INFINITE・GREASE   作:オーマピジョン

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一海「ISを動かしてしまった猿渡一海はIS学園に入学することになる。突如学園に現れたスマッシュを倒すために変身するが、苦戦をしいられていたところを会長がビルドとして戦うことで撃破。しかし、ブラッドスタークを名乗る男に俺と会長は倒されてしまう……」

雪兎「ここがINFINITE・GREASEの世界か」

一海「うおっ、誰だお前!?」

雪兎「俺か?俺は天野雪兎。よろしくな!」

一海「悪い奴ではなさそうだな」

雪兎「にしてもビルドドライバーってのは凄いな。実物は最近見たことはあるが、中身は見ていないんだ……解体していいか!?」

一海「いや、無理だから!?ってか、今は会長が持ってるから!?」

雪兎「……チッ、タイミングを逃したか。まぁいい、次あったときに解体させてもらおう」

一海「サラッと怖いこと言うな……」

雪兎「ハッハッハッ、ラビットジョークだ」

一海「どんなジョークだよ!?」

雪兎「おっと、もうそろそろ本編を始めたほうが良いな。第9話・後編、始めるぞ!」

一海「お前がしきるなァ!!」


冷徹のシュヴァルツェア・レーゲン 後編

冷たく暗い部屋で、俺は寝ていた。

人体実験をされた俺は他の人体実験されたヤツらと殴り合いどつき合いをし続けていた。

怪我をしてもお構い無し。メシも最低限しか出されない。

しかし、今日はやけに騒がしかった。扉の向こうではガスマスク共が騒がしくしている。

 

「何で俺達の隠れ家の場所割れしちまったんだよ!」

「知らねぇよ!さっさと逃げるぞ!」

 

すると、爆発音が響いて、寝ていた体を揺らした。ドアが吹っ飛ばされて大きな影が現れた。

ISを纏っていて、水色の綺麗な髪をしている。彼女は、そっと手を伸ばした。

 

「猿渡一海くんね?もう大丈夫よ。お姉さんと一緒にここから出ましょう?」

 

虚ろな意識のまま手を伸ばし、俺はその手を掴んだ。

 

ーーー場面が変わる。

 

『おっと、お前らを逃がす訳にはいかないなぁ』

「貴方は……!?」

 

ワインレッドのコブラ男が俺達の前に立ちはだかった。

 

『ブラッドスタークだ。ヨロシク』

 

ーーー場面が変わる。

 

「一海くん!しっかりして、一海くん!」

 

俺の背中には大きな切り傷があって、スタークのブレードには血が滴っていた。

 

『己を犠牲にしたか。勇敢だねぇ』

「ッ!よくも!」

 

止めろ。戦わなくていい。

それを言えなかった俺は彼女がスタークに立ち向かう後ろ姿を見るしか出来なかった。

 

ーーー場面が変わる。

 

「に、げて……一海くん……!」

 

ISを解除され、傷だらけになった彼女はスタークに連れ去られようとしていた。なのに、俺は動けない。背中の傷が俺を邪魔していた。

 

『丁度いい。今後の為にお前にもガスを注入させて貰おう』

 

俺は彼女に手を差し伸ばして、掴もうとする。

彼女の手を掴んだその瞬間だった。

 

『精々ハザードレベルを上げる事だな、猿渡一海』

 

スタークがその手を無理矢理引き剥がして連れ去っていった。俺はその手を地面に叩きつける。

 

「約束を……守れなかった……!」

 

震えた声を無意識に出していた。目には涙が溜まり、体が小さく震える。強く握った拳から血が流れ出した。

 

「畜生、ちくしょう……!」

 

これが一年前の出来事の1部の記憶。彼女と、更識楯無と俺は確かに繋がりがあった。

 

***

 

「グッ……!ここは…?」

 

目を覚ますと、俺が医務室のベットで寝ている事に気づいた。時計を見ると、既に深夜になっている。思い出されるのは謎のスマッシュ、ビルドに変身した会長、コブラ男ことブラッドスターク。

 

「そうだ、会長は……」

 

会長の事を考えると、夢の内容が浮かんできた。一年前、俺は会長に助けられたんだ。なのに、俺は何もかも忘れたまま会長といたんだな。

 

「悪い事……しちまったな」

 

ポツリと呟く。今度会長にあったら謝らないとな。で、ちゃんと話し合って、仲直りを……

 

ーー 違いに気づいたお前は思ったんだろう?更識楯無とは、分かり合えないと。分かり合おうとしても、無理だと

 

