一夏「お前、本当に苦労人だな」
一海「止めろ、無性に傷つく」
一夏「にしてもアレだな。お互いに名前の最初に一が付いているから親近感が湧くな。コンビ組んでみるか?ワンワンコンビ的な」
一海「犬みたいなコンビ名やめろ。俺は苗字的に猿だろ」
一夏「上手い!座布団1枚」
一海「上手い下手の問題じゃねぇし座布団貰っても嬉しくねぇよ!ったく、第3話、始めるぞ!」
「授業を始める前に、する事がある」
授業が始まる前に織斑先生から話が始まった。俺は先程のむしゃくしゃを鎮めながら話を聞く。
「クラス対抗戦の代表者を決める。代表者は一言で言うとクラス長だな。自薦他薦どちらでも構わん、どんどん候補してくれ」
クラス長か、面倒な仕事が多くて大変そうだ。まぁ、他の奴らが話を進めてくれるだろう。
「はい!織斑くんを推薦します!」
「え、俺!?」
一夏が立候補されたか。ドンマイ、俺も少しぐらい力になるぜ。
「ハイハイ!カシラが良いと思います!」
「自分もそれに賛成です」
「ハーイ!僕も僕も!」
すると、隣で三羽ガラスが俺を他薦し始めた。ドンマイ、俺ーーって、
「テメーら何勝手に俺をクラス長にしようとしてんだよ!」
「カシラなら頑張ってクラス長を努めてくれるかなぁーって思ったから」
俺の抗議に修也が答える。コイツら、ISに乗れない事を良い事に……!
「猿渡、他薦された者に拒否権はない。ましてお前を尊敬する者達からのものだ。選ばれた以上は引き下がるな」
織斑先生からの援護射撃が俺を更に苦しめる。ぐぅ、畜生。俺は素直に引き下がった。
「はい!氷室くんも良いと思います」
「僕ですか ……まぁ、選ばれたからにはそれなりに努めましょう」
氷室も他薦されたが、爽やかに受け止める。イケメンがイケメンしてやがる。何か悔しい。
「納得いきませんわ!」
すると、大声で抗議する女子が現れた。先程のオルコットである。オルコット曰く、男がクラス長は嫌だ。だからエリートの自分がなるべき、らしい。
まぁ、文句は無い。ISに乗れるだけのアマと経験値の高いプロならば、プロをリーダーにした方が良いと俺も思う。物珍しいだけでクラス長にされるのは嫌だと言う意見はご最もだった。
しかし、日本を馬鹿にされたのは少し尺だ。これは一夏も同じらしく、一夏はオルコットの出身国のイギリスに文句を言い出した。気持ちは分からない訳では無いが、反論は良くないぞ、一夏。
話は決闘に移り、一夏VSオルコットと言う状況が完成した。
「しょうがない。猿渡、お前も参加しろ。氷室はーー身体が弱かったんだったな」
織斑先生の判断で俺も参加する事に。氷室は生まれつき体が弱いらしく、ISの適正はあっても、動かす事は出来ないらしい。
「貴方も引き下がってよろしいですのよ?」
「あ"?」
オルコットが俺に軽く挑発してくる。先程の一件せいで俺は簡単にその挑発にのってしまった。
「聞いてましたの?ISにも乗れない極東の猿達からの他薦ですし、棄権しても文句は言いませんわ」
あからさまに三羽ガラスを馬鹿にするような発言に俺のクールダウンしていた頭はヒートアップしだした。
「テメェ、やんのか、ゴルァ!?」
ドスの効きまくった声を出しながらオルコットにガンを飛ばすが、オルコットは俺を見下した態度でいるままだ。
「貴方こそなめてますの?」
「あ?ンでだよ?」
オルコットは「まぁ!」と声を上げると、俺を指をさしだす。
「その態度ですわ!立場を理解せずに不良みたいに脅しかけているその態度に気づかないなんて、コレだから男は……」
「ンだと……!」
「止めろ、猿渡」
俺がオルコットに迫る前に織斑先生が引き止める。流石に無視したら、出席簿アタックをくらうので、ここは引き下がることにした。
「特別に入学したとは言え、彼らも生徒の1人だ。猿渡も他薦された者として扱われる。勝負は一週間後に行う。良いな」
織斑先生の言葉を区切りに授業が始まった。俺はオルコットに対する闘争心を燃やしながら教科書を開いた。
***
放課後、俺はトイレに行くために廊下を歩いていた。周りの女子は俺を見ながらザワザワとしている。しかし、いちいち気にしていたら埒があかないのでそのまま進む事にした。
「学園生活初日はどうだった?」
すると、後ろから男の声がした。俺は後ろを向くと、メガネをした男がいた。
「また会ったな、猿渡一海」
俺はその人を知っている。俺がISを動かした日に出会ったIS学園の教師、名はーー
「サイボーグ先生……!?」
