 

リ級「私は高雄・D・ベルモンドと申すものでございます!」

 

「外国の名前にしろってわけじゃねえよ!、吸血鬼でも退治しに行くのかよ!」

 

レ級「Dってなんだ?」

 

リ級「土井義春」

 

「土井義春から離れろよ!そうじゃなくて、雷だったら「暁型3番艦雷」とかそういうことだよ」

 

レ級「幼女型駆逐艦2年4組雷波子です、今日はよろしくお願いします!」

 

「別に学校に行ってるわけじゃないから、幼女型ってなんだよ」

 

レ級「確かこんな感じだったと思うんだけど(うろ覚え)」

 

リ級「高雄型1番艦重巡洋艦 高雄です、今日はよろしくお願いします」

 

「そうだよ、そんな感じだ」

 

レ級「えーと、『暁型』暁型2番『3番』、3番艦いか『駆逐艦』駆逐艦雷だ、ですわよ」

 

「う~ん少し不安だなあ、もう少し練習してみるか」

 

?「伊号第十九潜水艦19だよ、イクって呼んでほしいなの!」

 

なんか別の方向から声がした、気が付くと二人の横にスク水を着た黒髪でツインテールの女性が立っていた。

 

リ級「カ級いつの間に!?」

 

カ級「海底からずっと見てた、何か面白そうなことやってたから私も混ぜてくれないかなって」

 

声の正体は潜水艦のカ級だった。

 

「もしかして、一緒に地上にいきたいってこと?」

 

俺の問いかけにカ級はコクンとうなずいた。

 

 

普段は上半身だけしか上に出していないので全身を見るのはこれが初めてだ。

 

「普段からそんなスク水着てるのか?」

 

カ級「この日のために用意した、あと髪型も似せてみた」

 

水着のところに19と書いてあるが・・・

 

「19のつもりなんだろうけど、どう考えても無理だって!」

 

カ級「胸は私の方が大きい!」

 

「知らないよ、肌の色も髪の色も違うだろ!」

 

レ級「だったら新種の潜水艦ってことにすればいいんじゃない?」

 

リ級「肌の白い潜水艦もいることですしねぇ、ユーキャン?だったかな」

 

「それはゆーちゃんだよ、っていうか新種の潜水艦なんかいたら大本営に連れていかれるぞ」

 

カ級「はーいカク、掻くのー(ポリポリ)」

 

「尻を掻くな!19がそんなこと言うわけないだろ!いいかげんにしろ!」

 

カ級「水中からよく見てるけどしょっちゅうかいてたよ、水着の中に指を突っ込んでこう」

 

「そんなこと聞きたくなかった!」

 

カ級「かいーのー」

 

「古い!」

 

レ級「人間外見よりも中身だぞ」

 

「そういう問題じゃないだろ、完全に別人だからね!」

 

リ級「ま、まあとりあえずテストしてみればいいんじゃないかな?」

 

「しょうがねぇなぁ(孫悟空)、じゃあ次は正体がばれたときの対処をやってみようか」

 

 

「おまえリ級だろ!」

 

リ級「ち、違いますよ、あなた何を言ってるんでございますか!私は重巡高雄ですわよ」

 

「お前みたいな艦娘がいるわけないだろ!逮捕だ!」

 

リ級「いやちょっと待てくださいよ~、ここはこれで何とか穏便に・・・」

 

とリ級が俺の手に何かを握らせてきた。

 

「え、なにこれは、ハマグリ?もしかして賄賂のつもりなのか?」

 

リ級「酒蒸しにするとうまいぞ」

 

「お前は漁師か!普通はお金だろ」

 

リ級「だってお金なんか持ってないもん、それに人間はこれが大好物なんだろ?」

 

「いや、好きな人もいるにはいるけど」

 

カ級「リ級ちゃん、これバカガイだよ」

 

リ級「見つからなかったんだよ、マグロにすればよかったのかな?」

 

「それマグロの方が難しいだろ絶対」

 

レ級「わかった!マグロで殴って気絶させればいいんだ、そしてその間に逃げると」

 

「やめてください死んでしまいます。種類の問題じゃないよ、とにかく賄賂はだめです」

 

 

レ級「それじゃあ、僕がやってみるね」

 

「よーし、それじゃあいくぞ、お前レ級だろ!」

 

