??「よう、遊びに来たぜ!」
一海「お、お前は、エビフライ!?」
龍我「龍我だよ!万城龍我!」
一海「嘘だよエビフライ。向こうの作品のあらすじ以来だな(INFINITE・CROSS-Z本編32話参照)」
龍我「ちゃっかりエビフライ呼び固定すんな!このバカズミ!」
一海「ア?テメェ、呼ぶならカズミンって呼べやゴラァ」
龍我「呼ばねぇよ!ってか、お前ベルトはどうしたんだよ」
一海「それは……どうなる、第10話!」
龍我「逃げんなよカズミン!」
一海&龍我「「あ」」
一海「……言ったな?」
龍我「言っちゃった……」
「やった……やったぞ!ついに完成した!」
難波重工の研究室の一角で葛城巧は歓喜の声をあげていた。彼の前にはとあるドライバーが置いてある。
「後はゼリー化に一番適合率の高かったロボットとドラゴンを………あ」
葛城はノリノリで次の作業に移ろうとするが、決定的な事に気がついた。
「両方、IS学園だ……」
現在ロボットフルボトルは一海が、ドラゴンフルボトルは楯無が持っている。つまりIS学園に向かわなければならない。
「まぁ良い。結局一海くんにロボットの方を渡すのだから。うん」
決して面倒くさいとか考えてはいない。科学は地道な作業が大切なのだ。
「だが、問題はドラゴンの方だ。楯無さんがドラゴンを使っているが、アレは無理矢理適合しているだけだ。ドラゴンとの適合率の高い人間が、いればなぁ……」
考えていてもしょうがないと結論づけた葛城は早速IS学園へ向かう準備を始める。
学年別トーナメント前日の午前の出来事だ。
***
「お前らなぁ……挑発ぐらいスルーしろよ」
ラウラ襲撃から1時間。俺は鈴とセシリアを説教していた。話を聞けば、ラウラの挑発を物の見事にノッてしまったらしい。
「だって、言わればっかは悔しかったし……」
「一海さんだって以前三羽ガラスの事を馬鹿にされて怒ってたじゃありませんの!」
鈴とセシリアが抗議し始める。逆にやられて包帯ぐるぐる巻にされて言われても言い訳を言っているようにしか聞こえなかった。
「いや、お前らだって一夏の事バカにされたら嫌だろ?」
「「うぐっ」」
「そーゆー事だ。分かったなら絶対安静。わかったな?」
俺はため息をつきながら医務室。現在三羽ガラスや一夏、氷室にシャルルもいた。
「説教は終わったかい?」
「そんな大層なもんじゃねぇよ。ったく、ゆっくりする暇もねーな」
氷室が冗談っぽく聞くと、俺は凝っている肩を揉むような動作をしながら愚痴をこぼす。
すると、地響きに似た音と震えが感じ取れる。俺達男子一同はそれに気づいており、狼狽えていた。
「な、なになに!?」
「扉の向こうからだな」
「見に行こうぜ!」
聖吉、修也、勝の順で驚きの声を出しながら扉へ向かった。
音と振動は医務室に近ずいてくる。それに気づかず3人は扉に恐る恐る近ずいた。
ドカーン!
「「「のわー!?」」」
誇張とか、比喩無しでドアが吹き飛ばされた。無論ドアの前に立っていた三羽ガラスはドアに直撃してドアの代わりに吹っ飛ばされる。
「さ、三羽ガラスくぅぅぅぅん!?」
氷室が吹っ飛ばされて宙を舞っている三羽ガラスを見ながら叫んだ。地面に着地した3人はその場で伸びていた。
「織斑くん!」
「デュノアくん!」
「猿渡くん!」
「氷室くん……は無理だったね。残念」
ぶっ飛ばしたドアから女子が雪崩込んできた。伸ばされた手はさながらホラー映画の一場面だ。
『これ!』
女子一同が取り出したのは申込書だ。それは緊急告知文が書かれており、明日の学年別トーナメントについての物だった。俺は女子生徒の1人の髪を取ると、内容を読んでみる。
「えーと、『二人組の参加が必須』?」
何故?と思ったが、無人機やファウストが襲撃する可能性を考えると、2人よりも4人で行った方が襲撃の際に対応がしやすい。流石教師陣。考えたな。
「お願い、織斑くん!私と組んで!」
「デュノアくん、私と一緒に出よ!」
「猿渡くん、 お前が代表戦に出ないのは勝手よ。けどそうなった場合、誰が代わりに組むと思う?……氷室くんよ。氷室くんはクラス代表戦の件で貴方に負い目を感じてるはずよ。だから貴方がやらなきゃ自分から手を挙げる。けど、今の彼じゃ専用機持ちには勝てない。そうなればIS学園の連中は寄ってたかって氷室くんを責める。貴方が出るしか無いのよ」
申込書の内容を読むと、女子達が一斉に誘いの言葉を投げかけてくる。俺達男子は反応に困っていた。
「皆!……誘ってくれてありがとう。でも、僕は君達の誘いに乗れない。何故ならーーー」
すると、氷室が大きな声で女子達を静止すると誘いを断った。氷室はそのまま俺を見た。
「僕は一海くんと組むよ」
しん……と静まる医務室。静まる室内に氷室は「ハハハ……」と苦笑いをする事しか出来なかった。って、俺なの!?