スタークの言葉が俺の心に突き刺さった。否定する事は出来る。だが、スタークの言葉は確かに俺の本心をついていた。

 

ガラガラ

 

扉が開く音がした。気になってベットから降りて、カーテンをどかして顔を覗かせる。医務室にやって来たのは会長だった。

 

「会長、来てくれたんすか?今結構遅くなのに」

「えぇ、一海くん、怪我が多かったから」

 

……言うべきなのだろうか。一年前の記憶の一部を取り戻したって。突然言っても戸惑うだけなのでは?それに……約束についてを思い出せてない。俺が悔しがる程の約束だ。とても重要に決まっている。

 

「あ、そうだ会長。ビルドドライバー返してくれませんか……?」

 

俺がそう聞くと、会長は表情を変えた。とても真剣そうだけど、悲しそうな表情を。

 

「ゴメンなさい、一海くん。アレは返せれないわ」

「な、何でっすか?俺も皆と一緒にスマッシュやファウストから皆を守らなくちゃいけないんすよ」

 

頑なな会長に俺は少し戸惑いを感じてしまう。今の会長は何処か様子がおかしかった。

 

「大丈夫よ。お姉さんが1人で頑張るから」

 

心がズキリとする。今の会長は以前の俺の様だった。1人で背負い込んで、無理をしすぎる。無人機の1件で俺はそれの解消が出来たが。

 

「一海くん、私は生徒会長なの。私にはIS学園を守る義務がある。一海くんもその1人なの。……皆を守る為なら私は何だってする。私の覚悟に他人を巻き込ませる訳にはいかないのよ」

 

何故か、聞いているとむしゃくしゃしてきた。腹の奥底に黒くて重い何かがどんどん募っていく。

 

「大丈夫よ、一海くん。私は1人で構わない」

 

それを聞いた俺は口を開いて何かを言おうとする。しかし、何も言う事が思い浮かばずにいた。でも、腹の何かは蠢くばかりである。

 

「……そうやって、前みたいに…」

「……?」

 

俺は自然と声を出していた。それはとても震えていて、何かを怖がる様な感じだった。

 

「一年前みたいに、1人で無理して傷つくのかよ!」

 

俺は衝動的に大声のタメ口で言っていた。会長も驚いている。多分、大声で言った事じゃなくて、俺が思い出した事に。

 

「一海、くん。一年前の事を……」

「あぁ、そうだよ、思い出したんだよ!ンだよ、1人でスタークに挑んで、負けて!俺だけ逃がそうとして!取り残されたコッチの気分にもなってーー」

 

溢れかけていたモノが一気に吐き出される。今の会長の事が許せないのか。それとも、かつての俺が気に入らないのか。とりあえず、言葉に言葉を紡ぐ中、俺はそれを見た。

 

「……何で、泣くんだよ?」

 

会長の涙。初めて見た。ごく普通の女の子みたいに一滴の涙を綺麗な目から流していた。

 

「ッ……!?」

 

無意識的に流していたのか、顔を背けて涙を隠す会長。何故か俺は、それを見ていて罪悪感を覚えていた。

 

「……もういい。勝手にしろ、バカ会長」

 

医務室を乱暴に出る俺。俺の心の何処かでは後悔の念があった。

 

***

 

「………」

「………」

 

氷室幻徳はパラリ、パラリとベットの上に座って書類を捲る。もう一つのベットにはシャルル・デュノアがいた。

 

「……ねぇ」

「どうかしたか?」

 

スマッシュ化し、倒された後、気を失っていたシャルルは部屋に戻り、幻徳と1時間近くこうしていた。シャルルが幻徳を呼ぶと、幻徳は書類を読みながら答えた。

 

「僕を、どうするつもりなの?」

「……どうする、か」

 

幻徳は書類を置くと、1度大きく伸びをした。その表情は心底どうでも良さそうな顔である。

 

「どうもしないさ。学園のヤツらに言う訳でもないし、お前を殺したり脅したりもしない。ただこれまで通りにするだけだ」

 

それを聞いたシャルルは目を見開いて驚いた。普通なら何かする所を幻徳は何もせずにいるだけであった。

 

「だが、俺の本性は秘密にしてもらうぞ。怪しまれたら堪らん」

「ど、どうして……?どうしてそんな事を……」

 

シャルルに理由を聞かれた幻徳はベットに置いてあった書類を拾って掲げた。

 

「俺の部下にお前の出生とデュノア社について調べてもらった。デュノアが秘密裏にとある企業の傘下に入っているのも分かった」

 

