INFINITE・GREASE   作:オーマピジョン

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一海「農家の大地主の一人息子であるこの俺、猿渡一海はIS適性検査の際にISを動かしてしまい、IS学園に入学する事になったんだ」

赤羽「ねぇカシラ、IS学園では入学前に制服を自分で調整出来るそうですけど、カシラはどんな風にしたんですか?」

一海「俺か?俺はモッズコートにしたぜ。そうだ、お前学校行く準備出来たのか?」

赤羽「ハイ!何時でも出れますよ!」

一海「そうか……おっと、話が逸れたな。第2話、始まるぜ」


出会いのスプリング

俺、猿渡一海は現在進行形で頭を抱えていた。

理由は幾つかあるが、今回は大きな理由を上げよう。

まず1つ目、クラスメイトがほぼ女子だからだ。周りを見れば女子、女子、女子……四面楚歌とはまさにこれである。楚の国の王様、凄く辛かったんだなぁ。

そして2つ目、それは隣に居るーーー

 

「カシラ凄い人数の女の子っすね」

「たりめぇだろ、IS学園だぞココは」

「ねーカシラー、まだホームルーム終わらないのー?」

 

三羽ガラスだ。コイツらあちこちをキョロキョロ見回しながら話してばかりだ。都会に上京した田舎モンかよ。

 

これらが原因で俺の精神的ダメージはカンストしている。神よ、これは俺に対する何かのあてつもりか。

 

「猿渡一海くんっ」

「あ、俺の番か」

 

このクラスの副担任『山田麻耶』先生が俺の事を呼んだ(上から呼んでも下から呼んでも『ヤマダマヤ』。スゲェ)。今は自己紹介中。先程ISを動かした男子1号の織斑一夏が自己紹介に失敗して頭を叩かれていた。ヤバい、失敗したら死ぬ。

 

「ゴメンね?男子だけでも自己紹介しようってなって……」

「あぁ、問題無いッスよ。オッホン……改めて、猿渡一海だ。自慢じゃないが実家は農家の大地主をしている。隣にいる3人組は三羽ガラス。隣から赤羽こと大山勝、青羽こと相河修也、黄羽こと三原聖吉だ。この3人はISは動かせない」

 

俺が3人の事を話すとザワザワと騒ぐ。

俺は内海さんに俺の入学の条件に三羽ガラスの入学を出した。学園側はOKを出したので、俺達はこうして同じクラスにいる。

 

「3人がいるのは俺のワガママだ。文句があるのなら俺に言ってくれ。……確かに、コイツらはISに乗れない、ここにいても『無意味』な存在なのかもしれない。けど、コイツらは他人を思いやれるヤツらだ。俺はそう信じている。バカでヘマばっかするかもしれないが、許してやってくれ」

 

俺はそう言って頭を下げた。クラスメイト達はシン……と静まり返っている。

やはり無理だったか。そう思っていると、突然俺の体が持ち上がった。

 

「カシラ……俺達の為に、ありがとうございます!」

「ったく、良いとこ全部持っていきやがって……」

「うわーん!僕カシラに出会えて良かったー!」

 

勝、修也、聖吉は目に涙を浮かべながら俺を胴上げし始めた。しかしここは教室。あからさまに邪魔である。

 

「ちょ、テメェらここ教室!場所考えろバカ!」

「「「カシラ!カシラ!カシラ!カシラ!カシラ!」」」

 

俺の胴上げを見ているクラスメイトの女子はクスクスと笑っていたり、ヒソヒソ話をしていた。あぁ、やはり印象は最悪か。と思ってそのヒソヒソ話に聞き耳をたててみる。

 

「ガラは悪そうだけど、良い人そうだね」

「あー分かる。あの黄羽くんとか結構タイプかも」

 

三羽ガラスの印象は悪くはなかった。あくまでも一部の者だが、それでも充分成果はあった。俺は少し安心しながら、胴上げされていた。

 

話は逸れるが、聖吉、後で覚悟しとけ。

 

「そろそろ胴上げを止めろ三羽ガラス。次の自己紹介が出来ん」

「「「ハーイ、センセー」」」

 

担任の織斑先生の警告を聞いた三羽ガラスは俺を下ろすと、すぐに席に座った。何故か聖吉が背筋をブルッと震わせたが、何かしらの悪寒でも感じたのだろうか。

 

「山田先生、次の生徒に」

「ハイ!じゃあ、氷室くん!」

 