「そ、そっか……うん、それならしょうがない」
「で、でもまだ織斑くんとデュノアくんがいるから問題は……!」
「あ、シャルルは一夏と組むそうだよ」
また沈黙。女子生徒の大半がかなりしょげてる。ってか、俺そんな話聞いてないぞ。
「そんな、全滅だなんて……」
「ウソダドンドコドーン!」
「まぁ、無理ならしょうがないか」
「退散、退散!」
諦めた女子達がゾロゾロと医務室から出ていく。全員が帰っていくと、氷室がため息をついた。
「はぁ、ヒヤヒヤした……!」
「おい、幻徳!何で俺とシャルルを組ませたんだよ!」
すると、一夏が氷室に詰め寄ってきた。氷室は苦笑いをしながら一夏を両手で制する。
「とりあえずここはまずいから場所を変えよう。付いてきてくれ」
氷室は医務室から出ていこうとする。一夏が俺を目で「どうする?」と訴えてきたので肩を竦めた後、三羽ガラスを起こしに行った。
***
『シャルルが女!?』
氷室とシャルルの部屋で俺、一夏、三羽ガラスがほぼ同時に驚きの声を出した。
氷室曰く、シャルルはデュノア社の命令で男装して男子操縦者からデータを盗む様に言われてIS学園に来たらしい。
「そういう事さ。もしシャルルが他の女子と組んだら正体がバレる可能性がある。それに、一夏くんは専用機持ちだ。勝率は高い方が良い」
氷室は不敵に笑いながら俺達に説明した。成程、氷室の奴も考えたな。そんな氷室に拍手を送ろうと思う。パチパチパチ。
「それで良いかい、シャルル」
「うん、僕はそれで平気だよ」
「……ありがとう」
氷室がシャルルに了承を得ると、微笑んで感謝した。微笑みが眩しい。またイケメンがイケメンしてやがる。
「一海くんもすまない。勝手に組ませてしまって。僕は体が弱いから出れないのに……」
「かまわねぇよ。 事情が事情だからな。それに、俺はタッグマッチに出る気はねぇよ」
それを聞いた時、三羽ガラスが目を見開いて驚いた。口はポカーンと開いたままで見つめている。顎が外れそうだ。
「カシラ出ないのか!?」
「カシラなら『祭りだゴラァァァ!』とか言ってはしゃぐと思ってた……」
「ってか、どういう風の吹き回しだよ」
勝、聖吉、修也の順で俺を問い詰めてくる。ワケを話すのはとても気が引ける。
……会長と仲直り出来てないのに、トーナメントに参加しても楽しい思いもできないし、ベストコンディションで挑む事は出来ないと思う。他人に迷惑はかけたくない。
「あー、あれだ。俺ISそこまで強くねぇし、組む相手もいないのに参加する訳にはいかないからな。……専用機があったら考えが変わってたかも」
本元の理由は話さず、他の理由を出してとりあえずこの場は逃れる。三羽ガラスは納得のいった顔をしていた。
「学年別トーナメント、楽しくなりそうだね。とても、『楽しく』」
氷室の謎に含みのある台詞に違和感を覚えながらも俺達は解散となった。
***
「あ、一海くん、ヤッホー」
ラウラ襲撃から数週間後、学年別トーナメントの前日、部屋に何故か葛城さんがいた。
「か、葛城さん、何でいるんすか……?」
「ん?君に用があって来たんだけど、鍵がかかってたから開けて君が来るのを待ってた」
「スナック感覚で不法侵入された!?会長みたいな発想しないでくれよォ!」
俺が嘆いていると、葛城さんが「天才に不可能は無いのさ」と言いながら機材を操作していた。
「さて一海くん。ロボットフルボトルを貸してくれないかい?アレが必要なんだ」
「良いっすけど……何をするつもりっすか?」
俺はポケットからロボットフルボトルを取り出して葛城さんに渡すと、葛城さんはそれを機材にはめる。チューブに黒い液体が流れ、機械を通ってからゼリー容器に入った。すると、無地のゼリー容器に色が宿し、絵柄が入った。
「何だこれ……?」