幻徳はスラスラと書類の内容を纏めながら話し出した。シャルルはデュノア社が他の企業の傘下になっているのは知らなかった。

 

「お前にそのボトルを渡したのもその企業の命令なんだろうな。愛人の娘で、適正が高かっただけで駒のような使い用……虫酸が走る」

「……ねぇ、幻徳ってその企業に恨みでも持ってるの?」

 

幻徳は表情に怒りを混ぜながら話を続ける。不審に思ったシャルルは幻徳に質問をする。幻徳は憎たらしそうな顔をしていた。

 

「あぁ、憎いさ。俺の人生を根本的な所から台無しにしたからな」

 

幻徳は怒りを紛らす為に冷めてしまったコーヒーを一気飲みする。ちなみにブラック。ミルクと砂糖を使うのは苦味を紛らす為の逃げだと思っている。……要はプライドである。

しかし、幻徳はコーヒーを作るのがインスタントだろうが下手である。つまりーー

 

「〜〜〜〜〜ッ!?」

 

とても不味い。しかし、プライドの高い幻徳は不味さに必死に耐える素振りをしていた。隠しきれていないが。それを見たシャルルはプッと吹き出してしまう。

 

「幻徳はプライドが高すぎだよ。もっと柔軟に対応しないと。あ、ミルクと砂糖ってどこ?」

「ぐっ……そういうお前は考えが消極的だ。もっと他人に力を借りる事を考えろ。……そこの引き出しだ」

 

シャルルは引き出しからミルクと砂糖を取り出すと、幻徳のコーヒーに入れようとするが、その前に自分の分とおまけにシャルルの分に入れた。

 

「……お前の人生だ。他人なんかに使うなら、もっと自分の為に使ってあげろ。お前の母親も、そう思っているはずだ」

 

幻徳は二人分のコーヒーをレンジに入れると、温め始める。

 

「……ありがとう、幻徳」

 

変な気分だ。と幻徳は思いながらレンジの中を覗いていた。

 

***

 

スマッシュの騒ぎから数日。俺は腹の底に黒い感情を溜めたままていた。たまにクラスメイト達から心配された。

あと、氷室とシャルルが仲良くなっていた。理由は分からないが。

 

「ねぇ、カシラ。本当に大丈夫なの?」

「大丈夫だよ。心配する事はねぇ」

 

聖吉が俺の心配してくるが、俺は普段通りに返す。我ながら完璧な演技だ。そう簡単に分かるわけがあるまい。

 

「嘘つけ」

 

すると、修也がイライラした様子で割り込んできた。

 

「カシラ、スマッシュの一件から会長と別々の部屋になったし、様子もおかしくなった。嘘つくのがヘタなんだよ、カシラは」

 

修也は俺を強く見ながら問いかけてきた。誤魔化しが効くことは無理そうだった。俺は両手を挙げて降参のポーズをとった。

 

「あー、負けだ。分かったよ、話すよ。……スマネェ、1人でまた考え込んじまって」

「分かりゃいいんだよ。カシラは俺達がいないとダメなんだからな」

「とりま移動しながら聞こうぜ!」

 

修也は胸を張って言うと、聖吉や勝を連れて教室を出た。歩きながら俺は経緯を話し出す。スマッシュの事、一年前の事、会長と喧嘩した事。言える事は全て言った。

 

「なるほど分からん」

「いや、分からねぇのかよ」

 

勝が頷くが、言っていることと真逆なので修也にツッコミを入れられる。

 

「カシラは会長と仲直りをしたいんだよな?だったら謝れば良いだけじゃ……」

「それは違うよ、赤ちゃん。カシラは会長さんに1人で背負い込んでほしくないんだよ」

「なのに、それをカシラは強く言っちまった……って事だよな?」

 

勝の意見に聖吉と修也が指摘をする。ぐ、実際に言われるととても痛い。しかし、言っていることは事実だ。

 

「成程!でも、会長が頑なになる理由が分からないなぁー……」

「それが分かったらどれだけ楽か……」

 

勝が頭を掻きながら悩んでいると、修也が頭を抱える。三羽ガラスがため息をしている所を見ると、俺の為に力になろうとする事が嬉しかった。

 

ドゴォンッ!

