深海棲艦と遊ぼう   作:真・鬼才太郎

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艦娘交流記 その5

今日鎮守府内を歩いていると、榛名に会った。
俺がここに着任してから3日くらいで出て行ったのに何してんのかなーと思い声をかけようとしたら
「あっ、忘れ物を取りに来ただけなんで大丈夫です!」
といってさっさと、逃げるように帰っていった

終わり


護衛独還姫と流しそうめん

時刻は午後12時ごろ、今俺はいつものように執務室で仕事をしている。もちろん一人で。

そろそろ昼食の時間だ。

これが普通の鎮守府ならば

 

「提督、そろそろ食堂に行きましょう!」

「さて、それじゃあ昼食の準備にとりかかりますね」

 

となるところであるが、ウチには食堂もご飯をつくってくれる秘書官も存在しないので全部自分で何とかしないといけない。

ふと、外に耳を傾けると艦娘達の話声が聞こえてきた。

 

「今日何にするー?」

「いいアスパラが入ったんだよねー」

 

以前にも言ったが、ここにはプロ顔負けの料理の腕を持った艦娘が多数存在している。

間宮がいなくなったことで食堂が閉まってしまい、艦娘全体の食生活に問題が生じるかと言えばそういうわけでもなく

仲のいい艦娘や姉妹艦同士で食堂を利用してめいめい料理を作って楽しんでいたりする。

俺との仲は全然よくないが、艦娘の仲は深まっているようだ。

それはともかくとして今日のお昼は何にしようか。う~ん、じめじめしていて持ちが悪い、考えがまとまらないなあ。

空気を入れ替えてリフレッシュするか、そう思い窓を開けた瞬間、鷹型の艦載機が部屋の中に飛び込んできた!

白い人、おそらく深海棲艦だろう、をつかんだままで。

 

「ちょっ、なんだなんだ!?」

 

窓を開けたおかげでガラスは割れずにすんだが、あっちへフラフラ、こっちへフラフラしばらくの間部屋の中を飛び回っていた。

が、やがて力尽きたのか本棚に激突した。

 

ドサドサドサッ!

 

大量の本が何冊も白い深海棲艦に降り注いだ。

いきなりの展開に言葉を失っていると、

 

?「うう~~~、痛たたたたたた」

 

本の山から声が聞こえてきた。

歯のような首輪に大きく前のはだけたシャツ、そして腰布。

目のすぐ上で揃えられた前髪で青い瞳で左の額から赤い角を生やしている。

そいつの正体は独還棲姫だった。

 

独「あなた誰?」

「いきなり人の家(?)に飛び込んできて第一声がそれかい」

独「はっ、その白い服、あなたはテイトクとかいうヒトですか?ということはここは・・・」

「まあ、鎮守府なんだけど」

独「ふぇえええ~、た、食べないでください!」

「食べないよ!」

独「そんなことよりなんとかしてー、暑くて死んじゃう~~」

 

ちょうどつけようと思っていたところだしいいかと思い、俺はエアコンのスイッチを入れた。

するとエアコンから冷たい風がふいてきた。しばらくすると部屋全体が涼しくなってきた。

そして冷蔵庫から麦茶を出し独還棲姫にコップに注いで出してやると、一気に飲み干した。

するとこちらを物欲しそうな目で見てきたので、もう一杯コップに注いでやるとまたもや一気に飲み干した。

ちなみに鷹型艦載機は、ビニールプール(家具コイン)で体を冷やしている。

 

独「ああ~気持ちいい~生き返るわ~ゴクゴク」

「それにしてもよくこんな遠くまでこれたなあ、ドイツからだっけ?」

独「二ホンっていうの?ここ、暑すぎて死ぬかと思った」

「ドイツと日本じゃ気温が全然違うからな。この炎天下に飛び回るなんて正気の沙汰とは思えないからなあ」

 

落ち着いたところで彼女に話を聞いてみると、艦載機に宙ぶらりん状態で空の散歩を楽しんでいたところ、居眠りしてしまい道に迷ってここまで飛んできてしまったらしい。

日本に着いたのはよかったが、こちらに知り合いがいるはずもなくあちこちさまよった挙句たまたまここにたどり着いたということだった。

 

