深海棲艦と遊ぼう   作:真・鬼才太郎

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艦娘交流記 その7

この前谷風にあった。
谷風は俺を見ると「オーッス、提督!」と声をかけてきたと思ったらそのまま走り去っていった。
今の俺にとってはこれだけでもすごく嬉しい。
次の日谷風はいなくなっていた。

終わり


北方棲姫とクリスマスケーキ

深海サイド

 

 

北方棲姫「これおいしそうダナ、これもイイナー」

港湾棲鬼「ほっぽ、何してるの?」

 

港湾棲鬼がのぞき込むと、北方棲姫は紙切れなようなものを熱心に見ていた。

 

ほっぽ「オネーチャンこれ見て!これ見て!」

港湾「えっと、これは・・・何?」

ほっぽ「遠くから流れ着いてきたのを拾って乾かしたの」

港湾「いや、そういうことを聞いてるんじゃなくて」

 

北方棲姫が見ていたのは、クリスマスケーキのチラシだった。

チラシに赤いボールペンで丸がつけてある。

 

港湾「えっと、これは・・・?」

ほっぽ「けーきって言うんだって!すごくおいしそう、オネーチャンもそう思うでしょ!」

港湾「そ、そうね、おいしそうだね」

ほっぽ「あ、アレもおいしそう!」

 

そう言うと北方棲姫は今度は別のチラシに視線を戻し、気に入ったケーキに印をつけ始めた。

おそらくこんなところでケーキを食べることなど不可能だということは分かっているのだろう。

それを見て港湾棲鬼は胸が締め付けられる思いになった。

 

港湾『たまにはほっぽのために何とかしてあげたい、でもどうしたらいいんだろう・・・』

飛行場姫「ヨー、ワンコどうしたんだそんなしけたツラして」

港湾「ほっぽのことでちょっと」

飛行「ほっぽがどうかしたのか?」

 

港湾棲鬼は飛行棲姫にこれまでのいきさつを説明し、チラシを見せてみた。

 

飛行「ほーこれがケーキかー、確かにうまそうだな!」

港湾「うん、でも上陸しようとすると艦娘に攻撃されるし」

レ級「じゃあミサイルでうちこんでやるか」

港湾「えっ?」

中枢棲姫「クォラ!こんなところで油売ってんじゃないわよ!仕事はまだたくさんあるんだからね!」

レ級「主にお前のせいだけどな!」

中枢「うっさい!何してるんだ!早く寝ろ!」

レ級「なんじゃとーー!!」

 

頭にきたレ級はたまたま近くを歩いていた軽巡棲鬼に襲い掛かった。

 

軽巡「なんなのよー!!またなのーー!!」

レ級「だって中枢棲姫が『愛してるッ!早く脱ぐッ!』っていうんだから仕方ないじゃん!これは決してヤラシイ意味じゃないんだ仕方なく」

軽巡「だからってなんで私を脱がそうとするのよ!」

中枢「違うわ!『何してるんだ!早く寝ろ!』って言ったのよ」

軽巡「へーそうなんだ、ってどっちにしたっておかしいじゃないのよ!」

中枢「もうナカノちゃんの裸見たいからそれでいいわ」

レ級「そうだぞ!(便乗)」

軽巡「よくなーい!」

 

しかしそんな馬鹿二人に天罰が下る。

 

中枢・レ級「ゲェーッ!空母棲姫!」

空母「このド低能がーーーー!!!」

アホ二人「「ポゲェ!!」」

 

空母棲姫はアックスボンバーを放った!レ級と中枢は首の骨が折れた!

そしてアホ二人を引きずりながらいずこへと去っていった。

 

港湾「あの、ひーこ?」

飛行「分かってるよ、ミサイルなんてうちこんだらケーキごとふっとばしちまうからな!」

港湾「えぇ・・・、そういう問題じゃなくてそんなことしたら駄目だよ」

飛行「そうだ!あいつなら何とかしてくれるかもしれないぞ!」

港湾「あいつ?それってまさか」

飛行「提督だよ!前にも甘いもん作ってくれたろ。ケーキとやらも楽勝でやってくれるさ」

港湾「で、でもあの人には散々世話になってるしこれ以上迷惑かけるわけには」

飛行「だったらどうすんだよ、私達じゃどうにもならないぞ。たまにはほっぽを喜ばせてやろうじゃないか」

港湾「でも、空母棲姫にまた怒られちゃう・・・」

飛行「あーもうめんどくせえなー!そんなのあとで考えりゃいいんだヨ!」

 

業を煮やした飛行棲姫は港湾棲鬼の手を引いて走り出した。

 

