INFINITE・GREASE   作:オーマピジョン

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葛城「仮面ライダービルドとして戦う葛城巧は仮面ライダーグリスこと猿渡一海と共に難波重工と激闘を繰り広げていた」

雪兎「そんな中、異世界から来た天野雪兎と邂逅、打ち解けた葛城と雪兎は一海の専用IS『グリスコート』の強化を行う」

一海「そのせいで誰かの胃の寿命を削ることになりましたけどねぇ……」

雪兎「お前の専用機なんだし、そこは許してくれよ」

一海「そうだけどよ……まぁ、良いか」

雪兎「と言う訳でパワーアップしたグリスコートを第40話で見るぞ!」

一海「……コイツホントに悪く思ってる?」

葛城「は、ハハハ……」


咆哮するグリスコート

「あー、楽しかった!」

 

グリスコートの改修の後、一段落着いた一海はフラフラと足取りがたどたどしい状態で帰っていった。

雪兎と葛城はコーヒーを、シュテルはココアを飲んで休憩している。

 

「久しぶりに弄りがいのある機体と出会えました。ありがとうございます」

「いやいや!僕もとても面白くて参考になるものを見せてもらった!一海くん、ISを使う時だけ1度以外白星あげれなかったからねぇ」

 

雪兎が頭を下げると、手を振りながら笑顔で感謝し返す。すると、葛城は立ち上がって自身の机へと歩く。

 

「……ねぇ、雪兎くん」

「はい、どうかしましたか?」

 

葛城は机に置いてあるハザードトリガーを持つと、雪兎の方を向いて問いかけた。

 

「どうして、ISを創ろうって思ったんだい?」

「どうして、ですか……」

 

葛城が思い出すのはまだ難波にいた頃の自分。「愛と平和」の為に父と共にライダーシステムを作ったはずなのに、父には裏切られ、難波にはライダーシステムを兵器に利用させられた。

 

「この先、誰かが君の事を裏切るかもしれない。君の開発したISを、利用する奴が現れるかもしれない。それでも、ISを創ろうと思えるその『理由』が知りたいんだ」

 

大きな力には、大きな責任が背負われる。葛城の場合、それが難波との戦いだったのだ。ライダーシステムは、兵器では無い。守る為の力なのだと言う証明の為の。

葛城は知りたかった。下手すれば世界から畏怖されかれないその力を、どうして使えるのかが。

 

「理由、ですか……俺にとってISの開発は趣味みたいなもんですからね……そこまで深く考えた事無いですね」

「しゅ、趣味、かい?」

「そりゃあ、初めのうちはそんな事も考えましたけど……そんな下らない理由で後で後悔したくないんで」

「後悔したくない?」

 

雪兎は葛城をまっすぐ見つめる。葛城はその目に既視感があった。

 

「(一海くんと同じ目だ。己の信念を曲げない『覚悟』が宿っている)」

 

既視感の正体は一海と同じ覚悟をした目だったからだ。

 

「やらずに後悔するより、やって後悔した方がよっぽどいいじゃないですか。……それに、見ていみたいんです」

「?何をだい?」

 

雪兎が天井をーーーその先を見る。葛城も雪兎同様天井を見るが、まだ理解出来ずにいた。

 

「俺の師匠……篠ノ之束が目指した場所、宇宙に行ってみたいんですまあ、その邪魔をするってんなら全力で排除しますが」

 

それを聞いた葛城はハッと理解する。ISの本来のあり方、それを雪兎は成し遂げようとしているのだと。十代後半の少年は、その夢を叶えようとしているのだと。

 

「ふ、フフフ、ハハハハ!!」

「え、なんでそこで笑うんですか!?」

「ハハハッ、フフフフ……いや、すまない!君のISに対しての思いがあまりにも素晴らしすぎて。……適わない訳だよ」

 

自身に課せられた使命を全うするためにライダーシステムを創り出してきた葛城。そこに雪兎のように趣味や思い、夢はなかった。

 

「でも、思い出せたような気がする。大切な事を………ありがとう、雪兎くん!また1つ成長出来た!」

「……お力になれて良かったです」

 

何か憑き物から解き放たれたような感覚を感じる葛城。葛城はその手にあるハザードトリガーを見た。

 

「僕も、目指してみるよ。たった一つの思いや夢に……たった一つ……たった、一つ?」

 