レ級「なんぼのもんじゃい!」

 

「いや、お前レ級だ」

 

レ級「なんぼのもんじゃい!」

 

「いや、だから」

 

レ級「なんぼのもんじゃい!!」

 

「あの」

 

レ級「なんぼのもんじゃい!!!」

 

「わかりましたよ、こちらへどうぞ」

 

リ級「ひどいゴリ押しだなあ、っていうかごり押しでなんとかなるものなの?」

 

「だって戦艦レ級にこうやって迫られたらうなずかざるを得ないよ、怖いんだもん」

 

カ級「それって脅迫っていうんじゃ・・・」

 

レ級「なんぼのもんじゃい!」

 

「いやそれはもういいから」

 

リ級「カ級ちゃん行け!」

 

 

 

「おまえカ級だろ!」

 

カ級「違います!私深海棲艦なんかじゃありません!」

 

「嘘つけ!お前どっからどう見ても深海棲艦じゃないか!捕まえてやる!」

 

「ねぇ、お願い見逃して」(スク水の肩紐を外しつつ)

 

「合格!」

 

思わず叫んでしまった、童貞であるが故の悲しき性か。

 

リ級「は?」

 

レ級「ふざけんな、公平じゃない!」

 

「いや、今のは不可抗力というか、ほんのついで」

 

レ級「あーもうあったまきた!こうなったら身ぐるみ剥いでやる!」

 

いうが早いがレ級はカ級、ではなくたまたま遊びに来ていた軽巡棲鬼に襲い掛かった。

 

軽「キャーッ!なになに、一体なんなのよ!」

 

レ級「なんぼのもんじゃい!」

 

軽「イミワカンナイ!」

 

「軽巡棲鬼来てたのか?」

 

リ級「デイリー達成ですね」

 

軽「のんきなこと言ってないで助けなさいよ!」

 

仕方がないので俺とリ級とカ級の3人でレ級を引きはがしにかかる。リ級がレ級を引っぱり、リ級をカ級が引っぱり、カ級を俺が引っぱり

 

3人「うんとこしょ、どっこいしょ」

 

レ級「それでもレ級は抜けません。」

 

軽「アンタが言うな!」

 

レ級「いいの、別の意味で抜くから」

 

軽「ふざけんな、ヤメロバカ!」

 

3人がかりだというのにレ級はびくともしなかった。

 

リ級「さすがレ級さん、何ともないですね」

 

「感心してる場合か!」

 

どうしたものやらと悩んでいると

 

??「やっぱりここにいたな」

 

レ級「いででででででで!!」

 

何者かがレ級の耳を引っ張って、無理矢理軽巡棲鬼から引きはがした。

 

レ級「ゲェーーッ!中枢棲姫!」

 

なんと深海棲艦のボスがうちの鎮守府に来てしまった、いくら深海棲艦に慣れているとはいえこれにはびっくりだ。

 

中枢「なにがゲェーよ!あんた資材調達さぼってこんなところで油売ってんじゃないわよ!」

 

レ級「だって、リ級が抜け駆けするんだもん!」

 

リ級「レ級さん何言ってんですか!やめてくださいよ本当に!」

 

中枢「リ級ちゃんのせいにするんじゃありません!」

 

レ級「いだだだだだ!お姉さん許して!レ級壊れちゃーう↑」

 

カ級「オロオロオロ」

 

軽「そのくらいにしときなさいよ、提督が困ってるじゃないのよ」

 

軽巡棲鬼の一言により我に返る中枢棲姫、するとこっちを向いて

 

中枢「あ、あらごめんなさいね、みっともないところを見せちゃって」

 

「あ、ああ、本当に普通に喋れるんだな」

 

急に話しかけられたのでびっくりしてしまった。

 

中枢「うぇっ!?、い、いや、ハジメマシテ提督ワタシノ名ハ中枢棲姫」

 

あわてて宇宙人喋りに直す、まだ続けるつもりなのか。

 

レ級「もう遅いって」

 

リ級「レ級さんがバラしちゃいました」

 

中枢「あんた何勝手なことしてんのよ!?」

 

レ級「中枢棲姫のお遊びに付き合うの今日までーーー!」

 

中枢「これは遊びじゃない!世界を恐怖のズンドコに陥れるための・・・」

 

