深海棲艦と遊ぼう   作:真・鬼才太郎

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艦娘交流記 その6

秋刀魚の季節がやってきた。
装備、編成、作戦等一生懸命考えて今年は予定より早くノルマをクリアすることができた。
しかし作戦が終わると不知火が「他の鎮守府の応援に行ってきます」と言って出かけて行った。それにつられるように、ほかの艦娘達も出て行ってしまった。
そんなに人手不足なんて話は聞かないけどなと思っていると、どうやら他所の鎮守府で秋刀魚作戦終了の打ち上げが行われるらしく、みんなそっちに行きたかったようだった。
それならそうと本当のことを言ってくれればよかったのに。
でもうちでやっても誰も来たがらないだろうなあと思った。

終わり




深海双子姫と秋刀魚

今日は見回りを兼ねて、俺は鎮守府内を掃除しながら歩いていた。

今うちの鎮守府内は人手が足りないので、こういったことも提督自らがやらないといけない。

こういうのもなんだが、人手が足りないからと言って困ったことはない。むしろ喜ばしいことだ。

なぜなら・・・向こうから加古と古鷹が楽しそうに談笑しながらこちらへ歩いてきた。

俺が「おはよう」と声をかけると、二人は少しびっくりしたような顔になって「あ、はい・・・」と言ってそそくさと去っていった。

今ここにいる艦娘にさえよく思われていないというのに、これ以上アンチ提督勢を増やして一体何になるというのか。

しかしそれは悪いことばかりではない。

人数が減ったことで逆に仕事も減り、こうしてのんきにブラブラしながら掃除もでき、3時のおやつもゆっくり食べられる。

元来怠け者の俺にとっては夢のような環境だ。

でもやっぱり時々むなしくなることもある。

そんな風にとぼとぼ歩いていると、白と黒の二人組を見つけた。白いやつがぐったりして、黒いやつに抱きかかえられている。

白と黒で二人組・・・・・う~んだめだ、思い出せない。ウチにあんなのいたかな?

そう思いながら俺は二人組に近づいて行った。

 

「ねえ、しっかりしてよ!」

「う~、わ、私はも、もうダメだ~」

「お願い!私を置いていかないでよ!」

「さ、最後にひとつだけいいたいことがある」

「な、なによ!」

「色鉛筆の白は何に使うんだろうな・・・ガクッ」

「おねーちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!」

 

「なにやってんだあいつら・・・」

俺はそんな二人の様子を少し離れたところから眺めていた。

もうダメだとかいいながら随分余裕そうだった。

その証拠にさっきから二人してこっちをチラチラ見ている。

このままではらちが明かないので、意を決して話しかけてみることにした。

 

「おい、お前ら俺のことチラチラ見てただろ」

黒いの「そうだよ(肯定)」

「認めるの早スギィ!っていうかこんなところでなにしてんだよ」

黒いの「私達を見ても驚かないってことは、もしかしてあなたが噂の・・・」

 

この二人は深海双子姫。深海棲艦初の双子だ。

どうやらこの前リ級が言っていた、深海棲艦に俺のことが知れ渡っているという話は本当だったようだ。

 

黒いの「艦娘に見放された哀れなモテない提督さん?」

「じゃあ死のうか(見殺し)」

黒いの「まってまって、冗談だから、お願い見捨てないで!」

 

さっさと帰ろうとする俺を、黒いやつがあわてて引き留めた。

 

「なんなんだよ一体」

黒いの「海底に落ちてた空いてないジュースを飲んだら急にこの子が倒れちゃったの」

「何で飲んだんだよそんなもん」

黒いの「だってまだ飲めるんだもん、もったいないじゃない」

「え、なにそれは」

白いの「さっきお姉ちゃんって言ってたけど、私達双子だからね!」

「どうでもええわ」

白いの「ああん、ひどぅい!」

 

しかしこれは困ったことになった。

深海棲艦の体のことなんかわからないし、かといって病院に連れて行くわけにもいかない。

ちなみに明石は着任と同時に出て行ってしまってここにはいない。

食あたりの類のものであれば市販の薬で何とかなるかもしれない。

そう思って俺は白いやつに聞いてみた。

 

「ところでその空いていないジュースっていうのは?」

黒いの「ここにあるよ」

 

そう言うと白いやつはジュース(?)の瓶を取り出して見せた。

その瓶には大きな文字で”黒霧島”と書かれていた。

 