俺が先生の名を言ってみると、サイボーグ先生はフリーズした。周りの女子も少し笑っている 。サイボーグ先生は気を取り直してメガネを掛け直す。
「内海成彰だ。忘れたのか?」
「い、いやぁ、忘れる訳ないですよ。農家ジョーク」
農家ジョークなんて、俺初めて聞いたけど。内海先生はタブレットを起動すると、タブレットを操作しながら話し出した。
「お前の寮の部屋が決まった。お前の連れの3人と一緒に入ってもらう。必要だと思われる物だけをお前の家から支給しておいた。二段ベットを準備しておいたので寝る時はそれを使うように」
「お、おう、ありがとうございます。……あの、内海さん。俺が数少ない男のIS操縦者とは言え、何でこんなに優遇してくれるんですか?」
俺は頭を下げた後に内海さんに聞いてみる。内海さんはタブレットの操作を止めると、メガネを掛け直した。
「それを今から話す。付いて来てくれ」
内海さんは俺の横を通り過ぎると、何処かへと歩いていった。俺は見失わないように内海さんの後ろを歩く。辿り着いたのは1つの個室だった。
「入れ」
「うぃっす」
内海さんが部屋に入ったので、俺も部屋に入る。部屋はとてもシンプルな4つの椅子と机だけだった。内海が椅子に着席したので、俺はその反対側に座った。
「ーーさて、君が何故優遇さるかだったな。まず1つ言わせてもらおう」
内海さんは普段以上に真剣な顔をしていた。余程大切な事なのだろうか。
「一年前、君の身に何が起きたかを、我々は知っている」
頭が真っ白になった。一年前、それは俺が拉致されて一週間の記憶を失った時だった。
「先に言うが、断じて我々が君に何かをした訳では無い。順を追って話そう。君はある組織に拉致された後、人体実験を行わされた」
淡々と話し出す内海さん。俺は不安を少し抱いていた。突然自分自身に起きた事を話され出したと言うこともあるが、それ以上に自分が自分でなくなりそうな気がしたからだ。
「その人体実験はネビュラリウムと言われる物質を気体化したネビュラガスを体に注入する実験だった。通常はスマッシュと呼ばれるバケモノになるが……君は特別だった。君はネビュラガスを注入されても人間の姿であれたんだ」
「バケモノになるガスを注入されて人間のままって……じゃあ俺は今、バケモノって事ですか!?」
何ともない体。しかし、中身はとんでもないバケモノだった。そんな事実を受け止めるには少し難しかった。
「そう受け止めてしまうのも無理は無い。だが君はれっきとした人間だ。少し特殊な体質なだけだからな」
内海さんはさも当然の様に話す。それでもすぐに切り替えれない自分があった。
「無論、そんな事を見逃す訳にはいかない。我々『難波重工』はとある科学者を匿って、今も尚その組織を追っている。組織の人間がIS学園にいる事と言う情報を手に入れた我々は私を教師に配属させ、組織の人間の捕縛を行おうとしているんだ。……そんな時に現れたのが君だった。ネビュラガスの注入実験を受けた君がIS学園に入学する……これは何かの好機だと確信した。猿渡一海、頼む。難波重工に力を貸してくれないか?……勿論、君達も」
「「「うわぁ!?」」」
すると、ドアから誰かが倒れた。部屋に入ってきたのは三羽ガラスだった。どうやら盗み聞きしていたらしい。
「カシラ……俺、カシラがバケモノでも、構いません!」
「て言うか、バケモノだって聞いてカシラから離れるほど俺達は堕ちてねぇよ」
勝が俺に言ってくれと、修也がニッと笑いながら俺を受け入れてくれた。聖吉は涙目になっていて、今にも泣きそうだった。
「カシラがバケモノである事に悩んでるんだったら、僕もバケモノになって一緒に悩むよ!」
「黄羽、ナイスアイデア!内海先生、どうにか出来ませんか?」
聖吉の言葉に勝が乗り気で賛同する。それを見た内海さんはフッと微笑んだ。
「恵まれているな、猿渡一海」
「あぁ、物凄く恵まれるよ。……内海さん」
俺は内海さんと向き合う。もう悩む事は無い。今俺がすべき事は大切な光景を守る為に戦う事だ。
「是非、助力させてくれ。俺に大切な光景があるように、誰かの大切な光景を守りたい」
内海さんが手を伸ばすと、俺はそれをガシッと掴んだ。
「助かるよ、猿渡一海くん」
すると、別の男の声が聞こえた。俺は声のした方ーードアの方を向くと、1人の男性がいた。
「初めまして、僕の名はーーー葛城巧。科学者として難波重工で働いている」
葛城さんは手をさし伸ばして握手を求めたので俺はそれを掴む。……ってか、何でそんな人がここに?