「運がよかったな、他の鎮守府だったらどうなっていたか分からないぞ」

独「本当にね~~、あ~このムギチャ?っていうのおいしい~」

 

そう言うと独還棲鬼は3杯目の麦茶を飲みほした。

間髪入れずに4杯目もまた飲んだ、よほどのどが渇いていたのだろう。

 

独「ところであれは一体何?」

 

独還棲鬼が目にしたのは、この前家具コインで買ったばかりの流し素麺機だ。

艦娘と一緒に楽しく流し素麺を食べる、というわけではなく見た目の清涼感からつい手を出してしまった。

当然使用回数は0で、部屋のインテリアとして飾ってあるだけだ。

独還棲鬼に流し素麺について説明してやると

 

独「へー、変わった食べ方するのねー。水が流れてて見てるだけで涼しそうね」

「ちょうど昼飯時だし、食べていくか?」

独「流し素麺とか、あまり、好きじゃないけど、仕方ぁ、ナイネ!」

「え、素麺嫌いだった?」

独「いや、なんとなく言わないといけないような気がして・・・」

 

数分後、俺は茹で上がった素麺を手に流し素麺機の上に立った。

下の方では独還棲鬼がお箸と麺つゆを手に今か今かと待ち構えている。

 

「それじゃあ素麺を流すぞー」

独「いいよー」

 

俺の手から離れた素麺は流し素麺機の上を通って、独還棲姫の差し出した箸をすり抜け、下の器にボチャンと落ちた。

 

独「えー、キレイなのはいいけど早すぎてつかめないよー」

「それじゃあ、水の流れを少し弱くしてみるか」

 

今度は水の流れをさっきより弱くして素麺を流してやった。

すると今度は素麺をつかむことができ、さっき教えてやった通りに素麺を麺つゆにつけて口に運んだ。

 

独「んん~、冷たくておいしい~~!これならいくらでも食べられそうだよ」

「それじゃあ、どんどん流すぞー」

 

その後も素麺を流しては食べるを繰り返し、あっという間に二束も平らげてしまった。

 

独「そうだ!これってもう少し長くしたらおもしろいんじゃない?」

「これ以上長くするなら、外に出ないと。この時間は艦娘がうろついてて外に出るのは危険だぞ」

独「別に出なくていいじゃない、ここだって十分広いでしょ?」

「まあ出なくてもできるけど、あんまり長くはできないぞ」

独「っていうか暑いから外に出たくないよ」

「それじゃあ、いっちょやってみるか。まずは材料を用意しないとな」

 

2リットルペットボトル(約1メートルにつき3本必要)

はさみ 

カッター

軍手

セロハンテープ

ビニールテープ

 

 

独「たったこれだけで流し素麺ができるの?」

「まあ、やってみればわかるさ。じゃあまずはペットボトルの上下をカッターで切り落とすんだ」

独「なんだかブニブニしててやりずらいね」

「手を切らないように注意しろよ、この軍手をつけるといいぞ」

独「できたよー」

「次は切り落としたものをハサミで二つに切り分けてくれ」

独「そうか、この二つを組み合わせてコースになるのね」

「ああ、その二つをセロテープでつなげたら縁をビニールテープで補強していく、だそうだ」

独「補強?」

「縁で手を切ったりしたら危ないからな」

 

しばらく量産体制に入り合計10個ほどのコースが出来上がった

 

「じゃあ今度は柱を作っていこうか」

独「柱?どういう事?」

「コースを支えるのに使うんだ、坂になるように高さも変えていかないと」

独「それは分かったけど、まだまだ時間がかかりそうね」

「しょうがないよ、まさか艦娘に手伝ってもらうわけにもいかないもんな」

 

などと話していたら、突然!何者かが部屋になだれ込んできた!