「これはジュースじゃなくって”酒”っていうんだ」

黒いの「さけ??紫の髪の奴が飲んでたあれのことか」

 

紫の髪で酒のみ・・・隼鷹のことか。それにしても空いてないのに落とすとは不幸な奴だ。

うちに隼鷹はいないからおそらく遠くの方で見つけたのだろう。

 

「表のお前らはこれを毎日のようにガンガン飲んでるんだぞ」

黒いの「こんな苦くて不味いのになにがいいの?わけがわからないよ」

白いの「私”じゅーす”っていうのが飲んでみたい~」

「ええ・・・」

 

ガンガン飲んでいるとは言ったが、もちろんウチには伊13も伊14もいない。

もしいたとしてこの二人を見たらどう思うのだろうか。

それはともかくとして、白いやつを何とかしないといけない。

 

「とりあえず、うちに運び込もうか」

黒いの「えっ、いいの?私達なんか入れちゃって」

「こうやって話してる時点で今更なんだよなあ」

白いの「う~それじゃオッスお願いしまーす」

 

そういうと白いのが俺に向かって手を伸ばしてきた。

どういうつもりなのか、行動の意図が読めない。まごついていると、

 

白いの「早くおぶってよ~、気分悪いんだからさー」

「えっと、俺でいいのか?」そう言って黒いやつを見ると

黒いの「ここまで私がおぶってきてもう疲れたから、お願い」と言うので

「それじゃあ、遠慮なく」

 

そう言って白いのを背負ってみると、あまり重さを感じずものすごく軽かった。

深海棲艦と言っても、こうしていると普通の少女と変わらない。

そういえばウチの艦娘達とこうやって触れ合ったことってあんまりなかったな。

俺は歩きながら二人に気になっていたことを聞いてみることにした。

 

「ところでお前らのことなんて呼べばいいんだ?深海双子棲姫じゃおかしいだろ」

二人は顔を見合わせて少し考えたのち

黒いの「考えたことなかったね、どうしようか」

白いの「面倒だから白と黒でいいや」

「適当すぎやしないか」

白いの「それじゃー、えーと、うーんと、うぅぅ・・・」

深く考えすぎたせいか、白の顔色がますます悪くなっていった。

黒いの「わーわー、もう白黒でいいから!お前もそう思うよな、な、!」

「そうだよ!終わり!閉廷!みんな解散!」

黒いの「ラブ&ピース!愛だよ愛(意味不明)」

俺と黒はあわててこの話題を無理矢理終わらせた。

 

場所は変わって、今俺たちがいるのは執務室。

幸いにもあれから誰にも会わずにここまで来ることができた。

白いやつは、俺が引いた布団のなかでぐったりしている。

俺は、以前レ級がM鎮守府で買ってきた酔い止めを取り出した。

もともとはカ級のための調達した薬がこんなところで役に立つとは思わなかった。

 

「じゃあ、これ飲んで」俺はコップに入った水と、錠剤を手渡した。

白は少し躊躇していたが、飲んでくれた。

 

「これでしばらく休んでればよくなるよ」

白「んー分かったー、それにしてもこのフトンっていうのフカフカして気持ちいいなー・・・」

そう言うと白いやつは目を閉じて眠り始めた。

 

黒「えっと、私はどうしようか」

「二人が良ければここでゆっくりしてればいいよ」

黒「え、いいの?」

「なんか誰かいてくれてると安心するっていうか」

 

こうして普通に話しているが、実はまだ仕事中だったりする。

早く仕事に取り掛からないとこの前の軽巡棲鬼の時みたいに残業する羽目になってしまう。

しかし二人をこのまま放っておくのも可哀想なので、

「それじゃDVDでも見るか?」

黒「でぃーぶいでぃー?なにそれ?」

俺はテレビの下に置いてあるDVDプレーヤーにDVDをセットしスイッチを入れた。

「狩りごっこだねー負けないんだからー」「食べないでくださーい」「たーのしー」

映し出されたのは、けものフレンズ。

気に入ってくれたようで、夢中になって見ていた。

 

こうして俺は机に向かって作業をしている間、黒はずっとアニメを見ていた。

途中から疲れたのか、白いやつの布団にもぐりこんで寝そべりながら見ていた。

しばらくして静かになったので、ふと黒いやつの様子を見ると二人仲良く気持ちよさそうな顔で眠っていた。

敵とは思えない、心温まる光景だ。

ずっとこの平和な光景を見ていたい気もするが、今は仕事をかたづけなくてはいけない。

こんな光景を他の奴らに見られるのはまずいような気がしたが、どうせここに入ってくる奴なんてめったに現れないんだから安心だ。

はぁ~仕事しよ。

 

