「さすがに無理矢理連れて行くのはやばいんじゃないんですか?」
思わず、女の子を連れて行こうとする先輩の腕をつかんでいた。
「何お前、ってか誰だよお前」
チャラ男先輩はさっきまでの媚びるような態度とは一転して不機嫌そうに俺の腕を振りほどいてこちらに詰め寄ってきた。
「言葉どうりですよ。さすがに腕をつかんで無理矢理、未成年飲酒に連れて行こうとするのを俺が学校に報告したら先輩ただじゃすまないんじゃないですか?この過度なサークル勧誘に気をつけてくださいってチラシを作った自治体に電話したほうがいいですかね」
さっき無理矢理渡されたチラシをチャラ男先輩に見せるとさっきまでの威勢とは一転焦った表情で
「ちっ。分かったよ。クッソせっかくめちゃくちゃ可愛い子だったのに、」
チャラ男先輩がどっかに消えていった。ふー〜。チャラいけど話が分かる人でよかった。腐っても私文では名門、本物の馬鹿ではなくて良かった。暴力でこられたら成すすべなかったしな。すると後ろから
「すいません。助けていただいてありがとうございます。私中学、高校とほぼ女子校で男の子と話したことがほとんどなくて、、あんな風に詰め寄られたどう対処すればいいか分からなくて、とても怖かったんです。本当にありがとうございます」
振り返ると綺麗な赤髪がよく似合うとても素敵な女の子が涙ぐみながら立っていた。今まで雪ノ下や由比ヶ浜など芸能人に引けを取らない可愛い子を間近で見てきたが、別次元で引けを取らない美しさだった。不覚にも一瞬見惚れてしまったが、すぐに我に返り
「い、いえ。ではこれで」
綺麗な女性には気をつけろと親父の教えを思い出し、この場から一目散に離れようとした。すると
「あ、あの大変申し訳ないのですが、大学の外まで連れていってくれませんか?」
涙ぐみながら、上目づかいで、裾をちょこんと捕まれてるという三連攻撃に太刀打ちできるはずもなく、首を縦に降っていた。いや、あれだから俺泣いてる人とかいたらめっちゃ助ける人だから。なんなら千葉のアンパンマンって呼ばれるまである。もちろん自称ではあるが。
人混みをなんとか抜け、裾を掴んでいるためたまに立ち止まるといい匂いがしてきて好きになりかける、そんなことは決して決してなく大学の外に出ることができた。
「本当にありがとうございました。私、静岡からきました法学部の桜内梨子って言います。一年生の方ですか?」
「はい、別に大したことしてないんで、ではこれで」
なぜか急に恥ずかしくなり、ぶっきらぼうに返事を返し逃げるように帰ることにした。
「え、ちょっと待ってください。何かお礼をさしてください。」
女の子は引き止めてきたが、この場から逃げることにした。
途中でコンビニに寄り、ようやくたどり着いた。鍵を使ってマンションのドアを開けエレベーターを待っていると
「えっ、なんでここにいるんですか」
振り返ると、さっきの女の子の姿があった。