目を見開く葛城。怪訝に見る雪兎だったが、葛城はそんな事お構い無しにホワイトボードへと駆け寄る。

 

「巧さん?どうしたんです?」

「そうか、そうだったんだ……!何で僕は今まで見落としていたんだ!」

 

葛城はホワイトボードにスラスラと数式を書いていく。その数式を見た雪兎はそれが何なのかを直ぐに理解した。

 

「巧さん、コレって龍我の……」

「あぁ、クローズドラゴンの出力の出し方を数式にした物だ。ドラゴンフルボトルは他のボトルよりも強力が故に適正のある人間でない限り扱えなかった」

 

平行世界から来た少年、万城龍我が変身する仮面ライダークローズはドラゴンフルボトルとクローズドラゴンで変身していた。ドラゴンの成分を2つ分として使う事で。

 

「クローズはあまりに強い力を分散させる事でスペックをそのままで変身者に悪影響を与えないようにしていたんだ」

「そうか!ハザードフォームは2本のボトルを使って変身する。ハザードトリガーが2つの成分の出力を無理矢理同時に上げるから暴走するのか」

「あぁ、だから使う成分を一つに限定させる事で、ハザードトリガーのコントロールをすればーー」

 

葛城がそう言うと、雪兎と向き合う。互いの目はキラキラと輝いていた。

 

「1つの成分をハザードトリガーが増長させ、成分を2つ分にできるから、暴走を防げる」

「その通り!最ッ高だ!」

 

雪兎のアンサーに葛城が飛び跳ねそうな程のハイテンションを見せる。

 

「それに、これならオーバーフロー状態で運用が可能だ」

「作れそうですか?」

「勿論!僕は、天ッ才物理学者だからね!」

 

数式を1度消した葛城は新たに数式を書き始める。葛城の目はとても輝かしいものになっていた。

 

「そう言えば巧さん、一海の強化はしなくて良いんですか?」

 

雪兎の問いを聞いた葛城はピタリと動きを止める。それに気づいた雪兎は葛城を見た。

 

「一海くんは……そのままで良い方が気がするんだ」

「……アイツが抱えてる歪みが理由ですか?」

 

雪兎の方を向いた葛城はコクリと頷く。

 

「一海くんは、見る人の『何か』を見ているような気がする。危ない、いや、異常な何かを……」

「成程……俺より長くアイツを見てきた貴方がそう言うなら無理にとはいいませんよ。また何かあったら言って下さい」

「あぁ、ありがとう。話を聞いてくれて」

「科学者同士、助け合いですよ」

 

雪兎は葛城の研究室から出ていく。葛城は数式を書き終えると、考える様な素振りを見せる。

 

「成分を使うなら……あのベストマッチだね。となると、専用の武器も必要だね……楽しくなりそうだ!」

 

葛城はビルドの強化アイテムの制作を開始する。その行動に迷いはひとつも無かった。

 

***

 

「……で、葛城さんはそのまま寝たと」

「はい。マスターもご用事があるようなので、テストは私が相手させてもらいます」

 

翌日、俺とシュテルはアリーナでISを展開していた。

 

「にしても、変わったなぁ俺のグリスコート」

 

俺は新しくなったグリスコートを見る。基本のグリスコートはそのままに、装甲やスタスターが増えていた。武装も少々改造が施されている。

 

その名も、『グリスコート・ヴォルフ』。

 

「準備はよろしいでしょうか?」

「おう、今回はISの模擬戦だからな。相手が女だろうと本気を出せるってもんだ……行くぜ!」

 

俺はスラスターを吹かせると、シュテルに迫る。

 

「それでは、まずはこれで様子を見るとしましょう」

 

シュテルはそう言うと、いくつか葛城さんへ射っていた火炎弾(パイロシューター)を展開し俺の行方を阻む。当然回避しようとするが、誘導性が高いようでしっかり俺を追尾してくる。

 

「丸焦げはゴメンだっての!」

 

俺はシールドブレイカーのビーム弾を放つ。三門のビーム砲の内の二門はガトリングへと変更され、連射率が一気に増えた。

 

「オラオラオラァ!」

 

俺はビーム弾でシュテルの火炎弾を全て撃ち落とした。俺はシールドブレイカーをしまうと、別の武器へと持ち変える。

片刃の大剣の先端にハンマーのヘッドが付いており、またハンマーの後ろにはロケットブースターがある武器、その名もーー

 

