INFINITE・GREASE   作:オーマピジョン

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葛城「仮面ライダービルドとして戦うテェン才物理学者の葛城巧は仮面ライダーグリスに変身する猿渡一海と共に超絶ブラック企業難波重工と壮絶な戦いを繰り広げていた」

一海「そんな時、異世界から来た天災・天野雪兎と出会う。一時は勘違いから衝突が起こるが、和解に成功し、パラレルボトル奪還に協力してくれるのだった!」

雪兎「こっちもデータを沢山貰えるからな。win-winの関係ってやつだ」

一海「おー、なんか考えが大人っぽいな」

雪兎「それお前が言う?」

一海「?」

葛城「さて、今回は僕達が暴s……バリバリ活躍するよ!」

雪兎「いくぞ一海。胃薬の貯蔵は十分か?」

一海「え、それってどう言う……」

天才2人「どうなる、第39話!」

一海「何故かくらい聞かせてくれよォー!?」


天才達のクリエイション

「ってな訳で、当分こっちの世界でいる事になった天野雪兎だ。雪兎って呼んでやってくれ。で、こっちはシュテル」

「いや、何でお前が……いや、そう呼んでもらうけどよ」

「よろしくお願いします」

 

食堂にて、俺はお馴染みのメンツに雪兎とシュテルを紹介する。一夏達は龍我の1件のおかげで平行世界の人間である事はすぐに理解してくれた。

 

「平行世界って事は、雪兎くんは僕達の事を知っているの?」

「あ、あー……おう、そうだな」

「今の間はなんだよ」

「気にすんな。少し戸惑っただけだ」

 

シャルロットの問いに歯切れが悪そうに答える雪兎。……もしかして、雪兎も龍我と同じパターン?

 

「む、向こうの世界の私達は何方かとお付き合いをしているのでしょうかッ!?」

「あー、そうだな。1部の奴以外はアイツにゾッコンだな。多少改善されているとは言え、鈍感だけど」

 

セシリアの質問に雪兎が答えると、一夏ヒロインズが残念そうに肩を落としている。いや、露骨にしょげるなよ。と言うか向こうの一夏もハーレムなのかよ。

 

「向こうの皆の恋愛事情を聞いても、別に得する事ないだろ?」

『ある!!!』

 

一夏の鈍感発言にシャルロット以外が反応して反論する。この光景に雪兎は少し呆れていた。

 

「頑張って治してみる」

「おう、頑張れよ……」

 

俺が雪兎にそう言うと、言葉の意味を理解したのかエールを送ってくれた。ありがとよ。

 

「カシラは向こうの世界にもいるのか?」

「カシラ……あぁ、一海は会ってはいないな。もしかしたら何処かにいるかもしれない」

 

ラウラは雪兎の答えに少し残念そうにしている。

 

「ラウラと一海ってどんな関係なんだ?」

「どうと言われてもな……憧れの対象?」

「ただ単に懐いてるだけじゃないの?」

 

逆に雪兎が質問してきたのを箒と鈴が曖昧に答える。

 

「そう言えば、一海。コイツは?」

 

俺が雪兎の視線の先を見てみると、そこには青羽の後ろに引っ付く小羽がいた。

 

「コイツか?コイツは小羽。色々あって俺達が面倒見ることになったんだよ」

 

小羽は初対面である雪兎に多少警戒している。青羽が苦笑いしながら小羽を見ている。

 

「初めまして、天野雪兎って言うんだ」

 

雪兎が小羽に近づいて挨拶をすると、小羽の視線から警戒が解かれ、雪兎に興味を持ち始める。

 

「ユキトは、カシラや青羽の友達?」

「友達っつても、今日が初対面だけどな」

「ユキトは敵じゃない?」

「おう、お前に酷いことはしない」

 

小羽の問いに快く答える雪兎。すると、小羽は青羽の前に立って手を差し出した。

 

「よろしく、ユキト」

「おう、よろしく」

 

小さな手を握手する。青羽はそれを嬉しそうに見ていた。

 

「初めまして、小羽。私はシュテルと申します」

「……シュテルは、ユキトの友達?」

 

シュテルも小羽の元へ行くと、挨拶をする。小羽はすぐに雪兎との関係を聞いてきた。

 

「はい。マスターは私達のマスターです」

「……マスター?」

 