あれからしばらくたって、本日の仕事は全て終わったが二人はまだ起きてこない。

よっぽど疲れていたのだろう。

予想通りというかここを訪ねてきた艦娘は一人もいなかった。

時刻は午後6時。そろそろ晩ご飯の支度をしなけらばならない。

何を作ろうか・・・そうだ、先の秋刀魚作戦で取れた秋刀魚が残ってたはずだから、それを塩焼きにして食べるか。

あとは玉ねぎとほうれん草の味噌汁に、白いご飯に、きゅうりの梅肉和え、これで行くか。

 

その間に、味噌汁を作っておこう。水を入れた鍋に味の素を大匙1杯入れ強火で熱する。

玉ねぎは玉ネギは縦幅1cmに切り、さらに横半分に切る。ほうれん草は2cmほどに、豆腐は食べやすい大きさに切る。

鍋が煮立ったら玉ねぎを入れ中火にし、玉ねぎがしんなりするまで煮る。

豆腐を加え、温まったらホウレン草を加え、みそを溶き入れる。ホウレン草がしんなりしたら刻みネギを入れ、ひとまず完成だ。

 

続いてきゅうりの梅肉和えだ。

薄く切ったきゅうりに軽く塩をして揉んでおき、しんなりしたら水で洗って水気を拭く。

そこへ叩いた梅肉と刻んだミョウガ・大葉を混ぜれば完成だ。

 

秋刀魚はあらかじめ粗塩をすりこんで10分ほど置いておいた。

臭みの汁が出たので、水で洗い流した後キッチンぺーバーで水気をよくふき取り、塩をまんべんなく振る。

熱したフライパンにクッキングシートを引いて秋刀魚を入れる。蓋をして中火で4分。

秋刀魚の焼けるいい匂いが漂ってくると、その匂いにつられたのか双子が起きてきた。

 

黒「提督、なにをしているですか?」

「もう具合はよくなったのか?」

白「ええおかげさまで、感謝するです。ところでなにをしているのですか?」

「秋刀魚焼いてんだよ」

白「さんま?艦娘が血眼になって探してた魚のことですか?」

「血眼になってたかどうかわからないけど多分それだよ」

黒「博士、我々も何かお手伝いするのです」

白「それは名案なのです、助手。さあ提督、私達に仕事を与えるのです」

 

急に変なしゃべり方するようになったなと思っていたら、さっき見たDVDの影響を受けたせいか。

せっかくなので秋刀魚に添える大根おろしを作ってもらうことにした。

 

黒「だいこんおろし?」

二人に大根(皮は剥いてある)とおろし器を渡してやる。

白「これはどうやって使うものですか?」

「まず大根の断面をおろし金に当てる」

白「ふんふん」

「そこから当てながら押すと引くを繰り返すんだ」

 

俺に言われた通りに大根を擦ると、じょりじょりという音とともに大根おろしが出来上がっていく。

白「おおおお、これは病みつきになるのです」

黒「助手、私にもやらせるのです」

お前は博士じゃなかったのか。とりあえず設定を忘れるくらいに夢中になっているようだ。

二人が大根おろしに夢中になっている間に、秋刀魚が焼けたようなので裏表をひっくり返す。

今度は蓋を開けたまま、中火で4分ほど焼けば完成だ。

 

「おおー、ええやん」

我ながら会心の出来栄えだ、と自画自賛していると

白「提督、大根が消えてしまったのです。黒、さてはあなた食べましたね」

黒「食べないよ!っていうか一緒にいたでしょ」

そんな二人におろし器の蓋をとって中身を見せてやると

白「なんですか、この白い物体は?」

「これが大根おろしだ、秋刀魚と一緒に食べるとおいしいぞ」

黒「なるほど、味も見ておくのです」

白「私もいただくのです」

「あ、やめた方が・・・」

俺が止める前に二人とも大根おろしをそのまま食べてしまった。

直で食べるものではないというのに、当然の如く

 

白「か、辛いのです!これは食べられません!」

黒「これでは何のフレンズか教えられないのです!」

「俺はフレンズじゃねえよ、もう早く食べよう。運ぶの手伝ってくれよ」

白黒「「はい、わかったのであります!」」

 