カ級「それを言うならズンドコじゃなくてどん底」

 

中枢「どっちでもかわんねーんだよぉ!!」

 

レ級「中枢棲姫、何をそんなにカリカリしているんだ?」

 

中枢「カリカリするに決まってんだろーが!てんめーのせいにくぅいまってんだルルォン!?」

 

軽「アンタキャラ変わってるわよ、少しは落ち着いたら?」

 

中枢「はい、すごく落ち着きました。どうもすいませんでした」

 

「なんで軽巡棲鬼の言うことには従順なんだよ」

 

中枢「ナカノちゃんは私の薬箱」

 

軽「ちょっと何言ってるのか分からないわね」

 

カ級「この人頭おか・・・」

 

リ級「シーッ!」

 

収拾がつかなくなってきたので中枢棲姫に質問することにした

 

「ところでどうしてここに?」

 

中枢「あ、そうだった、レ級に説教しに来たのよ!」

 

レ級「そんなことのためにわざわざ!?」

 

中枢「しかも艦娘のコスプレまでして!ふざけてるの!?」

 

リ級「え、いや、その、これは」

 

レ級「雷に見えないかな?」

 

軽「どう見てもレ級にしか見えないわよ、リ級はギリいけるかってとこかな」

 

中枢「そうわよ(便乗)」

 

「やっぱりな(レ)」

 

カ級「あ、あの、私は・・・?」

 

中枢「あなたなんだかヤラシイわよ、新手のプレイか何か?」

 

カ級「ガーン」

 

??「ここにいたわね」

 

中枢「いででででででで!」

 

中枢棲姫が何者かに耳を引っ張られている、またしても新たな深海棲艦がやってきたというのか。

 

空母棲姫「仕事サボって何やってるのよ!」

 

中枢「ち、違うのよ、私はレ級に説教を・・・」

 

今度は空母棲姫がやってきてしまった、もうこの海域でイベントが起きているのかっていうくらい姫級が来ている。

 

空母「サボる口実作りたかっただけでしょ、いいから早く来る!」

 

中枢「ひー」

 

怒涛の展開にあっけにとられていると、空母棲姫が俺に話しかけてきた。

 

空母「初めまして、もう分かっていると思うけど私は空母棲姫よ。騒がしくしちゃてごめんなさいね。それとこの前はパンケーキ?だったっけ、ありがとうとってもおいしかったわ」

 

「いや、こっちも楽しかったし、いいよ気にしなくても」

 

空母「噂通りの優しそうな人で嬉しいわ、このお礼は必ずさせてもらうから。それじゃあまたね」

 

そういうと空母棲姫は中枢棲姫を引きずりながら帰っていった。

 

「ところで軽巡棲鬼は何しに来たんだ?」

 

軽「この前のお礼を言いにきつつ、あわよくばまたおいしいもの食べられたらいいなーって」

 

「残念だけど今日は無理だぞ?」

 

軽「大体の話はカ級から聞いたわ、面倒なことになってるみたいね」

 

カ級「ナカノちゃんも一緒に行かない?」

 

軽「私は遠慮しとくわ」

 

レ級「そうだねー、那珂ちゃん捕まえてる時間ないしねー」

 

軽「っていうかカ級はどうするのよ?どう見たって艦娘には見えないわよ」

 

カ級「リ級ちゃん、なんとかならない?」

 

リ級「うーん、カ級そっくりな艦娘っていったら、黒髪つながりで長門とか榛名とかかな?」

 

レ級「二人ともこの辺りはいないなあ」

 

軽「初雪ならどうかしら?」

 

カ級「胸がキツイから無理かも」

 

「あの、襲う前提で話進めるのやめてもらえませんか?」

 

カ級「なんて骨体!私の冒険はここで終わってしまうのか!?」

 

「だから古いって!まあ鎮守府に入るのは無理として、途中までならいいよ」

 

4人「「「途中?」」」

 

レ級「海から行くんじゃないのか?」

 

「海から行ったんじゃ艦娘のレーダーに引っ掛かって大騒ぎになるからな。今回は陸路で行くぞ、車もって来るからちょっと待ってろ」

 

軽「リ級、クルマって何?」

 

リ級「え、えーと私もよく分からないんですけど、地面の上を走る乗り物のことらしいですよ」

 

カ級「私もみたことない」

 