 

「「「「!?」」」」

 

突然の轟音に俺と三羽ガラスは驚く。音がしたのはーー第3アリーナ。俺達がいる所からすぐ近くだ。聖吉が少しパニックになっている。

 

「何かあったの!?」

「とりあえず行くぞ、テメェら!」

「「「ウス!」」」

 

***

 

「その手を離せ!」

 

一夏は激怒していた。ラウラが、鈴とセシリアを必要以上にいたぶっていたからだ。

アリーナのシールドバリアを突き破ってラウラに特攻する一夏。しかし、何かしらの力のせいで動けずにいた。

 

「ふん、感情的で直線的、絵に書いた様な愚図だな。ーーー失せろ」

 

大型のレールカノンが一夏に向けられる。

 

「くっ……!」

 

当たる事を覚悟したその時だった。ピットから何かが急接近でやって来た。

 

「ドラァァァァァ!」

 

訓練機のラファールを纏った一海である。一海は瞬時加速を行うと、蹴りの体勢をした。

ラウラはそれを簡単に避けると、一夏が謎の拘束から開放される。

 

「テメェ、俺達のダチに何してんだゴルァ!」

 

一海は怒りを宿した瞳でラウラを見る。しかし、ラウラは動じることは無く、2人を冷ややかに見つめるだけだった。

 

「貴様に分かるまい。織斑一夏がしでかした事の意味を」

 

ラウラがそう言うと、一海はギリッと歯軋りを立てた。

一夏から話は聞いている。第2回モンドグロッソの際に拉致された一夏は抜け出してまで救出へ向かった千冬に助けられた。モンドグロッソ2連覇を逃すと言う代償を払って。

ラウラは一夏が誘拐されなければ千冬はモンドグロッソ2連覇を達成出来たと考えているのだろう。

 

「ざけんじゃねぇ……!」

 

しかし、一海は知っていた。その事に関して1番落ち度を感じているのは紛れもない一夏本人である事を。

 

「一夏だって苦しんでんだよ!」

 

一海は吠えると、戦闘態勢に入る。ラウラも大型カノンを一海に向けていた。

 

『待て、戦闘は中止しろ』

 

しかし、第三者が仲裁を入れた。メガホンを持った内海である。

 

『聞こえなかったのか?戦闘を中止しろ。なお、アリーナの使用もタッグマッチまで使用を禁止とする』

「……分かりました。一夏、行くぞ」

「お、おう……」

 

一海は内海の命令を素直に聞き入れると、一夏や傷ついた鈴とセシリアを連れて立ち去ろうとする。一海はラウラを一瞥した。

 

「お前と決着をつけるべきなのは一夏だ。だが、言わせてもらうぜ……人への恨みに他人を巻き込むな」

 

一海はそれだけ言って立ち去っていった。ラウラは「フン」と反応するだけして、その場を立ち去った。

 

***

 

「………」

 

楯無はベットに寝そべったままぼーっとしていた。頭の中は一海との喧嘩の事である。

 

「ねぇー楯無〜。その一海?だっけ?その子と仲直りした方が良いよ、絶対」

 

パジャマ姿にツギハギだらけでつぶらな瞳が特徴的なウサギのぬいぐるみを持ったルームメイトが楯無に一海との仲直りを促す。

 

「でも、私は……」

 

楯無は一年前に一海と約束をした。しかし、それに自身が甘えてしまったが故に一海を傷つけてしまった。これ以上他人を巻き込む訳にはいかない。生徒会長として、更識の長として。

 

「楯無はもっと自分に素直になった方が良いよ……」

「ありがとうーーー美空」

 

楯無はルームメイトの『石動美空』に感謝した。彼女の腕には黄金のバングルが巻かれていた。




前書きにてミストラル0さんの作品「IS―兎協奏曲―」の主人公・天野雪兎が登場してくれました!ミストラル0さん、ありがとうございます!オリジナル機体がたくさん登場し、「スゲーイ!ヤベーイ!」なアイデアばかりです。憧れます。

活動報告にて、募集を幾つかしています。誰でも大歓迎なので是非参加してください。

さて、二巻編も終盤に差し掛かりました。この調子で頑張ります!

では、次回予告へGO!

***

次回、INFINITE・GREASE!

タッグマッチ戦、開幕!

幻徳「僕は一海くんと組むよ」

一海「俺はタッグマッチに出る気はねぇよ」

ファウストの魔の手が、再びIS学園に!

??「これでチェックメイトです」

そして、一海の記憶が完全になったとき……

一海「俺と約束したじゃないですか」

一夏「変身!」

新たなるヒーローが誕生する!

一海「変身…!」

『ロボット・イン・グリス!』

第10話 黄金のヒーロー

グリス「心火を燃やして、ぶっ潰す!」
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