提督配膳中

 

というわけで、今俺達3人はちゃぶ台を囲んで座っている。

ちゃぶ台の上には先程つくった料理が並べられてい

 

「それじゃいただきまーす」

白黒「「いただきますなのです」」

「なんか雷っぽいぞ」

白「これがあのサンマの成れの果てですか」

「食欲なくすわ!」

 

黒が早速焼き立ての秋刀魚を口に含んでみる、すると

 

黒「おいしーい!これすっごくおいしいよ!」

白「なんていうか久々に味の濃いもの食べたっていうか」

 

続いて俺も秋刀魚を食べてみた。口の中に入れた瞬間程よい油と塩味が口の中に広がってきた。

「ここでさっきの大根おろしと組み合わせて食べるといいぞ」

白「あっ、ちょっと味かわったかも」

黒「うん、さっぱりしてるね。艦娘が血眼になって探してたのも分かるかも」

「他のおかずも食べてみてくれよ」

 

続いて二人が箸を伸ばしたのはきゅうりの梅肉和え。

白「んんっ、すっぱー!でもなれたら結構好きかも」

黒「酸っぱいけど塩味が聞いてておいしいね」

とここで黒の視線がご飯に注がれた。

黒「さっきから気になってたんだけどこの白いの何?」

「それはご飯、まあ米を炊いたやつっていえばいいのかな」

黒「こめ?前のイベントでやってたやつ?」

「ああ、一緒に食べてみるといいぞ」

 

そう言われて黒は梅を食べた後にすかさず白いご飯を一口食べてみる。

黒「すごいのです!これは病みつきなのです!」

白「こんなにおいしいんだったら、渡さなかったのに」

黒「それはめいあんだ!次から渡すのやめようか?」

白「でも提督でないとこの料理はできないのです」

黒「それじゃあ来年から米も梅干しも海苔もお茶も提督の所にもって来ることにするです」

 

うわあ、なんだか大変なことになっちゃったぞ。

もし実現すればイベントは超楽々になるであろうが、大本営とかになんて説明すればいいんだろうか。

来年までに忘れてくれるとありがたいが。

 

そんなことを考えているうちに今日のおかずはご飯が進む系のおかずばっかりだったためか、ご飯が進む進む。

結局二人はご飯3杯、味噌汁を2杯おかわりすることになった。

そんな二人は畳の上で横になっている。

 

白「あーーーー」

黒「うーーーー」

「大丈夫か?薬が効いてなかったのか」

白「うえーー食べすぎたのです・・・」

黒「苦しい、うっぷ、動けないのです・・・」

 

駆逐古鬼が来た時もこんな状況だったのを思い出した。

前と違うのはあの時はジャンクフードだったが、今回はがっつりご飯を食べてしまっている。しかも大量に。

これでは動けなくなるのは当たり前だ。

古鬼は起き上がってなんとか自力で帰っていったが、今この二人を見る限りそれも難しそうだ。

 

「もうだいぶ遅くなってるけど、どうするんだ?」

白「酔いはさめたけど今度はお腹が苦しくて動けないのです」

黒「このふとんとかいうのも寝心地いいし、今日は泊まっていくのもいいかもしれません」

「ええっ、いいのか?」

白「別に何も問題ないのです」

黒「最近はヒメのおかげで我々の出番もすっかり減ってしまったのです」

「ヒメって誰だ?」

白「潜水新棲姫のことです」

黒「世代交代ってやつなのです」

「そんな年でもないだろうに」

白「それで泊めてくれるのですか泊めてくれないのですか」

黒「どっちなんだい!」

「古いわ!ていうかそれ博士違う、きんに君や」

 

そんなわけで(?)急遽深海双子姫によるお泊り会が開催される運びとなった。

テレビの前に3人分の布団を敷きDVD鑑賞会を行った。

視聴するのはけものフレンズ。さっきの続きを今度は3人でゆっくり見ようとしたのだが、お腹がいっぱいになった双子姫がまたしても眠くなってしまい11話を目前にして力尽きてしまった。

ある意味幸運だったといえる。

一人で見ても面白くないので、電気を消して俺もそのまま眠ってしまった。

 

 

翌朝目が覚めると、白いやつがぐったりしていて白いやつに抱きかかえられていた。

何を言っているのか分からないと思うが、俺にも訳が分からない。

どうやら二人で昨日の続きを見ていたらしかった。

テレビにはちょうどかばんちゃんがセルリアンに踏みつぶされるシーンが映し出されていた。

あまりのショックのあまり黒が白くなってしまい、白が白になってしまったようだ。

 

