INFINITE・GREASE   作:オーマピジョン

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葛城「仮面ライダービルドとして戦う葛城巧は仮面ライダーグリスこと猿渡一海と共に難波重工と激闘を繰り広げていた」

雪兎「そんな中、異世界から来た天野雪兎と邂逅、難波からパラレルボトルの奪還をする為に研究所へと向かう」

一海「戦いの場は雪兎の世界へと移り、雪兎の仲間達と共闘。ビルドはタンクタンクフォーム、グリスは新たなる武器ブリザードナックルで難波重工を退ける」

雪兎「ついにコラボも完結か」

一海「12話ぐらいかかったな。随分長くなっちまったなぁ」

葛城「でもこれからは別々だね。何だか寂しいな」

雪兎「物語には始まりがあれば終わりがあるものですよ」

一海「かもな。……なぁ、最後は全員で言おうぜ」

葛城「だね!じゃあーー」

3人『第46話、スタート!』


ジーニアスが創る明日

一海達と別れ、雪兎と葛城は学園の一角にあるプロジェクト・フロンティアの研究施設の雪兎のフロアを訪れていた。

 

「……プロジェクト・フロンティア、思っていたより大掛かりなプロジェクトみたいだね」

 

プロジェクト・フロンティア。ISを使った宇宙開発事業プロジェクトである。様々な企業や研究所が結集して行われるこの計画は世界規模と言っても同然だった。葛城はその規模の大きさに軽く驚いていた。

 

「それよりも聞きたい事があるのでは?」

「やはり一海君を引き離したのは狙っていたんだね?」

 

そう言い、葛城は一海から預かっていたブリザードナックルを近くの作業台に載せた。

 

「一海君から君に貰ったと聞いたけれど、これはどういうつもりだい?」

 

ブリザードナックルがただのグリスの強化武器であれば葛城もこんな追い詰めるような事をする必要は無かった。だが、このブリザードナックルには武器として以外にもとある機能が内包されていた。それに気付いたからこそ、葛城は雪兎に問わねばならなかった。

 

「このブリザードナックルにはビルドドライバー(・・・・・・・)と接続して変身アイテムとして使用出来る機能が、クローズドラゴンを元にしたシステムを内蔵しているね?」

「流石は巧さん、この短時間でよく気が付きましたね?」

「雪兎君!君は自分がどういうモノを作り出したのか理解しているのかいっ!」

 

一海の精神性は安定したものに見えてとても危険性のあるものだと葛城は気づいていた。そんな一海にこれ以上強力な力を手に入れたら何が起こるか分かったものでは無い。

 

「一海のやつに何れ必要になると思ったから作った、それだけです」

「だがっ!」

「巧さん、俺だって必要なければこんなもの作ったりしませんよ!貴方はまだ(・・)必要無いと言う!だが、それはいつだ!?本当に必要な時に間に合うんですか!?」

 

雪兎の様子が落ち着いた様子から段々ヒートアップしていく。雪兎も雪兎なりに一海を思っての事なのだろう。

 

「前にも言いましたが、俺はやらずに後悔するくらいならやって後悔する道を選びます!何もせずに一海(ダチ)を死なせるような事になったら、俺は一生、いやいくら後悔してもしたりねぇ!」

 

そう言う雪兎の気迫に葛城は圧倒される。

 

「……すみません、少し熱くなり過ぎました」

「いや、こちらこそすまない……君の覚悟を少し見誤っていたようだ」

 

言いたいだけ言った雪兎がクールダウンし謝ると、葛城も雪兎の真意を知り謝り返した。

 

「一応、もう1つ保険をかけてますし、そもそもあれを使うには今の一海ではハザードレベルが足りません。それに肝心なビルドドライバーを一海は持っていない」

「そうだったね……」

 

雪兎の言葉を聞き一安心する葛城。葛城は心の中で一海がこれを使う時が来ないのを願った。

 

「さて、真面目な話はこれくらいにして技術交流といこうか、巧さん」

「見せてもらうよ、君の本来の技術力を」

 

その後、二人は深夜に戻って来ない雪兎を心配したシャルロット来るまでハイテンションのまま技術交流を続けていたそうである。

 

***

 

様々な事があった翌朝、それでもきっちり時間通りに起きてきた雪兎は多少回復した一海に学園を案内していた。尚、一海には世話役としてユーリが同伴している。

 

「色々とこっちとは違う部分はあるが、基本的な部分は変わんねぇんだな」

「あはは……その色々の大多数にマスターが絡んでますけどね」

「雪兎ェ……」

 

一海がジト目で雪兎を見ると、当の本人は抗議したい様な顔をする。

 