「スクラッシュゼリー。このドライバーで変身するためのアイテムさ」
葛城さんはアタッシュケースを開けると、そのドライバーを見せた。
水色の本体カラーに黄色のレンチ。ビーカーがついていて、ボトルやゼリーを入れるスロットの左右にはプレス機の様な物があった。
「スクラッシュドライバー。ボトルの成分を通常の120%引き出す為の変身装置さ」
葛城さんはそれを置くと、ノートパソコンを開いて、電源を起動。スクラッシュドライバーの設計図を見せた。
「フルボトルはスマッシュから成分を抜き取って浄化させる事で完成する。そして、そのボトルの中で1番ゼリー化の適正があったのが、ロボットとドラゴンって事なのさ」
ドライバーの設計図の次に棒グラフを開く。「dragon」「lock」「phoenix」「robot」の表記があるのでボトルのゼリー化の適合率を表しているのだろう。棒が多すぎて数えるのが億劫にも感じる。
「……これで俺って変身出来ますか?」
「ん?君が?ちょっと待ってね……」
葛城さんの答えを聞く前に俺はドライバーを腰に巻いた。ゼリーの蓋を正面に合わせると、スロットにはめる。
「ファッ!?ちょ、一海くん!?」
葛城さんが変な声を上げるが、時すでに遅しだった。
「グアアアアッ!?」
身体中に電撃が走る。余りの痛さに俺は倒れてしまった。
「まだハザードレベルが到達していなかったか……!一海くん!しっかりしろ、一海くん!」
葛城さんの声が遠くなっていく。薄れる意識の中で俺は声を聞いた。それはとても鮮明に聞こえる。
「思い出せ、『俺』。あの人との約束を」
それは、紛れもない俺自身の声だった。
***
「対暗部用鞍部……?」
「そう。ファウストも裏社会で悪さする暗部だから難波重工と協力して倒しに来たってこと」
一年前。俺はISを纏った楯無さんに抱えられながらファウスト(俺を拐った組織だと思う)の隠れ家から抜け出そうとしていた。
ーーーそんな俺を、俺は見ていた。
「凄いっすね。俺より一つ上なのに。家の当主なんでしたっけ?尊敬するっす。俺なんて、農家の息子なだけで、年齢とか、立場とか、関係無くバカして笑ってばっかっすから。俺がちゃんとしないといけないのに……」
ついつい弱音を零してしまった。楯無さんが年上ってだけで甘えてしまっているのかもしれない。いや、確かにタイプですけど……。
ーーーあの人、いたずらっぽい所さえ無ければどストライクなんだよな。
「……一海くんの事、ちょっと羨ましいかも」
「え?」
「当主としての覚悟は出来ている。でも、立場とか関係無しに皆と笑いたいと思っちゃうの。人と仲良くはなれるけど、いつかは立場に邪魔されちゃう」
それは、孤独故の寂しさや悲しさだった。俺はそれを見て何故か見捨てたくないと思えた。
ーーー生徒会長で、大きな家の当主で、学園最強。本当の意味で『平等』な相手なんていなかったんだ。
「……1人で悩まなくて良いですよ」
「え?」
「1人でいなくて良いんですよ、楯無さんは」
自然と答えは出ていた。あの人はただの気まぐれで本音を呟いたのだろう。でも、それで行動するには十分な理由だ。
ーーー思い出せた。俺は、あの人を助けたかったんだ。ただの『友達』として。
「約束します。俺、何があっても楯無さんを1人にしません! 立場とかそんなの関係無しに、俺は楯無さんの味方です!」
これが、俺が今出来る事。
ーーーこれが、俺が今すべき事。
「……ふふっ、ありがとう、一海くん。私、本当に嬉しい」
「喜んで貰えて何よりっすよ。だってーー」
ーーー俺が強くなりたい理由、それは。
「家族を、友達を、仲間を守る事が、俺のたった一つの希望ですから」
***
「……みくん……ずみくん……一海くん!起きてくれ!緊急事態だ!」
