美空「じゃないでしょ!何よあの体たらく!告白まがいの言葉を言っておきながらこれとか酷くない!?」
一海「みーたん、そんなに怒らなくとも……」
美空「シャラァップ!」
一海「はいごめんなさーい!」
美空「全くもー、裏側ではなにか起きそうだし。不安まみれったらありゃしないわ!」
一海「面目ないです……」
美空「反省したかは第53話で確かめるから!」
一海「みーたん、こえぇ……」
鈴が夜の寮を歩く。一夏の部屋に引っ越してきた楯無の事も気になるが、一海の嫉妬問題もどうにかなるのだろうかと心配である。
「鈴」
自分の名前を想いを馳せる男子の声で呼ばれた。
「一夏?」
「あぁ、俺だ鈴。大切な話がある。こちらに来てくれないか?」
大切な話ーーーまさかと脳内にとある可能性が浮かぶ。
(こ、これって、告白……!?あー、でも、アイツの事だし、どうでもいい事かも……)
「俺の気持ちをお前に伝えたいんだ。どうしても、今から」
そう言われた鈴は目の色を変える。もうこれは確信してもいいだろう。一夏は鈴に……。
「もー、仕方ないわねー!その気があるならすぐに言いなさいよー!」
鈴が廊下を曲がる。織斑一夏争奪戦は凰鈴音の勝利でーー
「まんまとーーー引っかかってくれたな』
一夏の声が渋い声に変わる。それに気づいた時には、もう手遅れだった。何者かに腹を殴られ、意識が遠のいていく。遠のく意識の中、鈴が見たのはワインレッドに緑のコブラのマスクをした男……ブラッドスタークを。
***
「…………」
「一海くん、聞いてる?」
「ハイッ!聞いてます!」
美空に話しかけられた一海は肩を震わせながら反応する。美空は呆れつつもため息をつくと、一海を見た。
「あのねぇ、楯無の事が心配な気持ちは分かるけど、君は心配しすぎ!」
「た、例えみーたんからのお言葉だとしても、これだけは譲れないと言うか……」
「黙って!」
「ハイごめんなさいー!」
美空の一括に黙る一海。美空は再びため息をつくと、人差し指を一海に向けた。
「一海くんはさ、一緒に協力し合うって気持があるよ。それは間違ってる事じゃない。でもね、離れてても大丈夫だって、信じてあげなよ」
『信じる』ーーーそう言われた一海はドキリとする。思い当たる節はそれなりにある。雪兎の1件でも、楯無だけを残して進むことを躊躇していた。
「楯無も、あんたの仲間も、ちゃんと強いし、一海くんを信じてるよ?あんたが信じなくてどうするのよ!」
美空が詰め寄ると、一海は1歩下がってしまう。
「俺がちゃんとしなくちゃいけねぇし……」
「一海くんにだって、自分にしか出来ない事あるでしょ?他の人……楯無にだってあるよ」
楯無にしか出来ない事……楯無は更識の家の人間として暗部と戦っている。これまでも、これからも。きっと、一海と結ばれても、それは止めれる事では無いだろう。
「でも、信じきってもダメだから本当の本当の本当に楯無がピンチになったら、助けてあげてね」
「丁度いい位の信頼が良いってことすね……」
「そういう事」
サムズアップを決める美空を見た一海は真剣に考えてたせいで固くなってた口元が緩くなって自然と口角が少し上になる。
「なら、もうちょっと楯無さんや一夏を信じるとするか……ありがとな、みーたん」
「私は、君じゃなくて楯無の為にしただーけ。荒ぶってる一海くんを見た楯無、責任感じて自分の事責めちゃいそうだから」
下手に嫉妬なんてするもんじゃないのかもしれない。そう内心思った一海は足を動かす。
「どこ行くの?」
「一夏んとこす。アイツに謝っておかないと、俺の気が許せねぇ」
一海は1人一夏の元へ向かった。
***
「あー、疲れた……」
一夏は1人ベットで倒れていた。楯無は現在シャワーに入っている。自身を振り回しまくる楯無がいない今がとても惜しく感じる。
「まだ目標までは遠いな……一海に負けたくねぇし!」
楯無と特訓を続けている一夏だったが、まだ一海にすら及んでない様な感覚が拭えていなかった。
「……ん?」
気合を入れていると、自身の携帯に突然連絡が入った。見てみると、鈴からのメールだった。
「鈴から?」
急に何事かと思って開いてみる。映像付きのメッセージな様で、送られてきた映像を見た。
『ーーーッ!!ッ、ーーーッ!!』
そこには水槽の水に浸されて、もがいている鈴がいた。口元にはガスマスクがついているので上手く喋れてない。
「鈴!」
『よぉ、一夏。お前とこうして話すのは初めてだよなぁ。おっと、本題を話さないと画面越しに怒りそうだから話すぜ』
カメラが動かされると、そこにはスタークがいた。いつも通りの飄々とした掴めない態度は一夏を苛立たせるにはちょうど良かった。