早い!もうバレてしまったのか!?最悪の展開に心臓が止まりそうになったが、部屋に入ってきたのは

 

空母「提督、この前のアレは一体何なのよ!やりすぎよ!おかげで基地がメチャクチャになっちゃったじゃない!」

「ええっ!?一体どういうこと?」

空母「あなたはアホなの!?あんな高価なものをあんなにたくさん!もう意味が分かんないわよ!」

「いや、意味が分からないのはこっちの方なんだけど、っていうかどうやって入ってきたんだ」

空母「そんなことは今は重要じゃないでしょ」

「重要だよ!」

 

空母棲姫!だった!

空母棲姫は部屋に入るなり一気にまくし立ててきた。

おそらくこの前の羊羹の件について言っているのは分かったが、突然の意外過ぎる来客に唖然としていると

 

空母「あら、あなたは」

 

空母棲姫が独還棲鬼の存在に気付いた。

 

空母「あなたも深海棲艦ね。この変じゃ見かけない子だけど、どこからきたの?」

独「えっと、ドイツから・・・です」

空母「ここ日本よね?なんでここにいるの?」

 

俺は空母棲姫にこれまでのいきさつを説明した。

 

空母「この暑いのによくやるわね~」

独「そういうあなたは日本の空母棲姫?」

「日本の?一体どういうことだ?」

空母「あなた達の所にも同じ個体の艦娘っているでしょ?それと同じようなものよ」

「同じ個体って言っても、やっぱり性格とか違うのか?」

独「そうだなぁ、しいて言うなら面倒くさがり、かな?」

「ああ、だから最近のイベントあまり出てこなかったのか」

独「さんざん出たんだから、たまには休みよこせって言ってたよ」

空母「あー分かるわー」

 

深海棲艦の裏事情が分かったところで、

 

「せっかく来たんだから素麺たべていきなよ」

 

と言うと空母棲姫は渋い顔をした。

 

空母「ええ、もう、またあなたはそうやって・・・」

「かたいこというなよ」

独「いいじゃない、大勢で食べたほうがきっとおいしいよ」

空母「そうね、ここで会ったのも何かの縁だしご馳走になるとしましょうか。それで何をすればいいのかしら」

「今柱を作ってたところだよ」

空母「素麺作るのに家でも建てるの?」

「いや、そういう意味じゃないって」

 

ここから空母棲姫も加わり流し素麺の柱を作る工程に入る。

底だけ切り取ったペットボトルを水入りペットボトルに重ねていき、テープで固定する。

 

独「よいしょっ」

空母「これで本当に素麺が食べられるの?」

「この柱が流し素麺を支えてくれるんだよ、あっそうそう、全部同じ高さにしないようにな」

独「え、どうして?」

「高さが同じだと下に流れて行かないからね」

空母「高さってどうやって変えるの?」

「重ねるペットボトルの数を変えるんだ。重ねたペットボトルの上に更にペットボトルを重ねればいいんだよ。」

 

再び量産体制に入り様々な高さの柱が出来上がった。

これにさっき作ったコースを組み合わせれば完成なのだが

 

独「どうせならあの流し素麺機みたいにしようよ」

 

と家具の流し素麺機を指しながら独還棲鬼は言った。

 

「曲がりくねったコースにしていこうってこと?」

独「そうそう!」

空母「もうまっすぐでいいんじゃないの?お腹すいたんだけど、っていうかこの機械で食べればいいんじゃない?」

独「え~~~!!ここまできてそれはないでしょ~!」

「そうだよ(便乗)、こうやって流し素麺する機会なんて滅多にないんだからさ」

空母「冗談よ、さ、早いとこ準備を終わらせちゃいましょ」

 

そして数分後、曲線はさすがに無理だったがジグザグな流し素麺のコースが完成した。

一番上から水道にホースをつないで水を流し、ゴールは先ほど使っていたビニールプールに置いたざるに素麺が流れていく。

 

「やっとできたー」

独「ここまで来るのに長かったねー」

空母「でもこうしてみると圧巻ね。頑張った甲斐があるわね」

「んじゃ試しに水を流してみるか」

 