目を覚ますと、葛城さんが俺の体を揺らして起こそうとしていた。窓から日差しで部屋の中が照らされているので次の日になった事が分かる。
「葛城さん……?俺、学年別トーナメントに出場できませんし、しませんよ……?」
「そんな事三羽ガラスくんから聞いたから知っている!ファウストだ!ファウストが混乱に乗じて襲撃をしてきたんだ!」
ファウストと言うワードを聞いてガバッと起き上がる。眠気を吹っ飛ばした俺はロボットフルボトルを掴んで自室を出ると、全速力でアリーナへ向かっていった。
「あ、待って、一海くん!ドライバーが………」
葛城さんの静止を聞く事が出来ぬまま俺は走っていった。
***
「クソ!何だよコイツら!」
「文句言うな体動かせ!」
「カシラは来ないの〜!?」
アリーナでは乱闘が繰り広げられていた。
先程まではVTSを起動させてしまったラウラと一夏達が戦っていたが、今度は謎のハードスマッシュが現れたのだった。
「俺達3人でどうにかするしかねぇ!」
「IS組は全員動けそうにないからな!」
「ファイト!イッパーツ!」
三羽ガラスは互いに鼓舞し合いながら8体の敵を相手にしていた。
「成程、彼等が猿渡一海の駒と言う訳ですか……こんな奴らを使う事が理解できない」
三羽ガラスと8体の敵から離れた所には王のような見た目をしたハードスマッシュが高みの見物をしていた。
「これじゃあジリ貧だ!本体を叩くぞ!」
「「おう!」」
赤羽の指揮に青羽と黄羽は賛成した。赤羽が先陣切って突撃する。しかし、敵……『チェスハードスマッシュ』は動じることは無かった。ちなみにこの姿は「キング」と呼んでいる。
「ポーンA、ルークにプロポーション。こちらを防衛」
チェスが命令をすると、一体の兵士のような見た目をした「ポーン」と呼ばれる個体が反応して、チェスの前に立つ。すると、その姿が城や戦車を彷彿させるような形態「ルーク」へと変化した。
ガキンッ!
「………」
「硬い!?グアッ!」
キャッスルの右ストレートがルークに直撃するが、一切動かず、その場で直立したままでいた。ルークはそのままキャッスルをパンチした。すると、2体のポーンがルークを加勢する。
「後ろに用心ーーー」
「ポーンD、ナイトにプロポーション。エネミーBの対応」
チェスの後ろに回って攻撃しようとするスタッグ。しかし、騎士、騎馬のような見た目をした形態「ナイト」がその攻撃を受け止めて、反撃を当てた。更にポーンともう一体のルークが加勢に入る。
「上からは、どうだ!」
「ポーンG、H。ビショップで迎撃」
オウルの上空からの突進。しかし、2体のポーンが僧侶、魔法使いのような見た目をした「ビショップ」と呼ばれる形態となる。2体のビショップは遠距離からの攻撃でオウルを墜落させた。
「全てが私の思う通りに動く。まるで盤上の出来事……」
「「「うわぁ!!」」」
まるで戦場にいる王が如く指揮を執るチェス。三羽ガラスは数と戦略による猛攻に耐えきれず、やられてしまった。
「数にものを言わせやがって……!」
「勝てないよこんなんじゃ……!」
「弱音吐くな!まだ負けてねぇ!」
「負け犬の遠吠えを……見苦しいですよ」
チェスは呆れる様にため息をつく。三羽ガラスの絶体絶命。
すると、ポーンの背後から青炎が直撃した。ポーンは爆散していく。青炎を放ったのはキードラゴンフォームに変身した楯無だった。
「その形態で私の相手ができるんですか?」
「するに決まってるじゃない」
「減らず口を!」
迫りくる七人の敵を楯無は次々と受け流していく。ドラゴンの拳がポーンを撃破した。更にビショップ二人を鎖で縛ると、火炎弾で爆砕する。8体の内4体を倒した楯無。しかし、チェスは冷静なままだった。
「流石学園最強……切り札を切らせていただきましょう。これでチェックメイトです」
指をパチンと鳴らすと残り4体の姿が変わる。王妃のような見た目の形態「クイーン」である。