そう言えば、織斑と俺ともう1人ISを動かせる男子が居るらしい。見た目も性格も好印象を受ける奴。確か名前はーーー

 

「氷室幻德です。馴れない場なので皆さんと仲良くできるか不安ですが、話しかけてくれると嬉しいです。よろしくお願いします」

 

ーーそう、氷室幻德だ。前世がヒゲで女性をホテルに連れ込もうとしたり、親に縁切られたり、遅れすぎな反抗期を起こしたりしてそうな名前だが、真反対な人物像だった。クラスメイトの女子達からはパチパチと拍手を受けている。

すると、キーンコーンとチャイムが鳴った。

 

「さて、SHRは終わりだ。山田先生、後の授業は任せる」

「ハイ!」

 

さて、この後は授業だが、三羽ガラスが心配だ。授業を理解出来ず取り残される。なんてなったら大問題だ。

俺は新たなる不安に再び頭を抱えた。

 

***

 

1時間目終了した直後、俺はすぐに織斑の元へ向かった。数少ない男子だ。話しかけて損は無い。もう1つ理由を加えるならーーー

 

「(アイツらの授業の感想を聞きたくない)」

 

三羽ガラスに「授業どうだった?」なんて聞いたら、絶対「分かりません」の一言だろう。内海さんから人数分の参考書を貰い、集まっては勉強会を行ったが、如何せん成果があったかは感覚が無かった。

 

「織斑……だっけか?授業お疲れ」

「猿渡か、お疲れ様」

 

俺は織斑の席に着いてすぐに話しかけると、織斑は普通に話してくれた。成程、氷室とはまた違った路線の好青年だ。氷室は優等生タイプならば、織斑は悪友タイプの好青年である。

 

「俺の事は一夏でイイぜ」

「そうか、じゃあ俺は一海って呼んでくれ。……カズミンでも良いぞ」

「……スマン、それは良しておく」

「えー」

 

あれ、案外良いあだ名だと思ったんだがな、カズミン。三羽ガラスに聞いてみたらいい反応をしてくれたんだがなー。

 

「……ちょっといいか」

「「え?」」

 

突然話しかけた相手を見ると、長いポニーテールをした女子だった。自己紹介で聞いたぞ。確かーーそう、篠ノ之箒だ。

 

「箒?」

 

一夏が反応しているので、一夏の友人なのだろう。美人と友人とは、羨ましいぞコノヤロー。

 

「廊下でいいか?」

 

篠ノ之はそう言うなり廊下へと向かっていった。男子目的でやって来ていた同学生や上級生がモーゼの海割り並の道の開け方をしている。スゲェ。

 

「行ってやれ一夏。女の願い位聞いてやらねぇと」

「すまねぇ、カズミn……一海」

 

ん?今カズミンって言っt……いや、余計な詮索はしないでおこう。俺が自分の席に向かうと隣では勝と修也が向こうを向いていた。

 

「……何してんだお前ら」

「カシラ、アレ見てくださいよ」

 

俺の問に勝が指さして答える。修也も頷いていた。俺は勝の言う通り指さした方向を見ると、 聖吉が席に座っていた。ーーいや、待て、コイツ女子と話してやがる。

 

「でさー、カシラは僕達思いでー」

「へー、猿渡くんって優しいんだね」

 

俺の事について話しているが、それでも聖吉の今行っている事は俺達にとって禁忌に等しかった。

 

「勝、修也」

「分かってますよ、カシラ」

「野郎、ムッコロしてやる」

 

俺が2人を呼ぶと、勝は頷き、修也はどこかで聞いたようなネタを混ぜた様な事を言った。すまねぇな聖吉。でも、お前がやった事なんだぜ?

2時間目のチャイムが鳴ったので、俺達は聖吉への恨みを胸にしまいながら席へ座った。

 

***

 

山田先生がスラスラと教科書を読んでいく。勉強会が功を奏したのか、内容は教科書を読んでいく内に思い出していった。周りを見ると、頷いたり、ノートを書き込んでいる者もいる。凄いな。伊達に倍率高いここを通ってきた訳では無いらしい。対して俺は所々理解出来ずにいる。畜生、不甲斐ない。

 

「(3人は……大丈夫だよな?)」

 

三羽ガラスの様子を見たかったが、どんな光景が広がっているかを想像してしまうと、見る事が出来なかった。

 

「織斑くん、何か分からないところがありますか?」

 