「おはよう」

白黒「「・・・・・」」

 

二人に話しかけてみるも返事はなかった。

仕方がないのでこのまま最終話まで見続けて元に戻るのを待つことにした。

そして例のシーンに差し掛かると

 

『さあ、野生解放するのです!』

 

白「えええええええええええ!!!」

黒「ちゃあああああああああ!!!」

 

最大の見せ場により二人の姿が元に戻った。

どうやら黒が白に抱きかかえられていたようだった。

二人ともキャラを忘れて大はしゃぎだ。

そしてエンディング、スタッフロールまで見終わると

 

白「あーおもしろかったねー」

黒「そうだねー」

白「終わっちゃったねー」

黒「うん・・・」

 

祭の後のようになんだかさみしさだけがそこに残ってしまったようだった。

これが俗にいうけもフレロスというやつか。

俺はそんな二人に

 

「あ、そういや、お前らさジュース飲みたいって言ってたよな」

白「あーそんなこといてたような」

黒「え、あるの?」

「今からつくるんだよ」

白「作ったーーーーーー!?」

「まだできてないって」

 

3人で手分けして布団を片付けると、キッチンの方に移動してミックスジュースづくりを開始した。

材料は以下の通りだ。

 

みかんの缶詰85g(約10粒)

桃の缶詰25g(約1/4個)

砂糖小さじ1

バニラアイスクリーム20g(大さじ2弱)

牛乳130g

氷20g(約2個)

 

黒「この白いのは何ですか?」

「それはアイスクリームだ、ちょっと食べてみるか?」

白「昨日みたいなことにならないでしょうね」

「大丈夫だって安心しろよー」

黒「ハムッ、ムシャムシャムシャ、冷たくておいしー♪」

白「合格なのです」

 「全部食うなよ、ジュースにするんだからな」

黒「もうこいつ一人でいいんじゃないかな」

白「博士もそう思います」

 「今日はミックスジュースの日なんだよ!」

 

アイスクリームをめぐって激しいバトルが始まった。

こんなところで砲雷撃戦が始まるとは思わなかった。

俺は何とかB勝利で振り切りミキサーにすべての材料を入れるとスイッチを押した。

2分ほどたったところでジュースが完成した。

 

白「ああー、アイスクリームが無残な姿にー」

黒「なんてことをするのですか、このひとでなしー」

「それじゃミックスジュースができないじゃないか・・・」

黒「ジュースといったらもっとサラサラしているものだと聞いたのですが・・・」

白「こんなドロドロしたの飲んで大丈夫なのですか」

 

文句を言いながらも二人はミックスジュースの入ったコップに口をつけた。すると、

 

白「ンマーイ!」

黒「なにこれなにこれー!」

 

即落ちだった。なんにせよ機嫌が直ってよかった。

 

白黒「「我々はおかわりを要求するです!」」

「こら!分かった!分かったからお前らやめろ!部屋の中でやるな!」

白「そういう問題ではないとおもうのです」

「お、そうだな。ってお前が言うな!」

 

気に入ってくれたのはいいが、魚雷を掲げながら高らかに宣言するのはやめてほしい。

二人は2杯目のミックスジュースを幸せそうな顔で味わうように飲んでいった。

と、ここで二人が何かを思い出したようだった。そして二人は俺の方に向き直ると

 

白「ズバリあなたの正体は・・・」

黒「ヒトです!」

「知っとるわ!」

白「あっ、提督のフレンズです!」

黒「そうだよ(便乗)」

「お前は何を言っているんだ。っていうかあっ、てなんだよ」

白「提督、お腹すいたー」

黒「朝ごはんはまだですか」

「お前ら自由すぎるだろ・・・」

 

そのまま朝ごはんの支度にとりかかった。

メニューはトーストに、スクランブルエッグandソーセージ、先ほど作ったミックスジュースを添えて出してやった。

シンプルな献立だったが二人には好評だったようだ。

デザートに先程出てきたアイスクリームを出してやると二人はさらに喜んだ。

 

白「あー食った食ったー」

黒「余は満足なのです」

「お前らこれからどうするんだ」

白「どうするって・・・」

黒「もう帰るだけだよ?」

「お、そうだな」

 