「グランドスマッシャァァァァァ!!」

 

スラスターとスマッシャーについているブースターを同時に吹かせると、シュテルに接近を仕掛ける。一方、シュテルも自身の武器を俺に向けて砲撃を放とうとしている。

 

「ブラストファイアー!」

 

シュテルは炎を纏った一閃を放つ。俺はそれをスマッシャーで受け止めたーーもとい、 ぶった斬った(・・・・・・)

 

「全く、マスターが作る装備はこれだから……!」

「オオオオオオッ、ラァ!」

 

熱線をぶった斬りながら迫る俺はシュテル目がけてスマッシャーを振り下ろすが、先に予想していたシュテルはそれを避けた。

 

「逃がすかァッ!」

 

俺はギカンティックナックルを射出させる。不意を突いた攻撃にシュテルは防御をする。

 

「クッ、この程度……!」

 

狙い通りだ。これまで温存してきたアレを使う時が来た。

瞬時加速には、連続で行う事により速度を上げれる瞬時加速があると聞いた。もしかしたら、瞬時加速と言うものは俺達の思う以上にアレンジしやすい技術なのでは?と俺は思ったのだ。

 

「オオオオオ!」

 

俺はシュテルの元へと一気に加速をすると、数回分の瞬時加速をほぼ同時に行い、一つに纏めて莫大なエネルギーとなった瞬時加速にする。

 

「名づけて、 共鳴型瞬時加速(レゾナンス・イグニッション・ブースト)ォォォォォ!!」

 

ギリギリまで近づいて行った共鳴型瞬時加速で加速量は倍増し、ほぼ止まれない状態でナックルを殴りつけた。ガウスの法則によって衝撃はシュテルにまで伝い、シュテルの体は容易く吹っ飛ばされた。

 

「ゲ!キ!ト!ツ!スマァァァァァァッシュ!」

「ッアァ!」

 

シュテルはアリーナのシールドギリギリの所で体勢を立て直すと、地面に着地する。

 

「なかなか、やりますね。機体との相性も私の知っている内でも上位に入るかと」

「まぁな。伊達に楯無さんから教えてもらってる身だからな」

 

俺の言葉に「成程」と頷くシュテル。なんだ?そんなに頷く程だっただろうか。

 

「これ以上は互いの為に止めておきましょう。……私が本気を出して一海を丸焦げにする前に」

 

あっ、少し手を抜いていたのか。通りで俺が優勢な訳である。……て言うか、丸焦げってマジかよ!?

 

「お疲れ様でした」

「おう、ありがとな」

 

互いにISを解除する。

 

それと同時にサイレン音が鳴り響いた。すると、グリスコートに連絡が入る。

 

『うぅ……一海くん、敵だ……むにゃあ』

「よりによって寝起きっすか……おい、シュテル、行くぞ!」

「はい!」

 

俺とシュテルは敵の元へと駆け出した。

 

***

 

俺達が敵の元へと来ると、三羽ガラスと合流した。

 

「カシラ、敵は!?」

「まだいる感じだな」

 

修也が敵の事を聞いてきたので俺は敵の方を向く。俺達の先には2体のハードスマッシュがいた。

 

「お前は……ジュラシック!?」

「久しいな、キャッスル。俺達ファウストは、クロコダイル部隊として戻ってきたぞ」

 

どうやら相手は元ファウストの連中らしい。……て事は、まさかの話だが。

 

「氷室はどうした!?生きているのか!?」

「……彼の話は今は出来ない。聞きたいのなら、俺達と戦え!」

 

どうやら氷室の事を知っているらしい。だが、答える気は無いようだ。

 

「考える暇は無さそうですよ」

「……やるっきゃねぇか」

『Ready?』

『ロボットゼリー!』

 

シュテルと俺はベルトを巻くと、シュテルはナックルを掌で押し込み、俺はゼリーを装填する。

 

「「変身!」」

『Fist on』

『潰れる!流れる!溢れ出る!ロボット・イン・グリス!ブラァ!』

 

俺とシュテルは姿を変えると、同時に駆けだした。三羽ガラスもハードスマッシュへと変身すると、ハードガーディアンの相手をする。

 

「グリス!アンタの相手は私よ!」

 

すると、俺の目の前に一体のハードスマッシュが現れる。

 

「私はバタフライハードスマッシュ!舞原揚羽よ!」

「そぉかい。だったらテメェを倒して氷室の事を吐かせるまでだ!」

 