素麺を流す前に水を流してみて、うまくいくかどうか試してみることに。

注がれた水は順調にペットボトルのコースをジグザグに流れていき無事ビニールプールに流れて行った。

と思っていたら

 

独「あーーっ!テートク水が漏れてるよ!」

「なにーー!?どこだ!?」

 

独還棲鬼に言われたところを見てみると、コースの曲がり角から水があふれていた。

幸いにも下にビニールシートを敷いておいたため事なきを得たが、水の量を増やしてしまうとあふれてしまうようだ。

 

空母「何かいい手はないの?」

「こうすればいいんだよ」

 

俺はコースの曲がり角に、先程柱を作るのに切り落としたペットボトルの底の部分を取り付けた。

3人で協力して残りの曲がり角にも同じように取り付けて行った。

これでうまくいくはずだ。

 

「もう一回水を流して見てくれ」

独「分かったー」

 

すると今度は曲がり角の水は見事にせき止められていて、今度こそビニールプールに到着した。

 

「やった、今度こそうまくいったぞ」

空母「あー、やっと食べられるのねー」

独「テートクじゃかじゃか流そう!」

 

俺は素麺をペットボトルのコースへ載せた。

ホースから流れる水が素麺を押し流して、箸を構えて待ち受ける独還棲姫と空母棲姫の元へ流れて行った。

 

独「わぁー、すごいすごい!」

空母「え、え、これはどうしたらいいの?」

 

無邪気に喜ぶ独還棲鬼とは対照的に、空母棲姫は初めて体験する流し素麺に驚き戸惑っているようだった。

そんな空母棲姫を尻目に独還棲鬼の箸が白い素麺をとらえ、つゆに浸し勢いよくすすった。

 

ちゅるり。

 

独「冷たくて、おいしい」

空母「なるほど、そうやって食べるのね」

 

今度は空母棲姫も独還棲鬼と同じように、素麺をつゆに浸してすすった。

 

空母「いいわねーこれ、暑い夏にちょうどいいわ」

 

流し素麺をやるのはこれが初めてだったが大成功のようだ。

二人とも楽しんでくれてよかった。苦労した甲斐があったというものだ。

 

独「ていとくもっと流して」

「ええ、いいのか?」

空母「見て楽しむのはもういいから、これからどんどん食べましょう」

 

独還棲鬼のお望みどおりに、素麺を次から次へと超スピードで流した。

 

独「ずるずるずるる、わあ、まだ食べ終わってないのにどんどん流れてくるよ」

空母「ちょまっ、食べ終わってないのに、ああー」

 

当然のごとく素麺の流れるスピードについていけず、二人の前をどんどん素麺が通過していく。

ビニールプールにたどり着いた素麺は涼んでいた鷹型艦載機によっておいしく頂かれていた。

 

独「これじゃ早すぎて食べられないよ!」

「だから言ったのに、それじゃ今度はゆっくり」

 

流そうと言おうとしたら空母棲姫が、

 

独「そうよ、食べる人数ふやせばいいんだ!こんな簡単なことにも気が付かなかったなんてー」

空母「それはいい考えね、それじゃあヲ級ちゃんと、鶴棲姫と、」

「空母棲姫さん何してんすか、まずいですよ!」

空母「冗談よ」

 

何を思ったのか、大量の深海棲艦をここへ呼び込むつもりらしい。

さすがにそれはまずいのであわてて止めに入った。

 

「冗談キツイよ」

空母「でも、あと一人くらいならいいわよね」

「まあ、一人くらいなら」

空母「それじゃちょっと待ってて」

 

そう言うと空母棲姫は自分の艦載機に何かを頼んだかと思うと、その艦載機は窓から飛び出していった。

 

「一体誰を呼んだんだ?」

空母「それは後のお楽しみよ、っていうかあなた流してばかりで全然食べてないじゃない」

「あ、そういえばそうだったな」

独「じゃあ今度は私が流してみたい」

 

そこで今度は独還棲鬼が素麺を流すことに。

 

独「じゃあ、イクゾー」

 

