龍我「ちくしょう!もう少しで勝てたのに……!」
一海「頭の違いだな」
龍我「余計だこの野郎!見てろよ、今度こそーー」
一海「どうなる、第21話!」
龍我「スルーすんなぁぁぁぁ!!」
「……で、例の襲撃者を確保したって訳か」
保健室前の廊下で俺は織斑先生にこれまでの経緯を説明していた。クローズの方は右膝を脱臼をしていたので保健室で大人しくしてもらっている。
「うす。アイツ単純な奴でしたけど、話は出来そうな感じですね」
「そうか……猿渡、あの男の話はお前が聞いておけ。状況次第ではお前が面倒を見る事になるからな」
俺が連れて来たのだからそうなるだろうな。でも、三羽ガラスより酷いバカは初めて見た。一体何があったらああなるのだろう。
「分かりました。じゃあ俺、アイツから話聞いときますね」
「任せたぞ」
織斑先生は立ち去っていくと同時に俺は保健室に入る。保健室のベットは端っこのクローズが使っている物以外は全てはガラ空きだ。
「あ、カシラ。おかえりなさい」
「遅かったじゃねぇか」
「ほはへひー、ハヒハー」
勝が俺に気づくと、雑誌を読んでいた修也とパンを食べていた聖吉も俺に気づく。
「おう。あ、先生、アイツの様子は……?」
俺は3人に返事をすると、先生にクローズの様子を聞いた。保健室の先生はとても驚いている様に見えた。
「様子も何も、体の怪我全部治っちゃったわよ。何あの回復力……!?」
「え、治った……!?」
多少の怪我はスクラッシュ計画の影響で治りの早い俺もすぐに治るが、脱臼を治すことはできなかった。圧倒的回復力である。
「とりあえず、話す事は出来るんすよね?」
「まぁ、私も少し話したし。私を知ってた様な口振りだったけど……?」
先生の言葉に疑問を感じる。彼女自身が覚えない筈なのにクローズは知っていた。何故だろうか?
「話せるなら大丈夫です。ありがとうございました」
俺は頭を下げると、クローズのベットへと向かった。カーテンを退かすと、クローズは俺に気づくと警戒の眼差しを向けてくる。
「……何の用だよ」
「いや、お前の事情を聞いておこうと思ってな」
先程戦ったばかりなので警戒を解いていないクローズは敵意剥き出しでこちらを見ていた。……嫌われたか?だとしたらまずいな。
「順番に聞こうか。何でIS学園にいるんだ?」
1番気になる質問を聞く。生徒でもない男子が学校に堂々といるなんてまず有り得ない。
「何でって、俺は生徒だからだよ。ってか、何でお前制服着てるんだよ」
1番予想してなかった返答が来た。……コイツ、頭おかしいのか?
「……あのなぁ、逆だぞ。俺達が生徒で、お前が部外者。立場分かってんのかよ」
クローズは有り得ないと言う顔をするが、すぐに何か違和感を感じて考え出した。
「アレ?こんなやり取り前にもした様な……」
「ア?何か言ったかバカ」
俺の「バカ」のワードに即座に反応するクローズ。
「あ?誰が馬鹿だオラ!」
「ア?テメェ以外にいる訳ねぇだろ。やんのか頭エビフライ」
「エビッ……!?」
エビフライと言うとクローズはショックを受けた様な顔をするが、すぐにムキになった。
「エビフライの何が悪いんだよ!」
「悪いって訳じゃねぇけど……ソース頭にぶっかけんぞゴラ」
互いの視線がぶつかり合って日花が散ってる様にも錯覚するほど睨み合う俺とクローズ。すると、三羽ガラスが俺とクローズの間を割って入ってきた。
「止めろよカシラ!」
「そうだよ!言い合いになっても意味無いって!」
勝と聖吉の言葉でクールダウンする俺。このまま話してたら再び言い合いになっていただろう。
「……まぁ、良い。そのスクラッシュドライバーは誰から貰ったんだ?」
「そう言うお前こそ、あのベルト誰から貰ったんだよ」
俺の質問にクローズは質問で返してきた。質問を質問で返すな!と言ってやりたい所だが、また言い合いになるのは目に見えているので素直に答える。
「葛城さんが作ってくれたんだよ」
「……スタークじゃなくてか?」
俺はクローズのスタークと言う言葉に素早く反応した。机をバン!と叩くと、クローズに詰め寄る。