俺はツインブレイカーを構えると、バタフライは2つの斧を構えながら迫ってきた。

 

「てやっ!」

「ふっ、ドラァ!」

 

バタフライの斧を避けるとツインブレイカーを放つが、バタフライはそれを打ち払う。バタフライは俺に回し蹴りを放った。

 

「デヤァ!」

「グフッ……なかなかやるじゃあねぇか……!」

「大丈夫ですか?」

「よそ見をしてる場合か!」

 

シュテルが俺の身を案じていると、ジュラシックの拳がシュテルを襲う。ギリギリの所で防御をするが、あまりのパワーか吹き飛ばされてしまった。

 

「凄いパワーですね……どうします?」

「どうするもこうするも、相手するしかねぇだろ」

「そう……なら、これでも相手出来るかしら?」

 

すると、バタフライの姿が消えてしまった。俺は辺りを見回すが、いない……いや、見えない!

 

ズガン!

 

「ガッ!?」

 

俺の背中に斬撃が襲いかかる。次に腕、腹、太もも。どんどん切り裂かれていく。

 

「迷彩能力か……!」

「ご明察!でも分かった所でバタフライの能力は敗れないわよ!」

 

それは理解出来ている。俺は立ち上がると、ボトル2本をシュテルに投げ渡す。

 

「これは……」

「貸してやるよ。これでどうにかしてくれ」

『ビームモード!シングル!』

 

俺はツインブレイカーをビームモードにすると、クマフルボトルを装填して仁王立ちをした。

 

「もう降参?なら、これで終わり!」

 

すると、先程以上の衝撃で斬撃が直撃する。つまり、相手は正面にいるという事だ。狙い通り俺はツインブレイカーを正面に放った。

 

『シングルフィニッシュ!』

「きゃあ!何これ!?ハチミツ!?」

 

ツインブレイカーの銃口から放たれたのは黄金に輝くハチミツだった。それにかかったバタフライがくっきり見える。

 

「丸見えだぜ……ゴラァ!」

『アタックモード!』

「くっ、姿が見えるからって調子に乗られたら困るわよ!」

 

一方シュテルはドライバーにロボットフルボトルを装填させると、ナックルで押し込む。

 

『robot』

「反撃させていただきます」

「やれるものなら……やってみろ!」

 

ジュラシックの拳とシュテルのロボットアームを纏ったナックルがぶつかり合う。すると、ジュラシックが後ろへと退いた。

 

「成程、かなり強力ですね……ハッ!」

「グッ、グハァ!」

 

シュテルは隙の出来たジュラシックの胴体をロボットアームで掴むと、地面に叩きつけてから持ち上げて殴った。

 

「ドラァ!」

「キャア!」

 

俺もツインブレイカーでバタフライをぶん殴る。俺とシュテルは共に並んだ。

 

「ココで決めましょう」

「上等だ。一気に決めてやる!」

 

シュテルはナックルを構え、俺はドライバーのレンチを下ろして拳を構える。

 

『AXZ break』

『スクラップフィニッシュ!』

 

俺とシュテルは2体のハードスマッシュに接近すると、シュテルはナックルを、俺はロボットアームを纏った拳で殴った。

 

「うきゃあ!」

「グハァッ!」

 

互いに吹っ飛ばされるハードスマッシュ。2体は立ち上がるが少しフラフラしている。

 

「うぅ〜そんなのアリ〜?……ん、隊長?どしたの?」

 

すると、バタフライの方に連絡が入ったのか『隊長』と言う人物と会話をしている。

 

「えー!もう撤退!?うー……分かった」

「もう時間か……残念だが、ここでお別れだ」

「あっ、待て!」

 

勝が止めようとするが、先にハードスマッシュ2体は立ち去っていく。

 

「何だったんだ……」

「分かりません。ですが、何かが起こっていたのは事実ですね」

 

俺達は変身を解く。雪兎の方は無事なのだろうか。俺達は疑問が残りつつも雪兎の元へと向かった。




てな訳で、グリスコートの強化版、『グリスコート・ヴォルフ』です!強くなって本当に嬉しいです。これから白星上げれると良いなぁ。

そして!今回新登場の揚羽は十露盤さんのアイデアです!ありがとうございます!彼女の活躍にもご注目を!

次回 覚悟のタイムリミット
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