小羽はシュテルの雪兎に対するマスター呼びのせいか、誰の事が理解出来ていなかった。

 

「俺の事さ。三羽ガラスや小羽が一海の事をカシラって呼ぶみたいなもんさ」

 

すると、雪兎が小羽にマスター呼びについてを教えた。それを聞いた小羽は理解したのか、コクコクと頷く。

 

「よろしく、シュテル」

「えぇ、こちらこそ」

 

警戒を完全に解いた小羽はシュテルと握手をする。

 

「雪兎くん!」

 

すると、葛城さんがこちらにやって来た。

 

「巧さん」

「待たせてしまったね。部屋の片付けをしていたんだ。さて、早速僕の研究室へ行こう!」

 

どうやら、葛城さんと雪兎とであれこれしに行くらしい。

 

「あ、そうだ。一海、お前も一緒に来てくれないか?」

「え?どうしてだよ」

「ストッパーが欲しくてな」

「?」

 

一応ついて行くことにはなったが、雪兎の言葉の意味を理解するのは後々となる。

 

***

 

俺達が葛城さんの研究室の方へと向かっていると、楯無さんとみーたんと遭遇した。いやぁ、二人揃って美人だなぁ。眼福眼福。

 

「彼女は?」

「ん?楯無さんはそっちにもいるんだろ?」

「いや、もう一人の方。知らない顔だったから少し気になっただけだ」

 

なん…だと…!?コイツ、まさか……!確信した俺は雪兎の肩を掴む。突然の事にビックリしているが、そんな事はどうでもいい。

 

「お前、みーたんを知らないのか!?」

「み、みーたん?」

「今話題のネットアイドルみーたんを知らないとはっ!」

「いや俺、この世界の住人じゃないし」

「シャラップ!」

 

みーたんを知らぬなど言語道断。仕方ない、雪兎にみーたんの素晴らしさを伝えるしかないな!

俺は早速みーたんについてを説明する。

 

「聞いてるのか?雪兎」

「す、すまん、少し考え事を」

「あ”!?」

「ほらほら、そのくらいにしとかないと雪兎君達が引いてるわよ?」

 

すると、楯無さんが扇子で俺の頬を押しながらストップさせた。いつも通りの楯無さんで本当に何よりです。

 

「そもそも異世界の雪兎君達に美空の事言ってもしょうがないでしょ?」

「うっ、言われてみれば……」

 

この世界に龍我がいるのかが分からないように、雪兎の世界にみーたんや俺達はいないかもしれない。見落としてしまっていたな。

 

「ごめんなさいね。彼、美空の事になると少しおかしくなるから」

「これが俗に言うドルヲタというやつですか」

 

楯無さんが謝罪をすると、シュテルが頷きながら俺の事をドルヲタ呼びする。ダイレクトすぎやしないか。

 

「一海、お前ってもしかして会長の事ーー」

 

すると、雪兎が突然楯無さんに聞かれたらまずい事を聞いてきた。流石天災、察しが良すぎる!

 

「さ、さあ!早く研究室へ行こうぜ!」

 

俺はすぐに雪兎の背中に回ると、雪兎を急かすように押す。雪兎は戸惑いつつも前進して行った。多分、気づかれたなぁ……。

アイツがこれ以上余計な事を聞きませんように!と強く願いながら俺は雪兎を押すのだった。

 

***

 

「ここが僕の研究室さ!」

 

葛城さんの研究室は隠れ家と学園に1つずつ存在する。雪兎は研究室の物一つ一つを物凄く興味津々と言った感じで見ていた。

 

「巧さん巧さん!これは?」

「良いところに目を着けたね、それは僕が開発した……」

 

あ、ダメだな。この科学者達、自分たちの世界にトリップしてやがる。戻るのは時間がかかりそうだ。

 

「……この様子だとしばらくは帰ってきませんね」

「だな」

 

シュテルもその事に気づいているのか諦めている様子である。

一方天災と天才はデータの見せあいをしている。あんな元気ハツラツな葛城さん初めて見た。

 

「あっ、そうそう一海君、グリスコートを出してくれないか?」

 

葛城さんが我に返ると、俺に専用機を出すように求めてきた。

 

「えっ?あ、はい」

「うん、そこにメンテナンスモードで展開してくれたまえ」

 