「これでも自重はしてるぞ?師匠がその気になってたら面影も無いレベルで改築されてるんだから」

「多少性格がマイルドになってもあの人はあの人か」

 

今朝、葛城と一海は雪兎の世界の多少性格がマイルドになった束と遭遇した。一海達の世界の束の性格が性格なので驚いたのは言うまでもない。

 

「そういや表の方が騒がしかったが、何かあんのか?」

 

一海が目覚めた際に外の方が若い声で騒がしかったのを思い出す。

 

「ああ、今日は学園の入試でな」

「あ~、入試ね……って、あんな事あったのに普通に入試すんの!?」

 

一海は難波の襲撃があったのにも関わらず堂々と入試をするこの世界のIS学園に驚いていた。

 

「一海、色々あって、マスター()のせい、と言えば大抵納得されるんですよ、この世界は」

「なるほど兎の皮を被った災害(ラビット・ティザスター)の2つ名は伊達じゃねぇって事かよ」

 

改めて雪兎の無茶苦茶っぷりを痛感する一海だが、そこでふと疑問が浮かぶ。

 

「あれ?学園の入試って外の会場でやってなかったか?」

「あっ、それは一夏が原因だ」

 

かつて一夏がIS学園の試験会場に迷い込んだのがそもそもの発端になっており、同じようなトラブルを避けるべく、試験会場はIS学園に限定したのだ。

 

「へぇ~」

「あと、今年は四人も男子が見つかったらしい」

「そうなのかぁ~……って、えぇえええ!?」

「驚くのは無理もねぇとは思うが事実だ」

 

一海と幻徳はスクラッシュ計画による人体実験とネビュラガスの注入によって細胞が変質してISに乗れるようになった。

しかし、雪兎が言っているのは特殊な出来事があった男子ではなかったのだろう。

 

「束さん曰く、俺や一夏っていうサンプルがいたせいか、ISコアが徐々にだが男を受け入れ始めてるんだとよ」

 

そこに丁度筆記試験が終わったと思われる受験生達が廊下に出てき始めた。

 

「あれが未来の後輩候補かぁ……って!?」

 

その中に雪兎は見覚えのある人物を発見して冷や汗をかく。

 

「……雪兎先輩?雪兎先輩ですよね!?」

 

その人物は雪兎を見つけるや否や一瞬で雪兎の目の前までやってきた。あまりの速さに一海も見きれなかった。

 

「お久しぶりです!雪兎先輩!!」

「お、おう、久しぶりだな、日向」

「雪兎、こいつは?」

「あっ、初めまして!雪兎先輩の中学の後輩で紫陽日向(しよう ひなた)と申します!」

 

元気ハツラツとした日向を見て一海は気圧されてしまう。

 

「そして、先輩の一の妹分です!」

 

それを聞いた時、雪兎が頭を悩ませる理由を察した。日向は雪兎の信者に近い状態なのだろう。言うなれば忠犬である。

 

「(こ、濃い……)」

 

まるで三羽烏を凝縮したかのような濃さに流石の一海も少し引き気味だ。

 

「だぁー!!いい加減に離れろ日向!」

「あっ、はい」

 

あの様子だと長い間会ってなかった様だ。なんか雪兎が珍しく冷静でない。

 

「……まさかお前にもIS適性があったとはな」

「A判定でした!」

「……来年から更に騒がしくなりそうだ」

 

この先波乱まみれになるのは避けられないなと察した一海は遠い顔する雪兎に一海は心の中で合掌する。

 

「日向さん、でしたか?そろそろ実技の時間では?」

「そうでした!!それでは先輩!またです!」

 

ユーリに時間を指摘され、日向はまた弾丸のように去っていった。

 

「……嵐のような娘だったな」

「あれの相手を毎日だぞ?まあ、落ち着けば普通に良い後輩なんだが……」

 

普段は三羽ガラスよりマシらしい、雪兎がいれば話は別になるが。

 

「何故か少しだけアイツにシンパシーを感じた」

「はぁ!?……あっ、そういう事か」

 

一海のシンパシー発言に雪兎は驚くが、すぐにその理由を察してニヤニヤし始める。

 

「お前、楯無さん大好きだもんなぁ」

「ちょっ!?お前!!」

「か、一海さん、ここは皆さん見ていますから!マスターも煽らないで下さい」

 

雪兎の指摘に顔を真っ赤にして拳を握る一海をユーリが慌てて宥める。

 

「仕方ない、一海弄りは後にするか」

「くっ、厄介な奴に知られちまった……」

 

そんなに顔に出てしまってたのかと一海は項垂れたが、一海への学園の案内は無事に終わるのであった。

 

***

 

時間を巻き戻して1日前、一海達の世界のエネルギー研究所。一夏の変身したビルドは残党スマッシュの殲滅に当たっていた。

 