「スタークから貰ったのか!?」
「て、テメェこそスタークの事知ってんのかよ」
「ったりめぇだろ、スタークの正体は……みーたんの父親だからな!」
俺が真剣な表情で話すと、クローズはとても驚く様な顔をしていた。
「スタークに子供がいたのかよ……ん?スタークって女だったような……ってか、みーたんって誰?」
クローズの疑問に俺は更に素早く反応する。詳しく言うと、みーたんと言っている辺で。
「スタークは男に決まってんだろ。あと、みーたんってのはーー」
「はい、一海くんストーップ」
突然閉じられた扇子を頬に押し付けられた。うん、こんな事する人は限りなく1人だ。
「た、楯無さん……と葛城さん!?」
楯無さんの傍には葛城さんまでいた。
「やぁ、一海くん。今日はクローズの方に用があって来たんだ」
葛城さんは俺の横に椅子を置いて座ると、クローズを見る。
「単刀直入に言うと、君は平行世界から来たの?」
葛城さんの質問にクローズは大きく反応した。まるで、何かに気づいたように。
「平行世界!そうか!そういう事なのか!」
答えの分かった子供の様に喜ぶクローズ。俺は平行世界と言う言葉を初めて聞いた。現実では、の話だが。
「か、葛城さん、平行世界って、ゲームとかアニメで良くある?」
「そう、その平行世界さ。彼が三羽ガラスを襲撃する前に謎の力場が発生していたんだ。調べてみた所、平行世界を行き来する際に起こる力場と一致していたのが明らかになった」
平行世界の解説に頷く俺と楯無さん。しかし、クローズと三羽ガラスは意味が分からず混乱していた。
「りきば?が何なのかはさっぱりだけど、俺が平行世界に来たのはすぐにわかったぜ」
「バカのくせにやるじゃねぇか」
「バカは余計だ!」
クローズはまるで全部理解したかのように答える。あんな単純なバカが簡単に分かるはずがない。となると……
「お前、前に平行世界に言った事があるのか?」
「まぁな」
俺の質問にクローズは普通に答えた。やっぱり1度経験してたから理解出来たのか。良かった安心したぜ。
「どうせ、初めて平行世界に言った時はバカ丸出しだったんだろ?」
「ア!?んだとォ…!」
「二人共喧嘩腰にならない!一海くんも悪口言っちゃダメ!……ね?」
グゥッ……突然の上目遣いは反則ですぜ、楯無さぁん!だが許す!更に言う事に従うぜ!
「もう2度としません。ナ?」
「ア?」
俺は楯無さんに誓うと、クローズにも釘を刺しておく。クローズの方はまだ喧嘩腰だが楯無さんとの誓いを破る訳にはいかないので大人しくしておく。
「そいや、お前の名前を聞いてなかったな。俺は猿渡一海。3人組の名前は三羽ガラスで、順番に大山勝こと赤羽、相河修也こと青羽、三原聖吉こと黄羽だ。よろしく頼むぜ」
「……万城龍我だ」
俺が手を差し伸ばすと、クローズ…もとい龍我が握手をしてくれた。これで仲良し……と言う訳にはいかない。俺は握手の力を強くする。
「ッ!?……テメェ、フンッ!」
龍我は突然の痛さに苦悶の顔をするが、お返しと言わんばかりに強く握り返してきた。って、コイツ結構強ぇ……!?
「イ"ィ"ッ……ハッハッハッ……ハッ!」
「ア"ッ!?……ッ!」
「ヅ!?……フッ!」
「ウゥッ……ッ!!」
握る力を強くしていく俺と龍我。手からはギリギリと有り得ない音が出ていた。
「……ねぇ、青ちゃん、僕今1番不毛な争いを見ているような気がする」
「言うな、黄羽。言ったら2人から何されるか分かんねぇ」
後ろで修也と聖吉がヒソヒソ話をしているが、ここはスルーしよう。集中を途切らせたら痛みで声が出てしまう。
「握手はそこで終わりにして……龍我くん、少し頼みたい事があるんだ」
葛城さんが俺達の握手を辞めさせると、龍我に真剣な眼差しで見る。その目に俺達は緊張した。
「……君のクローズのアイテム、解析させてくれないかな!?」
突然手を合わせてお願いする葛城さん。ここにいる全員がズッコケかける。そういやそうだった。この人科学者だった……!