俺はグリスコートを呼び出すと、研究室に鎮座させた。

 

「これがグリスコート、確か巧さんが開発した2.5世代機だったか?」

「その通り!当時は難波重工で作成したから予算の関係でそれが限界だったのさ」

「ふむふむ……ここの構造は……なるほどなるほど」

 

雪兎は俺のグリスコートのデータを確認していた。何書いているのか俺にはサッパリである。

 

「巧さん、これ(グリスコート)弄っていい?」

「ちょっ!?『弄っていい?』ってお前ーー」

 

俺の専用機であると同時に葛城さんの珠玉の作品だ。そう簡単に改造だなんて出来るはずが……

 

「いいよ」

「葛城さん!?」

 

軽いッ!?この人ものすんごく軽い!え、寛大すぎねこの天才物理学者!!

 

「では、早速!」

 

すると、雪兎の背中から大量のアームが伸びてきた……

 

「って、えぇええええ!?」

 

あまりきも突飛すぎる(俺が機械に詳しくないのもあるが)光景に大声を上げてしまう。しかし、この天才達は俺に目もくれずにグリスコートの改造に着手する。

 

「うーん、そのプランは難しいかな?」

「あっ、やっぱりそう思います?」

「まず一海君に合っていない事と、そもそもコンセプトが……」

 

お、おぉ、まだ会話が理解できるぞ。俺の相性とか、コンセプトとかの話だな。

 

「なるほど、ならこっちのプランは?」

「ほうほう、そう来るか。なら……」

 

すまん、分かんねぇわ。流石にここまで来ると分かんねぇわ。て言うか、話している間にアームがウィンウィン動いていてすげー事になっている。

 

「うーん、でもこのプランのこれも捨てがたい」

「でも、それをするなら大掛かりな改修が必要だよ?」

「……もう、いっそうの事腕も全部取っ替えてしまおうか?」

 

突然の爆弾発言に俺は我に返る。て言うか、腕ごと変えたらそれグリスコートじゃなくね!?

 

「ちょっと待てや、こらぁ!」

 

俺は慌てて雪兎に駆け寄るが、アームが俺を掴んできてあまり動く事が出来ない。

ちくしょう、こうなったら変身してでも止めてみせる!

 

「……雪兎君、それはちょっと」

「……巧さんがそう言うなら」

 

すると、葛城さんが俺の意思を汲み取ってくれたのか、雪兎の事を静止させてくれる。ありがとう、葛城さん。アンタがまだマトモで良かった。

 

「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」

 

すると、アームが俺の体を放していく。もう俺も何も言うこともないし、言った所で理不尽なだけだ。グリスコートを強くしてくれるもの事実だし。

 

「すみません、マスターは重度のメカヲタクでして……弄りがいのある物を前にするとああなってしまうんです」

「……ストッパーって、そういう意味だったのかよ」

 

シュテルが雪兎の事を教えてくれる。まぁ、飛びつくだろうなぁ。

雪兎は少し自重してくれたのか、俺の意見も聞いてくれるようになった。

 

「ところで雪兎君、そのサブアームユニットも自作したのかい?」

「ええ、マルチツールユニット【魔ルチアームズ】と言いまして」

「おい、今、『魔ルチ』とか言わなかったか?」

 

あまりにもヤバそうなワードに俺は反射的にツッコミを入れてしまう。て言うか、今回俺ツッコミポジかよ!?

 

「おそらく、魔改造マルチを略したのでは?」

「魔改造・・・・間違いないな」

 

魔改造されたサブアームと言う意味なのか、魔改造する為のサブアームと言う意味なのかはあえて聞かないでおこう。……SAN値が減ってしまいそうな気がする。

 

「……それ、僕にも作ってくれない?」

「葛城さん!?」

 

こんなやり取りが十数回にも及び、グリスコートの改修が終わった頃には自分でも分かるぐらい疲れ切っていた。

 

「一海くん、大丈夫?」

「楯無さんの心配が嬉しすぎて辛い……」




カズミンの胃を生贄にしてグリスコートが強化されました。許せカズミン。これもISでの勝率を上げるためだ(今の所一勝もしてない)。

さて、次回は強化版グリスコートの登場と、あのアイテムの誕生です。

次回 第40話 咆哮するグリスコート

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