 

それからしばらくして、腹の満たされた俺は執務の続きをしていた。

独還棲鬼はビニールプールで艦載機と共にたわむれ、空母棲姫はソファーで横になってくつろいでいた。

 

空母「それにしてもここは過ごしやすくっていいわねー、涼しいし素麺もおいしいし最高ね」

独還「そうだねー、あー冷たくって気持ちいいー」

空母「夏の間はお邪魔しようかしら、あーもー夏イベなんてどーでもいーわー」

「えぇ・・・(困惑)」

 

などと話していると

 

空母「お、来たみたいね」

「もしかして、さっき呼んだ奴が来たのか」

空母「ええ、そうよ」

「じゃあ迎えに行かないと」

 

椅子から立ち上がろうとした俺を空母棲姫が制した。

 

空母「その必要はないわ、ここに来るから」

「え、どういう意味?」

その時窓から空母棲姫の艦載機がもどってきた、深海棲艦の少女の襟首を咥えて。

 

「その運び方は流行ってるのか?」

空母「独還ちゃんのを見てたらつい」

 

少女の正体は独還棲鬼にそっくりな少女、護衛棲姫だった。

独還姫は青い瞳で左の額から角を生やしているが、護衛棲姫は護衛棲姫は赤い瞳で右の額から角をはやしている。

しかし当の本人はいきなりの展開に驚き戸惑っているようだった。

 

護衛棲姫「ひゃあああああ~~」

空母「いらっしゃーい、よく来たわね」

「無理矢理連れてきたんじゃないか」

護衛「なんてことするんですか~、いきなりタコヤキちゃんに捕まったかと思ったらこんなところに・・・」

独還「お姉ちゃん」

護衛「独還ちゃん!?なんでこんなところにいるの!?」

独還「道に迷った」

護衛「ここに日本だよね!?」

空母「落ち着きなさいよ」

護衛「む、無理ですよ~ここ、敵の本拠地ですよね!?こんなところでなにやってるんですか!?」

空母「お昼ご飯」

護衛「もう訳が分からないよ・・・」

 

こういうのが正しい反応だと思う。

そして護衛棲姫が俺の存在に気付いた。

 

護衛「え、えっと・・・」

「提督でいいよ」

護衛「提督、さん、こんにちは」

「はい、こんにちは。っていうか俺を見て何とも思わないのか」

護衛「一応空母棲姫さんから話は聞いてたけど、実際あってみると本当にいい人そうで安心したかなーって」

「それはよかった」

護衛「あ、あと、艦娘さんたちに嫌われてるって・・・」

「またですかまたですか!?」

護衛「もうあきらめたら?」

「うるさいよ!」

空母「それじゃあ仲良くなったところでお食事タイムと行きましょうか、はい護衛ちゃんこれ持って」

護衛「え?え?え?、あのこれは一体・・・」

 

護衛棲姫は空母棲姫から急に箸と器を渡されて驚き戸惑っている。

俺は護衛棲姫に流しそうめんについて簡単に説明してやった。

 

護衛「はー、なんだか変わった食べ方をするんですね」

独還「それじゃあいくよー」

護衛「そうめんっていつもこんな大げさなもので食べるんですか?」

「いや、今日が特別なだけだよ」

 

独還棲鬼が流した素麺が護衛棲鬼のもとに流れてきた。

 

空母「さあ護衛ちゃん、素麺をすくうのだ!」

護衛「なんか白いのが流れてきたよ、これは一体どうしたらいいんですか」

「お箸でその白い物体、素麺をすくえばいいんだよ」

 

護衛棲姫があわてて素麺に箸を繰り出すも、素麺は箸の間をすり抜けていきビニールプールに流れていってしまった。

そして護衛棲姫と独還棲鬼の艦載機においしくいただかれていた。

 

護衛「うー、うまくいかないです」

独還「しょうがないなー私が見本をみせてあげよう、提督おねがい」

 

独還棲鬼が見本を見せるべく、箸と器を持って護衛棲姫の隣に立った。

こうして見ると、二人がそろっているとは何ともレアな光景だ。

 