レ級「あ、なんかこっちに来たぞ」

 

4人とも初めて見る車に興味津々のようだ、俺はそんな4人のそばに車を止めた。

 

「おまたせ」

 

カ級「これがクルマ?」

 

「ああ、これに乗っていくんだ」

 

軽「へー、こうやって運転するのね」

 

軽巡棲鬼は運転席に乗って、あちこち弄り回している。

 

レ級「わははははは、止まれー、動けーww」

 

レ級が調子に乗って車の前ではしゃいでいる、嫌な予感が。

 

軽「あら?足元に何かスイッチみたいなのがあるわね」

 

「あ、それは・・・」

 

ドンッ!

 

レ級「ヴッ!」

 

 

 

「車の前に立つとあぶないぞ」

 

レ級「うん、そうだね」

 

軽「ごめんね、レ級」

 

レ級「お詫びにナカノちゃん食べていい?(性的な意味で)」

 

軽「じゃあ、死のうか(暗黒微笑)」

 

気を取り直して、今度は車の中に入ってみる。

 

カ級「おおー」

 

レ級「へー中は結構広いんだな」

 

レ級はあちこちベタベタ触りまくったり、キョロキョロしたりしている。

 

リ級「私の知ってる車ってもう少し小さかった様な気がするんだけど」

 

「ああ、それはな・・・」

 

今回俺が用意した車は、ハイエース6人乗りの車だったのだ。

 

いつか艦娘たちと一緒に出かけることがあればと思い、奮発して購入したのだが・・・。

 

リ級「結局一緒に乗ってくれる奴はだれもいなかったと」

 

「ああ」

 

買った当初はたくさん乗れる大きい車ということでこの車を選んだのだが、当時はこの車について回る負のイメージについて何も知らなかった。

 

漫画、アニメ、ドラマ、映画(などのフィクション)および現実でも幾度となく誘拐、拉致、強盗に使われてきたらしい。持ち主にとっては風評被害以外の何者でもないのだが。

 

当然好き好んでこの車に乗ろうとする艦娘は現れなかった、むしろこの車のせいで俺の好感度がさらに下がったような気がする。

 

深海棲艦である彼女らがそんなことを知るはずもなく、未知の大きな車に喜んでくれているみたいだった。

 

「さらにもっと広くなるぞ」

 

後部座席のシートを倒してやると、フラットな空間が現れた。

 

「これで寝転がることもできるってわけだ」

 

レ級「すっごーい、なにこれー」

 

レ級は広々空間が気に入ったのかゴロゴロして大はしゃぎしている。

 

レ級「たーのしー♪僕もうここで暮らすー」

 

リ級「それは無理ですよ」

 

軽「でも本当に居心地いいわね、ここ」

 

「まあ、車中泊なんてのもあるけど」

 

レ級「しゃちゅうはく?」

 

「車の中で寝泊まりすることだよ、」

 

レ級「そんなのあるの!?良さそう~試してみたーい!」

 

喋り方が某イギリス駆逐艦みたいになってるぞ。

 

「残念だが時間がないのでそれはまたの機会ということで」

 

レ級「ちえー」

 

作戦会議のはずが、中枢棲姫やら軽巡棲鬼が来てなんか色々大変なことになったせいでもう出発しないといけない時間になってしまった。

 

「さあ、出発するぞ」

 

席順は、リ級が助手席、カ級とレ級は後部座席の広々空間が気に入ったらしくまだゴロゴロしている。

 

車が動き出すと、後ろのカ級とレ級から歓声が上がった。

 

カ級「動いたーーーー!?」

 

レ級「すげーーーーー!!」

 

「そういやリ級はあんまり驚かないんだな」

 

リ級「まあ、騒ぐほどでもないかな」

 

そんなリ級を見てみると膝をカクカクさせていて、なんだか落ち着かない様子だった。なんだかんだでみんな喜んでくれているようでよかった。

 

ここまで来たら後には引けない、この先どうなることやら・・・。

 

軽「行ってらっしゃーい、お土産よろしくねー♪」




待っていた人がいるかどうかはあれですが、更新遅れてしまい申し訳ありません。
お詫びの意味も込めて今回も(無駄に長い)1万字超えです。
にもかかわらず、まだ鎮守府から出ていないという。
前中後編、では収まりきらないかもしれません。

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