俺は少しがっかりした。

例えるなら日曜日が終わって憂鬱な月曜日がやってくるような感じだ。

また憂鬱な艦娘との仕事の日々が始まるのか・・・と思っていたら二人に異変が起こった。

 

白「むっ、くくく・・・」

黒「お腹痛い・・・」

「おい、急にどうしたんだよ!」

 

急に二人がお腹を押さえてその場にうずくまった。

と後に何かを隠し持っているのを見つけた。

 

「お前ら後に何か隠してるだろ、見せなさい」

白「あっ、何をするですか、やめるのだフェネック」

「キャラがぶれすぎにもほどがあるわ!」

黒「キャータスケテー」

 

隠していたものは大容量のバニラアイスクリームとチョコアイスクリームだった。しかも半分近くなくなっていた。

 

「お前らこれどうしたんだよ」

白「えっと、さっき冷蔵庫の中から、ちょっと・・・」

「まだこんなのがあったのか、俺でも気が付かなかったよ」

黒「我々は賢いので」

「ただの泥棒だよ!しかもこれ半分以上なくなってんじゃねえか、食いすぎだよ」

黒「私がチョコで、白がバニラで」

「聞いてねえよ!」

白「今度はお腹が痛くて動けません・・・」

黒「またしばらく厄介になるのです・・・」

 

結局お腹を壊した二人はもう一泊することになり、なし崩し的に3日間そのまま滞在し続けた。

しかし俺は内心では喜んでいたことは二人には内緒だ。

 

 

深海サイド

 

白黒「「ただいまー」」

中枢棲姫「あっ、アンタ達三日間もどこ行ってたのよ!出番がないからってちょっと遊びすぎなんじゃない?」

白「これを見てもそういうことが言えますか」

中枢「えっ、なになに、またおいしいものなの?」

 

けものフレンズDVD全巻セット

 

中枢「なんだ食べ物じゃないのか・・・」

黒「まあ見てみればいいのです。中枢もきっと気に入るはずなのです」

白「提督からぽーたぶるDVDとやらも借りてきたのです」

中枢「なにがけものフレンズ?よ、だいたいあんた達のその変なしゃべりは何なのよ」

 

少女達視聴中

 

白「全く、けものフレンズは傑作なのです」

黒「さてもう一周するのです」

中枢「・・・・・」

白「中枢棲姫どうしたのです?さっきから黙ってしまって」

黒「お気に召しませんでしたか?」

中枢「すっごーい!なにこれ?なにこれー?」

白「どうやらドハマりしているようですね」

中枢「そうだ!いいこと思いついた!ちょっと出かけてくるわね!」

黒「え、いずこへ?」

中枢「すぐ近くだよー」

 

 

鎮守府近海

 

天龍は第八駆の面々と遠征任務の帰路についていた。

※天龍「あーめんどくせーなー、遠征も楽じゃねーなー」

※雷「天龍!真面目にやりなさいよ!」

※天龍「せっかく改二になったってのによー、遠征ばっかりってのは感心しないぜ」

※暁「そうわよ!(便乗)」

※雷「あら、あんたたちはいいわよ!私なんか改二にすらなってないんだからね!」

※電「みっみんな、任務中に気を抜いてはいけないのです」

※天龍「まっ、この天龍様にかかればどんな敵だって楽勝だがな」

※ヴェールヌイ「みんな、敵が近づいているみたいだよ」

 

天龍達の目の前に現れたのは一体の駆逐イ級だった。

 

※天龍「なんだイ級かよ。まあいいさ、この刀の錆にしてやるぜ!」

※暁「あ、ずるいわよ!私にやらせなさいよ!」

イ級「~~~~~~~~!!!!」

 

と突然辺り一面の空と海が真っ赤に染まり、凄まじいプレッシャーが五人と一匹を襲った。

 

※天龍「な、なんだこのプレッシャーは!」

※電「く、苦しい・・・」

※雷「一体何が起こるっていうの!?」

※暁「ここ正面海域よね!?」

※ヴェールヌイ「何か、来る・・・!」

 

彼女等の目の前に現われたのは、本来ここにいないはずの姫級、鬼級といった実際出会ったら死を覚悟するような面々だった。

 

中枢棲姫「うちの子にぃ、手ぇ出してんじゃねーぞ!!」

中間棲姫「まだ何もしてないでしょ」

戦艦棲鬼「っていうか大人げないにもほどがあるんじゃない?」

戦艦棲姫「もう連合艦隊ってレベルじゃないわよ」

中枢「だって、あの画面だと12人くらいいたじゃない」

集積地棲姫「もっといたと思うんだけど」

 