『スペシャルチューン!ヒッパーレ!ヒッパーレ!ヒッパーレ!』

「食らえェェェェェッ!!」

 

一夏を取り囲むスマッシュ達をビートクローザーで横一閃に薙ぎ払う。

 

『メガスラッシュ!』

 

緑の爆発が起きると、一夏はスマッシュから成分を抜き取ってその場に大の字で倒れる。

 

「あー!疲れたー!」

「一夏さん、お疲れ様です」

「アンタ無理し過ぎなのよ」

 

ダウンしている一夏にセシリアと鈴がやって来る。

 

「お疲れ様。パラレルボトルはちゃんと回収出来たわ」

 

すると、楯無が2本のパラレルボトルを持ってやって来る。

 

「後はリモコン・エンジンのブロス2人組なんだけど……あの二人は?」

 

すると、4人の真上に氷の道が描かれ、そこをエンペラーがブロス2人を連れて滑っていく。

 

「いただき!そしてさらばっ!」

 

ドヤ顔をキメながら(ただし顔は見えない)研究所から姿を消すエンペラーとブロス2人。

 

「アレはGファルーーエンペラー!」

「一夏、今何と間違えたの……?」

 

一夏が反射的に驚くが、鈴にツッコミを入れられてしまう。セシリアと楯無がISを呼び出そうとするが、その前に背負っていたリュックから鰯型のミサイルを放つ。

 

「何故鰯ですの!?」

「少年少女よ!鰯を食え!」

 

すると、再びリュックから何かを放つ。

 

「またミサイル!?」

「いや、ただの鰯だ」

 

生鰯を撒き散らしながらその場を離れていくエンペラーに一同はズッコケる。床には鰯だらけになっていた。

 

「何だろう、この締まらなさ」

「ま、まぁ、決着は向こうの世界だし……良いんじゃない?」

 

あまりの超展開にポカンとする一夏。なおエンペラーの独壇場であった、色々な意味で。

 

***

 

「大分こっちの方のIS学園も覚えてきたぜ。今なら1人で自由に行ける気がする」

 

ザ・方向音痴な一海は雪兎の世界のIS学園に慣れてきた。

 

「一海が方向音痴だったなんてな」

「方向音痴の音痴の仮面ライダー……」

 

それについていた雪兎の世界の一夏は苦笑いをしていた。簪は「それもまた良い」と思っている。

 

「完全無欠なんていねぇよ。ヒーローは独りでするもんじゃねぇ。皆で笑って、泣いて、色々していくもんなのさ」

 

一海の言葉に2人は「おー」と感心の声を上げる。一海は少し気恥ずかしくしそうにする。

 

「ホントに強い奴は、助けを求めれる奴さ。だから仲間が必要なんだよ」

 

はにかみながら言う一海。簪は小さく拍手をして賞賛していた。

 

「離れ離れでも、心は繋がってると信じてーー」

 

一海の言葉が止まる。簪と一夏は一海の異変に気づいて一海の視線の先を見た。

そこには黒い外套を纏った少年がいた。

 

「氷室……!?」

「……猿渡一海か」

 

3人の前には氷室幻徳が立っていた。

 

「お前、何でここに!?」

「どうだって良いだろう。何ならここでケリをつけても……いや、今は止めておこう」

 

幻徳はドライバーを取り出しかけるが、諦めたのか構えを解く。

 

「テメェ……何がしてぇんだよ」

「俺の目的は、ただ一つだ」

 

幻徳は人差し指を一海に向ける。一海は幻徳の目的が何なのかに気づいた。

 

「俺か……?」

「その通りだ、猿渡一海。お前との決着だけが今の戦う理由。その首を洗ってーー」

「おーい、何処だー?」

 

雪兎の声が聞こえた幻徳はピクリと反応すると、何処かへと立ち去ろうとする。

 

「お、おい!どこ行くんだよ!」

「残念だが話はここまでだ。覚悟しておくといい」

 

幻徳は外套を翻すと、その場から姿を消した。それと同時に雪兎が3人の元へとやって来る。

 

「アイツ何処に……あ、一海」

「あ、雪兎。今氷室が……」

 

それを聞いた雪兎は何か考えたような素振りをする。

 

「アイツは何もしてこないと思うぜ。俺がいる限りな」

「な、なら良いけどよ……」

「じゃあ俺も用があるから行くぜ」

 

雪兎は3人を通り過ぎていった。

 

「物騒だな……簪、どうした?」

「ううん、あの人……とても悪い人には見えなかったから」

 

一夏が不安そうにしていると、簪は幻徳の事を思っていた。

 

***

 

「何故だッ!何故負けたァー!」

 