独還「こういう時は箸をこうやってコース上に置いておくといいんだよ。そしたら麺が箸に引っ掛かってくれるから」

護衛「あ、ほんとだ、すごいすごい。私でも簡単に抄えるよ」

空母「さっき提督に教わったんだけどね」

独還「言うなし!そんなことより味はどう?」

護衛「すごくおいしい!初めて食べる味だね!」

「それはよかった。そうだ、せっかく4人も集まったことだし今度はみんなで食べようか」

護衛「さんせーい」

空母「ドゥンドゥン流そうじゃないの」

独還「これから毎日素麺流そう」

「毎日はちょっと嫌だな」

 

その後は流す役を交代しながら、みんなで心ゆくまで流し素麺を楽しんだ。

こういうのはやはり大人数でやったほうが楽しい。

楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、別れの時がやってきてしまった。

俺達はいつもの堤防の所に集まっていた。

 

空母「あーおいしかったわー」

独還「おいしかったし、楽しかった。最初来たときは不安だったけど来てよかったと思う」

護衛「提督さんありがとう、おかげで独還ちゃんにも会うことができた」

「俺は何もしてないよ、っていうか呼んだの空母棲姫だからね」

空母「あなたのおかげよ、あなたが優しい人だからきっとどっかんちゃんも護衛ちゃんも私もここに引き寄せられたのよ」

「そうなのか?」

空母「そうなのよ」

 

いまいち納得できないところがあるが空母棲姫に押し切られる形になってしまった。

 

「ところで独還棲鬼はどうやって帰るんだ?」

空母「海外に連絡とったからそのうち迎えが来ると思うわ。それまではうちで預かることにしたわ」

独還「それじゃあしばらくお姉ちゃんといられるね」

護衛「色々話したい事もあるしね」

空母「そうだわ!ねえ提督、さっきの流し素麺の機械を私に貸してくれないかしら。私達だけおいしいモノ食べたってなるといろいろ不満がでちゃうしさ」

「それはいい考えだと思うけど、結構な荷物になるぞ。どうやって持っていくんだ?」

空母「その辺はちゃんと考えてあるわよ」

 

そう言うと空母棲姫の周りに大量のたこ焼き(型艦載機)が出現した。

 

「えっ!?こんなにたくさんいたのか!?」

空母「スロット数198を舐めないでよね、ほんとは集積地ちゃんがいたらありがたいんだけどね」

「集積地棲姫もいるのか」

空母「あの子もそのうち来ると思うからその時はよろしくね」

「勘弁してくれよ」

 

そうこうしているうちにタコヤキ達は荷物の入った袋を次々と咥えていった。

そして3人は大量のタコヤキ達とともに、地平線の彼方へと姿を消していった。

 

 

深海サイド

 

空母「今帰ったわよ~」

 

空母棲姫達3人が基地に戻ってくると、一人の深海棲艦が慌てた様子で駆け寄ってきた。

 

ヲ級「ああっ!やっと帰ってきた!どこへ行ってたんですか~、護衛ちゃんがさらわれて大変だったんですよ~」

空母「護衛ちゃんならここに」

 

言い終わる前にヲ級が護衛棲姫、ではなく独還棲鬼の方に抱きついた。

 

ヲ級「護衛ちゃん!無事でよかった~。心配したんだからね、ってアレ?」

独還「ひゃあああああ、い、いきなり何するのよ~~~~//////」

護衛「ヲ級さん、私こっち」

ヲ級「ええええええええ!護衛ちゃんが二人!?一体何がどうなってるの・・・?」

護衛『どっかんちゃんもまんざらじゃなさそう』

 

少女説明中

 

ヲ級「そうか、提督さんの所に行ってたんですね」

空母「ええ、なかなか楽しい時間が過ごせたわ」

護衛「お土産もあるんだよ」

ヲ級「え?空母棲姫さん抗議に行ったんじゃなかったんですか?」

空母「細かいことはいいのよ!」

独還『ごまかした・・・』

 

 