「葛城博士はネビュラリウムを発見した人物だ。まぁ、それをきっかけに組織に捕えられて、人体実験を強制させられていたがな」
内海さんの説明に俺はぎょっとする。後ろでは勝が「どういう事だ?」と修也と聖吉に聞くが、2人は「さぁ?」と首を傾げているだけだった。いや、分かってやれよ。
「僕のせいで君は人体実験に巻き込まれてしまった。本当に申し訳ない」
「いや、そんな。あれだ……使う人次第的な?」
俺は葛城さんのフォローをすると、葛城さんはポカンとした後微笑んだ。
「そう言ってくれると僕も救われるよ。さて、僕には別用があるから。僕は失礼するよ……内海さん、一海くんをよろしく頼むよ」
「任せてください」
葛城さんは立ち去る前に「bay」と言うと部屋を出ていった。内海さんも立ち上がる。
「難波重工はIS学園と繋がりは強い。困った事があったら何時でも力になろう。では、先に失礼する」
内海さんは俺に言い残すだけ言い残すと部屋から立ち去った。
「終わったね。カシラ、行こ!」
聖吉が俺の後ろに行くと、部屋を出るように促す。勝と修也も後ろに付いて行った。と、ここである事に気づいた。
「お前らは先に行ってくれ。トイレ行くの忘れてた」
3人は「了解」と答えると、先に歩いていった。俺もトイレに行くために歩き出す。と、ここでまた気づいた。
「……トイレって、何処だ?」
***
「畜生、迷っちまったな……」
10分ぐらいかけて漸くトイレに行けた俺は寮の部屋へと向かっていた。その間に代表者決定戦の事を考えていた。
「(1週間の内にISを乗りこなせるようにしないとな。……となると、ISに乗り慣れているヤツに教えてもらうのが良いな)」
とは言え、その講師役に宛がない。オルコットは敵同士だし、何より俺が嫌だ。クラスメイトはまだISを習いたてだし無理。
「八方塞がりじゃねぇか……」
ガックリと肩を落とす俺。すると、誰かに肩を叩かれた。俺に興味を持っている女子だろうか?はたまた三羽ガラスの誰かか。それとも先生か。試しに後ろを向いてみる。
むにぃ
畳まれた扇子を頬に押し付けられた。頭を動かせず、そのままフリーズする。
「ふふふーん、騙された?」
頭は固定されているので眼球を必死に動かす。IS学園の生徒で、リボンの色が2年の物だった。という事は、目の前の女子は先輩と言う事になる。
先輩はとても余裕を感じさせる態度で、その表情はイタズラっぽい笑みだった。何をしてくるか分からない不透明さは俺を惹き付けた。
「えっと……どなた?」
「私?ミステリアスなお姉さんとでも名乗っておこうかしら?」
うわ、この人絶対からかってる。てか、扇子をどうにかしてほしい。ずっと頬に押し付けられたままなんですけど。
「あの、扇子をどかしてくれると嬉しいんですが」
「あら、ゴメンなさい。面白かったからつい」
「………」
ついつい無言になってしまう。イタズラ大好きなお姉さん属性か?年上はタイプだけど他人を振り回しやすいタイプは少し苦手だ。
ともかく、扇子を離してもらった俺は本題に移った。
「で、先輩が何の用ですか?」
「ん?悩める子羊猿渡一海くんの力になってあげたいなーって思っているんだけれど、実際どうなの?」
多分、この人は俺が何に悩んでいるのかはお見通しな気がする。だが、言わないと絶対話が進まなそうそうなので、しょうがなく言ってみた。
「そうなんですよ。ISの練習がしたいんけど、如何せん相手が見つからなくて……」
「ふーん、じゃあさ、一海くん。私が付き合ってあげよっか?」
間が生じた。その後「えッ!?」とビックリする。
「良いんですか!?」
「ええ、お姉さんは寛大だから」
これはラッキーだ。1週間充実した練習が出来る……かもしれない。
「むぅ、お姉さんを信じてないでしょ」
むにぃと再び扇子を頬に押し付けられる。いや、またかよ。
「いや、だって俺実力知らないからですよ……えっと」
「更識楯無よ。安心しなさい。お姉さん、最強だから」
俺が更識先輩の言葉の意味を知るのは結構後の話。でも、これが俺の運命の出会いだった。
ビルド本編で出番の少ないキャラを活躍させたい!と思い内海さんや葛城も登場させました。
あと、ヒロインの楯無も登場!自分シャルロッ党ですけど、会長も好きです。会長の党派も作った方が良いと思います。
カズミンは甘えさせてくれる年上が好みです。
では、次回予告へGO
***
次回、INFINITE・GREASE!
一海「行くぞゴラァ!」
一海VSセシリア、開幕!
赤羽「今俺達がカシラにできる事をしようぜ!」
三羽ガラスの決意とは!?
内海「猿渡一海のハザードレベルが上がっている……?」
一海の体に、人知れず変化が!?
第4話 決着のベルが鳴る
楯無「キケンな貴方とキケンな生活……なんて面白いじゃない♪」