一方、難波重工では重三郎が怒り狂っていた。

難波重工のブロス部隊がコンテナに積まれて送り返されたからである、しかも大敗と言う形で。

 

「申し訳ございません、会長。相手の技術力は余りにも未知数でーー」

 

内海は重三郎に必死に頭を下げる。

 

「そんなのを聞く気などない!……もういい。アイツらにガスを注入させろ」

 

それを聞いた内海はとっさに頭を上げる。

 

「会長!そんな事をしたら彼等が」

「マトモに任務を遂行できない奴ら等必要ない!お前はワシの言う事を聞いておけばいいんだ!」

 

内海はこれ以上言い返す事をぐっと堪える。

 

「承知、いたしました……」

「そうだ。それでいい。鰐の奴らも隊長以外はさせておけ。良いな」

 

内海はその理不尽に憤りを感じつつも部屋から立ち去って行った。

 

***

 

その2日後、雪兎から次元の歪みがなくなったとの報告を受け、一海と葛城が元の世界へと帰る事となった。

 

「色々と世話になったな」

「気にすんな、俺も今回の件は色々と得るものがあったからな」

「それもお互い様だよ」

「送別会が出来ないのは少し残念だけどね」

 

今回は一海が早く帰って皆を安心させたいと言うので送別会は行わず、ちょっとしたお土産を渡すだけに留める事になった。

 

「お土産もたくさん貰ったし、これ以上は申し訳ないよ」

「難波とかパンドラボックスとか何かとそっちは物騒みたいだけど、あっちの俺達にもよろしく言っといてくれ」

「カズミン、あっちのお姉ちゃんをよろしく」

「ああ、必ず!」

 

いつの間にか仲良くなった一夏と簪と握手を交わす一海。

 

「巧さん、またお互いの作品見せ合おう」

「ああ!是非ともまたやろう、カロリナちゃん」

 

一方の葛城も技術者の卵であるカロリナとも交流を深めていたようだ。

 

「そんじゃ、ゲートを開くぞ?」

「ああ」

「お願いするよ、雪兎君」

 

別れの挨拶を終えた二人を連れ、雪兎は再び一海達の世界へと跳ぶ。

 

「ほい、到着」

「……本当に一瞬だな」

「改めて世界間の技術差の違いを感じるよ」

 

難波重工が必死になってワームホールを開いたのに対し、雪兎のクロスゲートは本当にレベルが違い過ぎた。

 

「それ、お出迎えがきたぞ?」

 

すると、一海達の反応を察知してこちらの皆が駆け寄ってくる。それを見て一安心すると、雪兎は再びクロスゲートを起動する。

 

「もう帰るのか?」

「生憎こっちにはまだやる事が山積みでな」

「そうか、わざわざ送迎してくれてありがとう、雪兎君」

「では、また道が交わる事があれば」

 

そう言って雪兎はクロスゲートをくぐり帰っていった。

 

「また道が交わる事があれば、か……」

「きっとまた会えるさ」

 

ふと二人が見上げた空には白い兎のような形の雲が浮かんでいた。

 

***

 

雪兎の研究所のテーブルに1つの録音機が置いてある。それが自動で起動すると葛城の声が聞こえてきた。

 

『雪兎くん、僕は君に多くを教えてくれた。大切な思いを、覚悟を忘れない事を学べた』

 

葛城は恥ずかしそうに「ははっ」と笑う。

 

『もしかしたら、この先争いが起きて、誰かが悲しむ出来事が起きるかもしれない』

 

葛城は何か思い出すように、辛そうに言う。

 

『だが決して忘れないでほしい。皆が愛と平和を胸に生きていける世界を創るのは、僕達なんだと………ありがとね、雪兎くん。また会おう。

 

 

 

 

 

明日を 創る(ビルドする)科学者、葛城巧より」




さて、兎協奏曲とのコラボはこれで完結です。ミストラル0さん、ありがとうございました!これからも応援してます!

IG傑作選の方もご投票、よろしくお願いします!

さて、次回からは新たなる物語がスタートです。様々な思惑が交差する中、舞台はIS学園ではなく……!?

新章、お楽しみに!

第47話 ライダー、北へ






























「メッセージ、届いたかなぁ……」

葛城は1人研究所である物を開発していた。

「さてと……」

葛城はパラレルボトルを1つ取り出した。しかし、それは龍我の世界でも雪兎の世界でもない。

「いつか『あの世界』と共に力を合わせる必要がある……その為にも、これは必要だ」

葛城はさらに視線を移す。そこにはピンクの 仮面ライダー(・・・・・・)がプリントされたボトルと6色のボトルがあった。

「貴方の思い通りにはなりませんよ。最上さん……!」
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