『このメールを送った数分後にはコイツがスマッシュとしてIS学園にやってくる。止めたけりゃ、お前一人で止めに行きな』
すると、水槽の中にいた鈴に黒い気体が包み込んで、その姿をスクエアスマッシュへと変えてしまう。
『さぁ、時間は有限だぞ。早く行きな!』
「ッ、クソッ!」
一夏はビルドドライバーとボトル2本を掴むと、部屋へと駆け出す。
「あ、一夏ってうぉっ!?」
部屋を出た直後一海と遭遇するが、一夏は気にせず寮の外へと向かった。
「どうしたんだよアイツ……って、おい一夏、待て!俺はお前に用があって……行きやがった」
一海は仕方なく、一夏と楯無の部屋に入ってみる。
「楯無さん、一夏が何であんな様子なのか知りまーー」
「一夏くん急に何処にーー」
部屋を覗いた一海が見たのは、急に外に出た一夏を呼び止めようとする楯無だった。問題はそこではなく、楯無の格好だった。
慌てて外に出たのか、シャツのボタンが留められておらず、白い下着が丸見えだ。
「………エヘッ」
「ーーーッ!一海のバカッ!」
「バカでごめんなさいっ!」
楯無の投げたドライヤーが一海の顔面に炸裂すると、鼻血を流しつつバタリと倒れた。
***
そんな事が起きてるとも知らず、一夏は所定の位置にやってきた。そこには、案の定スマッシュがいる。
「アレが、鈴……」
「ウ、アァ……!」
スクエアスマッシュは一夏を見つけると、襲いかかった。スマッシュになった今、呼びかけても意味は無い。倒して成分を抜くしかないのだ。
「ッ、変身!」
『キードラゴン!』
一夏はビルドクローズになると、ビートクローザーで斬撃を繰り出した。
***
一夏とスクエアが戦っている様子を、オータムは笑みを浮かべながらみていた。
「あの野郎、怪しい奴だとは思ってたが、まさかホントに織斑一夏だけをおびき寄せれるとはな」
何はともあれ、オータムにとってこれは好機。蜘蛛のような武装をしているIS『アラクネ』を纏って一夏に襲撃をーーー
『不都合な真似はされると困る』
ーーする前にオータムの真上から鉄の塊が落とされた。オータムは寸でのところでそれを避ける。
「ッ、急に何だよ……!」
オータムは自信を襲撃してきた敵を見る。
それは一機のISだった。紫色の刺々しい見た目をしており、体全身に装甲が纏われている。顔には無機質な仮面が付けられていた。
「全身装甲の、IS……?」
紫のISはその手に持つ巨大なメイスを構える。オータムでも分かった、「これを喰らえば、自分は無事ではいはれない」と。
「お前、何もんだ!」
『名乗る名前なんて無いな。お前みたいな、吠えてるだけの雑魚には』
あからさまな挑発。しかし、オータムがそれに怒りを見せるには十分だった。
「てんめぇぇぇ!」
『安心しろ、武器はこれしか使わない。全力で手を抜いてやる』
担いでいるメイスをノックしながら言うと、迫ってくるオータムの応戦を始めた。
***
『ヒッパーレ!スマッシュヒット!』
「らぁっ!」
ビルドクローズの斬撃がスクエアに炸裂する。スクエアは地面を転がると、立ち上がろうとする。
「来るか!」
「ヴゥゥゥゥ、アァァァァァッ!」
すると、スクエアに変化が起きた。その身に装甲が装着されていく。一夏はそれを良く知っていた。
「甲、龍……!?」
なんと、スマッシュの状態でISを纏ったのだ。しかも専用機である。
「アァァァァッ!」
スクエアは青龍刀を振り下ろす。ビルドクローズはそれを避けた。
「んだよコレ、何がどうなってんだ!?」
『驚いてくれたか?新作、ISスマッシュさ!今回は、スクエアISスマッシュと呼んだ方がいいな』
ビルドクローズが声のした方を向くと、木の上に座るスタークだった。
「お前、よくも鈴を!」
『怒っているのか?良いねぇ、ハザードレベルは強い感情で上昇を促進させる!……まぁ、死んじまったら意味無いがな』
ビルドクローズはスクエアISが竜砲を放つ。ビルドクローズは発射される前に発射線上から避けた………つもりでいた。
「ゴッ!?」
ビルドクローズはバスケットボールくらいの大きさが腹に直撃した。それだけじゃない。次々と体に同じ大きさの何かが当たる。
地面を転がるビルドクローズ。鈍い痛みを堪えつつ、頭を上げてみると、周りの地面が何かによって抉られていた。
「衝撃砲……でも、あんなの、初めてだ……」
『スクエアスマッシュは空間操作が出来てなぁ。衝撃砲を幾つにも分断させて拡散させたのさ』
スタークがスラスラと衝撃砲のロジックを話す。即ち、スクエアISは見えない拡散する衝撃砲を撃てるのだ。
「見えない拡散弾とか、どうかしてるだろ……!」