山田先生が一夏に訊いている。丁度良い、流れに乗じて分からない所を聞いてみよう。だが、順番は順番だ。一夏の質問が解決してからにしよう。

 

「先生!」

「はい、織斑くん!」

 

一夏の呼びに山田先生が返事する。頼り甲斐がありそうだ。もしかしたら俺達は副担任に恵まれているのかもしれない。

 

「ほとんど全部分かりません」

 

俺はそれを聞いて横にコケかける。三羽ガラスも俺と同じ状態にあった。ってか、一夏のヤツちゃんと勉強したのか?今度勉強に付き合ってあげよう。

 

「え、えっと……織斑くん以外で分からないっていう人はいますか?」

 

挙手を促し出す先生。まぁ、分からない所があるのは事実なのですぐに手を上げた。

 

「猿渡くんと、三羽ガラスくん達だけですか?」

 

やっぱりと思いながら横を見ると、三羽ガラスのメンツが手を上げていた。

 

「まさか、全部じゃ……無いですよね?」

 

山田先生が恐る恐る聞いてくる。全部分からない訳では無いので正直に分からない所だけを言おう。

 

「いや、部分部分だけッスね。……あえて聞くぞ、お前らはどうだ?」

 

俺は山田先生以上に恐る恐る聞いてみる。3人は顔を伏せたままじっとしていた。

 

「ふ、フフフ……ハッハッハ!」

「「ハッハッハ!」」

 

勝が笑い出すと、修也と聖吉も笑いだした。コイツら、周りのプレッシャーに耐えれずに……

 

「大体は分かりましたよ、カシラ!」

 

勝からの返事は予想に反したものだった。

 

「いやー、カシラ主催の勉強会以外でも3人集まっては徹夜して勉強した甲斐がありましたよ!」

「カシラに良い所全部貰う訳にはいかなかったからな」

「僕達、カシラの足引っ張りたくなかったからねー」

 

コイツら、俺の為に……。目頭が熱くなる。改めて良い子分を持ったと本当に思う。

 

「嘘だろ、カズミン……」

「すまねぇな、一夏。後、ちゃっかりカズミン言ったな」

 

一夏が項垂れる。俺は勝の頭をわしゃわしゃしながら見ていた。勝が悲鳴を上げていて、聖吉が「赤ちゃんのネギヘッドが~」とか言っているが気にしない。

 

「……織斑、入学前の参考書は読んだか?」

「古い電話帳と間違えて捨てました」

 

織斑先生の質問に一夏が答えるとパアンッ!と叩かれた。うわ、あれ絶対痛い。ドンマイ一夏。

 

「あとで再発行してやるから1週間以内に覚えろ。いいな」

「い、いや、1週間であの分厚さはちょっと……」

「やれと言っている」

「……はい、やります」

 

うわぁ、怖いなぁ。織斑先生って一夏の姉だろ?

苦労する姉を持ったな、一夏。いや、逆か。苦労する弟を持ちましたね、織斑先生。

 

パアンッ!

 

「お前もいい加減それを止めろ」

「……ハイ」

 

勝をわしゃわしゃしていたままでいたせいで俺も織斑先生に叩かれた。一夏、同情するぜ。

俺は大人しくなり、勝は涙目でネギヘヤーを気にしながら引き続き授業を受けた。

 

 ***

 

「一夏、アレ痛いな」

「分かってくれるか、友よ」

 

2時間目の休み時間、俺はすぐに一夏の元へ行き、互いにガッチリと握手し合った 。

すると、三羽ガラスもこちらへとやって来る。

 

「織斑一夏だよな?改めて、三羽ガラスの赤羽だ。後ろのヒゲが青羽でチビが黄羽だ」

「赤ちゃんチビは酷いよー」

「ヒゲはオシャレだ。悪口に使うんじゃねぇ」

 

勝が自己紹介をすると、いつも通りの小競り合いを始める。俺と一夏は苦笑いをするが、3人は小競り合いをすぐ止めて一夏の方を向く。

 

「俺達ISには乗れないけど、力になれるように頑張るから、よろしくな」

「「ヨロシクー」」

「おう、よろしくな」

 

三羽ガラスと一夏が握手をする。あとは氷室とまだ仲良くなれていなかったな。

氷室を探そうと教室をながめるが、氷室の姿は無かった。はて、トイレにでも行ったのだろうか。

 

「ちょっと、よろしくて?」

「は?」

「ひ?」

「ふ?」

「へ?」

「ほ?」

 