ほっぽ「オネーチャン達お出かけするの?」

飛行「おう、ちょっと散歩してくるから留守番よろしくなー、このチラシをちょっと借りてくぞー」

港湾「い、いってくる。ヒーコ引っ張らないで」

ほっぽ「ふたりで散歩?仲良しなのかな?」

 

北方棲姫はきょとんとしながらふたりが走り去るのを眺めていた。

 

 

提督サイド

 

俺はいつものベンチでくつろいでいた。

この季節はかなり寒さが厳しく外でくつろぐのはかなりキツイものがあるが、いつまた新たな深海棲艦がやってくると思うとこの習慣をやめるわけにもいかないのだ。

寒さに震えながら俺は袋から水筒を取り出し、蓋を外して中身のお茶を注いだ。

冷えた体に熱いお茶が染み渡る。温かいところで飲むのもいいが、寒いところで飲むほうが温かさを感じることができる。

そうこうしているうちに今日も向こうから深海棲艦がやってきた。

今日やってきたのは全身ほぼ真っ白の二人組だ。そしてそいつは俺の顔を見るなりいきなりこう言ってきた。

 

飛行「ヨー提督ー、ケーキクレ!」

「は?」

港湾棲鬼「は、はじめまして提督さん。私は港湾棲鬼です」

「ど、どうも」

 

少女説明中

 

「つまりその北方棲姫のためにケーキを用意しろってことだな?」

飛行「そうわよ(便乗)」

港湾「いきなり来てごめんなさい、でもどうしたらいいかわからなくて」

「まあどうせ暇だったからいいんだけどな」

飛行「ってことは何とかなるんだな!よかったなワンコ!」

港湾「う、うん」

 

二人から説明を聞きながら俺は受け取ったケーキのチラシを眺めていた。

赤い丸が付けてあるのはこれがやつのお気に入りということなのだろう。

しかしこのチラシには重大な問題があった。

 

「このケーキを手に入れるのは不可能だぞ」

港湾「えっ」

飛行「どういう意味?」(申レ)

「予約期限っていうのがあって、何日までに予約しないとだめっていうのがあるんだよ。このチラシは予約期限が1週間前になってるから」

港湾「じゃ、じゃあ今から注文しても間に合わないってこと?」

「まあ、そうなるな」

飛行「そうなるなじゃネーヨ!なんとかならないのか」

港湾「落ち着いてヒーコ、こんなこといきなり頼む方が悪いって」

「ないんだったら自分で作るしかないだろう」

飛行「そんなことできるのか!お前はあれだな!」

「あれってなんだよ」

飛行「あれっていうのはだな、つまり、えーっと、お前は、お前は、お前はアレかー!!」

「何も考えてなかったんかい!」

港湾「ケーキっていうのは分かるんだけど、クリスマスっていうのはなに?」

飛行「そういえば私もよく分かってなかったナ」

「分かってなかったのかよ」

 

まさかクリスマスの意味が分かっていなかったとは思わなかった。

そんな二人にクリスマスについて簡単に説明してやった。

 

飛行「フーン、ようはウマイモンが食べられてプレゼントがもらえる一石二鳥ってヤツダナ!」

「まあだいたいあってるかな、しかしケーキだけならまだしも、ご馳走とプレゼントも用意しないといけないのか」

港湾「ごめんなさい・・・」

「えーい、こうなったらまとめて面倒見てやるよ」

飛行「それで私達はどうすりゃいいんだ?」

「とりあえず用意するものがたくさんあるから、明日また来てくれ、ん!?」

港湾「えっ、どうかしたの?」

飛行「何の問題ですか?」(申レ)

 

さっきは暇だといったが、今になって重大な予定が入っていることに気が付いた。

そう、年末の大規模作戦だ。この時期にクリスマス会など、しかも深海棲艦と一緒にやっている場合ではない。

そのことを二人に話すと

 

飛行「なんだそんなことか、それなら私達にまかせろ!」

「まかせろって一体どうするつもりなんだよ」

飛行「こっちは私達で何とかするから、お前はクリスマスをなんとかしろ。そうだよな!」

港湾「え、う、うん」『どういうことなの・・・』

 

この自信は一体どこから来るのだろうか、しかし今は飛行場姫に任せるしかない。前のような大騒ぎにならなければいいけど。

とりあえず、まだあったことのない北方棲姫のためにいいクリスマスになるよう頑張るとするか。

 

 




正月3が日スペシャル連続投稿その3です。
これも季節に合わせて出したかったのですが、いろいろあって遅れてしまったので頭の中をクリスマスにして見てください(無茶ぶり)。
いつもよりも若干短め、いやこれが普通、なのかな?
いいところで切れたので今日はここまでにしておきます。
もしかしたら明日もう一話行けるかもしれません。
期待せずに待っていてください。

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