スクエアISが再び衝撃砲を放とうとする。今度こそ倒されると危機感を感じたビルドクローズ。そして、ついに衝撃砲が放たれた。
『チャージボトル!チャージクラッシュ!アンジュ!』
すると、ビルドクローズの前に1人の影が現れると、黒い液体がハート型になって固形化する。拡散衝撃砲は全てハート型のバリアに防がれる。
「大丈夫か、一夏」
「一海!」
現れたのはグリスだった。ドライバーには先程使っていたアンジュボトルがセットされている。
『来たか、一海!』
「よぉ、スターク。悪ぃがあのスマッシュは倒させてもらうぞ」
グリスはビルドクローズに手を伸ばす。ビルドクローズはそれを掴むと、立ち上がった。
「一海、あのスマッシュは鈴なんだ」
「成程、だからお前勝手に一人で行ったのか」
「わ、悪かったって……」
ビルドクローズが申し訳なさそうにすると、グリスは肩に手を置いた。
「俺もお前に悪い事しちまったからな。オアイコってことにしようぜ」
「一海……あぁ、そうだな!」
グリスとビルドクローズは並んで構える。
「一海、アイツはスタークに人体実験をされた鈴だ」
「鈴が?スターク、余計な事しやがって」
とは言え、拡散衝撃砲はまだ対策法が浮かんでいなかった。
「あの衝撃砲をどうにかしないと、2人まとめてやられちまうぞ?」
「対策しねぇと簡単にやられるな。一夏、接近して気を引かせてくれ。そのうちに衝撃砲をどうにかする」
「囮作戦って事か!」
ビルドクローズはビートクローザーを片手に駆け出す。スクエアISの振り下ろした青龍刀を避けて、斬撃を繰り出した。
「さて、本当は氷室用に秘策としていたかったんだが……使うしかなさそうだな」
グリスの左腕から出てきたゼリーが固まると、もう1つのツインブレイカーになった。
『ほう、ドラゴンゼリー無しでもツインブレイカーをもう1つの出せるようになったのか。その様子だと、ハザードレベルは着実に上がってるな』
「ギャフンと言わせたらァ!」
グリスはボトル4本を取り出す。右にはクマと消防車、左には冷蔵庫と扇風機を装填した。
『『シングル!ツイン!』』
「一夏、離れろ!」
「おう!」
ビルドクローズはグリスの気配に気づくと、スクエアISから離れる。
『『ツインフィニッシュ!』』
右のツインブレイカーから蜂蜜が強い勢いで噴出される。スクエアISが蜂蜜まみれになると、グリスは左のツインブレイカーを向けると、吹雪が放たれてスクエアISについていた蜂蜜が固まってしまう。
「これなら拡散衝撃砲は撃てないな!」
「言ってる暇はねぇ、さっさと倒すぞ」
グリスがレンチを下ろし、ビルドクローズがレバーを回す。
『スクラップフィニッシュ!』
『ボルテックフィニッシュ!』
「オルァァァァァ!」
「ダァァァァッ!」
2人は同時に跳躍してキックを繰り出した。直撃したスクエアISは緑色の爆発を起こす。
『倒されちまったか。まぁいい。テストとしてはベストな結果だ』
それを見届けたスタークは煙と共に姿を消す。スクエアISの纏っていた甲竜が解除されると、グリスはエンプティボトルで成分を回収した。
「ふぅ、ナイスファイト、一夏」
「俺なんて何もしてないよ」
「バーカ。戦ってくれた事自体が有難いってもんだよ」
一海は気を失っている鈴を担ぐと、一夏に「行くぞ」とだけ行って通り過ぎていく。
「……メンタル面だけは、俺はお前に勝てそうにねいかもな」
一夏はそれだけ言うと、鈴を担ぐ一海の後ろを追った。
***
鉄と鉄が衝突したには余りにも鈍すぎる音が鳴り響くと共に、オータムは自身のISアラクネと共にコンクリートの上を転がった。
「グッ、テメェ……!」
「どうした?俺はまだ全力すら出てないぞ?」
全身装甲のISは余裕そうに片手で巨大なメイスを上に投げてはキャッチしていた。
「もう織斑一夏はあそこを去る。お前も大人しく撤退しな」
「チッ……クソォッ!」
オータムは悔しそうにしつつもその場を離れていく。全身装甲のISはそれを見届けると、iS学園の方を向く。
「猿渡一海、お前との決着を……楽しみにしてるぞ」
全身装甲のISが解除される。謎のISの装着者、それは……幻徳だった。
どうでしたでしょうか。
今回から新しいスマッシュの種類『ISスマッシュ』の登場です。小羽のISハードスマッシュとは別の扱いですのでご注意を。
そして、幻徳の専用機がちょろーっと出てきました。ミストラルさんサイドの兎コラボを読む。または今後の展開で詳しい詳細が分かるのでお楽しみを。
次回は学園祭の開幕です。果たして歪な三角関係問題は解決するのか。
次回、第54話 ようこそ、メイド喫茶へ