「姿が変わっただけでーー」
楯無が構える前にクイーンの一撃が叩き込まれた。体が宙に浮くが、もう一体の追撃で地面に叩き込まれる。更に3体目の蹴りで壁に激突し、最後の1体が首を掴んだ。
「ぐっ……うぅ……!」
「クイーンはどの形態をも上回る最強の形態。火力だけが取り柄のキードラゴンで倒せる程ヤワじゃ……無い!」
チェスは楯無からビルドドライバーを腰からもぎ取った。変身が解けて、生身の楯無に戻ってしまう。
「さて、終わりにしましょう」
クイーンの首を絞める力が更に強くなる。楯無は苦しさの中で死期を悟っていた。
「止めろォォォォォ!」
一夏がチェスに飛びかかった。チェスは掴んで離さない一夏を無理矢理剥がすと、頬を殴った。
「ぐあっ!」
地面を転がる一夏。鼻で笑うチェスだったが、その手にビルドドライバーが無いのに気づいた。
「お前が欲しいのは、コレか?」
一夏の手にはビルドドライバーがあった。生身の、ただの人間にしてやられてプライドを傷つけられたチェスは一夏に殺気立つ。
「ダメ……それは、貴方には、使えない……!」
「やってみないと分かりません!それに……ダチが、一海が守りたい者も守れずに終わるのは嫌なんだよ!」
『ドラゴン!ロック!ベストマッチ!Are you ready?』
一夏がベルトを装着すると、既にささっていた2本のボトルが反応する。一夏はレバーを回すと、ファイティングポーズをとった。
「変身!」
『封印のファンタジスタ!キードラゴン!イェーイ!』
葛城、一海、楯無と続き、一夏が変身した。それには一同が驚愕する。
「バカな……!?貴様にもハザードレベルがあるのか!?」
「知るか!ウォォォォォオ!」
チェスに迫る一夏。チェスは楯無を抑えている個体以外のクイーンに一夏を倒すように命令する。クイーンの一体の拳が一夏に放たれる。しかし、一夏はそれをギリギリで避けると、逆に拳を叩き込んだ。
「オルァァァァァ!!」
吹っ飛ばされるクイーン。チェスは心の中で「有り得ない」と呟いていた。クイーンはベストマッチの拳1つで圧倒される様な形態では無い。
「コイツ、ボトルとの相性が良『過ぎる』のか……!?」
「今の俺は、負ける気がしねェェェェ!」
青い炎を纏ってクイーンに肉薄する一夏。楯無のようにフィールドバックの影響は無く。クイーン3体を相手にしていた。
「くっ……、ふ、フフフ……!織斑一夏!更識楯無はどうなっても良いのか!?」
「ナニッ!?」
チェスは楯無を人質にした。予想外だった一夏は動きが鈍ってしまう。その隙をついてクイーン達が反撃を仕掛け始める。
「グッ、クソォ……!」
「ハハハッ!所詮は私の盤上の出来事!猿渡一海の駒に過ぎない存在共が、私に負けるはずが無い!」
高らかに笑うチェス。踠く楯無だが、クイーンの腕力には叶わず、寧ろ首を掴まれる力が少し強くなってしまう。楯無は自然と己を責めていた。
ーー自分がすべき事を他人にして貰ったが故の結果だ。もう二度と、守る為に他人に甘える事はしないと決心したのに。
「楯無さんを離せ、コノヤロウ!」
聞き慣れた声が、楯無の耳に届かれる。声の聞こえた方を見ると、一海がボトルを握ってこちらへと来ていた。
「オラァ!オラァ!オラァァァ!」
ボトルを握った拳でクイーンを殴る一海。しかし、クイーンはビクともしなかった。
踏み込んで放たれる拳。クイーンはそれを掴むと、一海を上へと持ち上げーーー地面に叩きつける。
「グハァッ!?」
顔面が地面に接触。口の中が切れて、血の味が広がり、鼻からは血が流れてくる。だが、一海は諦めず、立ち上がった。そして再び拳を叩き込む。それでも、クイーンが動く事は無い。
「止めて、一海くん……貴方がそんな事、する必要なんて無いから……」