突然声をかけられたので一夏、勝、修也、聖吉、俺の順で声を上げた。今のちょっと嬉しい。

話しかけてきた相手は金髪にブルーの瞳の女子だった。しかし、彼女の態度は今の風潮にピッタリなものだった。

ISの登場により、女子の優遇率は上がり、それ故に女=偉いみたいな感じになった。俺や三羽ガラスはそんな風潮にも負けないように努力はしてきたので俺達は辛い目には合わなかったがーー今目の前にいる彼女はある種の今どきの女の子だった。

 

「確か……セシリア・オルコットだけっか?代表候補生の」

「だ、代表候補生……!?」

「そう!そのセシリア・オルコットですわ!」

 

俺は彼女の自己紹介の記憶を頼りに相手の名を思い出す。一夏も驚いている。オルコットも満足げにしていた。

 

「代表候補生って……何だ?」

 

一夏の言葉で空気が凍りつく。ヤバい、一夏のヤツ、爆弾を投下しやがった。オルコットの方もプルプルと震えている。周りの女子や三羽ガラスもずっこけていた。ってか、3人も知ってたんだな。カズミン嬉しい。

 

「あ、あ、あ……」

「『あ』?」

 

オルコットのぷるぷるは更に激しくなる。あ、コレはまずいな。俺はすぐに人差し指で耳栓をしていた。

 

「あなた、本気でおっしゃってますの!?」

 

すごい剣幕で一夏に迫るオルコット。流石にこれ以上空気を悪くするのはいかないので、すぐにフォローに回る。

 

「一夏、代表候補生ってのはな、国家代表IS操縦者の候補生みたいなもんさ。まぁ、俗に言う……」

「エリート、なのですわ!」

 

うわ、セリフ盗られた。折角フォローしてやったのに。酷いやつだな。

 

「何かよく分かりませんけど、凄い人なんですね、カシラ!」

「セシリアさんかー、僕黄羽!ヨロシクね!」

「タチ悪いだけの女じゃねぇか」

 

三羽ガラスはそれぞれ別々の対応をする。オルコットは三羽ガラスを一瞥すると、俺の方を向く。

 

「貴方も貴方ですわ。ISに乗れないくせに入学させるなんて」

「それは、ワガママだと充分分かっている。すまない」

 

俺は軽く頭を下げるが、どうやらまだ認めてないらしい。

 

「知的な方ならまだしも、あの様な猿同然の男を連れて来るとはどう言う事ですの?」

 

3人の事を馬鹿にされて俺はカチンと来た。

 

「文句は俺に言ってくれと言ったが、アイツらを罵れとは一言も言ってねぇぞテメェ、ゴルァ!」

 

ドスを効かせた声で俺はオルコットに迫るが、その前に3人が俺を引き止めた。

 

「止めろよカシラ!」

「そーだよ、僕達が馬鹿なのは事実だし……」

 

青羽と黄羽が俺を説得してくれた。少し頭をクールダウンさせる。オルコットの方は悪びれる気もないそうだ。

 

「猿同然でも、流石に自分が低能だとは分かりますのね」

「だから、コイツらをバカにすんじゃねぇ!」

「カシラ、落ち着いて!」

 

オルコットが更に3人を馬鹿にしだすので、俺も更にヒートアップするが、赤羽に引き止められた。

 

キーンコーンカーンコーン

 

チャイムが鳴る。流石に授業中に小競り合いは起こしたくないので、オルコットに鋭い眼光を向けながら席に戻って行く。三羽ガラスは一夏とオルコットに謝りながらも自身の席へ戻って行った。

アイツらには悪いことをしてしまった。

 

しかし、俺は知らなかった。

再びオルコットと衝突を繰り広げる事を。




どうでしたか?感想、指摘等は何時でも待ってます!
さて、今回からは次回予告も書いていきます。

あと、セシリアとはちゃんと和解させますよ。安心してください。タグにアンチ・ヘイトがありますが、アンチは苦手なので。

***

次回、INFINITE・GREASE!

千冬「クラス対抗戦の代表者を決める」

一海「テメェ、やんのか、ゴルァ!?」

セシリア「貴方こそなめてますの?」

一海VSセシリア再び!?

内海「また会ったな、猿渡一海」

一海「サイボーグ先生……!?」

内海と一海の再開

内海「一年前、君の身に何が起きたかを、我々は知っている」

明かされる、一年前の真相とは!?

??「初めまして、僕の名はーーー」

第3話 危ういサイエンティスト
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