集積地「それじゃ流すよー」

 

ここには水道がないので集積地棲姫がドラム缶の入った水を上手から流している。

 

レ級「うわー!すごいすごい!」

空母「曲がりくねったコースもいいけど、こうしてみると圧巻ね」

軽巡棲鬼「っていうかちょっと長すぎるんじゃない?」

 

レ級が作ったコースは、先ほどの曲がりくねったコースではなくひたすら真っすぐな直線のコースだ。

ここは部屋の中ではないのでどこまでもコースを長くできるのだ。

 

深海鶴棲姫「素麺美味しい!」

ル級「見てもいいし、味もいいし」

タ級「ちょうど冷たいものが欲しかったのよねー」

レ級「そうだ!いいこと考えた、ナカノちゃんちょっとこっちきて」

軽巡「なによ、まだ食べてる途中なのに」

レ級「いいからいいから、ここに入って」

 

なぜかレ級はビニールプールの中に軽巡棲鬼を座らせた。

 

レ級「ほら、ここにいれば涼しいし素麺だって流れてくるから食べ放題だぞ」

軽巡「確かに水の中だから涼しいけど・・・」

レ級「ホラホラホラ、素麺が流れてきたよ」

 

素麺が軽巡棲鬼の待つビニールプールに向かって流れてきた。

しかしレ級はコース上の素麺には目もくれず、ビニールプールに落ちた素麺を食べ始めた。

 

レ級「ンマーイ!」

 

と、その光景を遠くから見ていた深海鶴棲姫がすごい勢いでこっちに向かってきた。

 

鶴棲姫「ちょっと、あんた何やってんのよ!」

軽巡「そうよ!言ってやりなさい!」

離島棲姫「この光景なんか見たことあるんだけど・・・」

鶴棲姫「俺も仲間に入れてくれよー」

軽巡「なんだこのおばさん!」

鶴棲姫「おばさんはこいつだろ!いい加減にしろ!」

戦艦棲姫「ぬわああああんですってぇ!」

レ級「あーっ!こんなところに大きな素麺があるじゃないか、直接食べてやる!」

軽巡「大きな素麺?そんなのどこにあるの?」

 

レ級以外の深海棲艦があたりを見回すもそんなものは見つからない。

 

レ級「ここにあるじゃないか」

 

そういうとレ級は軽巡棲鬼に吸い付き始めた。

 

軽巡「キャーッ!イヤーッ!ヤメテーーーーーーッ!」

鶴棲姫「ちょっと、抜け駆けは許さないわよ!」

ル級「そうだよ」

タ級「そうわよ」

軽巡「ギャーッ!吸われるーーーーーーーーーー!!」

 

そんな3馬鹿にさらに馬鹿が加わり、

 

戦艦棲姫「ちょっとあんた達!」

鶴棲姫「なによ、邪魔する気!?」

戦艦棲姫「つゆを忘れてるわよ」

鶴棲姫「あ、そっかー」

軽巡「違うだろぉ!?」

戦艦棲鬼「もう直接かけちゃえ」

 

ドボドボドボ

 

軽巡「ちょ、うわっぷ、やめなさいよ!」

離島棲姫「あんた達!襲うんなら私を襲いなさいよ!」

鶴棲姫「え~、私ロリコンじゃないし」

離島「あああああああああああ!もうやだあああああああああああああああ!」

軽巡「それは私のセリフよ!」

空母棲姫「きさまらー!」

6馬鹿「ぬわーーーーーーーーー!!!!」

離島「なんで私までーーーーーー!!!!」

 

空母棲姫による怒りの絨毯爆撃が炸裂し6馬鹿は黒焦げになりましたとさ、めでたしめでたし。

 

独「また会えるといいな」

護衛「そうだね」

 




明けましておめでとうございます。
長くなってしまいましたがお久しぶりです。
新年一発目に投稿じゃ!と思っていたら失敗してしいました
実は作品自体はかなり前からできていたりします。
の割には結構粗が目立っているような気がします。
明日も頑張ってあげたいと思います。

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