「な、何でだよ……?」
「君のクローズのシステムはドラゴンの特性を上手く利用出来ているんだ!その法則さえ分かれば、スクラッシュシステムも格段に強化出来る!」
ズイズイと龍我に迫る葛城さん。龍我も少し引いている。
「わ、分かったから離れろ!……これで良いか?」
龍我はスクラッシュドライバーやゼリー、剣やナックルを出した。
「アレは!?青いドラゴンは!?」
「アレは流石に渡せねぇよ!これ以上渡したら変身できねぇ!」
あの時使っていたドラゴン欲しさに再び龍我に詰め寄る葛城さん。これ以上は可哀想なので葛城さんを止めに行く。
「葛城さん、コイツ一応平行世界から来てるんでまだ不慣れな所があるだろうし、今はコレで我慢しましょう」
「一海くん……あー、うん。分かった。諦めよう」
葛城さんは満足したようにクローズのアイテムを持ち去っていった。
「さてと……楯無さん、コイツの面倒は俺が見るって事で良いんすよね?」
「ハァ!?何でコイツに見られなきゃいけないんだよ!」
俺が楯無さんに質問すると、龍我が横槍を入れてきた。話の途中で割り込まれたので少しイラッとする。
「テメェは黙ってろ筋肉エビフライ」
「やんのかゴラ……!」
「あー、もう!喧嘩しない!」
再び一触即発する俺達を楯無さんは大声で制した。二人揃って楯無さんを見る。
「一海はとりあえず万城くんの面倒を見る!良いわね!」
「「いや、でもーー」」
「良 い わ ね ?」
「「……ハイ」」
楯無さんに反論しようとする俺達だったが、圧力には耐えれず、挫けて頷いてしまう。楯無さん、怒ると怖い。
「でも、俺の部屋には楯無さんがいるからなぁ……おい、テメーら。コイツの面倒はお前らで見とけ」
「「「え、エェ!?」」」
「あー、疲れた」
「疲れた、じゃないでしょ?三羽ガラスに任せちゃって良かったの?」
俺が保健室を出て伸びをしていると、楯無さんも保健室から出てきた。とても心配そうな顔をしている。
「大丈夫っすよ。アイツらなら、仲良くできますよ」
「なら良いのだけど……一海くんはこれからどうするの?」
「何って、葛城さんに話を聞きに。いつでも返せるように当分はここにいる様なので」
俺は葛城さんの元へ向かう。楯無さんもそれについて来た。
「……ついて来るんすね」
「当たり前じゃない。葛城博士から話を聞くのもアリだからね」
ウインクをする楯無さんについついドキッとしてしまう。たまーにこうやって可愛い仕草してくるから素敵なんだよなぁ。
楯無さんと話していると、葛城さんが使っている整備室へ着いた。
「葛城さーん、入りますよー」
整備室に入ると、葛城さんが龍我のアイテムにコードを繋いでパソコンで何がデータを調べていた。
「あぁ、一海くん、どうしたんだい?」
「あ、いや、龍我のアイテム理屈を……分かり易く聞きたいので」
葛城さんは作業を一時停止すると俺の方を向いてくれた。
「彼のツインブレイカーに興味深いデータがあった。クローズドラゴンって名前のドラゴンを使う事で強力な攻撃を放てるそうだ」
「あのドラゴンってその為のアイテムなんすか?」
俺の質問に葛城さんは「うーん」と唸った。
「それだけじゃなさそうだ。クローズドラゴンはドラゴンフルボトルの力を2分の1にしてビルドに変身出来るらしい」
葛城さんはキーボードを打つと、あるデータ図が現れた。ドラゴンのハーフボディが2つ重なって上半身には追加の装甲が付いたビルドだった。
「これは……!?」
「こっちが本当のクローズさ。スクラッシュの方はクローズチャージと呼称されている」
クローズとクローズチャージは見た目がかなりかけ離れていた。
「ドライバーが違うだけでここまで変わるのね……一海くんもビルドドライバーを使った事あるわよね?」
「あー、ビルドグリスなんて、呼んでたけど、ほぼビルドだったしなぁ……」
思い出すのはビルドグリスとして戦っていた思い出である。
「あの時の一海くん、とても初々しかったわね」
「よ、余計っすよ」
楯無さんのからかいについつい顔を赤くして照れてしまう。
「そう言えば、一海くんは龍我くんの事をどう思ってるんだい?」
「え、アイツっすか……?」
葛城さんの質問に俺は龍我を思い出しながら感想を答えようとする。
「……似てますね」
「?何処がだい?」
俺の感想に葛城さんは?を浮かべる。
「アイツ、何かに縋り付いているようにも見えるんすよ。俺も、仲間の思いを背負ってるって、責任背負ってるって感じないと、どうにかなっちまいそうで」
「一海くん……」
俺の言葉に楯無さんは心配そうに言葉を出す。
「……大丈夫っすよ。俺には仲間がいますから。でも、アイツはそうじゃない。何か別の何かに縋り付いている様な……気がします」
俺の言葉はあながち間違っていなかったかもしれない。しかし、それに気づくのは多分無いと思う。
すみません、前半の内容を2度送ってしまいました。
なお三羽ガラスと一緒にいる龍我は地獄を見ている模様。ドンマイ、龍我!
さて、次回は強敵現れます。スクラッシュライダーは勝てるのか!?
第22話 恐怖のウェポン