重巡棲姫「ほっぽちゃんまで一緒に来たの?」

港湾棲鬼「ほっぽとお昼寝してたら無理矢理、仕方がないから一緒に連れてきた・・・」

北方棲姫「ううーん、眠いよう」

飛行場姫「なになに?なにが始まるんだ?」

重巡ネ級「・・・・・」

空母棲鬼「こんにちはー」(ニコニコ)←よく分かっていない

 

図にするとこんな感じである

 

 

天龍       重巡棲姫   戦艦レ級  中枢棲姫       

暁        重巡ネ級   空母棲鬼  中間棲姫

雷        防空棲姫   港湾棲姫  戦艦棲姫

電        駆逐水鬼   北方棲姫  戦艦水鬼

ヴェールヌイ   駆逐古姫   港湾水鬼  集積地棲姫

         駆逐古鬼   飛行場姫  離島棲姫

 

※暁「て手ててててててんりゅう改二の力で何とかしなさいよ!」

※天龍「おおお前だって改二じゃねーか!っていうかお前の方が戦闘向きだろ、何とかしろ!」

※雷「こういう時こそ落ち着くべきよ、そしてチャンスを待つのよ!」

※ヴェールヌイ「うんちうんちうんちうんちうんちうんちうんちうんち」

※電「ああ~響ちゃんが壊れちゃったのです~」

 

中枢「さあ、とっとと野生解放するのです!」

中間「いきなりそんなこといわれても、っていうかやせいかいほうって何?」

戦艦棲鬼「解放って言うくらいだから何かを解き放つってことじゃないかしら」

重巡棲姫「どうする?脱ぐか?」

防空棲姫「アホか」

飛行場姫「イキスギィ!」

集積地「それは野獣解放だ!」

 

鬼姫級クラス大集合により第六駆逐隊が死を覚悟した時、それは突然にやってきた。

 

空母棲姫「楽しそうだね~、おれも仲間に入れてくれよ~」

 

空母棲姫、だった。ものすごく怒っているようだ。

 

中枢「な、なんだよう、そんなに怒んなくたっていいじゃない!ちょっとしたピクニックよ!あ、そうだ、あなたも一緒にいかがかな?」

 

そんな中枢棲姫に空母棲姫は一枚の紙きれを差し出した。

 

 

消費資材報告書

 

燃料 889464

 

弾薬 364364

 

鋼材 810931

 

ボーキサイト 1145148101919

 

 

中枢「ギエピーーーー!!なんじゃこりゃああああああああああああああ!!!!!!」

憲兵「あたりまえだよなあ」

艦載機「全員ボスクラス、かつ長距離遠征だったから、まあ多少はね」

空母「なんなんだぁ、これは?」 

中枢「わわわわ私にそんなこといったって、ほ、他の奴だっていいなさいよ!」

空母「ど こ に ?」

 

中枢棲姫が振り返るとそこには誰もいなかった・・・。

 

憲兵「説明しよう!中間棲姫は動物的直観で危険を察したのだ!」

艦載機「中間棲姫さんみんな連れて帰っちゃいましたよ」

 

中枢「あ・い・つ・ら~~~~~~~!!!」

空母棲姫「チュライさーん、やってしまったねぇ~」

中枢「い、いや、これは、その・・・」

空母「パッカーン!」

 

空母棲姫は右フックを放った!

 

中枢「ごぶしっ!!」

 

中枢棲姫は首の骨が折れた。

 

駆逐イ級「なんかすいませんでした」

空姫「あら、あなた喋れたの?」

憲兵「私が教えた」

艦載機「お前だったのか」

憲兵「暇を持て余した、」

空姫「あ、今日時間ないからやんないわよ」

艦載機「えー、やんないのー?」

 

空母棲姫は中枢棲姫を引きずりながら帰っていった。

天龍達は全員失禁していた。

 




正月3が日スペシャル連続投稿その2です。
いろいろあって何とか間に合いました。
内容が秋なのは、2年程前の秋ごろにおおよそ書いておいたからです。
しかし去年は秋刀魚祭りやってないのでなんだか変です。
頭の中で秋刀魚祭りを思い浮かべながらか読んでください。(無茶ぶり)
こんなひどい調子ではありますが明日も何とか投稿したいと思います。

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