「何言ってるんですか、会長……俺と約束したじゃないですか。アンタを、1人にしないって……背負う必要なんて無いって……俺はアンタの、味方だって!」
拳から血が流れ始める。皮膚は剥がれ、肉が剥き出しになり、更に傷は深くなる。なのに、一海は殴る事を止めなかった。
「再起!」
一撃が強くなる。
「不屈!」
衝撃は大きくなり、より洗練されたモノとなる。
「前進!」
赤く染まりきった拳は鉄のように固く握られていた。
「俺はもっと、強くなるウウウウウウウウウッ!!!」
一海の拳はクイーンに食い込み、大きな衝撃を生んだ。クイーンはぶっ飛ばされ、爆散していく。開放された楯無を一海は受け止めた。
「すみません、楯無さん。助けるの、遅くなりました……!」
「一海くん……もう、人の事言えないくらい無理しすぎ!もう!もう……!」
楯無の瞳に涙が溜まっていく。一海は苦笑いをしながら血に濡れてない方の手で頭を撫でた。
駆けつけた葛城は先程の出来事を見て、歓喜していた。
「エクセレント!遂に覚醒したか!一海くん!」
葛城は一海を呼ぶと問答無用でアタッシュケースを投げ渡した。一海は少しビックリしながらそれをキャッチする。
「変身だ!君ならそれを、使いこなせる!」
それを聞いた一海はアタッシュケースを開けた。中にはスクラッシュドライバーとロボットスクラッシュゼリーがある。
「会長……見ててくれないか?俺の、変身」
『スクラッシュドライバー!』
ドライバーを装着した一海はゼリーを持っている方とは逆の手でゼリーの蓋を正面に合わせる。そして、ゼリーを上へ投げ、半回転して上下反対になったゼリーをキャッチしてドライバーのスロットにはめた。
『ロボットゼリー!』
前回はめた時は電撃が走り変身出来なかったが、今度は成功していた。
一海は人差し指を頭の前まで持ってくると、指先を前に向けた。
「変身」
レンチに添えていた右手を下ろすと、下ろされるレンチに合わせてゼリーの左右のプレス機がゼリーを押し潰す。ビーカーには金の液体が溜まっていった。
『潰れる!』
一海の周りに装置が組み立てられていく。
『流れる!』
装置からガラス容器が出来て、黒い液体が一海の胸元まで溜まっていく。
『溢れ出る!』
ガラス容器が収縮し一海の体全体まで液体が一杯になると、液体が金と黒のスーツを形成した。
『ロボット・イン・グリス!ブラァァァァ!』
頭部から黄金の液体が放出し、胴体や頭にクリアブラックの装甲を創り出した。
「き、貴様は……!?」
チェスの黄金の戦士に戦慄する。その戦士は胴体の前で拳を握った。
「俺は、仮面ライダーグリス!」
名乗りを上げたグリスは強く握った拳を胸に叩きながらセリフを大声で言った。
「心火を燃やして、ぶっ潰す!」
前書きでは麦ちゃさんの「INFINITE・CROSS-Z」から主人公の龍我に来てもらいました。
麦ちゃさんとは仲良くさせていただいています。クローズの方のあらすじにも出演させていただきました。
オリジナルスマッシュは影尾カヨさんからのアイデアです。とても個性的で、絶対に出そうって心に決めてました。
ありがとうございます!
そして、つ!い!に!グリスキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
やっと変身させる事が出来ました!皆さんの応援のお陰です。ありがとうございます!
では次回予告へ……クロックアップ!(YouTubeで仮面ライダーカブト配信、おめでとうございます!)
***
次回、INFINITE・GREASE!
グリス無双、開幕!
グリス「俺をもっと満たしてみせろォォォ!」
物語は、更なる加速へ!
ローグ「運命の時は、臨海学校……」
一海と楯無の関係や如何に……!?
一海「楯無さん、俺ーーー」
第11話 反撃のグリス